株式投資をする場合、どのような方でもなるべく利益を上げたいと考えているものです。
「材料株」に投資をすると、短期間に大きな収益を上げることが期待できます。ときには1日で10%以上の利益が出るケースもあり、非常に魅力的です。
そもそも「材料株」とはどのようなもので、材料株投資を進めるときにはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか?
今回は、材料株投資とそのノウハウについて、解説します。
目次
1、そもそも材料株とは?
材料株とは、株価を押し上げたり、反対に押し下げたりする要素を備えた株式のことです。株価を押し上げたり押し下げたりする要素のことを「材料」と言います。
材料には、株価を押し上げる要素である「好材料」と、株価を押し下げる要素である「悪材料」がありますが、一般には、株価を押し上げる好材料を備えた株式を指して「材料株」ということも多いです。
好材料を備えた材料株は、急激に値上がりしやすいですが、その後は最終的に大きく下がってしまう例が多く見られます。
2、「材料」にはどんなものがある?
材料株の「材料」となる要素には、どのようなものがあるのでしょうか?それぞれの要因別に代表的なものをみてみましょう。 なお、株価との関係はあくまでも一般的なもので、必ずしもそのとおりになるわけではない場合もあります。
- 全体要因
全体要因は、株式市場全体に影響を及ぼす要因のことです。それによって、株式市場全体が上がったり下がったりするような材料のことです。
- 為替
円高になると燃料費のコストなどが抑えられるため内需関連の株価は上がり、一方で輸出関連の株式は円換算した場合の売上が下がるため、株価も下がります。
円安の場合は反対です。
- 金利
金利が上がると株価が下がります。金利が上がることで企業にとっては借入コストが増えるため、業績を圧迫する可能性が高くなること、また個人の資金が株式市場から債券市場や預貯金に流れること、などがその要因です。金利が下がると逆に株価は上がります。なお、好景気の時には、資金調達ニーズとともに好業績も期待され、金利も株価も上がることもあります。
- NY株式市場
世界の株式市場は、NY株式市場を中心に連鎖していることも多く、NYダウが上がると日経平均やTOPIXも上がり、下がると同様に下がることがあります。
- 物価
理論的には、物価が上がると株価も上がり、下がると株価も下がります。モノの値段が上がると株価も同様に上がると考えられますし、インフレによって実質資産の目減りを回避するために現預金から株式市場に資金が流れることもその要因の一つです。
- 日経平均
日経平均が上がるということは、多くの株式が上昇しているということであり、日本全体の景気の好転が予想されるなどで、個別の株式も連動して上がる場合が多いです。一方、日経平均が下がれば株価も下がります。
- 業界要因
業界要因は、その業界に特有の影響を与える要因のことです。以下は、その一例ですが、天候が農業や水産業の業界に影響を与えたり、流行病が製薬業界に影響を与えるといったケースなどが想定されます。
- 原油価格
原油の価格が上がると石油関連株は上がりますが、燃料高で製造原価を圧迫するので製造業の株価は下がります。
- 個別要因
個別要因は、その企業特有の要因のことです。以下の他にも合併やM&A、不祥事や新規事業などのニュースも個別要因の一つです。
- 過大増資
企業が過大増資すると投資家が判断すると、株価は下がります。
- 増資、増配、増益
企業が増資、増配、増益すると、株価が上がります。
- 減益、損失
企業が減益となったり損失を出したりすると、株価が下がります。
3、過去の材料株の例
過去の材料株の例を見てみましょう。
(1)RISE(8836)
過去の材料株の例としては、不動産事業から液晶事業に進出した際に、期待値によって大きく株価が上がったRISE(旧ヒューネット)(8836)があります。
この株式は、1年で150円から1250円まで大きく値上がりしましたが、その後の1年で10分の1の株価となり、さらにその後には1円にまで低下しています。
(2)タカラバイオ(4974)
この会社は、京大の山中伸弥教授がips細胞でノーベル生理学・医学賞を受賞した際に関連銘柄として注目を集め、2012年10月頃から株価が大きく上昇しました。ただ、同社は、これをきっかけに会社業績が大きく上昇するわけではない、と影響が極めて限定的であると説明しており、実際に高騰は続かず、その後下落しています。
