投資用不動産をベストなタイミングで売却して「収益を確定させる」、いわゆる出口戦略はとても重要です。
- 2023年、投資用不動産を売却しても大丈夫?
- 投資用不動産を売却する方法と一連の流れ
- 投資用不動産を売却したときにかかる税金
など、知っておきたいポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
不動産市場価格は、株式市場価格から3ヶ月程度遅行すると言われます。区分マンションまたは一棟マンション・アパートなどの投資用不動産を売却するときは株式市場にも注目しておきましょう。
1、投資用不動産を売却するタイミングとは
(1)不動産が値上がりしているタイミングを狙う
不動産を売却するのに適切なタイミングを把握するため、不動産価格の推移を見ていきましょう。
2013年以降、マンション(区分所有)価格が上昇を続けていることが分かります。
マンション・アパートなどの一棟ものも2020年以降は上昇しています。
これは、2013年以降の超金融緩和策で大量のマネーが不動産市場に流れ込み、低金利も相まって不動産投資市場が活況になったためです。
また、2020年以降のパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻で世界の金融情勢が変化し、円安となった日本の不動産(特に東京都心部)は世界的に「割安」となり海外マネーが一棟ものに流れ込んだためだと考えられます。
2023年4月に日銀総裁が交代しましたが、金融政策に大きな変更はなく、引き続き金融緩和と低金利は継続すると見られています。
さらに2023年5月には、1年8ヶ月ぶりに日経平均株価が3万円台を回復しました。
不動産市場価格は、株式市場価格から3ヶ月程度遅行するため、区分マンションまたは一棟マンション・アパートなどの投資用不動産を売却するなら今から検討を始めるのがいいかも知れません。
(2)修繕費用がかかるタイミングを考慮する
売り時を判断するポイントの一つとなるのが「修繕費がかかるタイミング」です。築年数が古いほど多額の修繕費が発生します。
修繕は概ね、築10年、築20年のタイミングで大規模なものが発生します。
つまり、まずは「築10年以内」で売りぬくのがベストです。
その次は築10年超で大規模修繕後の物件を購入し、築20年になる前に売りぬけるのが次善の策と言えます。
(3)所有期間によって異なる税金(譲渡所得税)に注意する
一方、できるだけ所有する期間が短いうちに売ればいいのかというと、必ずしもそうではありません。投資用不動産を売却した時に、投資がうまくいって売却益が発生した場合には譲渡所得という扱いとなり、所得税・住民税がかかります。以下が計算式です。
譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用
問題はこの税率なのですが、当面は復興特別所得税(所得税の2.1%相当を上乗せ)がかかりますので、所有期間が
5年未満だと「短期」となり合計39.63%(所得税30.63%、住民税9%)
5年以上だと「長期」となり合計20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
従って、「5年以上所有期間が経過」した場合の方が、税金が低くなるのです。
以上をまとめると、一般的にベスト売り時は
「築10年以内の物件・所有期間5年経過後」
ということになります。
(4)金利動向に注意する
ほかに売り時を判断するのが金利水準です。
現在は日銀の金融緩和政策により歴史的な低金利が継続していますが、こういう局面では不動産の想定利回りが小さくなります。
これは、投資用不動産の価格指標となる直接還元法による不動産価格の計算式が以下の通りであるためです。
物件価格=NOI(純収益)/想定利回り
分母=想定利回りが小さくなるため、低金利のもとでは投資用不動産の価格は高くなります。売り手からすれば、高く売れることになるので、低金利は一般的には不動産の「売り時」と言えます。
日本では空前の低金利時代が継続していますが、米欧では利上げが行われています。
今後、日本でもある程度の利上げが見込まれています。金利水準の観点でも2023年は売り時と言えるでしょう。
2、投資用不動産の売却にかかる費用・税金について
不動産売却には様々な費用や税金がかかります。
(1)売却時にかかる費用
まず費用としては以下のようなものが挙げられます。
- 不動産仲介手数料
- (借り入れをしている場合)銀行への一括返済手数料
- (まだローンが残っている場合)抵当権抹消費用
それぞれについて簡単に解説していきますね。
①不動産仲介手数料
まず、不動産仲介手数料です。
不動産仲介手数料は、
