「不動産投資で副業を考えています。」というお話をよく聞くようになりました。
先行きの不安を感じることが多いこの時代、収入の安定化や将来・老後への備えとして副業をお考えの方は多いと思います。副業である以上、本業に支障が出るような本格的なものではなく、あくまでもサイドビジネスとして取り組めるものが理想的です。
そんな時に多くの方が思い浮かぶのが、不動産投資ではないでしょうか。収益物件を用意して家賃収入を得るという形であれば本業に影響を及ぼすことなく、安定的な副収入が得られそうです。
今回は
- 副業としての不動産投資がおすすめである理由
- 具体的に不動産投資を始める方法
についてまとめました。
不動産投資のバイブル
- 不動産投資に興味があるけど何から始めていいか分からない…
- 営業マンのいうことを鵜呑みにして失敗したくない…
- しっかりと基礎から学び、できる限りリスクを避けたい…
- 今は不動産投資の始めどきなのか?
- 安定収益を得るための不動産投資物件の選び方
- 不動産投資の失敗例から学ぼう
1、不動産投資を副業で始めるための基礎知識
副業で不動産投資を始めてみたいと思った方が、まず知っておくべき基礎知識をまとめました。特に副業だからこそ成功しやすい理由やメリットについては知っておいていただきたい部分なので、しっかり押さえておいてください。
(1)不動産投資ブームの主役は副業投資家
いわゆる不動産投資ブームといわれる状況が続いています。それまで不動産投資といえばすでに不動産など資産を持っている人の専売特許という感じでしたが、ローンを活用して参入する方法が確立されたこともあって副業投資家が続々と参入しました。「サラリーマン大家」「週末大家」という言葉も、そんな時代背景を象徴しています。
既存の不動産などを持っていなくても不動産オーナーになれて、そこから家賃収入を副業レベルでも十分得ることができるのですから、それがブームとなるのは自然の流れでしょう。
参入のハードルが下がったのであれば自分も始めてみたいというのは、この記事をお読みの方にも当てはまる部分だと思います。副業だからこそうまくいくという副業のメリットもあるので、次項で詳しく解説します。
(2)副業だからこそ成功する理由と不動産投資を副業にするメリット
副業不動産投資家が増えていることにはもうひとつ、副業だからこそ成功しやすいというメリットも関係しています。副業で不動産投資を始めることによるメリットと、それゆえに成功しやすい理由は以下の通りです。
①安定した所得があるためローン審査に有利
副業として不動産投資を始める人の多くは、物件購入費用の大半をローンで調達することになると思います。ローンには審査がありますが、本業で安定した収入がある人はローンの審査に通りやすく、また低金利のローンを利用しやすい属性にあるため、資金調達という最も重要な部分で決定的な強みがあります。
②レバレッジ効果を最大化して資産形成ができる
ローンを利用して物件を購入するということは他人のお金を活用して資産を持ち、そこからの収入を得ることです。ローン返済中は全部が投資家のものではありませんが、家賃収入は丸々全額が投資家のものになります。これはレバレッジ効果と呼ばれており、てこの原理から生まれた言葉です。てこのように小さな力で大きな力を生み出すという構図になぞらえています。
ローン審査に有利な人たちは、このレバレッジ効果を最大化できる人たちです。ローンという他人のお金を活用しながら所有物件を増やしていけば、全く既存の資産がなかった人であっても資産家並みの不動産オーナーになることができます。
③副業なのでハイリスクの投資をしなくても済む
あくまでも副業であり、生活のために不動産投資による収入を当てにしなくても良いため、高いリターンを見込むことなく余裕を持った投資スタンスをとることができます。専業投資家であれば不動産投資で生計を立てなければならず、どうしてもすぐに利益が上がること、より高い利益が上がることを前提にしなければならないため、自ずとリスクも高くなります。
本業収入に加算する形での利益を狙うのが副業の本質なので、副業投資家の方が安全性は高くなります。
④本業に専念しやすい
アパートやマンションのオーナーになると、家賃回収、入退去や更新の手続き、物件管理などの業務が発生します。エアコンや給湯器など住宅設備が故障したら迅速な工事手配が必要ですし、家賃の滞納があれば何度も催促しなくてはなりません。入居者のマナーが悪い場合には近隣からクレームが寄せられることもあります。賃貸管理は素人には難しいのではないでしょうか。
