• 株式投資, 資産運用
  • 2023/8/28 (更新日:)

仕手株とは?仕手株の基礎知識と関わり方

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仕手株(してかぶ)とはどのような株のことなのか、ご存じでしょうか?

この記事では、株式投資を始める上で知っておきたい、仕手株に関する基礎知識や見つけ方、関わり方をまとめています。

資産運用全般についてまとめた記事も併せてご参照ください。

 

※投資に関するすべての決定は、ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。








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1、仕手株とは?仕手株の基礎知識

まずは、仕手株に関する基礎知識をおさえておきましょう。

(1)仕手株とは?

仕手株とは、特定の投資家(または投資家集団)が短期間に大きな利益を得るために、株価をつり上げる目的で買い注文を集中させる銘柄のことです。

上記のような意図を持った投資家のことを仕手筋、または仕手集団といいます。

仕手株という名称以外に、仕手系材料株と呼ばれることもあります。 

(2)仕手株を急騰させているのは誰?

一般的に仕手筋と呼ばれる人たちは、複数の人たちで構成される投資家集団です。株式投資を専門とする集団で、その中でも株価操作も含む不正行為をもいとわない投資家集団だと思って良いでしょう。

そもそも、こうした仕手筋、仕手集団になる人たちというのはどんな人たちで、どこからその資金が出ているのでしょうか。これについては、半分裏社会にも関わることだけにあまり実態は分かっていません。

(3)仕手株は犯罪?

仕手株を仕立て上げ、株価をつり上げたところで売り抜ける行為そのものは犯罪ではありません。「たまたま買い集めた株が急騰したから売った」と言ってしまえばそれまでなので、極めてグレーな存在といえます。

ただし、株価をつり上げるために風説を流布したり、粉飾決算に関与したりするなどの具体的な行為が明らかになると、犯罪行為として取り締まりに遭います。

これまでに大きく報道された仕手株の前例では、証券取引法違反の容疑で逮捕者が出ている事件もあるのです。

(4)なぜ仕手集団は大儲けできるのか

仕手株については、これまでにも大きく報道されるような事件が繰り返されてきました。

こうした行為が横行してしまうと株式市場の健全性を維持できないため、当局も目を光らせているのですが、今後もおそらく似たような事件は起きることでしょう。

なぜなら、仕手株を仕立て上げて高値売り抜けをすると、莫大な利益を手にすることができるからです。

言葉は悪いですが、株の初心者をだましてマネーゲームに引き込み、そのお金を巻き上げることは、仕手集団にとって「おいしい金儲け」なのです。

2、仕手株の事例

では、仕手株であった可能性が高い事例を3つ、みてみましょう。

(1)株価が10倍以上に跳ね上がる仕手株

有名な事例が、ルックホールディングス(8029)という銘柄です。

出典:SBI証券(ルックホールディングスの株価チャート)

2003年から2004年にかけて、不自然な値動きが見て取れます(丸印部分)。これが仕手株として同社株を有名にした値動きで、仕手筋による仕掛け相場であった可能性が高いです。

仕手株と見られる相場展開は、他にもあります。以下は新日本理化(4406)のチャートです。

出典:SBI証券(新日本理化の株価チャート)

2012年頃に急騰し、その後期間を置かず急落し、元の株価に戻っています。

さらにもうひとつ見てみましょう。最後に紹介するのは石川製作所(6208)です。


出典:SBI証券(石川製作所の株価チャート)

どの事例も、突然相場が急騰し、その後期間を置かずに元の株価に戻っている点が、よく似ているのがお分かりいただけると思います。

(2)銘柄が急騰した理由

前項で紹介したような銘柄は、なぜ株価が急騰したのでしょうか。

実はここがとても重要なのですが、「特に急騰した理由がない」のです。

何か新しい事業に参入した、業績が急激に良くなった、他社との提携や合併などの報道があったというような株価が上昇する明確な理由がないのに急上昇するのが、仕手株の大きな特徴です。 

