資産を増やす手段の投資が注目されていますが、公務員が投資をしても問題はないのでしょうか?
公務員を目指している人、公務員になりたての人は、こんな疑問をお持ちではないですか。
リストラや倒産がなく、一生安泰と言われており、不況下では特に人気の高い公務員。
しかし、将来的な年金不足問題が叫ばれるなか、老後資金を準備しておく必要があることは、民間企業のサラリーマンや自営業の人たちと変わりません。
今回は、公務員の投資について、解説をしていきます。
- そもそも公務員は投資してもよいのか
- 公務員による投資のメリット・デメリットとは?
- 公務員による投資の注意点
- 公務員におすすめの投資
- 公務員におすすめできない投資おすすめの投資
資産運用について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
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目次
1、公務員でも投資はできるのか
公務員でも投資ができるのか、副業との違いなどについてみていきましょう。
(1)公務員は投資可能
結論から言いますと、公務員でも投資は可能です。
以下に該当する場合に制限がかかります。
- 労務を提供する上で支障になる
- 業務上の機密が漏えいする恐れがある
- 自社の利益が脅かされる可能性がある
- 自社の名誉が損なわれるもしくは信用を失う可能性がある
一方で、公務員が副業を禁止されているのは事実です。
(2)公務員は副業できない
副業の禁止とは具体的にどういうことなのか、国家公務員法の第103条と第104条、地方公務員法の第38条では、それぞれ以下の規定があります。
第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
第百四条 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。
以上の条文は、要約すると「公務員は営利企業に勤めたり、自営をしたりしてはならない。する場合には許可が必要」と、副業を禁止する内容になっています。
しかし、株やFX、事業的規模でない不動産投資などは資産運用であり、副業には含まれません。
公務員が投資するのは、何ら問題ないということになります。
副業と資産運用の違いについては、「副業と資産運用の違い」をご覧ください。
2、公務員が投資をするメリット
公務員が投資を行うことには、主に以下3つのメリットがあります。
- 収支計画が立てやすい
- 不動産投資ならローンに有利
- 年金への備えになる
以下でそれぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
(1)収支計画が立てやすい
公務員が投資をするメリットの1つは、収支計画が立てやすいことです。
サラリーマンと違って、公務員には、倒産やリストラによる失業の心配がありません。
公務員は、良くも悪くも年功序列の傾向にあります。
勤続年数が収入に大きく関係するので、何年後にどれくらいの収入が得られるかの予測が立てやすいという特徴があります。
主な資産運用の中で、収支計画を特に重要とするのが不動産投資です。
不動産投資の場合、収支の予測が立てられれば、どのタイミングで物件を購入するかの計画も立てやすくなるでしょう。
(2)不動産投資ならローンに有利
不動産投資は、他の投資と異なり、物件の購入にあたって、金融機関から融資を受けることが一般的です。
融資を受ける際に、公務員であることが有利となります。
融資の審査では、以下の点が判断材料となります。
- 年収
- 勤続年数
- 職業の安定性 など
公務員は収入が安定しているため、審査に通りやすく、金利も優遇してもらえる可能性が高いのです。
(3)老後への備えになる
公務員に限った話ではありませんが、投資をすることで、老後に備えることができます。
一部を除けば、公務員の収入は、大企業などと比べると低めに設定されています。
生活に必要なだけの給料はもらえても、年金不足問題や新型コロナウイルスによる不況などで、老後の生活資金をいかに確保するかは、重要な問題です。
老後の生活資金を確保するために、多くの人に選ばれる手法が投資です。
投資をすれば、現役のうちから資産を増やして、老後に備えられます。
しかし、投資をすれば、老後に備えられるだけの資産を必ず増やせるというわけではありません。
当然、メリットがあればデメリットやリスクがあります。すべてを理解したうえで、投資することが大切です。
(4)他の環境を知ることができる
公務員は、良くも悪くも「閉鎖された環境である」と言われがちです。
投資の種類によっては、人と交流する機会が得られたり、新たな知見が広げられたりする可能性があります。
