不動産を売却することを検討されている方の中で、短期間にかつ高額に売却をしたいと考えている方は少なくないでしょう。
また、売却するにあたり、失敗したくないというお考えもあるのではないでしょうか。
本記事では、成功と失敗の差があまりにも大きい不動産売却について、失敗しないための注意点と売却の流れを網羅的に解説します。
記事を読み終えた時には「騙されない」「丸め込まれない」という理論武装ができていると思いますので、どうぞ最後までお読みいただき、不動産売却の際に生かしていただけたら幸いです。
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目次
1、不動産売却時の注意点15
不動産を短期間にかつ高額で売却をするにあたっての注意点は以下の通りです。
以下の15項目を確認することで、より高額な値段で不動産を売却することができるでしょう。
- 不動産売却時の流れを知る
- 対象不動産の相場を知る
- 不動産の査定は複数社に依頼する
- 信頼できる担当者を選ぶ
- 依頼する不動産会社の得意分野を知る
- 3種類の契約方法を知る
- 売却予定の物件情報をできるだけ担当者に伝える
- 不動産売却時に発生する費用を把握する
- 内覧時に部屋を綺麗にする
- 交渉の姿勢を持つ
- 売却時に必要な書類を用意する
- 不動産売買契約書でチェックすべき注意点
- 「買取」による売却という方法もあることを知る
- 不動産を少しでも高額で売却するための注意点3つ
では、順番にみていきましょう。
2、不動産売却時の流れを知る
不動産売却にあたってどのような注意点があるのかを理解しやすくするために、まずは実際に不動産を売却する際の流れをみてみましょう。
大きくは以下のような流れになります。
- 相場を知る
- 対象物件査定を依頼する
- 不動産仲介業者を選定して媒介契約を締結する
- 売却価格を決定して売却活動開始
- 購入希望者と交渉する
- 売買契約を結ぶ
- 決済・不動産を引き渡す
詳しい内容については「不動産売却の流れ|引き渡しまでの6つのステップと売却にかかる期間」をご参照ください。
3、対象不動産の相場を知る
不動産の売却を検討される際に、自分の不動産は今ならいくらくらいで売買されているかという相場を知っておく必要があります。
実際の取引価格は国土交通省の「土地総合情報システム」にて調べる事ができますので、ぜひ利用してみてください。
4、不動産の査定は複数社に依頼する
対象物件の相場が分かったら、実際に査定を受けてみましょう。
一般的には査定をしてもらうには、まず簡易査定サイトで簡単に受けられる簡易査定を受けてから、金額や対応などを踏まえて何社かに絞り、更にもっと正確なものを把握するために訪問査定を依頼するという流れになります。
(1)なぜ不動産売却査定は複数社に依頼する方が良いのか
なぜ不動産の売却査定では複数社に依頼するのが良いのでしょうか。
一見、複数社に不動産の査定を依頼するのは面倒に思えるし、そんなことをする必要があるのかと思うかもしれません。一括査定を依頼することで、多くの会社から営業を受けることもあるでしょう。
しかし、一括査定をすることで、不動産会社ごとに異なる査定基準の見積もりを受けることができます。営業を受ければ、各不動産会社の対応力や説明力なども比べることができます。
実はデメリットをメリットに変えることができるのです
以下無料で利用者数が多いオススメのサイトを4つピックアップしましたので、参考にしてみてください。
(2)おすすめの不動産売却査定サイト4選
①すまいValue
東急リバブル、住友不動産販売、野村の仲介など、登録会社を大手不動産会社だけに絞った大手志向の一括見積サイトです。
大手の意見も聞いてみたいという場合に利用すると、一括で大手6社に見積依頼を出すことができます。
②HOME 4 U
登録不動産業者の審査が厳しく営業攻勢を掛けてくるような業者を排除していることや、NTTグループである安心感など、初めての方や投資家ではなく自己所有の家を売却したい方などにもオススメできるサイトです。
③SRE不動産(ソニー不動産)
ソニーグループの不動産会社で、100%売り手の立場で売却活動をサポートしてくれます。サービス対応エリアに該当するならオススメです!!
