• 資産運用
  • 2019/6/1

2000万?3000万?老後資金は結局いくらなら安心できるのか

そもそも、老後資金はいくら必要なのか?

現役世代のうちに老後資金を用意しておくべきということは分かっていても、いったいいくらあればいいのかが分からない。

「老後資金は3,000万円必要」というものや、「5,000万円」という説、さらには「1億円あっても足りない」という説まで、実にさまざまです。

これらの金額を見ていると、「結局いくらあっても安心できないのではないか」とウンザリしてしまうのではないでしょうか。

その金額をイメージした上で、十分な老後資金を用意するための方法を解説していきましょう。






1.老後資金は結局いくら必要なのか

一説には3,000万円、さらには5,000万円、1億円とさまざまな説が飛び交う老後資金。

結局のところいくら必要なのかという答えになかなか至っていない感がありますが、そもそもこうした金額が飛び交っている背景から考えてみましょう。

(1)老後資金は3,000万円必要という説は本当か

子供が巣立っていった夫婦2人の高齢者世帯で、1ヶ月の生活費は22~24万円程度だと言われています。

これが20年続くと5,500万円程度の金額になるのですが、公的年金の先行きに不安があるという指摘が多く、今後支給開始年齢が引き上げられたり支給額が減らされる可能性があるため、それを考慮した上で「何となく3,000万円?」という金額が常識のようになっているのです。

「老後」が20年続くとして、その生活費総額から公的年金を差し引いて、そこに不確定要素を加味すると老後資金として用意しておきたい金額は3,000万円になるというわけです。

(2)老後資金が足りないと、どうなる?

最近よく言われている言葉に、「老後破産」があります。

老後の資金計画がうまくいかず、年金などの収入ではまかないきれず、かといって用意していた老後資金も足りずパンクしてしまう状態です。

当初は借金で食いつなげるかも知れませんが、まとまった収入がなければそれも長続きせずに破産となります。

その先は生活保護などの公的援助に依存する可能性が高くなります。ゆとりのある老後、悠々自適という言葉とは程遠い生活になってしまうでしょう。

2.老後資金がいくら必要かを知るための基礎知識

老後資金がいくら必要なのかを試算するのに先立って、どんなお金のことを老後資金と呼ぶのか、人によって異なる老後資金のあり方について解説しましょう。

(1)老後とは何歳からを言うのか

公的年金を考慮に入れつつ、老後資金がいくら必要になるのかを計算するには以下の公式を使用します。

(毎月の生活費 - 公的年金) × 12ヶ月 × 老後の年数 = 用意しておくべき老後資金

老後の年数については議論が分かれるところですが、一般的に20年という数値が使われています。その根拠は平均寿命で、男性であれば80歳まで、女性であれば85歳までとなっています。

つまり、60歳もしくは65歳から老後が始まって、そこから20年後までです。

(2)サラリーマンと自営業者では事情が異なる

サラリーマンや公務員といった給与所得者と自営業者とでは老後資金に関する事情が異なります。

自営業者はもらえる公的年金も低く設定されています。

しかし定年退職という概念がなく、80歳をすぎても現役バリバリという人もたくさんいますし、公的年金が少なくても現役で働ける年数が長いというメリットがあるので、まさに一長一短です。

(3)夫婦2人か単身者かで老後資金は大きく変わる

老後を迎えた人が夫婦2人の世帯なのか、単身者なのかによっても年金額は変わってきます。

これは給与所得者であっても自営業者であっても同様です。夫婦2人世帯の場合は年金受給者が2人いるため、その分年金額は大きくなります。

夫婦どちらも給与所得者だった場合、2人合算した年金額は28万円台になりますが、逆に自営業者もしくは無職だった単身者が老後を迎えると年金額は5万円程度です。

(4)年金はどれくらいアテになるか

年金について色々と騒がれている昨今ですが、基本的に老後資金の一部として公的年金自体の破綻や存在そのものがなくなるとは考えにくいでしょう。

支給開始年齢が引き上げられたり、支給額が少なくなることは考えられますが、そうした措置を取るのは年金制度そのものを維持しようと考えているからです。

老後資金がいくら必要なのかという計算においても公的年金を考慮した上で、それで足りない分を自分で確保するのが良いでしょう。

3.老後資金がいくら必要かを属性別に試算

自分で用意する老後資金がいくら必要なのかを知るには、公的年金がどれだけ出るのかを知る必要があります。公的年金は前章の解説のように属性によって金額が異なるので、属性別に試算してみましょう。

