土地はあっても土地活用をするだけの十分な資金がない。ならば資金なしで始められる土地活用で何か良いものはないか?
そこで不動産投資家のためのメディア「不動産投資の教科書」は、資金なしで始められる土地活用法を4つピックアップしました。
どれも土地さえあれば始められるため、資金なしであっても十分現実味があります。
何らかの土地活用をするのは収入だけが目的ではなく、土地の資産価値保全や所有者としてのリスク回避でもあるのです。
手軽に始められるものから順に解説していきますので、ご自身の事情や要望にあったものを見つけてください。
この記事をお読みの方で「【最新2023年】土地活用ランキング!メリット・デメリットを比較」について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
目次
1、4つの資金なし土地活用
「不動産投資の教科書」がこの記事でご紹介する資金なし土地活用法は、4つです。
今すぐ駐車場オーナーになれるアプリから、便利なスキームを利用した土地活用法、アパートやマンション経営を始める方法も含めて、手軽な順から4つご紹介します。
5つ目には番外編として、資金を自分で調達することによるアパート経営参入の現実味についても捕捉します。
(1)資金なしで駐車場経営「akippa」
駐車スペースを持っている人と使いたい人をマッチングする「akippa」というサービスがあります。この「akippa」を使えばお持ちの土地が駐車場として活用され、その使用料を得ることができます。
本当に簡単なので、今すぐ何か始めたいという方にはピッタリです。
「akippa」を使った資金なし土地活用の方法については、「2、資金なしで今すぐ始められる駐車場経営「akippa」」で詳しく解説します。
(2)定期借地で地代収入を得る
所有している土地を利用したいという人に貸すと、地代を得ることができます。
しかし従来の借地システムだと「貸したら一生戻ってこない」と言われるほど借主に有利だったので土地を貸すことに抵抗を感じる方は多かったのですが、定期借地であれば一定期間で契約が満了すると土地が戻ってくるので、所有者にとって安心感が大きい土地活用法です。
定期借地については、「4、定期借地なら土地を守りながら地代収入が得られる」で詳しく解説します。
(3)土地信託でプロに土地活用を任せる
信託銀行に土地活用を委託して、プロに運用をしてもらった上で発生した運用益を得るのが土地信託です。
自分で土地を運用するとなると資金が必要になりますが、資金の調達と運用をプロに任せることができるため、資金なしでも本格的な土地活用をすることができます。
土地信託については「5、資金なしで本格的な土地活用ができる土地信託」で詳しく解説します。
(4)等価交換方式で土地と資金を出資し合う
土地はあるものの資金がないという場合、土地の所有者は土地を出資し、もう一方の事業パートナーがお金を出します。双方から必要なものを出し合って共同で土地活用をするのが、等価交換方式です。
資金はなくても土地があれば取り組むことができるため、こちらもやはり資金なしの土地活用法です。等価交換方式については、「6、資金の代わりに土地を出資する等価交換方式」で詳しく解説します。
(5)番外編:資金なしでアパート経営は始められるか
最後にご紹介するのは、土地活用の定番ともいえるアパート経営です。しかしアパート経営を始めるとなると土地の上にアパートを建てる必要があり、資金なしでは不可能です。
では、どうするか?その現実味や最新事情について「7、アパート経営を資金なしで始める現実味と方法」で解説します。
2、資金なしで始められる駐車場経営「akippa」あきっぱ
資金なしで始められる最も手軽な土地活用として、最初に「akippa」を使って駐車場経営を始める方法を解説します。
(1)「akippa」(あきっぱ)とは?
「akippa」とは、駐車場を使いたい人と駐車スペースを貸したい人をつなぐマッチングサービスです。
最近では空き家や空き部屋を宿泊施設として貸し出す「Airbnb」や、自家用車でタクシーのように送迎をする「Uber」といったシェアリングエコノミーが大きな広がりを見せています。
この「akippa」もシェアリングエコノミーの一種で、「クルマを停められるスペース」さえあればすぐに駐車場経営を始めることができるユニークなサービスです。
(2)土地活用のメリット
- 登録するだけで、いつでもすぐに始められる。
- 代金回収を代行してくれる。
- サポートデスクに相談できる。
(3)土地活用のデメリット
- 駐車場料金の半分を「akippa」に支払うため、収益性は低い。
- 駐車場のニーズをにより収入にばらつきがあり、手軽に始められても場所の選択は必要になる。
(4)「akippa」あきっぱによる土地活用の始め方
「akippa」での土地活用を始める方法は、実に簡単です。以下のページで駐車場登録をして、後は利用者からの予約を待つだけです。
3、定期借地なら資金なしでも土地を守って収入あり
土地を貸して地代を得るのは資金なしで取り組める土地活用の代表格です。しかし、ひとたび土地を貸してしまうと戻ってこないと言われており、転用性や流動性の懸念がつきまといます。
そこで有効なのが、期限付きで土地を貸すことができる定期借地です。
(1)定期借地とは?