(3)仕手株は天使か悪魔か

こうした仕手株のチャートを見ていると、「その前に仕込んでおけば大儲けできる」と誰もが一度は思うことでしょう。

しかし、仕手株の多くは誰も見向きもしないような銘柄が対象になるため、「その前に仕込む」ことがそもそも不可能に近いのです。

特に業績や各種指標、チャートなどを分析しながら株式投資をしている投資家にとっては、なおさら接点のない銘柄ばかりです。

その一方で、急騰を始めると出来高も急増するため注目されやすく、その段階になって買ったとしても高値掴みになる可能性が高くなります。結局は、一般投資家を食い物にすることが目的であることが明白です。

仕手株は大儲けの可能性を秘めた天使か、はたまた悪魔か。一般投資家の立場から見ると、明らかに悪魔といえます。

3、仕手株の株価操作の流れ

仕手集団は、どうやって仕手株で大儲けをしているのでしょうか。その一連の流れを解説します。

(1)対象株を買い集める「玉集め」

仕手戦を展開するために、まずすることは「玉集め」です。

株価が低迷している銘柄の中からターゲットを決めたら、株価が安いうちに株を買い集めます。この段階では、他の投資家に気づかれないよう、できるだけ目立たないように少しずつ買い集めるのです。

ここで集めた株は、株価が急騰した時に一気に売り抜けるため、玉集めを多くしておけば、より利益が大きくなります。 

(2)目立つように一気に買い上げる「玉転がし」

玉集めによってある程度の量を確保したら、次は敢えて目立つように買い注文を入れます。いよいよ本格的な株価操作の始まりで、一般投資家が注目しやすいように目立つ注文のしかたをするのがポイントです。

さらに、玉集めで買い集めた株を敢えて売り、それを自ら買うという自作自演をすることによって出来高を増やし、出来高ランキングに登場するように仕向けることもあります。

集めた玉を今度は自作自演で転がすという行為も含むため、仕手集団によってこの段階は「玉転がし」と呼ばれます。 

(3)株価が急騰したところで利食いする「振るい落とし」

こうしたマネーゲームが起きると、仕手株が一般投資家の目にも止まるようになるにしたがって、一般投資家からも買われるようになります。

値上がり率や出来高のランキングに登場するようになるとしめたもので、買いが買いを呼んで株価は急騰します。

こうなった段階で、仕手集団はこれまで集めた株を売り始めます。最初は少しずつ売って利益を確定し、場合によっては買い注文も入れながらさらなる上昇を誘導することもあります。

最終的には「振るい落とし」といって、安い時に買い集めた株、急騰中に買い上げた株などをすべて売り抜け、巨額の利益を確定させるのです。

(4)株価は元の適正価格に戻ってしまう

仕手集団による仕手戦が終わると、仕手株として急騰した株は元の水準に戻ります。

そもそも、元の株価が実力通りだったのですから、バブル的な値上がりがあったとしてもそれは仕手集団による人為的なものにすぎません。

上昇トレンドに乗って急騰中に株を買った人、さらに仕手集団が売り抜けをした最高値圏で買った人は、高値掴みさせられることになります。

すぐに損失確定で売ってしまえば損失はそこまで大きくなりませんが、塩漬けにした場合、もともと低位株であることが多いため満足な配当は期待できないでしょう。最悪の場合、上場廃止になってしまうような株を持ち続ける羽目になってしまいます。

