注文住宅に興味があるけど、その仕組みやメリット・デメリットがよくわからない。本記事では、「注文住宅とは何か?」という基本から、「注文住宅でできることとできないこと」、「建築費用の問題」、「注文住宅が自分にとって最適な選択かどうか」について詳しく解説します。建売住宅との比較も交えながら、あなたの家づくりに役立つ情報をお届けします。
注文住宅で家を建てようとお考えの方にとってどれも重要な情報ばかりなので、ぜひ最後までお読みください。
1、注文住宅をお考えの方へ
注文住宅を検討されている方にとって、今この段階で気になる3つのポイントを整理しました。
(1)注文住宅はオーダーメイド⁉
スーツに例えると、建売住宅は既製服で、注文住宅は仕立てのオーダースーツということになります。量産されているので安いですが、着る人のサイズにぴったり合うかというと、そこまでは期待できないのが既製服です。
その一方でオーダースーツであれば仕立て屋さんが採寸をして、発注者の希望を聞いたうえでゼロからスーツを作ってくれるので、当然ながらサイズはぴったりでデザインも要望通りになります。
マイホームに何らかのこだわりをお持ちなのであれば注文住宅を選択するべきです。
(2)注文住宅は建築費が高くつきそう
自分の要望を形にできるということは、その分特注、別注となるような設計、材料、工事が必要になるかも知れません。標準的な規格の住宅から要望が離れるほど費用が高くなりそうだというイメージをお持ちの方は多いと思います。
自分の要望を住宅に反映するのですから、それが特別なものであるほど建築費は高くなります。これはご想像の通りですが、注文住宅にはこだわりのあまりない部分についてはダウングレードする自由もあるというのは知らない人も多いようです。
そういった知恵をいかすことによって注文住宅では建築費をコントロールしやすいです。
また、事前にハウスメーカーへ注文住宅の一括資料請求を行うなど比較することが大事です。
参考:注文住宅カタログ一括請求のおすすめ6選を徹底比較!ハウスメーカーの一括資料請求はどれがいい?
(3)自分は注文住宅を選ぶべきなのか?
これから建てるマイホームに対してこだわりがあるのだから、やはり注文住宅でないと・・・と考えてしまいがちですが、実はそうとも限りません。なぜなら、そのこだわりを形にする方法は注文住宅以外にもあるからです。
建売住宅でも商品によってはある程度自由が利くように工夫されていますし、場合によっては中古住宅を安く購入してリノベーションをするという方法もあります。「こだわりがある=注文住宅でなければならない」という固定観念はあまり持ちすぎないほうが良いかも知れません。
2、注文住宅とは?
注文住宅や注文建築と呼ばれている住宅とは、そもそもどういうものなのでしょうか。ここではまず、注文住宅の基本をおさらいしておきましょう。
(1)注文住宅の定義
注文住宅とは、施主(家を建てる人)が建築業者や設計士と相談しながら、自分の希望やライフスタイルに合わせた設計や間取りを自由に決めることができる住宅のことです。土地の選定から始まり、設計、建築、内装の細部に至るまで、施主の意見が反映されるため、理想の家づくりが可能です。
(2)注文住宅と建売住宅の違い
建売住宅が既製品であるのに対して、注文住宅とは注文に応じて建てられるオーダーメイドの家のことです。メリットとデメリットについては後述しますが、建売住宅と違って注文住宅は要望が固まるまでは建築そのものが始まらないのが大きな違いです。
一般的に、敷地面積がそれほど大きくない住宅の場合は建売が多く、ある程度以上の敷地になると注文住宅を選択する傾向が見られます。ここには、敷地が広いほどそこに建てる家の自由度が高くなるため、注文住宅を選択しやすいということも関係しています。
(3)フルオーダーとセミオーダー
注文住宅には、大きく分けてフルオーダーとセミオーダーがあります。冒頭ではスーツに例えて既製服とオーダースーツの違いを解説しましたが、注文住宅にも一定の範囲内で選択肢が設けられているセミオーダーと、完全にゼロベースで家を設計していくフルオーダーがあります。
