初めての家の売却で、不動産業者に仲介を依頼したものの、いざ売り出しをスタートしても、なかなか内覧に来ない、内覧に来ても成約には至らない、というケースもよくある話です。
不動産が動くのは春先が最も活発だと言われていますが、売却理由によってそれに合せることが難しい場合がほとんどです。
売り出したタイミングも一つの要因かもしれませんが、実はそれ以前にもっと気をつけなければならないことがあります。
そこで今回は、家がなかなか売れないと悩んでいる方のために、
- 家を売るのにかかる平均期間
- 売れる家と売れない家の違い
- 家が売れない3大原因とその対策
- 家が売れないからといって安易にやってはいけない行動
- 内覧されても家が売れない原因とその対策
- 家が売れない理由をリサーチする方法
などについてまとめました。なかなか家が売れない方のご参考になれば幸いです。
目次
1、家を売るのにかかる平均期間
家が売れないと悩んでいる方は、すでに家が売れるまでにかかる平均期間をすぎてる可能性もあります。そうなるとこの先より家を売るのが難しくなるかもしれません。
家を売ることが決まったら、できるだけ早く売ってしまいたいものですが、中古物件の場合、売り出し開始から成約に至るまで、平均でどのくらいの期間を見ておけばよいのでしょうか。
2020年に東京カンテイが発表した「中古マンションの売出・取引事例の価格乖離率」のデータの中から、中古マンションの売却期間の推移を見てみると、
- 首都圏:約3.78ヶ月
- 近畿圏:約3.4ヶ月
- 中部圏:約3.45ヶ月
と報告されていました。
このデータはマンションのみのものですが、一戸建ての場合も不動産業界では売却期間の平均は3ヶ月だと言われています。
※このデータでは、あくまでも売り出し開始から成約までの期間です。売り出しをスタートするまでに行う机上査定や訪問査定などの事前準備期間や、成約後の売主の新居への引越しなどの期間は含まれていません。
3ヶ月で売却できることもあれば半年かかることもありますし、仲介業者次第では1年近く家が売れない可能せもあるでしょう。
そのため本当に売却活動を開始してから完全に売却が完了まで目安としては、半年以上とみておくとよいです。
2、売れる家と売れない家の違い
それでは、なぜ売れる家と売れない家があるのでしょうか。
その違いについて見ていきましょう。
(1)人気のエリアにあるか
売りたい家が人気のエリアにあるかどうかは、大きな要因の一つです。家を買いたいと思うかどうかは、そのエリアに住みたいかという点とも大きく関係しています。
魅力的な物件だとしても、アクセスや治安が悪く、商業施設も十分でない地域であれば、それが家が売れない原因とも言えるでしょう。
(2)価格が相場に見合っているか
価格が相場よりも高ければ、人はものを購入することを再検討します。
不動産で言えば、ほぼ同じような条件の物件がいくつか売り出し中であれば少しでも価格が安い方を購入したいと考えるでしょう。
同じような条件の物件でも、他とは異なる付加価値があるのか、ない場合は価格を見直す必要があります。
(3)見やすく魅力的な広告か
家を売るためには広告などを用いて、家を売り出していることをアピールしなければいけません。
しかし、ただ家を売り出していることを知らせるのはなく、魅力的な物件であることも同時に伝えることが重要です。売り出し中の家の強みは、駅から近いことなのか、築年数が浅いことなのか、リフォーム済みなのかなど、物件によって異なります。
家が売れない原因は、このような魅力を上手く広告として伝えられていない可能性があります。再度広告を見直してましょう。
(4)内覧時の印象はどうか
内覧をするお客様がいるということは、少なからず上記の3要因を満たしている可能性が高いです。
内覧はされるけど契約には至らないケースが数回ある場合は、内覧時の印象を改善しましょう。具体的には、仲介業者の対応、家の綺麗さなどが該当します。
また、内覧時にはまだ居住中なこともマイナスに働くケースがありますが、これについては後述します。
3、家が売れない3大原因とその対策
家がなかなか売れないという売主さんは、以下のポイントを参考に現在の売却方針を見直してみてみましょう。また、これから売却を予定されている方も、売り出しが肝心ですので、ぜひ参考にしてみてください。
(1)売却価格が相場より高い