定期借地とは、あらかじめ決められた期間において土地を貸し、地代を得る仕組みのことです。期限を定めない借地は従来からありますが、それだど「一生戻ってこない」という土地所有者側の懸念が大きく、土地活用の妨げになっているということで新たに設けられた借地制度です。
(2)3種類ある定期借地
定期借地には、3つの種類があります。それぞれの種類には用途や期間、期間満了後の土地の扱いに違いがあります。
①一般定期借地権
一般定期借地権は、居住用不動産に適用される定期借地権です。居住用なのですぐに退去を求められることがないよう、契約期間は50年以上です。契約期間満了後は、更地となって所有者に戻ります。
②事業用定期借地権
事業用の場合は契約期間が短くなり、10年以上50年以下となります。事業用だということで契約期間を短くできる定期借地権なので、もちろん住居に使用することはできません。
こちらも満了後は更地となって所有者に戻ります。
③建物譲渡特約付借地権
先ほどの一般定期借地権と事業用定期借地権はいずれも更地となって所有者に戻りますが、この建物譲渡特約付借地権は文字通り、その土地に建っている建物を土地所有者が買い取ることで、土地と建物が一緒に土地所有者に戻ります。
契約期間は30年以上で、土地の使途に制限はありません。
(3)定期借地のメリット
- 借地なので安定した地代が入る
- 契約時に地価の2割程度という大金が保証金として入る
- 期限付きの借地なので期間満了で土地が戻ってくる
- 土地の管理を借主に任せられる
そして何よりも、これらのメリットをすべて資金なしで得られることが最大の魅力です。
(4)定期借地のデメリット
- 契約期間中は自己利用、売却が不可能
- 借主が大きな利益を稼いだとしても土地所有者に入るのは地代だけ
1つ目のデメリットについては借地なので仕方ないと思えることですが、2つ目については「資金さえあれば自分で大儲けできたのに」と思うことがあるかも知れません。
4、資金なしの土地活用をプロに相談する
(1)HOME4U 土地活用 (ホームフォーユー)~NTTデータスマートソーシング~
(2)town life タウンライフ
土地活用部門堂々の3冠達成!!アパート経営のプラン一括請求サイト【town life 土地活用】
このようなサイトを活用すると一度に複数社からプランをもらうことができるので、比較が楽にできます。
アパートプランも多数紹介いただけるので、自分の予算にあった不動産投資が可能です。
(3)大和ハウス工業
(4)大東建託 土地活用
(5)生和コーポレーション 土地活用
5、資金なしで本格的な土地活用ができる土地信託
所有している土地に対して資金とノウハウの提供を受け、プロに運用を任せることができる仕組みを土地信託といいます。こちらも資金なしで始められる土地活用の本命です。
(1)土地信託とは?
土地を信頼して託すという意味の土地信託は、土地活用のプロに運用を任せてそこから得られた収益を得る仕組みのことです。運用に必要な経費を負担することなく土地活用を始められるため、資金なしでもOKです。
(2)土地信託のメリット
土地信託のメリットを挙げてみると、以下のようになります。
- プロの土地活用なので成功率が高く利回りも高くなりやすい
- 運用益は現金収入になる
- 資金なしでも本格的な土地活用ができる
- 信託受益権を資産として保有できる
3つ目までは何となく想像できることだと思いますが、4つ目に見慣れない言葉がでてきました。
信託受益権とは、土地信託によって得られた収益を受け取る権利のことです。
この権利は資産として保有できて、売買することもできます。土地は信託によって運用されているので流動性がありませんが、信託受益権という形で流動性の高い資産が得られることになります。
(3)土地信託のデメリット
土地信託のデメリットについても、見てみましょう。
- 損失の責任は土地所有者に帰する
- 成否の結果もプロに委ねるしかない
- 勝手に他の土地活用法に転用できない
1つ目のデメリットが、おそらく土地信託の最大のデメリットでしょう。
プロに任せて土地活用をしたものの、失敗した場合は土地所有者の責任になります。
ローンが残っていれば土地所有者が支払わなければなりませんし、自分でやって失敗するのと違って納得がいかない部分があると思います。
あくまでも土地信託は運用を委託するものであり、事業主体は土地所有者であることで、このようなリスクが生じるのです。
(4)土地信託による資金なし土地活用の始め方
土地信託による土地活用は、信託銀行に委託をするのが一般的です。大手メガバンクグループには信託銀行があるので、こうした銀行の窓口に相談をするのが最も確実です。
(1)三井住友信託銀行
(2)みずほ信託銀行
この他にも信託銀行はたくさんあるので、取引先の銀行経由など相談しやすい窓口を選んでください。
6、資金の代わりに土地を出資する等価交換方式
資金なしであっても土地はあるという場合、その土地の一部を資金の代わりに差し出すことで土地活用ができる方法があります。
それを等価交換方式といいます。
(1)等価交換方式とは?