セミオーダーは年々進化しており、セミオーダーであってもある程度のこだわりをかなえることができるケースも多くなっています。費用的にはセミオーダーのほうが安くできるため、その範囲内で手を打って良いという方は、セミオーダーによる注文住宅を選択するのも一考の価値があります。
(4)注文住宅だとどんな要望が実現するのか
注文住宅で選ぶことができるのは、住宅に関するすべての要素です。外観の形状や間取り、使用する建材、デザイン、使い勝手など細部も含めると膨大な選択肢があります。家としての機能を損ねるものでなければ何をやってもいいということになりますが、規格外の要望を盛り込むほど建築費は高くなりますし、工期も長くなります。
注文住宅を希望する目的や事情も、人によってさまざまです。おしゃれな家に住みたいという見た目重視の考え方だけでなく、書斎や趣味の部屋が欲しいという要望、さらにはバリアフリーに徹した家にしたいという家族事情との兼ね合いもあるでしょう。注文住宅であれば、これらの要望はすべてかなえることができます。
(5)注文住宅を選択するべきなのは、こんな人
以上の点を踏まえて、注文住宅を選択するべき人の条件を整理してみました。この項目にひとつでも多く当てはまる方は、注文住宅を選択することによるメリットがより大きくなります。
- 費用よりも自分の要望、こだわりの実現を優先したい
- セミオーダー、カスタマイズでは満足できそうにない要望がある
- 現在住んでいる家に長年気になって仕方がない問題がある
- どうしてもかなえたいこだわりがある一方で、建築費の増大は避けたい
- 家庭円満に、家の果たす役割はとても大きいと思う
この記事をお読みの方は注文住宅に興味をお持ちだと思うので、この条件の多くに該当する方が大半なのではないでしょうか。その中でも「セミオーダーやカスタマイズではだめなのか?」「そのこだわりがあれば、どんな幸せが得られるのか?」といった部分を自問自答して考えていただくとより現実味のある答えが出るのではないかと思います。
3、注文住宅のメリットは?
(1)自分の要望を高いレベルで住宅建築に反映できる
注文住宅のメリットとして文句なしの第1位は、自分の要望を高いレベルでマイホームに反映できることです。そうでなければ注文住宅の意味がないと言い切っても良いほど、重要なメリットです。
(2)建売ではないので建築段階からチェック可能
すでに述べてきているように、注文住宅は施主の要望が固まってからはじめて建築が始まります。つまり、打ち合わせの段階ではまだ存在していないので、建築段階から細かい部分にいたるまでチェックが可能です。
ハウスメーカーや工務店に希望すれば建築中の家を見学することもできるので、完成後はあまり見ることができない「裏側」についてもしっかりと見ることができます。
ほとんどの施主は住宅建築について素人なので、見ただけで分かることは少ないかも知れませんが、写真に撮っておくことで後になってからトラブルを防ぐことができるでしょうし、建築段階からマイホームを見ておくことでより愛着を持ちやすくもなることでしょう。
(3)コストダウンの観点からも自由度が高い
自分のこだわりを盛り込み、それが規格外のものであれば建築費は高くなりますが、その一方でこだわりが少ない部分や不要なものはダウングレードしたりカットできるのも、注文住宅のメリットです。
うまくバランスを取れば、トータルでの建築費増大を防ぐことも可能です。
(4)完成した家によっては資産価値が高くなる
あまり奇抜な住宅だと、もしその住宅を手放す時に買い手がつきにくくなってしまいますが、その逆に売却時のことを考えて注文住宅を建てると資産価値を高めることができます。
住宅の設計やデザイン、間取りには流行があります。その流行に乗っかる形で注文住宅を建てると、その流行が去ってしまった時に売却が不利になってしまいます(同じ時期に似たような中古住宅が多数流通するため陳腐化してしまう)。資産価値の維持向上を考えるのであれば、できるだけベーシックな設計やデザインにすることをおすすめします。
もっとも、ベーシックにこだわると注文住宅である必要性が薄れるかも知れませんが。
4、注文住宅のデメリットは?
