中古物件の売却において、できれば短期間にかつ高額で売却したい売主がほとんどではないでしょうか。しかし、築年数が古かったり、最寄り駅から遠かったりなどあまり人気のない物件は、売却が難しくて困っている方もいるでしょう。
そんなときに、ホームステージングを検討する方も多くいらっしゃいます。ただ、多くの方が「ホームステージングは費用もかかるし実際やるべきなのか」と悩むケースが多いです。
そこで今回は、ホームステージングをする場合のメリット・デメリット、費用など事前に把握しておきたい事項を以下にてまとめました。
- そもそもホームステージングとは
- ホームステージングを導入する場合のメリット・デメリット
- ホームステージングの導入にかかる費用について
- ホームステージングをした方が得なのか
- 実際にホームステージングを導入するには
今回の記事が、中古物件の売却で悩まれている方のご参考になれば幸いです。
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目次
1、ホームステージングとは
ホームステージングにつてい気になっているけど、その概要について詳しくはわからないという方のために、まずはホームステージングとは何なのかを簡単に説明します。
(1)そもそもホームステージングとは
ホームステージングとは、売却する物件に家具や小物を使ってインテリアコーディネートをすることです。
ホームステージングを行うことにより、不動産の価値を上げてから販売することができます。
新築のモデルルームのように演出することで、中古の弱みを和らげ、物件を魅力的に見せることができることから、売却を促進する効果があるとされています。アメリカでは30年以上前から取り入れられていますが、やっと最近となって日本の不動産業界でも少しずつ広がりはじめ、注目されるサービスの一つとなりました。
(2)インテリアコーディネートとの違い
ホームステージングは一見、よくあるインテリアコーディネートと同じように感じられる方も多くいらっしゃいます。しかし、やっていることが似ていても実施する目的が異なります。
自分でホームステージングを行った場合、ホームステージングのつもりがインテリアコーディネートになっていた、、、なんてことにもなりかねませんので、違いをしっかりと把握しておきましょう。
具体的には以下の通りです。
① インテリアコーディネートとは
その物件の所有者の趣味に合わせてコーディネートをするものです。つまり、目的は所有者にとってより好ましい物件にすることにあります。
売却をするために行うものではありません。
② ホームステージングとは
その物件の購買層を意識して、物件の強み、弱み、特徴を把握した上で、買主の購買意欲をかきたて「売れるように」意識して演出するものです。
目的は「価値を高めてより高く、より早く売却できるようにすること」にあります。あくまでも買主が主体です。
2、ホームステージングを導入する場合の6つのメリット
では、ホームステージングをするにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
売主にとって具体的には以下のようなメリットが挙げられます。
- ホームステージングによって、物件の強みをアピールし、弱みは和らげることができる。結果として、より魅力的に見せることができる
- 買主の購入意欲を高めることで早期売却が可能となる
- ホームステージングをしていない競合物件との差別化が図れるので、相場よりも高い価格、もしくは値下げせずに売れる可能性がある
などです。
一方、ホームステージングは売主にだけではなく、買主にも以下のようなメリットがあります。
- 殺風景な空室に家具を置くことで、買主が「住むイメージ」を実感できる
- 素敵なインテリアコーディネートや家具の配置は購入後の参考になる
- デッドスペースの活用法や部屋の照明方法なども参考になる
など。
(1)物件の魅力をアピールできる(売主目線)
そもそもホームステージングを行う目的は物件の価値を上げてから売却することです。中古であるという弱みや、物件そのものの弱みをむしろ魅力としてアピールすることができます。
(2)早期売却が可能となる(売主目線)
より魅力的な物件だとアピールできれば、その分買主の購買意欲を高めることにもつながります。
