• アパート経営
  • 2023/7/23 (更新日:)

木造アパートの耐用年数は?耐用年数経過後も収益性を保つための戦略

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木造アパート 耐用年数

木造アパートの耐用年数は、どのくらいかご存じですか。

耐用年数は、「法定耐用年数」とも呼ばれ、アパート経営を検討している方にとって知っておかなければならない基礎知識のひとつです。

この記事では、木造アパートの耐用年数や減価償却費の計算方法、耐用年数経過後も収益性を保つためのポイントについて解説します。

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木造アパートの耐用年数:22年

1、木造アパートの耐用年数

はじめに、不動産における耐用年数やアパートの構造別の耐用年数、付属設備の耐用年数を確認しておきましょう。

(1)不動産における耐用年数とは

不動産における耐用年数とは、おもに建物の法定耐用年数のことを指します。

「資産は時間が経つにつれて、価値が減っていく」という考え方のもと、取得費用を分割して経費として計上することを「減価償却」といいます。

法定耐用年数とは、国税庁が定めたもので、減価償却する際の年数のことです。

また、耐用年数に関しては、「法定耐用年数 = 建物の寿命」ではないことに留意しましょう。

法定耐用年数は、あくまでも課税のために一律で定められた年数です。建物の寿命は、使用環境や修繕の状況により大きく異なります。

(2)アパートの構造別の耐用年数

建物は、構造によってそれぞれ耐用年数が定められています。

アパートの構造は、おもに木造または鉄骨造で、鉄骨造は骨格材の厚みにより耐用年数が異なるので注意が必要です。

鉄筋コンクリート造の建物は一般的にマンションに分類され、アパートで採用されることはほとんどありませんが、比較のため記載します。

建物の構造別の法定耐用年数は、以下の通りです。

構造

耐用年数

木造

22年

鉄骨造 骨格材の厚み3mm以下

19年

鉄骨造 骨格材の厚み3mmを超え4mm以下

27年

鉄骨造 骨格材の厚み4mm以上

34年

鉄筋コンクリート(RC)造

47年

出典:No.2100 減価償却のあらまし|国税庁

(3)付帯設備の耐用年数

建物の付帯設備の耐用年数は、

  • 電気設備(蓄電池電源設備を除く)や給排水衛生設備、ガス設備……15年
  • エレベーター……17年
  • エスカレーター……15年
  • 消火・排煙などの設備……8年
  • 金属製のアーケード……15年

など、設備ごとに定められています。

参照:減価償却資産の耐用年数表

各資産の詳細な耐用年数について知るためには、管轄の税務署に問い合わせる方法が最も確実です。

2、減価償却費の計算方法について

次に、減価償却や減価償却費の計算方法について解説します。

(1)減価償却とは

1-(1)耐用年数とは」でも少し触れましたが、さらに詳しく説明します。

減価償却とは、「資産は時間が経つにつれて、価値が減っていく」という考え方で、減価償却の対象となる資産を、「減価償却資産」といいます。

減価償却資産とは、購入価格が1つあたり10万円以上の固定資産が対象です。

事業で使用するもののみとされており、例えばパソコン、車、建物や建物の付帯設備、備品、機械などが減価償却資産にあたります。

また、月日が経過することで価値が落ちる固定資産が対象なので、土地については減価償却資産になりません。

減価償却の対象になる資産は、長期間継続的に使用できるものなので、法令で定められた耐用年数に応じ経費として計上できます。

(2)減価償却費の計算式

建物の減価償却費は、以下の計算式でもとめます。

減価償却費 = 取得価額(取得費用) × 償却率

償却率は耐用年数によって異なるため、該当する償却率を当てはめて計算します。

構造別の償却率

構造

耐用年数

償却率

木造

22年

0.046

鉄骨造 骨格材の厚み3mm以下

19年

0.053

鉄骨造 骨格材の厚み3mmを超え4mm以下

27年

0.038

鉄骨造 骨格材の厚み4mm以上

34年

0.030

鉄筋コンクリート(RC)造

47年

0.022

減価償却費の計算方法は、定額法定率法の2種類があります。

  • 定額法…減価償却資産の購入代金を単純に耐用年数の期間で分割して、減価償却する計算方法
  • 定率法…未償却部分から毎期一定割合の金額を減価償却していく方法

(3)構造別の減価償却費の計算方法

新築アパートの場合、アパートの建物と建物に付随する設備については、毎年同じ額を経費として計上する「定額法」を用いて算出します。

前項で紹介した減価償却費の計算式を用いて、構造ごとに償却率を当てはめてみます。

また、わかりやすくするために取得価額を1億円に統一して、構造別の減価償却費を計算していますので、みていきましょう。

①木造

木造アパートの減価償却費の計算式は、以下の通りです。

減価償却費 = 取得価額 × 0.046

仮に、木造アパートを1億円で取得した場合、

100,000,000 × 0.046 = 460万円

木造アパートの耐用年数は22年なので、取得から22年間、毎年460万円ずつ経費として計上することになります。

②鉄骨造(骨格材の厚み3mm以下)