まず、家を売るためには、内覧に来てくれる人を増やさなければなりません。内覧に行くかを判断するポイントとしては、物件のスペックに比較して価格が「お得」だと判断される必要があります。
①家が売れない原因を売却価格と疑う
もし、スペックに対して相場とされる価格を上回る売却価格を設定してしまうと、インターネットなどに掲載されていても反応が薄い、実際に内覧に来る方が少なくなります。結果として、売れにくくなります。
このように売れない場合、原因が価格ではなく、
- 人気のエリアではないから
- 駅から少し離れているから
など物件そのものの魅力がないと思ってしまう売主の方も多いです。
人気エリアにはない物件は、確かに人気エリアと比較して問合せや内覧の件数が少ないかもしれませんが、予算の関係上であえて人気なエリアを外して家を探している方もいます。
つまり、立地が悪いから内覧者が来ないのではなく、売却価格が相場よりも高いとサイト閲覧者に判断されているのです。
②なぜ売り出しか価格を相場より高くしてしまうのか
相場より高く価格を設定してしまう理由の一つには「住宅ローンを完済したいがために高く設定してしまう、というものがあります。
つまり、家を売り出しする前に、査定をして、査定額や相場から大きく離れないように売り出し価格を決めるのがセオリーではあるものの、売主に住宅ローンの残債がある場合、住宅ローンが完済できるよう相場より高い売却価格に設定しまうのです。その結果、家がなかなか売れなくなってしまいます。
③<対策>売り出し価格の早急な見直しを!
住宅ローンが残っているのは、買主側には無関係です。従って、相場に見合った価格に売却価格を見直しましょう。また、ポータルサイトや販売チラシなどにも記載して、価格が下がったことをアピールしましょう。
なお、売却価格と住宅ローンの残債の金額に大きな差があり、その差額をご自身で払う余裕もない場合、急いで売却をする理由がない限り、もう少し住宅ローンの残債額を減らしてから売却するという手もあります。
(2)物件に魅力がない
駅から遠い、人気の学区ではない、スーパーやコンビニが近くにない、など物件の周辺環境に魅力がない場合や、築年数が古い、使いにくい間取りであるなど、物件そのものの魅力が少ない場合もなかなか売れません。
①家を選ぶ条件や印象は人それぞれ
確かに物件に魅力がなければ人気物件とはなりにくいです。
しかし、人によって家を選ぶ時の条件や印象の受け方は違います。家が駅から遠いと不便だと感じる人もいれば、駅から離れているが故に閑静な住宅地で良いと思われる人もいます。また、最寄りの小学校から遠くても、子どものいない家庭には全く気にしないでしょう。
②<対策>広告の打ち出し方に工夫を!
魅せ方次第でデメリットをメリットとして伝えることも可能です。例えば先ほどお伝えしたような駅から離れている物件を「閑静な住宅街」として売り出すなどです。
このように、デメリットをメリットに言い換えて広告を打ち出してくれるように担当者に相談したり、今の担当者の対応が不十分だと思われる場合、思い切って媒介契約更新時に、もっと熱意のある不動産業者に変えるのもいいでしょう。
なお、広告に最も活用される販売図面(マイソク)の内容も家の売却に大きく影響しますので、販売図面もきちんとチェックするようにしましょう。
チェックポイントなどについて詳しくは「不動産を高く売却するには販売図面(マイソク)が重要!必ずチェックすべき5つのポイントとは」を参考にしてみて下さい。
(3)不動産会社の売却活動が不十分である
売り出し価格は相場だし立地も良いのに、なかなか家が売れないとお悩みの方もいらっしゃるでしょう。そのような場合、いま一度、自分の家の売り出し情報が掲載さているか、インターネットで検索してみましょう。
一般的には家の売却は、
- 仲介を担当している仲介会社のホームページ
- SUUMOなどのポータルサイト
などのサイトに掲載しています。
①囲い込みを疑う
自分で検索しても物件情報が見つからない場合、業者が物件情報を出回らないよう「囲い込み」をしようとしている可能性があると考えられます。
普通の業者は、少しでも早く高く売れるよう積極的に営業活動をしてくれますが、中には、売主と買主の両方から仲介手数料がもらえるよう、物件情報を公開せずに、「囲い込み」をしている会社もあります。
このような場合、少しでも高く、少しでも早く売るというチャンスを逃してしまいます。
②<対策>なるべく早く業者を変更しよう!