買主に「オシャレな物件だし、ぜひ住みたい」と思わせることで、早期売却を後押しできます。
(3)競合物件との差別化が図れる(売主目線)
ホームステージングを行うことで、競合物件との差別化を図ることができます。
競合物件との差別化ができれば、相場よりも高い価格で売却できる可能性も高くなるでしょう。
(4)買主が住むイメージを実感できる(買主目線)
ここからは買主目線のメリットです。
ホームステージングでは家具や小物を使用するため、物件購入後のイメージを掻き立てることにもつながります。
買主にとって購入後のイメージが湧きやすいという点は大きなメリットでしょう。
(5)家具の配置の参考になる(買主目線)
買主が住むイメージを実感できるということと意味合い的には似ていますが、ここでは具体的な家具の配置について参考例を示すことができる点がメリットです。
いままでアパートやマンションの内見をしたことのある方は感じたことがあるのではないでしょうか。
例えば、「この部屋にベッドはどこに置いてソファはどこに置くべきか」などのイメージがしやすくなります。
(6)デッドスペースの活用法の参考にできる(買主目線)
デッドスペースのある物件であれば、ホームステージングによってデッドスペースの活用方法を見せることができます。
買主からしてみれば、図面をみただけや、何も置いていないデッドスペースを見て具体的な活用方法を見出すことは難しいです。
3、ホームステージングを導入する場合の3つのデメリット
中古物件を新築物件のモデルルームのように、素敵に生まれ変わらせるホームステージングですが、メリットがある一方デメリットもあります。
具体的には
- ホームステージングのための費用がかかる
- 成約後に家具などを処分する必要がある
- 住みながらのホームステージングは厳しい場合がある
などが挙げられます。
(1)ホームステージングのための費用がかかる
ホームステージングは売却活動の一部ではなく、オプションのようなものです。実施する場合は、ハウスクリーニング費用、家具や小物、照明などの費用、コーディネーターへの報酬などは売主が負担することになります。
どれだけホームステージングにこだわるのかによって費用は異なりますが、中途半端なホームステージングはかえって買主の購買意欲を下げるかもしれません。
より早期に売却をしたいと考えるのであれば、多少の費用がかさむのは仕方のないことだと言えるでしょう。
(2)成約後に家具などを処分する必要がある
そして、成約後に家具などをリサイクルに出すなど自分たちで処分する手間もかかります。
しかし、先ほどホームステージングには家具や小物の費用がかかると述べましたが、現在ではホームステージング用のレンタル家具があります。もちろんレンタル家具であれば処分する必要はありません。
中には、買主が家具ごと欲しいと要求があれば、家具の買取をしている業者もあります。
ホームステージングを依頼した業者次第では、このデメリットは緩和できるでしょう。
(3)住みながらのホームステージングは厳しい場合がある
また、ホームステージングは、空室にした上で演出するのが基本です。どうしても居住しながらホームステージングを実施したい場合には、「在宅ホームステージング」と言って、居住中でも利用できる業者を探す必要があります。
さらに、注意しなければならない点としてそのような場合は中途半端な演出は先ほど同様かえって逆効果になる可能性もあります。生活感を出さないように意識して、掃除や整理整頓を常に心がけることがポイントです。
4、ホームステージングにかかる費用はどのくらいか
家具などを準備してホームステージングを実施するとなると、どのくらいの費用になるのか気になるところでしょう。
実際にホームステージングを導入するにはいくらかかるのでしょうか。
(1)ホームステージングの導入にかかる費用
プロのホームステージャーが物件全体をフルコーディネートしてくれるプランでは、一般的に「100万〜200万円」前後かかるようです。リビングや玄関など家の中心部だけをコーディネートするプランの相場が「30万円」前後で、居住中でもできる在宅ホームステージング(プチプラン)では「5万円」前後が相場です。これに必要に応じてハウスクリーニング費用も加算して見積もりをもらうようにしましょう。
(2)自分でもホームステージングはできる?