- 芦森工業
この会社は、主に消防車用のホースや自動車用のシートベルト、エアバッグやチャイルドシートなどの製造を行う会社です。2017年7月頃、ライバル社であるタカタの経営破綻を受けて、代替需要が増えるとの思惑から買いが一気に増え、株価が大きく上昇しました。なお、当社はその後の業績予想も過去最高益を更新する見通しだったこともあり、株価の急激な下落はありませんでしたが、それでも一時の高騰からは落ち着いてきている感じがあります。
4、短期勝負!材料株に投資するには
以上のように、材料株は短期間に大きく上昇しますが、その後は大きく下落してしまうことが多いので、タイミングよく売り買いする必要があります。
また、株の材料は非常に多種多様ですから、すべてのニュースに気を取られていると、情報に翻弄されてしまうばかりで、良いタイミングをつかむことは難しくなりがちです。
材料株をタイミング良く売買するには、あらかじめ特定の銘柄を定めて注目しておくことが役立ちます。
ある株式に好材料が出て、上がりそうな兆候があれば、他の投資家に買われる前になるべく早く買い、一定程度上がればあまり長く持たずに売ります。いくつかの銘柄を決めてこれを繰り返しているだけでも、かなり投資の成功率が上がってきます。
5、材料株を売るタイミングはいつ?
好材料を備えた材料株は、短期的には値上がりする可能性が高いですが、その後大きく下落してしまう傾向があります。そこで材料株で利益を取るためには、売りのタイミングを見計らって、下落する前に素早く売り抜くスキルが必要となります。
そのためには、「ふるい落とし」という概念について知っておきましょう。ふるい落としとは、一時的に株価が値上がった後、調整で一時的に株価が下がることです。材料株の場合、一定程度値上がりしたら、ふるい落としが起こることも珍しくありません。ただし、ふるい落としでは済まずに本格的にどんどん値下がってしまうこともあります。
ふるい落としか本格的な下落か、その時点で判断することは極めて困難です。
材料株の売却で損をしないためには、自分の中で売却タイミングのルールを定めておくべきです。売却タイミングのルールとは「○○円まで上がったら売却する(利食い売りする)」「○%まで上がったら売却する」というような客観的な基準となるようなマイルールのことです。
これを決めておくことにより、材料株が下がり始めても利益を深追いしてずるずる所持を続け、せっかく得られたはずの利益が小さくなってしまったり、利益確定どころか損失にまでなってしまったりすることも避けられます。
また、材料の性質からある程度判断することもできます。
たとえば金利など、しばらくは変動しない要因によって株価が上下する場合には、急いで決断をしなくても良いでしょう。一方で、短期的な要因によって株価が上昇した場合には、ある程度上昇して利益が一定程度得られる段階でさっさと売り抜けてしまう方が得になりやすいです。
6、材料株の注意点
材料株を上手に売買すると大きな利益を上げられる可能性もありますが、注意点もあります。
(1)タイミングを逃したら諦める
まずは、買いのタイミングを逃したら、いさぎよく諦めることです。
たとえば「この株式が良いかも知れない」と思っていても、少し買うのが遅れたら既に株価が上がってしまうことがあります。その場合、上がりきってから買っても後は下がるだけで、利益が出ません。その時はあきらめて次のチャンスを待ちましょう。
株式取引をするときには、どうしてもタイミングを逸するケースがあるものです。失敗したら、それを引きずらないようにするのが、長い目で見た場合の成功の秘訣です。
(2)材料がすべてではない
材料株投資をするときには、どうしても材料ばかりに注目してしまいますが、株価は材料だけで決まるわけではありません。他にも株価に影響を与える要因はたくさんあり、それによって上がり下がりすることも多いです。好材料があると思っても、思ったほど値上がりしなかったり、反対に下がってしまったりするケースもあります。そこで、一般的に「好材料」と言われる材料があるからといって飛びつくのではなく、本当に信頼に足る要素であるか、他に影響の大きい要因はないかなど、自分なりに吟味しましょう。
投資銘柄をある程度絞り込み、対象銘柄について詳しくなっていたら、その銘柄についての適正な判断をしやすくなるので、日頃から見ておくとよいでしょう。
(3)損切りを恐れない