鉄骨造(骨格材の厚み3mm以下)アパートの減価償却費の計算式は、以下の通りです。

減価償却費 = 取得価額 × 0.053

仮に、鉄骨造(骨格材の厚み3mm以下)のアパートを1億円で取得した場合、

100,000,000 × 0.053 = 530万円

鉄骨造(骨格材の厚み3mm以下)アパートの耐用年数は19年なので、取得から19年間、毎年530万円ずつ経費として計上します。

同じように計算すると、

  • 骨格材の厚みが3mmを超え4mm以下の鉄骨造では、毎年380万円を27年間
  • 重量鉄骨とよばれる骨格材の厚み4mm以上の鉄骨造は、毎年300万円を34年間

減価償却費として経費計上します。

③鉄筋コンクリート造(RC造)

アパートでRC造が採用されることはほとんどありませんが、他の構造と比較するため計算してみましょう。

RC造アパートの減価償却費の計算式は、以下の通りです。

減価償却費 = 取得価額 × 0.022

仮に、RC造のアパートを1億円で取得した場合、

100,000,000 × 0.022 = 220万円

RC造アパートの耐用年数は47年なので、取得から47年間、毎年220万円ずつ経費として計上します。

(4)中古アパートの耐用年数

中古アパートの場合、築年数が法定耐用年数を超えているかどうかによって計算方法が変わることに留意が必要です。

以下にて、築年数が法定耐用年数を超えていない場合、超えている場合それぞれの耐用年数の計算方法について説明します。

①築年数が法定耐用年数を超えていない場合

築年数が法定耐用年数を超えていない場合の耐用年数の計算式は、以下の通りです。

耐用年数 = 法定耐用年数 – 経過年数 + 経過年数 × 0.2

なお、上記の計算式で算出された耐用年数が2年以下になる場合は、原則2年として扱われます。

例として、築10年の木造アパートを取得した時の耐用年数を計算してみましょう。

以下の計算により、14年となります。

耐用年数 = 22 – 10 + 10 × 0.2  = 14年

②築年数が法定耐用年数を超えている場合

築年数が法定耐用年数を超えている場合の耐用年数の計算式は、以下の通りです。

耐用年数 = 法定耐用年数 × 0.2

例として、築25年の木造アパートを取得した時の耐用年数を計算してみましょう。

以下の計算により、4年となります。

耐用年数 = 22 × 0.2 ≒ 4年(1年未満の端数が生じた場合、端数は切り捨てます。)

3、木造アパートが耐用年数を超えた場合のデメリット

この章では、木造アパートが耐用年数を超えた場合のデメリットや、起こり得るリスクについて解説します。

(1)計上できる減価償却費がなくなる

耐用年数を超えると、経費として計上できる減価償却費がなくなります。したがって、不動産所得が多くなり、所得税の額が高くなるのです。

(2)融資が受けられなくなる

賃貸用アパートの建築や購入をする際に利用できるローンを、アパートローンといいます。アパートローンは一般的に、法定耐用年数内の物件が融資の対象です。築年数が法定耐用年数を超えた建物の購入時に、アパートローンを利用できるケースはほとんどありません。