- 売主のために買い手を探したり、
- より高く売れるために買い手と交渉したり契約書を作成したり、
- 不動産の適正な価値算定をしてくれる
等の対価として不動産会社に支払われる費用です。
構造としては以下の図の通りです。上から仲介会社が一社の場合と二社の場合です。
法律で上限が定められており、以下の通りです。
不動産の売買価格 | 手数料の上限 |
200万円以下 | 5% |
200万円超 400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円超 | 3%+6万円 |
ですので、これより安い分には問題ありません。
そうすると不動産仲介手数料が安い会社の方が良いかと思われがちですが、大事なのはより高い利益が残ることなので、高値で売却してくれそうな会社を仲介会社として選ぶと良いでしょう。
なお、不動産売却仲介手数料についてより詳しく知りたい方は「不動産売却の仲介手数料」についての記事も読んでみて下さい。
②(借り入れをしている場合)金融機関への一括返済手数料
次は借り入れをしていてまだローンが残っている場合(残債がある場合)にかかる費用です。
売却の決済後に、売却代金や手持ち金などで一括繰上げ返済し残債をゼロにします。金融機関によりますが、3,000〜10,000円の手数料が必要になります。
③(借り入れをしている場合)抵当権抹消費用
ローン残債をゼロにした後は、抵当権抹消登記をします。自分で申請の手続きすることができますが、売却の場合は司法書士に他の登記とまとめて依頼することになります。
その際の司法書士への報酬は、20,000〜30,000円前後です。
(2)売却時にかかる税金
次に税金もかかります。
- 譲渡所得税
- 不動産売買契約書の印紙税
- 固定資産税等の精算金と前払い賃料について
では、それぞれについて解説していきます。
①譲渡所得税
収益が出ている場合は譲渡所得となり、所得税・住民税が譲渡所得にかかります。
計算式としては以下の通りです。
「譲渡所得税=譲渡所得×税率」
そして譲渡所得の計算方法は以下の通りです。
「譲渡所得=売却価格—(購入価格+購入時かかった諸経費+売却時かかった諸経費)」
一方税率は5年未満合計39.63%(所得税30.63%、住民税9%)、5年以上では合計20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。
なお、税率は下記の表のようになっています。
区分 | 所得税 | 住民税 |
長期譲渡所得 | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 30% | 9% |
②不動産売買契約書の印紙税
不動産売却時には売買契約書を作成しますが、その際に貼る印紙税がかかります。
そして印紙税は売買契約書記載の物件金額により以下の通り変わります。
出典:国税庁
③固定資産税・都市計画税の精算金と前払い賃料
毎年度発生する固定資産税・都市計画税については、売主・買主間の双方で負担します。月割りまたは日割りで計算します。
大抵は売主が月末に1か月分の賃料を受け取ることで、「受け取りすぎ」となるので、日割りした分を買主に払います。
3、不動産売却の2つの方法 買取と仲介
不動産の売却方法は、大きく分けて2種類あります。
不動産売却時に買取を選択するか、仲介を選択するかで
- いくらで売れるか、
- 早く売れるか、
が変わります。
「どちらの方が絶対いい」ということはなく、ケースバイケースではあるのですが、不動産売却を失敗しないためにそれぞれの特徴や違いを理解しておきましょう。
(1)買取とは?
買取とは、不動産所有者が不動産会社を契約の相手方として売る形式です。
その名の通り、「買い取ってもらう」ことから「買取」と呼ばれます。
そして、不動産会社としては買い取った不動産に利益を乗せて購入希望者に販売することになります。
具体的には以下の図の右側の通りです。
(2)仲介とは
次に仲介とは、不動産が売主と買主の間に入ってサポートしてくれる形式です。
具体的には以下の左側の図の通りです。
買主は基本的に個人となります(場合によっては法人であることもあり)。
さらに、仲介会社が一社のケース(売主と買主の仲介業者が同じ)と二社のケース(売主と買主の仲介業者が異なる)があります。
【一社のケース】
【二社のケース】
不動産仲介会社は以下のような内容のサポートをしてくれます。
- 買い手を探してくれる
- より高く売れるように買い手と交渉してくれる
- 不動産売却契約書を作成してくれる
などなど、投資用不動産を売却するにあたって必要な業務をトータルでサポートしてくれます。
(3)買取と仲介のメリット・デメリットを徹底比較!