これらの他にも、「不動産投資の教科書」がおすすめする一括査定サイトがあります。
さらに6位以降については「評判のよい不動産売却一括査定サイトは?不動産を売るならどこがいいか徹底解説」も併せてご覧ください。
5、信頼できる担当者を選ぶ
不動産の売却を検討される際に、信頼のできる不動産会社を選ぶことはもちろん重要ですが、実は、あなたの物件をきちんと知った上で、責任を持って販売してくれる信頼できる担当者を選ぶことも非常に大切と言えます。
(1)信頼できる担当者を判断するポイント
信頼のできる担当者かどうかは以下のポイントで判断してみるといいでしょう。
- 査定金額報告時にきちんと金額の根拠を明示しながら説明を行ってくれるか
- ローンの残債金額、物件の現況など物件に関する細かい情報までヒアリングをしてくれるか
- 売却理由を確認した上で、きちんと自分の状況に合せて売却プランを提案してくれるか
- 確認事項には丁寧に対応してくれるか
- きちんと手順を踏まえた上で媒介契約の提示をしてくれるか
また、不動産の売却活動中においても、購入希望者との交渉、業者との交渉、契約書の作成など色々な手続きは全て不動産会社の担当者が行うことになります。
ですので、信頼のできる担当者を選ぶことによって、物件を高額で売却するだけではなく、スムーズに売却まで進むことにも繋がります。
以上を踏まえると、信頼できる担当者を選ぶことは非常に重要なポイントと言えるでしょう。
(2)チェックリストをダウンロードする
信頼できる不動産会社担当者を選ぶ際の「不動産会社担当者のチェックシート」をダウンロードし、ぜひ利用してみてください。
6、依頼する不動産会社の得意分野を知る
不動産会社は表だって宣伝はしていないところが多いのですが、実はそれぞれの会社ごとに得意分野があります。
マンションの売却よりも一戸建てをメインとしている会社、あるいは新築専門で中古はあまり得意でない、などです。会社の規模や地域密着型の会社かどうか、などによってもネットワークや情報量に大きな違いがでます。
こういった不動産会社の得意不得意に関する情報は、まず地元密着型の中小か、それとも全国展開しているような大きな会社かによって分けてみるといいです。
そのうえで、インターネットの口コミを参考にする、あるいは建設中の物件などがあれば実際に出向いてみる、そして可能であれば実際に入居している人や周辺地域の人に話を聞いてみるといったリサーチをしておきましょう。
また、それぞれの不動産会社のホームページや店舗などの見やすいところに掲載されている物件がどのような物件かによって、得意不得意を見分けることも可能です。
強く推している物件の種類こそが得意な分野である可能性が高いので、会社を選定するうえでの目安の1つとして注目しておきましょう。
7、3種類の契約方法を知る
不動産会社と契約する媒介契約には大きく分けて、
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専任専属媒介契約
3つの種類があります。それぞれの契約についてその大まかな特徴をおさえておきましょう。
一般媒介契約のみ複数の不動産会社と結ぶことのできる契約で、あとの2つは1社との契約というかたちとなります。
(1)一般媒介契約
一般媒介契約は3つの媒介契約の中では売主、買主と不動産会社の結びつきの最も弱い契約です。
複数の不動産会社と契約できる一方で、不動産会社側には有効期間の制限や依頼主への報告義務、また指定流通機構(レインズ)への登録義務などがありません。そのため、一般媒介契約では売主や買主が主導的に売却手続きを行う必要があります。
(2)専任媒介契約
専任媒介契約は不動産会社1社と結ぶ媒介契約です。
契約の有効期間は基本的に3カ月以内で、不動産会社側には依頼主への報告義務(2週間に1回以上)、指定流通機構(レインズ)への登録義務(7日以内)が生じます。
専任専属媒介契約と違うところは、報告義務の間隔や指定流通機構への登録期間が少し長いという点をあげられます。
ただ、最も大きな違いは「自己発見取引」が可能だという点です。
自己発見取引とは売主が自力で買主を見つけてくることです。取引に関するほとんどは不動産会社に担当してもらいますが、売主が主導的な役割を果たす余地も残されている媒介契約である、といえます。
(3)専任専属媒介契約
3つの契約のうち、もっとも依頼主と不動産会社の結びつきの強い媒介契約です。
依頼主は契約した不動産会社以外に媒介を依頼することができないだけでなく、自己発見取引も許されません。
買主の発見から取引までの全てを、不動産会社に一任するかたちになります。契約期間は専任媒介契約と同じですが、依頼主への報告義務は1週間に1回以上、指定流通機構への登録制限も5日以内と厳しくなっています。
8、売却予定の物件情報をできるだけ担当者に伝える
売却予定の物件情報をできるだけ担当者に詳しく伝えましょう。
(1)評価されるポイントとは