しかし、これらの業務は不動産管理会社に委託することができます。家賃回収からトラブル対応まで、すべて代行してもらえるので、オーナーはほとんどすることがありません。日常生活に支障がなく、本業に専念できます。
また、本業のスキルが活かせるのも不動産投資を副業にするメリットです。例えば、物件を選ぶときには人気のエリアや物件情報をリサーチするマーケティングスキルが、価格交渉には営業スキルが役に立ちます。
財務経理担当なら税金やキャッシュフローの計算は得意分野ですし、確定申告もスムーズに済ませることができるでしょう。反対に、不動産投資を通して得た知識や経験を本業に上手く活かせば、キャリアアップも夢ではありません。
⑤長期的に収入を得られる
不動産投資は株やFXのように短期間で儲けたり損したりすることがありません。物件を維持している間は、空室にならない限り安定した家賃収入が得られます。万一、本業での給与が下がった場合にも、副業の不動産収入があれば生活費の助けになるでしょう。
長期的な収入が期待できることから、定年退職後の私的年金として、若いうちに不動産投資を始める会社員は少なくありません。ローンを組む場合には団体信用生命保険に加入するため、生命保険の代わりにもなります。
購入した物件は自身の資産であるため、売却して現金にすることも可能です。一般的に建物は築年数が経つにつれて資産価値が下がるものですが、物件近くに駅ができたり大規模な施設ができたりして利便性が高くなると、比較的高い値段がつく可能性もあります。
(3)副業不動産投資の基本スタイル
専業ではなく副業で不動産投資を行う場合、あくまでも副業なので不動産投資に要する手間を極力少なくする必要があります。最初と最後、つまり物件の購入と売却だけは投資家が自ら判断を行い行動もしますが、それ以外の賃貸経営は管理会社に任せるのが一般的な形です。
実はこの形でないと副業とは認められず、「本業以外に事業を行っている」と見なされる場合があります。公務員の兼業禁止規定についてもここがひとつの境界線になっているため、本業への影響を抑える意味だけでなく兼業禁止に抵触しないという意味においても物件の管理は管理会社に任せるのが常道です。
(4)不動産投資初心者におすすめの始め方
これから不動産投資を副業で始めたいという方にとって、最も価格的に手ごろなのは区分ワンルームマンションです。区分物件とは一棟物件の反対語で、建物丸ごと一棟ではなくその中にある部屋単位で購入し、賃貸経営をする物件のことです。
ワンルーム物件を1部屋購入し、そこに入居した人からの家賃収入を得るのが不動産投資を始める最小単位ということになります。リスクを抑えるという意味でも、まずはワンルーム物件1室から始めてみてはどうでしょうか。
1室であっても不動産投資には変わりはなく、そこから色々な経験や気づきが得られるので、今後の投資拡大に向けてのノウハウにもなります。
2、気になる副業禁止規定と不動産投資の関係
本業に収入を上乗せするために始める副業が、本業に悪影響を及ぼすことがあっては本末転倒です。そこで気になる副業禁止の規定との関係や注意点を解説します。
(1)サラリーマンの不動産投資は就業規則の確認を
公務員の場合は明確に法令による規定があるので分かりやすいのですが、民間企業の場合はどうでしょうか。この判断は、勤務先の就業規則がどうなっているかが重要です。
副業禁止の規定がある場合、形式上は不動産投資も副業に当たるため抵触する可能性がありますが、本業に支障がない範囲であれば実質的に問題なしとするケースが大半です。そのため不動産投資の事実を自ら進んで勤務先に伝える必要はありませんし、仮に咎められたとしても上記の理由で反論することも可能です。
最近では会社レベルに留まらず国も副業を容認する方向に進んでいるので、不動産投資を問題なしとする風潮はさらに強まっていくと思われます。
(2)勤務先に見つからずに不動産投資はできるか
副業の禁止規定が特になく規則上の問題がないとしても、勤務先に不動産投資の事実を知られたくないという人もいます。勤務先に見つかることなく不動産投資をすることは可能ですが、そのためには少し工夫が必要です。
本業に支障がない範囲であれば、自分から周りに申告しない限り見つかることはないのですが、問題は税金面です。
副業による収入があると本業の収入に加算されるので所得税が高くなって見つかるのではないかと思われるかも知れませんが、これは不動産収入の分だけ確定申告をすれば見つかる原因にはなりません。しかし、住民税となると事情が異なります。というのも、住民税はすべての所得を合計した金額によって算出されるため、勤め先の給料と大きくかけ離れた住民税額になると見つかる可能性が高くなります。