したがって、耐用年数を超えたアパートを売却する場合、現金で一括購入できる買主に限られるため、売却しづらくなるのです。

4、耐用年数経過後も収益性を保つために|①耐用年数経過前にできること

では、耐用年数を経過した後もアパートの収益性を保つために、対策できることはあるのでしょうか。

この章では、耐用年数を経過する前にできる対策を3つ紹介します。

(1)木造以外の構造を検討する

アパートを新築する場合、木造以外の構造を選択肢に加えることで、耐用年数が変わってきます。

鉄骨造で骨格材の厚みが3mm以下の場合は、耐用年数が19年なので木造より短くなりますが、骨格材の厚みが3mmを超え4mm以下であれば27年になります。

重量鉄骨造と呼ばれる、骨格材の厚みが4mm以上の鉄骨造は34年、RC造は47年です。

ただし、耐用年数が長い構造になるほど、建築費用も高くなります。耐用年数と建築費用を総合的にとらえ、経営計画に合わせて選択しましょう。

(2)計画的にメンテナンスする

アパートをこまめにメンテナンスすることで、建物の寿命を伸ばすことは可能です。

「法定耐用年数 = 建物の寿命」ではないため、築年数に合わせた計画的なメンテナンスにより空室率をおさえることができれば、収益性を保てるでしょう。

また、必要に応じてメンテナンスが行われているアパートは、売却する際にも有利な条件で売却できる可能性が高くなります。

(3)建築会社選びを慎重に行う

アパートを新築して賃貸経営を始める場合は、建築会社選びが非常に重要になります。建築会社ごとに得意とする構造がありますし、建築費用や提案内容も異なります。

また、新築物件なら安心と思われるかもしれませんが、建築会社選びの失敗による新築の建物のトラブルは決して少なくはありません。

建築会社選びを失敗しないためには、複数の建築会社からプランを出してもらい、広い視野を持つことが有効です。

併せて、検討している建築会社の評判や口コミなども調べておきましょう。

土地活用プラン一括請求サイトを利用すると、複数のプランを提案してもらうことができるため、視野が広がり最適な選択をすることにつながります。

5、耐用年数経過後も収益性を保つために|②耐用年数経過後にできること

この章では、耐用年数を経過した後もアパートの収益性を保つための対策として、耐用年数経過後にできることを3つ紹介します。

(1)アパートを建て替える

立地が良く、アパートの需要がある土地であれば、建て替えるという選択肢があります。

特に、ローンを完済していて、アパートの劣化により空室率が高くなっている場合は積極的に検討するべき選択肢といえるでしょう。

ただし、建て替える際には、入居者に対して立ち退き交渉をしなければならず、時間や費用がかかります。

アパートの建て替えについては、「アパート建て替えは必要?タイミング・費用など基本を解説」で詳しく解説しています。ぜひ併せてお読みください。

アパート建て替えは必要?タイミング・費用など基本を解説

(2)リフォームや大規模修繕を行う

リフォームや大規模修繕によりアパートの入居率を高め、収益性を保つ方法もあります。

リフォームや大規模修繕にかかる費用は、目的により減価償却できるかどうか変わることに留意が必要です。

原状回復や、定期的なメンテナンスを目的としたリフォーム費用は「修繕費」として扱われ、減価償却の対象にはならず、一括計上します。

「修繕費」として扱われる修繕は、

  • 20万円未満のもの
  • 原状回復を目的としたもの
  • 概ね3年以内の期間を周期として行われるもの

があります。

一方、アパートに新たな価値を加えることを目的としたリフォーム費用は「資本的支出」として扱われ、減価償却費として修繕した資産の法定耐用年数に応じて計上するのです。

「資本的支出」として扱われる修繕は

  • 20万円以上かかるもの
  • 間取りの変更
  • 資産価値が向上する設備の追加、入れ替え
  • 建物の耐久性や資産価値自体が向上するもの

があります。

(3)売却する

今後かかる修繕費用と、利益の収支バランスを総合的に考えて、収益性が見込めないようであれば、アパートを売却するという選択肢もあります。

アパートを残したままの売却と、更地にして土地を売却する場合それぞれについて解説します。

①アパートを残したまま売却する

売却するアパートが法定耐用年数を超えている場合、メンテナンスが行われていて入居率が高いアパートでなければ、買い手がつかないという可能性も十分考えられます。

さらに、法定耐用年数を超えたアパートは、取得時にアパートローンを利用することが非常に難しく、買主は現金で一括購入する必要があります。

以上の理由から、法定耐用年数を超えたアパートの売却は容易ではないことに留意が必要です。

②アパートを取り壊して土地を売却する

アパートを残したままの売却が難しい場合、アパートを取り壊し、更地にして土地のみを売却するという選択肢もあります。

しかし、解体には費用がかかります。土地がいくらで売れるのか、解体費用はいくらかかるのかあらかじめ調べておき、収支バランスを把握してから検討するとよいでしょう。

木造アパートの耐用年数に関するよくある質問

(1)アパート建築費や購入費の自己資金は多い方がいい?

アパート建築費や購入費に対する自己資金の比率は、多い方がキャッシュフローがよくなり、金利上昇のリスクにも備えられます。

一方、トラブルが起きた際に対応できる現金がないと失敗するリスクが高くなります。ある程度「予備費」として手元に残しておく必要があることも考慮し、自己資金比率を決めましょう。

(2)建築会社を選ぶときの基準は?

アパート建築を検討している方は、とにかく建築費を抑えたいと思うかもしれません。

しかし、建築費の安さだけで建築会社を選ぶのではなく、以下のポイントを併せて考慮することをオススメします。

  • 建築実績が豊富で、複数の選択肢を提案してくれる
  • 親身になって相談にのってくれる営業担当がいる
  • リスクを隠さず説明し、リスクへの対策を含めた提案をしてくれる
  • アパート経営が長期的な事業であることを理解している

(3)収益性の高いアパートを見極めるポイントはありますか?

優良物件や、収益性の高いアパートの見極め方については、「アパート経営における優良物件の判断基準と儲かる物件を見極めるポイント」で詳しく解説しています。

ぜひご参考になさってください。

アパート経営における優良物件の判断基準と儲かる物件を見極めるポイント

まとめ

今回は、木造アパートの耐用年数について解説しました。

アパートは構造ごとに耐用年数が異なるため、建築費用も含め視野を広く持って最適な選択をすることが、収益性の高いアパート経営をするために重要です。

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