土地を売却するときは、登記や税金など様々な手続きが発生し、それぞれ専門的な知識が必要とされます。
手続きは専門知識を持つプロに依頼するのが一般的ですが、どの専門家にアドバイスを受けたらいいか分からなくて悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
土地売却全般についてはこちらの記事もご参照ください。
目次
1、基本的なケースは「不動産会社」へ相談を
土地など不動産を売却するときの相談先でまずイメージするのは「不動産会社」ではないでしょうか。
たしかに、不動産会社は土地や建物などを取引するプロであり、土地に関して、特に価格について多くのデータを持っています。
相談することで土地の価値や今後の活用プランを整理することができるでしょう。
ただし、不動産会社は土地の売買においてはプロではあるものの、税金や法律のプロではありません。
不動産会社が行うのは不動産売買契約そのものであって、税金や登記など、売買に付随する手続きなどの業務はそれぞれの分野の専門家に任せることになります。
基本的なケースであれば、不動産会社と提携している専門家に任せても不利なことはないでしょう。
しかし相続など特殊な事情がある土地であれば、内容によっては別途、事情を理解する弁護士や税理士などに相談しなければいけないケースもあります。
なお、不動産会社とは「宅地建物取引業者」として登録している会社です。
宅地建物取引業者かどうかの確認は、事務所に免許番号などが書かれた標識が掲示されているかで判断できます。また、国土交通省の「宅地建物取引業者検索」というサイトで確認することも可能です。
2、財産分与や遺産分割の相談は「弁護士」
土地売却の理由は人それぞれですが、離婚による財産分与や相続における遺産分割などが関係しているときは弁護士に相談するのが一般的です。
なぜなら、財産分与や相続はトラブルになるケースも多く、法律上の判断が求められることがあるからです。可能であれば離婚や相続などが発生した最初の段階から弁護士に入ってもらうと、比較的スムーズな話し合いができるでしょう。
トラブルが発生してから弁護士に入ってもらうこともできますが、解決までに余計な時間がかかる可能性は高くなります。
特に相続については相続放棄や限定承認は3ヶ月、相続税の申告は10ヶ月というタイムリミットがあるので、早めに相談するほうが安心です。
もともと懇意にしている弁護士がおらず、相談することに心理的な抵抗が強い人は、各都道府県の弁護士会が行っている法律相談会を利用するとよいでしょう。多くの場合無料で相談に乗ってくれるので、気軽に利用できます。
3、税金に関する相談は「税理士」
土地売却にあたっては多額のお金が動くことがあります。
なかでも気を付けなくてはいけないのが、土地を売却したことで発生する可能性のある譲渡所得税です。また、譲渡所得が発生することで翌年の所得税や住民税の納付額が増える恐れもあります。
ただし、土地の売買においてはさまざまな控除や特例などが用意されています。上手に使えばかなりの金額を節税することも可能ですが、控除や特例の利用には一定の要件があり、複雑な計算式が組まれているものも少なくありません。
税金に関する知識がおぼつかない素人が計算すると申告ミスをしてしまうばかりか、税務署に悪質だと判断されると追徴課税の対象になることも考えられます。
上記のようなリスクを避けるためにも、土地売却のときは税理士に相談することが重要です。税理士も弁護士と同様に、無料相談を各都道府県の税理士会が行っている場合があるので、最初はそれを利用してみるとよいでしょう。
4、借金返済に関する相談は「法テラス」
借金が関係して土地売却を検討しているなら、法テラスに相談するのも選択肢のひとつです。
法テラスとは、簡単にいうと「国が設立した民間の法的トラブルを解決するための総合案内所」です。法テラスに相談すると、相談内容に応じて司法書士や弁護士、消費者団体の関係機関が無料で相談に乗ってくれます。
借金に関する問題はさまざまな法律が関係してくるため、素人ではどこに相談するか迷うケースも多いでしょう。
法テラスでは、誰に相談するかは法テラス側が判断してくれるので、利用者が悩む必要はありません。法テラスが相談者の事情を聞いたうえで交通整理し、適切な専門家まで案内してくれるイメージです。
たとえば、借金返済のために土地を売却しなければいけないという事例であっても、本当にその必要があるかどうかを客観的に判断してくれます。相談料はもちろん無料なので、悩んでいる場合は積極的に相談してみましょう。
5、登記や権利関係の相談は「司法書士」
土地売却にあたっては所有権の移転登記が必要になります。
登記とは、その土地の持ち主が誰であるかを公にするための制度で、手続きや登記されている内容は法務局が管理しています。
不動産売買が行われた際、移転登記により所有者が書き換えられていないと、取引の当事者とはまったく関係ない悪意を持った第三者が所有権を後から主張しトラブルになる可能性があります。
そのため、土地に関する取引では登記上の所有者を変更する手続きは必須です。
登記の申請は司法書士が専門家となりますが、独占業務ではありません。
つまり、個人が手続きをすることも可能です。ただし、登記の書き換えはその土地の所有権に大きく影響することなので、万が一手続き上のミスや漏れがあっては大変です。