(1)やはりコストが高くなりがち
注文住宅に付きまとう最大のデメリットは、やはり建築費の増大です。規格品より良い建材を使いたいと思えばその分費用が高くなりますし、独自の設計を依頼すればその費用も発生します。とかくわがままを通すとお金がかかるのは世の常ですが、それは注文住宅にも如実に当てはまります。
先ほどダウングレードなどで別の部分のコストを削減できると述べましたが、多くの事例ではトータルで建築費が割高になっている現実があります。
(2)要望が多いほど完成まで時間がかかる
注文住宅にすると負担が増えるのは、お金だけではありません。要望が多くなればなるほど、そして要望が規格外であるほど、工期は長くなります。特別な造作などを要望している場合はそのための職人を手配する必要があるため、なかなか手配できないようだとそのことが工期に影響を及ぼします。
外観にこだわった施主が「お城のような石垣がほしい」と要望して住宅建築が始まったところ、その直後に熊本地震が発生して被災した熊本城の石垣を修復するために多くの石垣職人が確保されてしまった結果、注文住宅の工期が大幅に遅れたという事例があります。
伝統建築など職人不足が慢性化している分野での要望を出すと、地震といった特殊な事情がなくても工期が遅れやすいという傾向があるようです。
(3)既製品ではないため構想段階では実物を見ることができない
建売住宅であれば、すでに完成している住宅を見てそこでの生活をイメージすることができます。仮にまだ住宅が建てられていない場合であってもモデルハウスがあるので、それを見ることでもイメージをつかみやすいでしょう。
注文住宅は注文が確定するまで着工することはなく、注文住宅だけに全く同じ住宅というものがあまりありません。実物を見ることなく完成予想図などでイメージをしなければならないため、いざ完成後の実物を目にした時に違和感が出てしまうといったこともあります。
5、注文住宅で失敗しないためのポイント7つ
先ほど述べた「実物がない」ためにイメージと実物に齟齬が生じてしまうというのも失敗例のひとつです。これ以外にも注文住宅を建てるのにあたって失敗しないために押さえておきたい7つのポイントを解説します。
(1)注文住宅だからといって何でもできるわけではないと心得よう
規格品にないものを自由にオーダーして住宅に反映することができるのは、注文住宅の存在意義です。だからといって何をやってもいいというわけではありません。周辺の環境や景観との調和といった問題もありますし、何よりも自由すぎる要望は建築費の増大と工期の延長を招きます。
工期が長くなってしまうことについてあまり危機感を持たない人が多いのですが、もし現在お住まいの家が賃貸住宅なのであれば工期が長くなるほど家賃負担が増えることを忘れてはなりません。それも住宅建築のコストと考えると、建築費を一生懸命値切って削ったのに家賃でそれが飛んでいってしまうといった笑えない話も有り得るのです。
(2)その要望、建売住宅でも実現できませんか?