4、仕手株として狙われやすい銘柄の特徴3つ

仕手集団が仕手株としてターゲットにしやすい銘柄とは、どんな銘柄でしょうか。この章では、狙われやすい銘柄の3つの特徴を解説します。

(1)業績、事業内容ともに目立たない銘柄

仕手集団の立場からすると、玉集めの段階で注目されては困るという事情があります。

そのため、もともと目立たない銘柄・業種で、一般投資家からあまり見向きもされていない銘柄であるのが大きな特徴です。 

(2)発行株数が少なく、出来高も低い

本記事で紹介した仕手株の事例でもそうですが、いわゆるトヨタ自動車やパナソニックといった超大企業の株が仕手株になるということは、まずありません。

なぜなら発行株数が多く、買い占めることが難しいからです。発行株数が少なく、日々の出来高が少ない銘柄でないと仕手集団が主導権を握れないのです。

そのため、発行株数が少なく出来高が少ない銘柄が狙われやすくなります。

(3)低位株

おおむね株価が500円以下の銘柄を低位株と呼びますが、低位株のような株価が低迷している銘柄が仕手集団にとってターゲットになります。

理由は、玉集めの段階でのコストが安く済むことと、上昇余地が大きいからです。

5、仕手株の見分け方

前章の特徴を踏まえて、以下の4ステップで銘柄を絞り込んでいくと仕手銘柄を見つけやすくなります。

(1)値上がり率上位銘柄をチェックする

普段から、証券会社の売買ツールや株のポータルサイトを見て、値上がり率や出来高で上位に入っている銘柄をチェックしておきます。

頻繁に見ていると常連の銘柄を何となく覚えていくものですが、ランキング上位に見たこともないような銘柄、聞いたこともないような企業名が入ってきた場合は、仕手株かもしれません。

そういった不自然なランクイン銘柄を見つけたら、次のステップに進みます。 

(2)低位株をピックアップする

突然ランクインしてきた銘柄の株価をチェックしてみてください。

おおむね株価が500円以下の銘柄を低位株と呼びますが、対象の銘柄が低位株であった場合は、直近1年ほどの株価推移をみてみましょう。同じような株価が続いているかどうかをチェックします。

しばらく低位株として株価が低迷していた銘柄なのに、突然値上がりするのは不自然であると考えられるのです。

(3)株価上昇の材料がないか確認する

一般的に、値上がり率上位にランクインするような銘柄には、好材料があります。経済ニュースや株のポータルサイトでその銘柄名か銘柄コードを検索すると何らかのニュースにヒットすることでしょう。

一方、好材料となるニュースが無いとなると、仕手株の可能性が高くなります

(4)仕手株情報サイトをチェックする

ネット上には仕手株の情報を発信したり、共有するサイトがあります。具体的な銘柄名を挙げてその根拠などが示されているので、参考になる情報も多いと思います。

こうしたサイトは「仕手株で儲ける」というスタンスであったり、自分が保有している株の上昇を意図したものなど、情報の内容はさまざまです。あくまで仕手株か否かを見分けるための情報として参考程度に利用しましょう。

6、仕手株との関わり方

株式投資家は、仕手株とどのように関わればよいのでしょうか。この章では、不動産投資の教科書が考える、仕手株との関わり方をお伝えします。

(1)できるだけ避ける

ランキングなどに登場し、すでに値上がりが始まっている銘柄を見つけた場合、「買いたい」と思うのは自然なことです。

しかし、個人投資家、特に初心者が仕手株で儲けることは非常に難しいものです。

好材料が特にあるわけではない仕手株が、いつ急落するかを一般投資家が見極められることはほぼないでしょう。

急騰している銘柄を見つけた場合、その後の株価推移が気になる方も多いと思います。その場合は株価チャートをチェックして、値動きを観察してみると今後の株式投資の参考になるでしょう。

(2)買ってしまったら、即損切りする

スクリーニングやチャート分析などでピックアップした銘柄が、たまたま仕手株だったという場合もあるかもしれません。

買ってはみたものの、本記事の解説に照らし合わせて「もしかしてこれは仕手株?」と思えるような根拠や値動きを見つけたら、早めに売ることが賢明といえるでしょう。

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まとめ

この記事では、仕手株の基礎知識や見分け方について解説しました。

株式投資は、企業の成長性を見極め、成長性に対して投資をすることで成長力を資産増加につなげる投資です。

仕手株に惑わされることなく、投資する際には企業についてよく調べ、十分な情報をもとに判断するようにしましょう。

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