ただ買取と仲介にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
先ほどもお伝えしたように、どちらが絶対的に良くて、どちらが悪いということはありません。
状況により選択すべきものが異なります。
もしあなたが高額で売却することを重視するなら「仲介」を重視しましょう。
一方で、早めに売りたいのであれば、「買取」を重視しましょう。
表にしてそれぞれのメリット・デメリットをまとめましたので是非参考にしてみてください。
| 仲介 | 買取 |
メリット | 高額で売れる | 仲介手数料がかからない 早く売れる |
デメリット | 売却まで時間がかかる 仲介手数料がかかる 契約不適合責任を負う可能性がある | 売却額が安くなる |
買取と仲介の違いについてより詳しく知りたい方は「不動産売却の「買取と仲介」」の記事をご参照下さい。
4、投資用不動産の売却から確定申告するまで
高く売ることを主眼におき「仲介」の話メインで伝えていきます。売却のプロセスの全体像をみていきましょう。
以下の通りです。
- 売却に必要な書類を準備する
- 不動産売却のための適切なタイミングを知る
- 自身の不動産の価値を把握する。相場も把握する
- 不動産売却にかかる費用・税金を知っておく
- 不動産売却査定サイトについて理解する
- 不動産会社を選ぶ
- 不動産の売り方を選ぶ
- 内覧の案内をする
- 買い手と交渉する
- 売却契約を締結する
- 登記の移転をする
- 確定申告する
では、それぞれのプロセスについて詳しく解説していきます。
(1)投資用不動産売却に必要な書類を準備する
まずは不動産売却のために必要な書類を準備しましょう。
以下の通りです。
- 登記簿謄本
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 登記済証権利証
- 物件の間取り図
- 固定資産税納税通知書
- 固定資産税評価証明書
- 銀行に関する書類(銀行通帳、ローン返済予定表、ローン残高証明書等)
- 管理委託契約書
- 土地測量図・境界確認書
- 耐震診断報告書
- 建築確認済証および検査済証
- マンション管理規約
- 身分証
- 実印
- 印鑑証明書
- 住民票
不動産売却時の必要書類について詳しくは「不動産売却時に必要な書類【チェックリストつき】」の記事をご参照ください。
(2)不動産会社を探す時は不動産査定サイトを活用しよう
次に不動産会社を探しましょう。
でも探すと言っても、近隣で知り合いがオススメしてくれる会社があればいいですが、そうでなければインターネットで検索するなどして一社一社当たることになると思います。
それは手間がかかって現実的ではないですよね?
そこで非常にオススメしたいのが不動産売却査定サイトの活用です!
不動産売却査定サイトとは?
不動産売却査定サイトとは、あなたの物件情報を踏まえてサイト側があなたにとってオススメの物件を売却してくれる会社を紹介してくれるサービスです。
不動産売却査定サイトを活用するメリットは?
一社一社から見積りや提案をもらっていたらどうしても時間がかかってしまいますし、途中で営業力に負けて「もうここに依頼してしまおう」となってしまう可能性があります。もし選んだ不動産会社がいい会社であればいいですが、世の中には必ずしもお客さんのことを考えていない不動産会社も多いです。
複数の不動産会社から見積りや提案をもらっておくことは、相場を確認できることになり、不当に安い価格で不動産を売ることを回避できるのです。
また、もちろんですが、以下の画像の通り、安い見積りを出してくる会社もあれば高い見積りを出してくる会社もあります。
同じ売れるなら安く売ってしまうより高く売れる方がいいですよね?