物件の売却時には、買主側からメリットと感じられる点はあるか、という点について検討する必要があります。
大きく分けると、次にあげる5つの点に分けて、売却物件に関する情報を整理しておくといいでしょう。
- 拠点性の高さ(交通の便や立地など)
- 住環境の良さ(周辺地域の事情や生活インフラに関する情報)
- マンションの場合は棟全体の居住性の良さ
- 室内の居住性の良さ(間取りや室内環境)
- デザイン性の高さ
この5つの点でそれぞれ強みがあると、物件への高い評価へとつながっていきます。プロと相談するときにも、以上の点をふまえて、自分たちの物件の強みをリストアップしておくといいでしょう。
(2)物件情報を担当者に伝える
管理会社がきちんと管理を行っている、「近隣トラブルが起きたことがない」など物件に関してプラスになるような情報はもちろん、マイナスになる情報もきちんと担当者に伝えましょう。
この時、マイナスの情報は伝えづらいかもしれません。
しかし、きちんとマイナスの情報を伝えないと後でトラブルに繋がる可能性があります。
仲介による売却不動産は、売却後1年間は瑕疵担保責任が発生します。
この瑕疵担保責任とは「故意に隠して売却した不具合や問題に対する責任」で、マイナス情報を伝えずに売却してから後になって瑕疵担保責任を追及されると、かえって高くついてしまうのです。
また、信頼できる担当者を選んでおけば、その担当者がマイナス情報も悪い印象にならないように伝えてくれる可能性が高いので、情報はきちんと伝えるべきです。
9、不動産売却時に発生する費用を把握する
不動産売却時の売却価格を決めるにあたっては、どんな費用がかかるかを事前に把握しておく必要があります。
不動産売却時に大きく以下の費用がかかります。
- 不動産仲介業者に支払う「不動産仲介手数料」
- (融資を受けた場合)金融機関に支払う「一括繰上げ返済手数料」
- 税金
詳しい内容については「事前に知っておきたい!不動産売却時にかかる3つの諸費用」をご参照ください。
10、内覧時に部屋をキレイにする
購入希望者による内覧(売りに出している家を見にくること)の対応時、できるだけ部屋をキレイにすることを心がけましょう。
内覧の際に買主は、現在のレイアウトを参考に、部屋の間取りの使い易さを判断することが多いので、荷物を散乱させたりすることは避けましょう。
内覧時の印象アップは、床をできるだけ多く露出させて広く見せるのが基本です。荷物が散乱していると室内が狭く見えるので、その意味でも損になります。
また、設備や床など部屋中の汚れがひどいとクリーニング代がかかるという理由で購入希望者から減額交渉されることも考えられます。事前に掃除しておきましょう。
内覧は購入希望者が下見をするというだけのイベントではなく、購入希望者が家を見ていかに値切る理由を見つけるかというイベントでもあるのです。
隠しようがない不具合や汚れ、告知するべき問題については隠すことはないですが、それ以外の部分で損をしないようにするのが、内覧対応の基本です。
11、交渉の姿勢を持つ
不動産を売却する際に購入希望者から、
- 売却価格
- 入居時期
など様々な交渉が入ります。その際、もちろん大事な不動産なので安売りする必要はありませんが、自分が妥協できる範囲内でできるだけ交渉に応じるという姿勢を持つことが大切と言えます。
もちろん、購入希望者は自分に有利になるよう交渉してきますので、その際には担当者と相談をしながら対応するといいでしょう。
12、売却時に必要な書類を用意する
不動産の売却をスムーズに進めるには、事前に必要な書類を用意しておくといいでしょう。
(1)対象不動産に関連する書類
対象不動産の種類によって必要な書類が異なりますが、具体的には以下のような書類が挙げられます。
- 登記簿謄本
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 土地測量図・境界確認書
- 図面や設備の仕様書など
- 固定資産税納税通知書
- (マンションの場合)維持費等の書類
- (マンションの場合)マンションの規約
- 登記済権利書
- 建築確認済書及び検査済書、建築設計図書など
- その他の書類
など。
(2)売主ご自身に関する書類
不動産の売買契約書を締結するには、売主には以下の書類を用意する必要があります。
- 身分証明書
- 実印
- 印鑑証明書(3ヶ月以内発行のもの)
- (売却不動産の住所と違う場合)住民票(3ヶ月以内発行のもの)
- (売買代金を振り込んでもらうための)銀行口座の通帳
- (住宅ローンを利用の場合)ローン残高証明書
詳しい内容については「不動産売却時に必要な書類」をご参照ください。
(3)チェックリストをダウンロードする
必要な書類の用意が漏れないよう、不動産売却に必要な書類のチェックリストダウンロードし、活用してみて下さい。
13、不動産売買契約書でチェックすべき注意点
買主との交渉が決まりましたら、いよいよ不動産売買契約書を締結します。