「ホームステージャーに依頼したいけど、それだけの費用がかかるなら自分でやった方がいいのでは?」と思う方もいるでしょう。
ホームステージングは、プロに頼んだ方が確かにクオリティは高いですが、売主自身でやることができないわけではありません。もし、売主さんがインテリアコーディネートなどが好きなら、ご自身で素敵に演出できる家具や小物を集めて、お部屋をコーディネートするのも一つの方法です。
ただし、物件の購入ターゲットや物件の魅力、弱み、強みなどを深く理解し物件の魅力を正しく伝える演出でなければなりません。
大切なことは、自己満足のインテリアコーディネートではなく、あくまで売却に繋げるためのホームステージングをすることです。
これが理解できていないと、売却時に物件価値が上がらない可能性もあるので注意しましょう。
5、ホームステージングをして売却する方が得なのか
(1)思ったより費用がかからず、早期高額売却の可能性アリ
ホームステージングしてモデルルームのように演出するため、部屋を空室にした上に、家具や照明、雑貨小物を準備し、場合によってハウスクリーニング業者に掃除まで依頼して、物件の売却にそこまで手間をかける必要があるのだろうかと思われている方もいらっしゃるでしょう。
手間だけではなく、ホームステージングの費用の相場は30万円〜100万円前後かかると言われていて、実費で支払うには迷ってしまうのが正直なところではないでしょうか。
①ホームステージングの成功例
ここで一つ、ホームステージングの成功例をご紹介します。
野村不動産ソリューションズが提供しているホームステージングサービスでは、未実施の物件と比較して成約実績が約1.5倍、売却期間は約2割も短縮されたと発表されました。
ホームステージングした中古物件が、早期に成約したと実際に一定の成果が出ています。
②思ったより費用の負担は少ない!
不動産は高価なお買い物です。値引き交渉で100万円や200万円ということもよくあります。そのくらい値下げすることと思えば、ホームステージングの費用で希望通りの価格で売却できた方が売主にとって良いのではないでしょうか。
また、ホームステージングで使った家具が気に入って買い取りたいという買主が現れる可能性がありますし、基本的に家具や小物はレンタルであることが多いです。
仮に自分で購入したたものを処分するにしても、ほとんど使用していない綺麗な状態の家具ですから、リサイクルショップに高く買い取ってもらえる可能性も高いです。結果として、戻ってくるお金もあるということになります。そう考えるとリスクも低いでしょう。
このように、ホームステージングは思ったより費用の負担は少ない一方で、物件そのものの魅力で早期売却へと繋がる可能性を広げてくれるのです。
(2)そもそも売却したい物件の相場がいくらかわからない場合
ここまで読んでいただき、「ホームステージングによる物件の売却を考えていたけど、そもそも物件の相場がわからない」と思った方もいるのではないでしょうか。
その場合、ホームステージングをして売却が完了しても、実際には儲けたのか損をしたのかの判断がわかりません。
このような方は一度、不動産売却一括査定サイトを利用することをおすすめします。
不動産売却一括査定サイトでは、売りたい物件の情報をいくつか入力するだけで物件がいくらで売却できるのか簡易的に査定を行います。
「まずは売却予定の物件の相場が知りたい!」という方は「不動産を売却するなら活用すべき!プロが選ぶ「不動産売却一括査定サイト」ランキング【2021年最新版】」も合わせてご覧ください。
一括査定サイトについてのより詳しい内容と、おすすめの一括査定サイトを紹介しています。
6、ホームステージングを依頼するには
ホームステージングサービスは、アメリカやスウェーデン、ドイツなどでは浸透していますが、日本ではまだ一般には広く知られていません。
そのため、ホームステージング専門の業者はまだ少ないのですが、以下にて実績が豊富な3社を紹介します。
(1)株式会社ホームステージング・ジャパン
ホームステージング・ジャパンは、ホームステージングの本場であるアメリカのノウハウを取り入れた演出で、月間50件以上のホームステージングの実績があります。現在は関東エリアの物件のみ対応しています。
(2)野村のステージングサービス
野村の仲介がオプションでホームステージングサービスを提供しています。首都圏と関西圏の営業エリアのみで実地しています。空室だけではなく、居住中でもホームステージングの演出が可能とのことで、荷物などの一時預かりをしてくれるなど、サービスも充実しています。
(3)株式会社ステージングサービス
http://www.staging-service.com/
株式会社ステージングサービスは、空室対策専門でレンタル家具やインテリアコーディネートなどをおこなっている大阪の会社です。関西圏の物件をお持ちの方にオススメのホームステージングの会社です。
まとめ
今回は、不動産業界でも注目されつつあるホームステージングについて紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
ホームステージングは、中古物件を「できるだけ早く、できるだけ高く売る」を実現してくれる素敵な方法です。中古物件の売却に頭を悩まされている方は、ぜひこの記事を参考に活用してみてください。