この対策として、住民税を勤め先の天引き(特別徴収)ではなく、自分で納付する普通徴収に切り替える方法が有効です。
3、副業で不動産投資を始めて家賃収入を得るまでの5ステップ
実際に不動産投資の副業を始めたいと思った方が、副収入を得るまでの最短5ステップを時系列で解説します。
(1)資金計画、自己資金の準備
不動産は高額商品だけに、投資に当たっての資金計画はとても重要です。自己資金をいくら用意できるのか、そこからどれくらいの価格帯の物件なら買えるのか、無理なくローンを返済していけるのか。
自己資金が20%、ローンが80%というのが大まかな目安となっているので、例えば3,000万円の物件を購入するのであれば自己資金は600万円ということになります。
不動産投資ブームの影響もあって「自己資金ゼロからOK」という宣伝文句を見ることがありますが、融資を受けることはできても返済の段階で負担が大きくなるので、あまりオススメはできません。
(2)物件探し、不動産会社探し
不動産投資の成否は物件選びとパートナー選びが成否を分けるといって良いでしょう。不動産は立地条件による優劣がとても大きくなる投資商品なので、立地条件をしっかりと精査した上で、家賃相場が下落することのない条件の物件を絞り込みます。家賃相場が下落することがないということは、立地的な物件の価値もが下がらないということです。売却という出口戦略のことも考えて、物件選びをしてください。
それと同時に、物件を購入するには不動産会社を利用することになるので、不動産投資に強い会社、優良物件の提案力に優れている会社を選ぶ必要があります。
それぞれのポイントは以下の記事で詳しく解説していますので、そちらをお読みください。
①物件探しのポイント
②不動産会社探しのポイント
(3)物件の購入
不動産会社からの提案や自分で探した結果も踏まえて、物件の購入手続きをします。ローンを利用する場合、ローンの審査にパスして購入代金の決済が完了し、登記が完了した時点でその物件は購入者のものとなります。
(4)管理会社探し
副業で不動産投資をする場合に欠かせないのが、管理会社です。家賃の回収や入居者とのやり取りなど賃貸経営に必要なことをほぼすべて任せることができるので、不動産オーナーの強い味方です。
管理会社選びも不動産投資の成否に大きく関わるため、安心して任せられる業者を探したいものです。
「不動産投資の教科書」としても管理会社選びをとても重視しており、賃貸経営を成功させるためにこだわるべきだと考えています。以下の記事で管理会社選びのポイントを詳しく解説していますので、ぜひお読みください
(5)家賃収入の管理
管理会社を通じて家賃の回収を行う場合(おそらく副業の場合はほとんどこの形になります)、家賃は管理会社から振り込まれます。ご自身で家賃の回収を行う場合は入念にチェックをして延滞や未払いへの対応も必要になりますが、管理会社を利用している場合はその作業も任せることができるので、オーナーの仕事は毎月の入金をチェックする程度で良いでしょう。
4、副業で不動産投資を失敗しないために
不動産投資は実質的な業務を管理会社に委託できるため、手間がかからないという点で理想的な副業です。とはいえ、安易な気持ちでは失敗し、後悔することになるでしょう。不動産投資を成功させるために心掛けたい6つのポイントについて説明します。
(1)投資する目的を明確にする
不動産投資を始める目的は人それぞれです。「お小遣い程度の収入があればいい」と考える人もいれば、「がっつり稼ぎたい」と考える人もいます。老後の生活費や相続税の節約を目的にする人もいるでしょう。
目的によって、投資すべき物件のタイプが異なります。安定した収入が目的であれば、入居希望が多い人気のエリアや入居率が安定している物件を選ぶ必要がありますし、売却益を目的にするなら、将来値上がりしそうな物件を見極める分析力が必要です。
目的が明確になることで実際にどう行動すべきかが変わってきます。ローンの返済計画にも影響しますので、しっかりと考えるようにしましょう。
(2)投資について積極的に学ぶ
不動産投資は初心者向けともいわれますが、まったく知識がなくても大丈夫というわけではありません。不動産は簡単に手放すことができないため、慎重に選ぶ必要があります。購入時にも、より良い条件で融資が受けられる金融機関や信頼できる管理会社など、自分で調べて選ぶことが大切です。
不動産投資のことをよく知らないという場合は、まず知識を蓄えましょう。不動産投資に関する本や新聞、ウェブサイトなど、学ぶ方法はいろいろあります。不動産投資会社が主催するセミナーに参加するのもひとつの方法です。