売るタイミングの項目でも説明した通り、材料株には「ふるい落とし」がつきものです。しかし、ふるい落としと本格的な下落の区別ができずに迷っている間に株価がどんどん下落してしまうと損失が膨らむので、材料株を扱うときには、損失に転じてしまった場合、いさぎよく損切りして売却してしまう姿勢が大切です。その銘柄の取引では失敗しても、別銘柄で取り戻せば全体的な利益を得ることができるので、「再び上昇するかも」という期待を持たずに、恐れずに損切りをしましょう。
7、材料株投資に役立つサイト
材料株を探して投資したい場合、どのようにして良い材料株を見つけたら良いのかわからない、という方も多いでしょう。
以下では、材料株投資に役立つウェブサイトを3つ、ご紹介します。
(1)日本経済新聞「株価材料」
日本経済新聞のウェブ版において「株価材料」というトピックを集めたページがあります。
ここにはさまざまな株価の「材料」となるニュースが掲載されています。こうしたニュースを日常的にチェックしておいて、「これは上がる」と感じたものを購入すると、早めに良い材料株を取得して値上がり益を得られる可能性があります。
日本経済新聞のウェブ版(株価材料)
(2)KABUTEN市場ニュース「材料」
インターネット株式情報サイト「KABUTEN」では、株式に関するさまざまな市場ニュースが掲載されています。
ここに「材料」というカテゴリーがあり、さまざまな株式の材料となる情報が流れているので、常時チェックしておきましょう。「これは」と思う情報があったときに早めに株価を購入すると、大きな値上がり益を得られる可能性があります。
KABUTEN
(3)CLUB FISCOの「出来た株・動いた株」
フィスコのウェブサイトにも、材料株の判断に役立つニュースが掲載されています。
フィスコでは「出来た株・動いた株」というカテゴリーにさまざまな材料情報がまとめられているので、良さそうだと感じる株をチェックしてみましょう。
CLUB FISCO
8、おすすめの材料株はこちら
最後に、お勧めの材料株をいくつかご紹介します。
(1)クロスキャット
まずは、今注目を集めているフィンテック関連銘柄から、ご紹介します。クロスキャット <2307> [JQ]は、クレジット向けシステムや金融機関向けのソフトウェア開発を得意とする会社です。人工知能(AI)やビッグデータ解析に強みをもっており、ブロックチェーン分野での活躍が期待されているので、今後仮想通貨市場が拡大するにつれて、株価が上がる可能性があります。2018年3月期は売上高こそ対前期比でマイナスだったものの営業利益、経常利益は2桁増を達成し、来期予想も増収増益基調となっています。
(2)キューブシステム
こちらもフィンテック関連銘柄ですが、キューブシステム <2335>もAIやブロックチェーン関連のシステム開発を得意とする会社です。金融、通信、流通、製造など事業別のサービスを展開しており、電力自由化に関連する市場でもビジネスチャンスを期待されています。2019年3月期には営業利益、経常利益ともに2ケタ増益を計画しており、今後成長する可能性を秘めた企業です。
(3)CYBERDINE
続いて、今後の人手不足を補う存在として注目を集めているロボット関連銘柄から、ご紹介しましょう。CYBERDINE <7779> は、筑波大学の教授によって設立された医療分野でのロボット開発に強みを持つ企業です。HALという、装着することによって身体機能を拡張・増幅・補助することができる世界初のサイボーグ型ロボットを製造していることで知られています。将来的には労働用も開発する予定であり、今後の成長が期待されます。
(4)ジーエス・ユアサ コーポレーション
電気自動車関連銘柄からも一つ挙げておきます。ジーエス・ユアサ コーポレーション <6674> は、EVの動力源となるリチウム電池を製造する会社です。政府や自治体などもEVの普及に積極的であり、今後はガソリン車からEVへの転換が進んで行くでしょうから、リチウムイオン電池の需要が高まることが予想されます。当社には大きなビジネスチャンスとなるでしょう。
まとめ
今回は、材料株について解説しました。材料株の取引では、上手に株式の材料となる要素を見極めてタイミング良く売買すると、大きな利益を得られる可能性があります。
今回の記事を参考にして、情報を適切に取捨選択し、材料株投資を成功させましょう。
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