また、申請書類の作成にはそれなりの労力がかかることから、手間とコストを考えると司法書士に依頼したほうが無難だといえます。
6、境界の相談は「土地家屋調査士」
土地の売買においてトラブルになりやすいのが、隣地との境界線です。
区画整理が行われていて明確な線引きができていればいいのですが、実際に取引されるのはそうした土地ばかりではありません。
特に先祖代々相続してきたような土地は、お互いに境界線があいまいになっているケースが多く、トラブルが起こりがちです。
また、そのようなトラブルがない場合でも、土地と接する道路との境界線を確定しておかないと、仲介業者や買主が納得しないケースが多いでしょう。
上記のような問題を解決するために頼りになるのが、土地家屋調査士です。
土地家屋調査士は測量のプロであり、正確な測量図を作成してくれます。そのため、隣地との境界線の確定だけでなく、土地の一部だけ売却したいときなどに必要な「分筆」でも頼りになります。
7、農地の相談は「行政書士」
売却したい土地が農地の場合は「行政書士」が良いでしょう。
農地は農地法により、売却するときは都道府県に設置された農業委員会という行政機関の許可が必要です。
また、農地を宅地など農地以外に転用して売却する際には、そもそも転用できるかの確認と、農地転用の許可が必要になります。
行政機関の許可手続きであるため、行政書士が専門家として頼りにできるでしょう。
8、迷ったときの第一歩は「不動産会社」がおすすめ
(1)不動産会社は土地売却の「窓口」
土地売却において税金や登記など、専門的業務はそれぞれ対応する専門家に依頼するのが一般的です。
しかし、そもそも土地売却の交渉を進めないと、専門家に依頼することもできません。そのため、土地売却の第1歩として窓口となる不動産会社へ相談し、そこから各士業の専門家へ依頼するフローになります。
不動産会社へ支払う費用は、基本的に成功報酬制です。なので相談の段階でお金がかかることはほとんどありません。
売却したい土地がある場合は、気軽に相談してみましょう。なお、一口に土地売却といっても第三者の買主を見つけてもらう「仲介」と不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」の2種類があります。
買取と仲介の違いを下表にまとめました。
買取 | 仲介 | |
買主 | 不動産会社 | 個人または不動産会社 |
売却価格 | 相場の7割程度 | ほとんどが相場価格での売却になる |
売却にかかる費用 | かからない | 仲介手数料…売却価格の3%+6万円+消費税 |
売却にかかる期間 | 1週間~1ヵ月程度 | 3ヵ月~6ヵ月程度 |
メリット | ・手数料がかからない ・確実に買い取ってもらえる ・仲介よりも早く売却できる | 買取よりも高く売れる |
デメリット | 仲介よりも売却価格が安くなる | 買取よりも売却に時間がかかる |
仲介と買取にはそれぞれ一長一短があるので、不動産会社とよく相談しながら決めましょう。
(2)信頼できる不動産会社を
不動産会社は土地売却を行ううえで、相談および査定から契約・決済までの間、売主のパートナーになってくれる存在です。
一般的に土地売却にかかる期間は数ヶ月で、長いと1年以上かかります。長期間にわたってパートナーになるのに加えて、不動産売却は高額な取引になることからも信頼できる会社に任せることが重要です。
そのため、最初から1社だけに絞るのではなく、いくつかの不動産会社に相談してみて、そのなかから自分に合った会社を見つけることが大切になります。相談する際は不動産会社の雰囲気や担当との相性などを確認するとよいでしょう。
複数の不動産会社に相談するのは労力の面から大変かもしれませんが、満足する土地売却を実現するにあたってとても重要なポイントになります。
(3)不動産会社を選ぶなら査定サイトを活用しよう
一般的に売主は不動産に関する知識が十分ではないため、土地売却において成功するか否かはパートナーとなる不動産会社次第だといえます。
しかし、複数の不動産会社を直接訪問して自分に合っているかどうかを見極めるのは時間も手間もかかります。
日々の生活で忙しい人にとってはそのような労力をかける暇がないケースもあるでしょう。そのようなときは不動産価格の査定サイトを利用するのも選択肢のひとつです。
査定サイトでは複数の不動産会社の簡易的な査定による価格や対応などを見比べ、良さそうなところに売却活動を依頼することができます。メールや電話などでいくつもの不動産会社に連絡する必要はありません。
代表的な査定サイトをご紹介します。
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まとめ
土地の売却では、法律や税金などの専門的な知識が求められます。売主自らが手続きできる部分もありますが、専門家に任せることで手続きはスムーズに進むでしょう。
このように、売却の過程においてはたくさんの専門家が関わるものの、連絡窓口や関係各所のハブになるのは不動産会社です。
信頼できる不動産会社を探すことが土地売却の第一歩になりますので、不動産価格の査定サイトなどを活用し、自分に合った不動産会社を効率的に探してください。