契約の内容が自分に不利にならないよう、契約書を事前にきちんと確認することが大切と言えます。不動産売買契約書のひな形には、場合によってご自身の契約に不要な内容も記載されています。物件や買主の属性によって変更となる以下の項目を注意して作成・確認するようにしましょう。
- (1)売買物件の表示
- (2)売買代金、手付金等の額、支払日
- (3)所有権の移転と引渡し時期
- (4)公租公課の精算
- (5)ローン特約
- (6)付帯設備等の引渡し
- (7)手付解除
- (8)契約違反による解除
- (9)瑕疵担保責任
では、順番にみていきましょう。
(1)売買物件の表示
部屋の面積など細かい数字に注意して誤りがないか確認しましょう。
(2)売買代金、手付金等の額、支払日
売却予定物件の売買代金、手付金などの金額と決済日の情報が記載されています。具体的な注意点は以下の通りです。
- 売買代金に間違いがないか
- 手付金の金額は正しいか
- 解約手付の場合、いつまで解約ができるか
- 決済日に間違いないか
などを確認するようにしましょう。
(3)所有権の移転と引渡し時期
ご自身の希望の時期と合っているかどうかを確認しましょう。
(4)公租公課の精算
不動産売買するタイミングで、以下のような公租公課を買主と売主で精算することが一般的です。
- 固定資産税
- 都市計画税
- マンションの管理費
- 修繕積立金
など。物件の決済日を基準に、日割り計算で精算されることになります。この点も事前に確認しておきましょう。
(5)ローン特約
買主がローン特約を利用する場合、支払の期限はご自身に影響がないかどうかを確認しましょう。
(6)付帯設備等の引渡し
引き渡し後にトラブルとならないよう、契約を締結する前に、
- 引き継ぐ付帯設備
- 撤去される付帯設備
を買主に伝えておきましょう。
(7)手付解除
何らかの理由によって契約締結後に解除することも考えられます。そのため、手付解除の取り決めが記載されています。売主は手付金の倍返しで解約する事ができます。
手付けの金額は、一般的には
- 売買代金の20%まで
の範囲で設定されることが多いです。当事者の間で同意があれば、
- 手付解除を認めない
- 手付解除可能な期間
などについて自由に決めることもできます。この点も事前にきちんと確認しておきましょう。
(8)契約違反による解除
契約違反による解除とは、買主または売主のいずれかが債務不履行(契約上の義務を果たさない)となった場合、その相手方が契約を解除するときの取り決めです。一般的には、契約違反により解除した場合の違約金(約束を破った方が相手が他に支払うお金)の金額は
- 売買価格の20%まで
の範囲で設定されることが多いです。
(9)瑕疵担保責任
瑕疵担保責任とは、売買された物件に隠れた瑕疵・欠陥などが見つかった場合に、売主が負う修理責任のことを言います。また、瑕疵により購入する目的を達成できない場合、契約を解除することができます。
一般的には、買主が
- 瑕疵を知った時から1年以内
に賠償請求することができると決められることが多いです。ちなみに、個人の売主の場合は負わないという設定をする事もできます。しかし、そうすることによって、売却に時間がかかってしまう場合がありますので、事前に担当者に相談してみるといいでしょう。
14、「買取」による売却という方法もあることを知る
(1)買取とは
不動産の売却を検討されている方の中で、「買取」という言葉を聞いたことがある方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
「買取」とは、不動産買取り会社などの業者に直接売却する方法です。
売却に時間の余裕がない、他人に知られることなく売却をしたいという方は検討してみるのはいかがでしょう。
買取にてできるだけ不動産を高く売却する方法について詳しくは「知らないと損!不動産を「買取」売却する際に得する方法」をご参照ください。
(2)仲介との違い
不動産の買取と仲介の大きな違いは、買主が不動産会社であれば「買取」、一般の方の場合が「仲介」です。
価格の決定権にも違いがあり、不動産会社が決めてしまうのが「買取」、売主が決めた価格を不動産会社が買主に伝えて売却するのが「仲介」です。
こういった特徴の違いから分かることは、「買取」の方は売却までのスピードが早いという点です。
ただし、買取は後腐れがないことや現金化が早いことなどメリットがある一方で、売却価格は仲介と比べて7割程度になってしまいます。
そのことはとても重要なので、上記の記事を参照される際も前提として押さえておいてください。
15、不動産を少しでも高額で売却するための注意点3つ
最後に、不動産売却において失敗したくない(=少しでも高く売りたい)と思われている方々のために、高く売却するための注意点を3つの項目で解説したいと思います。
(1)不動産の売却は情報の鮮度が命である
仲介で不動産の売却活動をする場合、売却情報が出回ってからいつが最も高く売れるタイミングだと思われますか?