「囲い込み」が起きるのは専任媒介契約の場合です。
専任媒介契約は3ヶ月ごとで更新されるので、本来であれば契約更新のタイミングで契約を切り替えるのが一番いいのですが、これを待っていると、売り時を逃してしまう可能性があると待てない方もいらっしゃるでしょう。その場合、途中解約しましょう。注意しておくべきことは、途中解約時には違約金は発生しませんが、チラシの印刷代やポスティング実施費用などの実費を請求される場合があること覚えておきましょう。
そもそも、実際に売却を始めてみないとその業者の実力を判断するのが難しいので、最初は一般媒介契約から売却を始め、販売図面のでき、売却中の対応方法など信頼できる業者だと判断ができたタイミングで専任媒介契約に切り替えるといいでしょう。
なお、一般媒介契約の活用方法について詳しくは「一般媒介契約 | 不動産を高く売却したい方が知っておくべき3つのこと」を参考にしてみて下さい。
4、家が売れないからといって安易にやってはいけない行動
「家が売れない原因がわかったから原因を改善しよう!」と考えるのはごく普通で当然なことです。
しかし、場合によってはその行動がマイナスに働くケースもあります。家が売れないからといって安易にやってはいけない行動を3つ紹介します。
(1)リフォームする
家が売れないからとリフォームを検討する方もいるのではないでしょうか?
しかし、安易にリフォームをしてはいけません。というのも、リフォームにはお金がかかりますし、リフォームにかかった料金全てを売却価格に上乗せするのは難しいからです。
さらに、築年数なども関わりますが、買主からすれば購入後に自分好みにリフォームしたいと考える方もいるでしょう。
リフォームをするかどうかで悩んでいる方は「中古不動産をリフォームして、より早く高く売却する方法」を合わせてご覧ください。
(2)家を壊して更地にする
これはマンションではなく一軒家に限られることではありますが、家が売れないために家を壊して更地にしようと考える方がいます。
更地にするのには費用がかかりますし、固定資産税の額も変わってきます。しかし、家を壊して更地にした方が良いケースもあるため、一概には言えません。
自分が売り出し中の家がどちらに該当するのか知りたい方や、家を壊さずに売るメリットデメリットについてさらに詳しく知りたい方は「【不動産鑑定士が教える】古家付きの土地を売るなら「更地orそのまま」どっち?」をご覧ください。
(3)空き家にする
現在も居住中で、内覧はされるけど契約まで至らないケースがある場合、空き家にしようかと考える方もいるでしょう。
しかし、空き家にするということは仮住まいへの引越し費用や家賃なども発生するため、経済的な負担が増えてしまいます。
さらに、居住中であれば内覧者は具体的な生活イメージをしやすいことや、家が痛みにくいなどのメリットもあります。
安易に空き家にすることは避けましょう。
空き家にしてもよい場合などもありますが、それについては後述しています。
5、内覧されても家が売れない原因とその対策
物件の内覧はあるのに、成約までいかず、なかなか家が売れないということもよく聞きます。
これにはどんな原因と対策があるのでしょうか。
(1)物件は魅力的だが売却価格が少しだけ高い
チラシやインターネットで掲載されている価格があまりにも相場より高い場合は、先ほどお伝えした通り内覧にも来ません。価格は少し高いけれど物件が非常に魅力的だから、内覧だけでもしておこうと思われる物件でも、割高な以上、なかなか成約には至りません。
<対策>値下げ交渉可!とアピールする
物件に魅力があるならば、安易に値下げするのはもったいないことです。売り出し価格はそのままにしておき、担当の営業マンに値下げ交渉可能と「だけ」伝えておくか、チラシ等に値下げ交渉可と記載しておきましょう。これが価格を下げすぎずに交渉の余地を残しておくベストな方法です。割高に見える、という問題点は、サイトや販売図面(マイソク)でより魅力的にみせるという方法で解決しましょう。
(2)居住中である
先ほど、安易に空き家にしてはいけないと述べました。
しかし、居住中の物件はいくら物件に魅力があっても、魅力が半減してしまうと言われています。
内覧者の中には、クローゼットやトイレ、寝室など、間取り図だけではわからない部分もたくさん見たいのに、売主さんが住んでいると遠慮して積極的に見られないという声もあります。
空き家とするのか、住み続けながら売却活動を行うのか、対策としては以下があげられるでしょう。
<対策>引越し先が決まっていれば早めに引っ越す!無理ならできるだけ片付ける!