自分の要望をかなえるには注文住宅でなければならない、というのはちょっとした固定観念です。すでに述べてきている通り、規格品や既製品の住宅であってもカスタマイズできるものが多くなっており、その自由度は多くの方の想像以上に高くなっています。
例えば、以下のようなサービスでは規格品の住宅でありながらかなり高いレベルでのカスタマイズが可能になっています。
- SMARTMADE
こうしたサービスの存在を知らない人も多いので、もし現在お考えの住宅が、こうした規格住宅のカスタマイズで可能になるのであれば、高い確率でこちらのほうが建築費を安く抑えることができます。
自分の要望は本当に注文住宅でないと無理なのか?ということを、ぜひ一度考えてみてください。
(3)材料選びでは大きめのサンプルでチェック
外壁や内装のクロスなど、家のデザインに深く関わる材料については、できるだけ大きな面積のサンプルでチェックするようにしましょう。というのも、小さな色見本だとどうしても色目が違って見えるため、実際にそれを使用したら「思っていた色と違っていた」という失敗例がとても多いからです。
少なくともA4サイズ以上の面積でチェックするべきというのが目安となっています。施工業者側でもそれを踏まえて、面積の大きな見本(もしくは本物)を見せてくれるところも多くなっています。
色や素材感を比較する時には、できるだけ面積の大きなものでチェックするという原則をぜひ覚えておいてください。
(4)個性的すぎる間取りや空間は資産価値を下げる恐れあり
せっかくの注文住宅なので、自分のこだわりを積極的に盛り込みたいというのは人情です。ネット上にある注文住宅の事例やカタログなどを見ていると、それはもう個性的なデザインや間取りの住宅がたくさん紹介されています。
こういった情報に触発されて個性的すぎる注文住宅を検討する人は多いのですが、奇抜すぎるほど売却するのが難しくなるというのも、これまた事実です。将来にわたってその家を売る可能性が全くないというのであれば良いのですが、家はそこに住む人にとって最適化されている場所であるというのが大原則です。将来の家族構成を見据えた間取りであることは重要ですし、流行を追いかけすぎるデザインなども時間が経つと恥ずかしい要素になってしまうかも知れません。
お金をかけて注文住宅を建てて資産価値を下げてしまうようなことは贅沢を通り越して無謀とも言えるので、資産価値を将来にわたって維持できるという観点は持つようにしましょう。
(5)設計者の提案はイメージだけでなく根拠を求めよう
設計を担当する人にとって、注文住宅は腕の見せ所です。依頼者が「おぉー!」と声を上げるような設計やデザインを提案することを目指して仕事をしているわけですが、その提案を単に見た目だけで判断するのではなく、根拠を求めてください。
なぜそのデザインなのか?なぜその間取りなのか?優秀な設計者が生み出す秀逸な提案であれば、すべてにしっかりとした根拠があるはずです。その根拠が納得できるもの、「さすがだ」と思えるものであるかどうかは、とても重要です。
(6)電源コンセントやLANケーブルなどの配置をイメージしよう
注文住宅を建てた人にアンケートや調査を行った結果、よくある失敗例として目にすることが多いのが、電源コンセントやLANケーブルといったデジタル周りの失敗です。最近は無線LANが普及しているのでLANケーブルが住宅内で問題になることはあまりないと思いますが、電源コンセントは今のところ無線化できないので、これらの配置は重要です。
よく聞かれるのが、掃除機を使う際の電源コンセントが足りない、場所が不便といった不満なので、注文住宅の設計や提案を受ける際には電源コンセントの配置にも目を配ってみてください。
(7)基本的には女性の意見を積極採用しよう
一般的な家庭で、その家にいる時間が最も長く、家を最もよく使うのは女性です。注文住宅のプランを構築していく際に、この「最もよく使う人」の意見を無視してはいけません。それまでも家をよく利用している人なのですから、どうすればもっと良い家になるかという視点を持っていますし、要望もかなり具体的です。こうした意見を積極的に採り入れることで、完成した家が単に見栄えのいい家というだけでなく、「使える家」になります。
前述した注文住宅を選択するべき人の条件に「家庭円満に家の果たす役割は大きい」という項目を入れました。注文住宅には家庭円満という役割があることも、失敗しない家づくりに必要な視点なのです。
まとめ
注文住宅を検討している方を念頭に、「注文住宅とは何か」という基本からメリット、デメリット、さらに注文住宅で失敗しないためのポイントを解説してきました。すでにご存知だったことに加えて、「なるほど、そういう考え方も必要なのか」と思われた点もあったのではないでしょうか。
最後に述べたように、注文住宅を建てる究極の目的は家庭円満や家族の幸せです。その目的を達成するために、この記事の情報を役立てて素敵な家を手に入れていただけましたら幸いです。
参考:ゼロさいたまのHPでは埼玉県の新築一戸建て(建売・分譲住宅)