その正解は、「売却情報が出回った直後」です。不動産の売却は情報の鮮度が命で、いつまでもダラダラと売りに出ているような物件は「出回り物件」と呼ばれて、売主がもっと価格を下げるのを待つようになってしまうので、売主はジリジリと価格を下げざるを得なくなります。
そうではなく、最初の売り出し時に査定価格より少し低め、もしくは査定価格通りに売りに出し、価格交渉を持ち掛けられたら柔軟に応じて一気に売り抜けるのが正解です。
それだと買主に有利になってしまうのでは?とお感じかも知れませんが、出回り物件になってダラダラと売りに出していると、最初に売り抜ける価格よりも必ず低くなってしまいます。そうなると一度売り出すのをやめて仕切り直しにするなど戦略の練り直しが必要になるので、売却時期が大幅に遅れてしまうのです。
不動産の高値売却は、スピーディな売却と同義であるとお考えいただいて良いと思います。
(2)不動産売却は「後腐れ」に注意
すでに何度か述べてきたように、仲介による不動産売却にはおおむね1年間の瑕疵担保責任期間があります。その1年の間に売却した物件で何か不具合が見つかり、それが売却前からあったことが明らかになると、瑕疵担保責任を負う義務があります。
もちろん故意であれば隠し事がバレたペナルティがあっても当然だと思いますが、厄介なのは売主も気づけなかったような瑕疵が後から見つかった場合です。責任のなすり合いに発展しやすく、そうなると後味の悪い売却になってしまいます。
仲介だとこうした「後腐れ」が1年間は続くので、これが煩わしいと思われる方は買取を選択した方が無難かも知れません。売却価格では不利になってしまいますが、こうしたことを嫌う人の中には後腐れがないという理由で買取を選択する人もいます。
(3)2022年問題による不動産価格下落に注意する
不動産業界には、2022年問題と呼ばれる問題が囁かれていることをご存知でしょうか。この2022年問題で懸念していることが現実になると、東京や大阪などの大都市圏で地価が暴落する恐れがあります。それはどういうことなのか、解説しましょう。
この2022年問題は、別名「2022年生産緑地問題」とも呼ばれています。農地となっている土地を生産緑地にすると、農地のままだと宅地にすることができる余地が残されているものが、向こう30年間は生産緑地でしか利用できないようになります。その代わりに固定資産税を優遇するという制度が1992年に施行され、農地を所有している多くのオーナーが生産緑地を選択して税制優遇を受けました。
その1992年から30年後にあたるのが、2022年です。30年間は生産緑地でしか活用できなかった土地が、2022年以降は宅地など住宅向けに転用できるようになるため、生産緑地に甘んじてきた土地が大量に不動産市場に供給されるのではないかというわけです。
しかもこの生産緑地は、固定資産税が高くなりがちな都市部の土地に多く、東京や大阪など大都市圏で2022年以降一斉に土地が供給され、地価の下落が起きるのではないかという懸念があるのです。
この問題は、大都市圏での土地売却をお考えの方に関わりがあります。2022年以降まで売却を先延ばしにしていると、2022年問題の影響によってそれまで売れていた価格でも売却できなくなるかも知れません。
この問題に懸念を感じる方は、2021年までに不動産を売却しておくことをおすすめします。
まとめ
今回は不動産売却時の注意点をまとめさせて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。不動産売却には正しい順序とセオリーがあり、一見すると難しく感じるものの順序立ててひとつひとつこなしていけば、決して難しいものではありません。
不動産のプロではなくても高値売却をすることは十分可能なので、この記事の情報を高値&スピーディな不動産売却にお役立てください。
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