(1)夫婦2人で夫がサラリーマンの世帯

夫婦2人で老後を迎えた世帯で、夫がサラリーマン、妻が専業主婦(パートも含む)というケースを想定してみました。

この夫婦が手にする月額の年金は、22万5,000円程度です。

夫が国民年金と厚生年金を受給し、妻が国民年金を受給するという想定です。妻が結婚前に会社勤めをしていた場合、その分は厚生年金が支給されるので妻の支給額は若干多くなります。

その場合であっても増額分は1万円台となるでしょう。

次に考慮するのは、夫の退職金です。定年まで勤めあげたとすると2,000万円程度の退職金が見込めるので、これも老後資金に充当します。

夫婦2人の生活費が30万円、公的年金が22万5,000円として、それが20年続きます。

(30万円 - 22万5,000円) × 12ヶ月 × 20年 = 1,800万円

夫の退職金が2,000万円あったとしたら、この夫婦は老後資金が黒字になりました。やはり給与所得者には厚生年金があるので制度面で老後資金を用意できる仕組みになっています。

(2)夫婦2人で夫が自営業者の世帯

次に、夫婦2人で夫が自営業者の場合を試算してみましょう。

夫が自営業者の場合、公的年金は国民年金だけなので、夫と妻は同じ金額の年金を受給します。

平成30年度の国民年金支給額は、満額で約6万4,000円です。夫婦2人なので、これが2人分です。

それでは計算してみましょう。ここでも老後の生活費は30万円とします。

(30万円 - 12万8,000円) × 12ヶ月 × 20年 = 4,128万円

やはり給与所得者と比べると公的年金額が低い分だけ備えておくべき老後資金額が大きくなりました。

自営業者世帯の場合は、会社の制度に頼ることなく自分で老後資金の手当てをしておく必要があるでしょう。

(3)単身者でサラリーマンの世帯

単身者でサラリーマンとして勤めていた方が老後を迎えると、国民年金と厚生年金の満額を1人分受給することになります。

厚生年金を加算した受給額の満額は約16万5,000円なので、それを毎月の生活費から差し引きます。

高齢の単身者に必要な毎月の生活費は、政府の「家計調査」によると、約16万円であるとされています。これを根拠に試算すると、以下のようになりました。

(16万円 - 16万5,000円) × 12ヶ月 × 20年 = -120万円

マイナス120万円、つまり年金受給額を加算すると20年間で120万円余るということです。

これはもちろん試算なのでこの通りになるとは限りませんが、サラリーマンとして定年まで働いた人には退職金もあると考えられるので、老後資金には比較的ゆとりがありそうです。

(4)単身者で自営業者の世帯

最後に、単身者で自営業者の人が老後を迎えた場合も試算してみましょう。前項と同じく、単身者の老後生活費は家計調査を根拠に月額16万円としました。そして、自営業者が受給できる国民年金は月額6万4,000円とします。

(16万円 - 6万4,000円) × 12ヶ月 × 20年 = 2,304万円

公的年金だけでは足りない老後資金が、約2,300万円という結果になりました。

自営業者の場合は定年退職がないので現役を続ける年数にもよりますが、やはり2,000万円クラスの備えをしておくべきだという結論になりました。

4.老後資金を今のうちに用意しておくために

4.老後資金を今のうちに用意しておくために
それでは老後資金の作り方を解説しましょう。

(1)積立運用で増やしながら貯めよう

今はまとまったお金がなくても、老後まで時間があれば心配することはありません。毎月一定の金額を積み立てていけば、老後を迎えるまでにまとまった金額になります。

もちろん積み立てていくだけなら、タンス預金と同じです。老後まで使う予定がないお金なのですから、現役世代の期間はしっかりと運用して増やしたいところです。

(2)iDeCoとつみたてNISAを活用

老後資金であることを前提にお金を積み立てていくのであれば、ぜひ活用したい税制の優遇制度があります。

ひとつは「つみたてNISA」で、もうひとつが「iDeCo」です。

積み立てで投資信託を購入していくと、この両制度を利用できます。

老後資金の準備は長期的な運用戦略で、運用益に対する税金は約20%になり、非課税になれば大きな差が出ます。

これらの優遇制度を活用してより多くの運用益を老後資金として残しましょう。

つみたてNISA

年間40万円までの投資信託積立が非課税になる

iDeCo

正式名称が個人型確定拠出年金というだけあって、年金としての利用が前提。60歳までの積立金が非課税対象になり、投資信託だけでなく定期預金や保険にも適用される。

 

(3)45歳から始めて毎月5万円積み立てると?