単に資産を増やすという目的だけでなく、投資をして得られるものは多いでしょう。
3、公務員が投資をするデメリット
次に、公務員が投資をするデメリットについて、確認しましょう。
主に以下の2つがデメリットになります。
- 短期投資がしにくい
- 不動産投資に誘われやすい
(1)短期投資がしにくい
株式投資やFXなど、短期間で収入を得ることを狙うタイプの投資は、公務員には向きません。
短期投資で利益を出すためには、チャート画面を頻繁にチェックする必要があります。
しかし、職務中にチャート画面をチェックしていては、本業に支障をきたしてしまいます。
投資が認められているといっても、本業に支障をきたさないことが前提条件です。
以上のことから、短期投資は、公務員に不向きだといえるでしょう。
(2)不動産投資に誘われやすい
公務員は、収入が安定していることから、不動産会社から不動産投資を勧められることがあります。
自ら公務員であることをアプローチしたわけではないのに、直接勧誘してくる不動産会社や営業マンには注意しましょう。
なかには、収益性の低い物件であるにもかかわらず、自分の成績のために融資が審査に通りやすい公務員に営業をかける会社もあります。
ただし、勘違いしてはいけないのは、不動産投資を始めること自体がダメというわけではありません。
収益性の低い投資用不動産を買わされる可能性があるということに、注意しなければならないということです。
不動産投資を始める際は、よく情報を収集し、信用できる会社から物件を購入するようにしましょう。
4、公務員が投資をする際に注意すべきこと
公務員が投資を行うにあたって、注意したいのが以下の4点です。
- インサイダー取引の禁止
- 業務中に取引をしてはいけない
- 公務員でも投資をするなら確定申告が必要
- 所属先に知られてしまう可能性
本章では、それぞれの注意点について、説明していきます。
(1)インサイダー取引の禁止
投資では、公務員であることに関係なく、「インサイダー取引」はご法度です。
インサイダー取引とは、主に株式投資などにおいて、企業の内部情報を有する者が、その情報を利用して特定企業の株の売買を行い、利益を図ろうとする行為です。
インサイダー取引は、「金融商品取引法」によって禁止されており、発覚した場合は逮捕される可能性もあります。
インサイダー取引について、詳しく知りたい方は、「インサイダー取引とは?知っておくべき5つのことをご覧ください。
(2)業務中に取引をしてはいけない
先ほども説明したとおり、公務員の投資が認められるのは、本業に支障をきたさないことが条件です。
業務中の取引が発覚すれば、懲戒処分を受ける可能性もあるので、十分注意しましょう。
先述したとおり、短期的な取引が必要となるFXや、短期株式投資などは、公務員には向きません。長期的な投資方法を選ぶようにしましょう。
(3)公務員でも投資をするなら確定申告が必要
給与以外の所得が年間20万円を超える場合、公務員でも確定申告が必要です。
確定申告は、前年の所得について原則3月15日までに申告しなければなりません。
期限を過ぎると無申告加算税が課されてしまうので、忘れずに申告するようにしましょう。
(4)所属先に知られてしまう可能性
投資をしたいけど、所属先に知られたくないという方も多いのではないでしょうか。
投資で20万円以上の所得があると、なんらかの別の収入源があることがわかってしまいます。
投資で20万円以上の所得がある場合、確定申告をしなければなりません。
確定申告をすれば、その分住民税の額が高くなります。
住民税は所属先の経理担当によってチェックされるため、この時点で別の収入源があることがわかってしまうでしょう。
ただし、株式投資の場合は、確定申告が不要な「特定口座」を使うという方法もあります。
特定口座を使えば、証券会社から利益の20%が税金として徴収され、住民税も変動しないため、所属先に知られる心配はほとんどありません。
5、公務員におすすめの投資
投資には色々な種類があり、公務員に向いているものもあれば、不向きなものもあります。
公務員におすすめの投資は以下の3つです。
- 投資信託
- 不動産投資
- 不動産投資型クラウドファンディング
それぞれの投資について説明します。
他の投資についても知りたいという方は、「資産運用で100万円を安全に増やそう!おすすめの資産運用方法8選」も併せてご覧ください。
資産運用をするなら検討すべき投資の種類についてまとめています。
(1)投資信託
投資信託とは、運用の専門家が投資家たちから資金を集め、その資金をもとに株式や不動産などに分散投資するタイプの金融商品です。
「ファンド」とも呼ばれています。
ファンドで出た利益は、投資額に応じて、投資家たちに分配されます。
投資信託は、専門家が運用するため、投資の知識がなくても利益を狙える点がメリットです。