資金はなくても土地はあるという場合、土地所有者は現金の代わりに土地の一部を出資して、現金を不動産会社などが出資して共同事業を行う形を、等価交換方式といいます。
この記事は「土地はあるけれど資金がない」というケースを想定していますので、その状況にはもっともピッタリの土地活用と言えるかも知れません。
(2)等価交換方式なら資金なしで本格的な不動産経営ができる
世の中、先立つものは何とやらです。
土地活用においても資金がなければ本格的なことはできないと思いがちですが、等価交換方式であれば新築アパート、新築マンション経営も可能なので、利用価値の高い土地であれば大きな収入につなげることもできます。
(3)等価交換方式のメリット
等価交換方式はとてもメリットの多い土地活用法です。それでは以下にそのメリットを挙げてみましょう。
- 資金なしでも本格的な土地活用を始められる
- パートナーの不動産会社も共同事業者なので運用に本腰を入れる
- 不動産会社の資金調達力やノウハウがあるため成功しやすい
- アパート、マンションなど賃貸経営をする場合は相続税対策になる
- 等価交換でマンションを建てたらその一室に住むこともできる
- 土地だけの資産であるのと比べて建物も手に入るため遺産を分割しやすくなる
このように等価交換方式はとてもメリットが大きく、資金なしで土地活用をしたいという方にとってとても魅力的な選択肢と言えます。
しかし、等価交換方式には決定的なデメリットがあります。それについては次項で解説します。
(4)等価交換方式のデメリット
メリットいっぱいの等価交換方式ですが、決定的ともいえるものを含むデメリットを挙げてみます。
- 出資に供した土地は手放すことになる
- 不動産会社の意向によって自分が意図しない建物になる場合がある
- 建物の所有配分で揉める場合がある
1つ目のデメリットは、先祖代々の土地を相続したというような場合だと心理的に抵抗があるかも知れません。
先祖から守ってきた土地を一部でも手放すとは何事か、と親族や身内の間で大きなトラブルにもなりかねません。
しかし、逆に考えるとお金の入用があって全部を売却してしまうより、等価交換方式であれば一部を手放すだけで済みますし、そこにある建物の一部が資産となるので資産価値を保全するという意味でも有効と言える部分があります。
2つ目と3つ目については共同事業であるがゆえのデメリットです。
パートナーとして選ぶ不動産会社をしっかり選ぶ意味でも、複数社に相談をして提案を受けるようにしてください。
(5)等価交換方式による資金なし土地活用の始め方
等価交換方式によって資金なしで土地活用を始めるには、パートナーとなる不動産会社選びから始まります。
不動産会社に問い合わせをして得られた提案の内容や対応を精査して、信頼できる不動産会社とパートナーシップを組むようにしてください。
7、アパート経営を資金なしで始める現実味と方法
等価交換方式ではなく、自分で資金を調達してアパート経営を始めるという選択肢には、どこまで現実味があるのでしょうか。資金なしでアパート経営を始める現実味について解説します。
(1)アパート経営を巡る環境が激変している
昨今の不動産投資ブームに乗って、アパート経営を始める人が急増しました。そのブームのけん引役を果たしてきたのが、個人投資家向けの融資を拡大してきた金融機関の存在です。
その筆頭格と言えるのが、スルガ銀行です。常に革新的な経営をしてきた地銀として不動産投資家向けのアパートローンを手がけ、融資実績を大幅に伸ばしました。スルガ銀行の融資を受けられれば不動産投資家デビューを果たせるというセオリーがあったことから、その仕組みが「スルガスキーム」と呼ばれたこともあったほどです。
しかし、ここにきてその構図が激変しています。ご存知の方も多いと思いますが、スルガ銀行やアパート経営プラットフォームを手がけるTATERUが融資書類の改ざんを行っていたことが発覚し、大きなスキャンダルになっています。
これを受けてアパート向け融資審査は厳しくなっており、「スルガスキーム」だからこそ審査にパスしていたような人が融資を受けられなくなっています。融資環境が厳しくなることにより、アパート経営に参入できる人は年収が高い人や自己資金を多く用意できる人といった高属性の人に限られつつあります。
(2)資金なしでアパート経営への参入はもう難しい?
かつて資金なし、土地なしであってもアパート経営を始めることが可能だったことがあります。土地付きアパートを全額ローンで購入するスキームだったのですが、ローン返済額が大きくなる一方で自己資金による余力がないので破綻しやすく、早々にこのスキームは過去のものとなっていました。
この記事で想定しているのは、土地はあるものの資金なしというアパート経営ですが、昨今の融資引き締めによって土地があっても自己資金がなければアパート経営を始めることが難しくなってきています。
年収が700~800万円以上、そして自己資金が少なくとも1,000万円はあることが融資を受ける実質的な条件になってきているため、等価交換方式以外でアパート経営を始めるのであれば、これが最低ラインだと思っておいたほうが良いでしょう。
Q&A
不要な土地の活用法は?売却することも視野にいれる
まとめ
この記事を読み始めた時には、「資金なしで土地活用なんて、どうせ大したものはないだろう」とお考えではありませんでしたか?
そして最後まで読み終えた今、そのお考えはいかがでしょうか?「これなら自分にもできそうだ」と思われた土地活用法と出会えたのではないでしょうか。
どの土地活用法も具体的な始め方や相談窓口をご紹介していますので、まずは気になる土地活用法について問い合わせをしてみることから始めてみましょう。