不動産売却査定サイトを活用することで、より高く売ることができるのです。
また、先ほどからお話しているように、一社一社不動産会社をあたるより、不動産売却査定サイトからオススメの不動産会社を複数紹介してもらう方が圧倒的に売却完了までのスピードが早いです。
デメリットは?しつこい電話はかかってこない?
デメリットもないわけではありません。
まず費用的な負担はないのでご安心下さい。
もっとも、複数の不動産会社からメールや電話で連絡がある可能性があります。
不動産売却査定サイトによってはしつこい電話がかかってくるところもあるようです。
電話がかかってきても出る必要はないので、時間があるタイミングで折り返しすれば良いし、空いている時間でメールすれば大丈夫です。
不動産売却査定サイトの一覧 【PR】
「売却を急いでない」というなら、複数の査定サイトを使って多くの不動産会社から見積り・提案をもらうのが良いでしょう。
査定サイトにはそれぞれ得意分野があり、物件の種類(マンション、一戸建てなど)や所在地(首都圏、他の大都市圏、それ以外など)によって査定価格が異なることがあるためです。
具体的には、以下の表を参考に、超大手のサイト(すまいValueなど)と地元密着型のサイト(SUUMOなど)を組み合わせて利用することがポイントです。
3大都市圏 (首都圏・関西圏・中部圏) |
地方都市 |
地方の人口が少ない地域 |
(3)不動産会社を選ぶ時の見極め方
不動産売却査定サイトを使うと様々な会社からアプローチがあります。それらの会社の中から実際に「買取」「仲介」をお願いする不動産会社を選んでいきます。
会社の選び方のポイントは以下の通りです。
まずは消去法で
まずは消去法で考えていくと良いでしょう。
以下のいずれかに当たるようであればまずその不動産会社は選択肢から外しましょう。
①他の不動産会社と比較して営業電話が激しい→お客様から支持される不動産会社は激しい営業をしなくても利益を出しています。激しい営業電話をする時点でお客様に支持されていない可能性が高いです
②他の不動産会社と比較して明らかに高い見積額を提示している→他の不動産会社が3000万円前後なのにも関わらず、4000万円の見積りを出してくる会社は信頼してはいけません
③同様に、他の不動産会社と比較して明らかに低い見積額を提示してくる→先ほどと同じように、明らかに低い見積額を提示してくる会社も信用できないでしょう
④専任媒介契約を強要してくる→後ほど説明しますが、「仲介」には様々な契約形態があります。その不動産会社しか当該物件を仲介できなくなるような専任媒介契約を強要してくる不動産会社は気をつけた方が良いでしょう
その上で以下の点に着目して選ぶ
その上で、以下のポイントを確認して不動産会社を選びましょう。
- より高く売るためのアドバイスが多い
- 営業マンが親身に対応してくれる
- 投資用物件の売買経験が豊富
- 電話対応が丁寧→電話対応した方や営業マンはこちらの要望をきちんと聞いてくれる
- こちらが質問することに対する回答が納得できる→もし納得いかないことがあればその不動産会社(ないし営業マン)は避けた方がいいです
(4)投資用不動産の売り方を選択する
次に売り方を選択しましょう。
「売り方」とは最初にお話したように、
- 仲介か買取か
という話と、さらに「仲介」を選択した際の契約形態の話です。
そして仲介にすることに決めた際に、契約形態には以下の通り3つあります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
それぞれについて簡単に解説していきます。
最初に結論をお伝えすると、不動産会社を選別し、専任媒介契約を結ぶと良いでしょう。
一般媒介契約
まず、一般媒介契約とは、
- 契約した不動産会社が仲介業務をしてくれる
- ただ、他の不動産会社とも一般媒介契約を締結することが可能
- 自分で買主を探して売買契約を契約することも可能
- なお、物件をレインズ(※)に登録する義務はない
契約のことです。
他の契約形態と比較した一般媒介契約のメリットとしては何と言っても複数の会社に依頼できることです。もし専任媒介契約を締結してしまい、その会社が悪い会社だった場合には不当に安く売却してしまう可能性があります。複数の会社に頼めればそういうこともなくなります。