セミナーに参加すると、その場で物件購入を勧められることがありますが、即決は避けましょう。残念なことに売りたいがためにデメリットを隠すケースもあります。物件の購入は、情報が正しいかどうかを判断できるくらいの知識を蓄えてからでも遅くありません。
(3)不動産投資は物件選びが成功を左右する
不動産投資でもっとも避けたいのが長期間の空室です。安定した家賃収入が得られるのは、常に入居者がいる物件であることを忘れてはいけません。投資用物件情報を見ていると、つい利回りの良さに注目しがちですが、入居者がつかない物件では家賃収入はゼロです。
物件選びに失敗したと気づいても、買い替えは簡単にできません。不動産投資について本やウェブサイトで学び、物件を数多く内覧して、より良い物件を選択できる目を養いましょう。
(4)不動産会社選びは慎重に
不動産投資会社および管理会社は、不動産投資を行ううえでの大切なパートナーです。物件のメリットとデメリットの両方を伝えてくれる誠実な不動産投資会社、物件を任せるにあたり信頼できる管理会社を選ぶようにしましょう。
不動産投資を副業にして本業に専念するには、きちんとした対応をしてくれる管理会社が欠かせません。長い付き合いになるため、慎重に選ぶことが大切です。
(5)キャッシュフローのシミュレーションを綿密にする
株やFXなどと異なり、不動産は長期間じっくりと行う投資です。その間には、建物や住宅設備のメンテナンス、リフォームなどの費用がかかることは予定しておかなくてはなりません。入居者がつかずに家賃収入が途絶えるなど、なにかしらのトラブルが発生する可能性もあります。
実際にマイナスになったときに慌てないために、あらかじめ現金の流れをつかむキャッシュフロー計算書を作成し、収支のシミュレーションを行いましょう。シュミレーション するべきことは、家賃収入からローンの返済額、管理費、修繕積立金などの経費を引いた額が毎月の利益です。
年間では固定資産税および都市計画税の支払いが発生します。さらに住宅設備の交換時期をふまえて工事費の概算も盛り込み、長期的な収支を把握する必要があります。シミュレーションからは、購入時にかかった費用が回収できるのは何年後かを知ることもできるため、出口戦略を練るのにも役立ちます。
(6)あらゆるリスク対策をする
投資にリスクは付きものです。しかし、不動産投資では、ある程度予測して対策を講じることができます。例えば、家賃滞納などの入居者トラブルは、賃貸管理のプロである管理会社に解決してもらうのが一番です。そのほかに考えられるリスクと対策について説明します。
①空室対策
不動産投資を行ううえで、もっとも避けたいのが空室リスクです。このリスクを避けるには、次の2点に注意しましょう。 ●賃貸需要の高いエリアで条件の良い物件を選ぶ ●入居者募集に強い管理会社を選ぶ
②災害対策
台風や地震などの自然災害は避けようがありません。また、火災のリスクもあります。建物が住居として使用できないほどの被害を受けてしまうと、家賃収入は見込めません。ローンを組んでいれば返済だけが残ることになります。災害による被害を補償してくれる火災保険や地震保険に加入しておきましょう。
③事故物件対策
室内で入居者が亡くなったり事件があったりした物件は、事故物件と呼ばれます。故人に身寄りがなければ、遺品整理や室内の原状回復はオーナーが負担しなくてはなりません。次の入居者がつきにくくなり家賃収入が途絶えるだけでなく、入居者を募集ために家賃を大幅に下げる必要もあります。
物件を保有する以上、事故物件となる可能性はゼロではありません。増えつつある孤独死や自殺に対応するために、原状回復にかかる費用や空室期間の家賃などを補償してくれる保険商品が登場しています。リスク対策として検討してはいかがでしょう。
④金利上昇対策
変動金利型のローンを組む場合には、将来的に金利が上がり、返済総額が増えてしまう可能性があります。これを避けるには、次の対策を検討してください。
- 頭金を多めに用意し、借入れを少なくする
- まめに繰上げ返済を行う
まとめ
副業としての不動産投資をお考えの方にとって、ここまで解説してきた内容は、おおむね「期待していた通り」「想像していた通り」だったのではないでしょうか。兼業や副業を禁止する規定との兼ね合いについても実質的に問題がないことが分かれば、後は行動あるのみです。
投資に使える資金の金額から、どれくらいの物件が買えるかという簡単なシミュレーションから始めて、具体的な不動産投資家像を描いてみてください。