内覧者は空室の方が遠慮なく見ることができます。
引越し先がすでに決まっているのであれば引っ越しても良いでしょう。決まってない場合は前述した費用の関係などから、無理に仮住まいを借りる必要はありません。
ただし居住中であるならば、できるだけお部屋が広く見えるように、家具や荷物を片付け、どの部屋を見られても大丈夫なようにしておきましょう。
(3)内覧時の心構えができていない
物件を見に来た方は、お客様です。自分達の家が少しでも良い条件で売れるように、お客様をもてなす準備ができていないと、なかなか売れません。
わざわざハウスクリーニングを業者に頼んだり、お茶菓子まで出したりする必要はありませんが、
- スリッパを出す
- リビングに荷物は出しっ放しにしない
- 部屋の電気をつけておく
- 玄関や水回りは綺麗に掃除しておく
- タバコのにおいを消すなどきちんと消臭しておく
など家の第一印象をよくするためのポイントをおさえておかないとなかなか売れません。
<対策>売却を決めたらタバコは節煙!奥様以外は外出しておくのがベター!
タバコのヤニは壁紙の黄ばみの原因になりますし、臭いが苦手な方はそれだけで印象が悪くなってしまうこともあります。家の売却を決めたら、できるだけベランダでタバコを吸ったり、壁紙を変えたりするように努めましょう。またお子さんやペットがいると、
- 住環境のこと
- 家の中の設備面の詳しい話
を購入希望者が聞きづらくなるので、内覧では奥さん一人だけ残り、子供達には外出しておいてもらうのがおすすめです。
6、家が売れない理由をリサーチする方法
ここまで、なかなか家が売れない場合の原因と対策について色々紹介しましたが、これらの原因と対策を一つずつ自分でチェックしていくのは、初めて家を売却するという方には難しいことです。
「物件が売れるか心配」で不安な売主さんの心に寄り添い、できるだけ早く、高く売れるように、いろいろな提案をしてくれる熱意と誠意のある営業マンを探すのが「売れる家」にする近道と言えます。
- これから家を売り出そうとしている方は、仲介業者をどのように選べば良いのかは非常に重要な問題になってきます。
- 現在、家を売り出し中の方でなかなか家が売れない方は、一度ほかの仲介業者に相談してみるのもありです。ただし、一般媒介契約なのか専任媒介契約なのかで、業者を変更できるタイミングが異なります。
いずれにおいても、仲介業者の選び方が一つ重要なことであることには変わりないでしょう。
これから仲介業者を選ぶ方、仲介業者を変更しようかと悩んでいる方は「不動産売却は仲介業者選びが重要!売却が成功する仲介業者の選び方」をご覧ください。
仲介業者の選び方や、変更の仕方などについて詳しく紹介しています。
まとめ
今回は、家が売れないとお悩みの売主さんや、これから家を売却予定の方向けに、知っておくと役立つ、家が売れない原因と対策についてまとめましたが、いかがでしたでしょうか。
家の売却を成功させるには、売却活動を開始した最初の3ヶ月が勝負です。買主に売れ残り物件だと思われてしまわないためにも、物件の閲覧数や内覧者数をチェックしてこまめに連絡をしてくれるような信頼できる営業マンを探しましょう。
また、早く売りたいからと必要以上に焦らないようにすることも大切です。今回の内容が家を売りたい方のご参考になれば幸いです。