逆にデメリットとしては、専任媒介契約と比較すると不動産会社がちゃんと動いてくれない可能性があるので、売却に時間がかかってしまう可能性が挙げられます。
以上を踏まえると一般媒介契約がオススメの方は、
- すぐに不動産を売る必要はない→売却期間に余裕がある
- 高く売りたい
という方です。
専任媒介契約と専属専任媒介契約
次に専任媒介契約と専属専任媒介契約です。
両者に共通する特徴は以下の通りです。
- 他の不動産会社と同時に契約することはできない
- 契約期間は3ヶ月まで(契約更新期間も3ヶ月まで)
- レインズへの登録義務がある
- 依頼者(売主)への状況報告義務がある
さらに、専任媒介契約と専属専任媒介契約の違いとしては、前者が売主が自ら買主を見つけて契約することが可能な一方、後者は売主が自ら買主を見つけることができない点に違いがあります。
また、売主への状況報告義務が以下の通り異なります。
- 専任媒介契約・・・二週間に1回以上
- 専属専任媒介契約・・・一週間に1回以上
以上を踏まえた上で、どのような契約形態にしたら良いか迷われるかもしれませんが、まずは一般媒介契約を締結し、不動産会社を選別したら、専任媒介契約を結ぶと良いでしょう。
(5)投資用不動産の買主を探す
ここは「買取」か「仲介」で具体的にやるべきことが変わります。
買取の場合
買取の場合、不動産会社と交渉して不動産を売却することになります。
仲介の場合
次に仲介の場合です。
主に不動産会社の業務ですが、広告などをしてもらい、買主を探します。
もしなかなか買い手が見つからないのであれば、不動産会社の販売活動が十分ではない可能性があります。その際にはどのような活動をしているか随時確認しましょう。
もし十分な販売活動をしてくれていないのであれば仲介会社を変えた方が良いでしょう。
(6)より高く売却するため内見時のポイントは?
次に購入希望者に内見してもらう段階です。
賃貸中で入居者がいるのであれば内覧は難しいですが、空室の場合内覧が可能なので購入希望者に見てもらうことになります。
ここでの具体的な行動でより高く買ってもらえるかが変わってきます。
内覧のポイントについては、
- 内覧前の準備
- 内覧時の対応
に分けられるので、それぞれ解説していきます。
内覧前の準備
まず内覧前の準備ですが、できる限りの掃除はしておきましょう。
特にお風呂や台所などの水回りの掃除は重要です。
場合によってはハウスクリーニングを依頼しても良いです。
さらに、居住するにあたり問題があれば、修繕をしても良いでしょう。
ここで修繕費を支払ったとしても、修繕をしていなかったことで買い叩かれることを考えると、メリットは十分にあります。
具体的には、壁の穴や床の凹みから、使用にあたって修繕しないと支障が出る部分まで補修するようにしましょう。
内覧時の対応
次に内覧時の対応です。
物件のことをできる限り丁寧に説明しましょう。
仲介の場合、不動産会社が説明してくれるかもしれませんが、ご自身で説明するか、少なくとも不動産会社には伝えるべきことを
丁寧に伝えておきたい内容は以下の通りです。
- なぜこの物件に投資したか
- 物件のセールスポイント(部屋の中について)
- 可能な範囲でなぜ物件を売ることにしたか(買主としては売主がなぜ売るのかが気になります)
- もし修繕などしていればその箇所
- 部屋の中で居住者が使いづらいと思われる部分→デメリットもきちんと伝えることで信頼してもらえます
- 周辺環境のメリット→コンビニが近い、スーパーが近いなど
- 周辺環境のデメリット→駅から遠いなど
重要なのは、デメリットも隠さずきちんと伝えることです。
そうすることで、より信頼してもらいやすくなります。
信頼してもらえれば購入に結びつきやすくなるので非常に重要です。
(7)より高く売るためには買い手側と交渉する
「仲介」の場合、交渉は基本的に不動産会社がしてくれます。
もっとも、不動産会社は早く売れることを優先してしまうケースがあるので、きちんと交渉しているかはチェックしましょう。