株式投資やFXと比べて、初心者には取り掛かりやすい投資です。
ただし、購入時手数料や運用管理費用などのコストがかかるほか、元本は保証されていない点がリスクともいえるでしょう。
投資信託について、より詳しい説明は、「投資信託で利益を上げるための6つの知識」にて記載しているので、合わせてご覧ください。
「インデックス投資とは?低リスク低コストで資産倍増!最強の投資法徹底解説」では、インデックス投資について解説しています。
安定的な運用を目指すのであれば、インデックスファンドは特におすすめしたいファンドです。ご興味があれば、ぜひあわせてご覧ください。
(2)不動産投資
不動産投資は、マンションやアパートなどを購入して賃貸し、家賃収入を得るタイプの投資です。
物件の管理はすべて管理会社に委託できるため、本業に支障をきたすことなく取り組めます。
ただし、公務員が不動産投資を行う際には「自営」にあたらないよう注意しなければなりません。
自営については「人事院規則14-8」で、以下のような定義があります。
独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行つている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
出典:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について(昭和31年8月23日職職―599)」
不動産投資では、以下のいずれかの条件を満たす場合自営にあたります。
- 賃貸物件が5棟、または10室以上
- 年間の家賃収入の合計額が500万円以上
以上に当てはまる場合、不動産投資をするには、申請と許可が必要です。
許可がおりるとも限らないので、上記の条件を超えないように注意しましょう。
不動産投資物件の選び方については、「投資物件の6種類を徹底解説!不動産投資における優良物件とは?」をご覧ください。
以下の記事も、不動産投資について解説していますので、あわせてお読みください。
「不動産投資は副業?本業ある方が始める前に知っておきたい6つのこと」
(2)不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資型クラウドファンディングは、事業者が個人投資家などから調達した資金で、不動産の購入・運用を行う仕組みです。
投資家は、自ら現物不動産を購入するのではなく「出資者」として事業者を支援し、配当(利回り2〜10%程度)を受け取ることができます。
専門家が購入・運用するため、不動産の知識がなくても利益を狙える点がメリットです。不動産投資のようにローンを利用することもないので、資産運用初心者でも取り掛かりやすい投資です。
元本が保証されていないのは他の投資と同じですが、損失が出た場合にまず事業者出資分から負担する「優先劣後方式」を導入することで投資家のリスクは抑えられています。
不動産投資型クラウドファンディングについて、より詳しい説明は、「不動産投資型クラウドファンディングのデメリットを詳しく解説!」にて記載しています。
たくさんある不動産投資型クラウドファンディグ事業者の選び方については、「徹底比較!不動産投資型クラウドファンディングサービス」で解説していますので、あわせてお読みください。
6、公務員におすすめできない投資
公務員におすすめできる投資がある一方で、公務員におすすめできない投資もあります。
おすすめできない投資は以下の2つです。
- 太陽光発電投資
- 株式投資(短期投資)
(1)太陽光発電投資
太陽光発電投資は、野立ての太陽光発電所を購入し、発電した電気を電力会社に買い取ってもらうタイプの投資です。
投資を行うには設備容量10kW以上の発電設備が必要ですが、人事院規則14-8において、太陽光発電投資は自営業にあたります。
太陽光電気(太陽光発電設備を用いて太陽光を変換して得られる電気をいう。以下同じ。)の販売 販売に係る太陽光発電設備の定格出力が10キロワット以上である場合
出典:上に同じ
投資をするには最初から申請と許可が必要となるため、おすすめできません。
(2)株式投資(短期投資)
株式投資の短期投資は、何度もチャートをチェックして売買する必要があります。
本業に支障をきたしやすいため、公務員には向きません。
株式投資をしたい場合は、株式を長期間保有する長期投資を検討するといいでしょう。
まとめ
公務員は副業が禁止されていますが、投資は可能です。
しかし、投資と副業の違いを理解しておかないと、実は副業だったなんてことにもなりかねません。
公務員は安定した収入を得られることから収支計画が立てやすく、公務員だからこそ向いている投資もあります。
儲けることだけに重きをおかず、失敗しない投資を目指しましょう。