毎月の積立をしながらそのお金を運用すると、いったいいくらくらいの老後資金を作ることができるのか?その疑問にお答えするためにシミュレーションをしてみましょう。

45歳から毎月5万円を積み立てて、そのお金を年利4%で運用したとします。「老後」を60歳として、運用期間は15年間です。

こちらが、そのシミュレーション結果です。

 

出典:https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/saving/simulation/

しかし、ここで疑問をお感じの方もおられると思います。それは、このシミュレーション結果で登場した4%という運用利回りです。

定期預金の金利が1%をはるかに下回っている超低金利時代に、そんな利回りで運用できる投資商品などあるのでしょうか。

5.老後資金をより多く残すためにオススメの運用方法4選

それでは、年利4%での運用に現実味のある4つの運用方法をご紹介します。

(1)海外株ETF

株式市場の好調が続いていますが、これは日本だけの現象ではありません。アメリカをはじめとする海外株も好調が続いており、中には日本株をしのぐ勢いの株式市場もあります。そんな海外の株式市場で運用をするのが、海外株ETFです。

ETFとは上場されている投資信託のことで、平均株価や株価指数といった指標と連動するように運用されています(これをパッシブ運用といいます)。海外株ETFの魅力や投資の注意点、投資の始め方については「資産3倍増、4倍増も珍しくない海外株ETFの魅力とオススメ銘柄4」に全情報をまとめていますので、関心がある方はぜひそちらもお読みください。

(2)J-REIT

投資信託の中で運用対象が不動産に特化しているものを、REIT(リート)といいます。REITの中で証券取引所に上場されているものを、J-REITといいます。不動産投資は魅力的ですが初期投資が多額になりがちでローンを利用する必要もあるため、ハードルが高いと感じる方も多いと思います。

その点、J-REITであれば数万円単位で始めることができるので、少額から積み立てていきたい現役世代の方にも適しています。

J-REIT投資で知っておくべき知識や始め方については、「不動産投資信託(REIT)で始める、資金10万円以下からの本格的な資産形成」に詳しい解説がありますので、ぜひそちらも併せてお読みください。

(3)ソーシャルレンディング

前項のJ-REITは証券取引所に上場されていることもあって、誰でも簡単に購入できる不動産ファンドです。それに対して、特定の大口投資家にだけ販売されている私募ファンドと呼ばれる不動産ファンドがあります。最低投資額が億単位ということが普通なので積立投資で老後資金を作りたいという方には、そのままでは不向きです。

しかし、クラウドファンディングの仕組みを利用して個人投資家のお金を集め、それを大口化した投資商品があります。それを、「ソーシャルレンディング」といいます。

ソーシャルレンディングの魅力は何と言っても高い利回りです。大口投資家だけを相手にしているだけあって途中解約できないなどのデメリットはありますが、そもそも老後資金のための運用なので問題になりにくいと思います。

ソーシャルレンディングについては「不動産ファンド投資で定期預金の280倍のリターンを得る4つの行動」に詳しい解説がありますので、ぜひそちらをお読みになって高利回りの運用にお役立てください。

(4)現物不動産投資

収益物件を購入し、そこからの家賃収入を得ることで老後に備えるのが現物不動産投資の基本的な考え方です。不動産収入は物件に入居者がいる限り老後になっても続くので、老後資金だけでなく老後の収入源を確保することもできるのが魅力的です。

当メディア「不動産投資の教科書」としては多くの不動産投資情報を提供していますので、ぜひそちらの情報をお読みになって現物不動産投資という選択肢も検討してみてください。

【超初心者向け不動産投資の基礎知識】

・まずは老後資金の手当をするという意識を持つことから

老後資金のことを考えると頭が痛いという方は多いと思います。数千万円ものお金を用意しなければならないと言われているのに、その見通しが立っていない方にとっては頭痛のタネでしかありません。

始めるのが早ければ早いほど、老後資金を楽に多く残せるのが投資の世界です。今すぐできることから始めて、まずは「老後資金の手当てをしている」という安心感を得ると良いのではないでしょうか。

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