場合によっては、交渉内容について随時報告を受けて、積極的に指示していくことが重要です。
なお、交渉時に重要なのが最初の価格設定です。
不動産査定サイトを活用した場合、不動産会社の見積りの平均を相場とみて、その10%増しの価格からスタートすると良いでしょう。
「仲介」で売却する場合、交渉時に購入希望者から値下げ交渉が入ると思います。
その際、あなたが売り急いでいないならすぐに減額に応じる必要はありません。
仲介してくれている不動産会社と相談しつつ、少しずつ減額していくと良いでしょう。
また、交渉にあたっては、ほかの投資用物件と比較検討しているのか、どのような物件と比較しているのか、投資初心者か、手馴れているのか、などです。そういったポイントを見極めながら内見やそれ以後の対応、価格の値引き交渉への対応などを考えましょう。
なお、これを言うと元も子もないかもしれませんが、何より大事なのは「高く購入してくれる購入希望者」を探すことです。具体的には投資意欲が高く、お金も十分にある方(もしくは属性がよくローンに通りやすい方)でしょう。
そしてこのような買い手を見つけてくるのが良い不動産会社です。
ちなみに、築10年を超えた物件の売却の場合は、屋上防水や給排水設備等の大規模修繕直後の方が売りやすいといえます。つまり交渉しやすいです。
(8)その他投資用不動産を高く売るポイント
その他、より高く売るためのポイントは以下の通りです。
- 多少無理してでも満室にしておく→多少家賃を落としてでも満室にしておきましょう
- きちんと修繕していることを証明するため修繕履歴を用意しましょう
(9)不動産売却契約を締結する
購入希望者との価格交渉が合意に至ったらいよいよ不動産売買契約を締結しましょう。
契約書の作成含めて手続きは基本的には不動産会社が行ってくれますが、どのような内容の契約書になるかは知っておくべきです。
(10)所有権移転登記手続きをする
売買契約が締結されたら不動産所有権移転登記手続きをしましょう。
この手続きも、「仲介」であれば基本的に不動産会社が主導してくれます。
なお、この時司法書士への報酬含めて不動産所有権移転登記に関わる費用は通常買主が負担してくれます。
(11)投資用不動産売却後の確定申告
不動産売却し、譲渡に伴う利益が出ていたら、つまり、譲渡所得=売却価格—(購入価格+購入時かかった諸経費+売却時かかった諸経費)がプラスであれば、不動産を売却した年度末に確定申告をする必要があります。
また、プラスではなくても、給与所得があれば、損益計算することで税金が戻ってくる可能性があります。
不動産売却後の確定申告については「不動産売却したら確定申告」の記事をご参照下さい。
https://fudousan-kyokasho.com/real-estate-sell-final-income-tax-return-1460
投資用不動産の売却についてよくあるQ&A
投資用不動産の売却を検討すべきタイミングはいつ?
不動産価格が値上がりし、低金利であれば売却に適した市況といえます。
物件については、大規模修繕費用の負担や譲渡所得に対する課税額などを勘案し「築10年以内の物件・所有期間5年経過後」がベストです。
投資用不動産を売却するとき「買取」と「仲介」どちらがいい?
どちらが絶対的に良くて、どちらが悪いということはありません。状況により適した方を選択してください。
早く売却したい時は「買取」、多少時間がかかっても高額で売却したい場合は「仲介」が良いでしょう。
仲介の契約は「一般」「専任」「専属専任」どれがいい?
時間がかかっても良いので出来るだけ高額で売却したい、というときは
- 一般媒介契約を複数者と交わし仲介業者を選別する
- 選んだ1社と専任媒介契約を結ぶ
と良いでしょう。
まとめ
今回は投資用不動産の売却についてお伝えしてきましたがいかがでしたか?
より高く売るためのポイントは、
- 「仲介」を選択すること
- 良質な「不動産査定サイト」を活用すること(適切な相場を確認すること)
- 良い不動産会社を選ぶこと
- 交渉を不動産会社任せにせず積極的に介入すること
- 売却までに空室はきちんと埋めること。埋まっていなければ丁寧な内見をすること