不動産投資は、金融機関に預貯金をしてもほとんど利子がつかない低金利や、年金不安の現状から、長期間の資産形成商品として注目されています。
また、不動産投資は株式、FXなどハイリスク・ハイリターンな金融商品に比べてミドルリスク・ミドルリターンな資産運用先の一つとしても人気を集めています。
しかし、不動産投資のメリットを全て把握されている方は多くないのではないでしょうか。
そこで今回は、「不動産投資のメリット」について紹介して行きます。
これから何かの資産運用を始めて見よう、また、不動産投資に迷っている方に、少しでもお役に立てたら嬉しいです。
目次
1、不動産投資について
そもそも不動産投資とは何でしょう。まず、不動産投資について知りましょう。
(1)不動産投資とは
不動産投資とは、利益を得る目的で不動産を購入することを言います。
(2)不動産投資で利益を得る方法
利益を得る方法は、大きく以下2つがあります。
①インカムゲイン方式
インカムゲイン方式とは、不動産を借主に賃貸して家賃収入で利益を得る方式のことを言います。
②キャピタルゲイン方式
キャピタルゲイン方式とは、投資用の不動産を価格が低い時に購入し、景気や需要の変動によりその価値が上昇した際に、売却することによって利益を得る方式のことを言います。
今の日本の不動産投資では、「インカムゲイン方式」賃貸により家賃収入の投資方法が主流になっております。
2、不動産投資のメリット
続いて、不動産投資のメリットについて書いていきます。他の投資商品では得られない不動産投資ならではのメリットもありますので是非ご参考下さい。
具体的にメリットとしては主に以下の7つが挙げられます。
- (1)安定した不労所得を得られる
- (2)高利回りが期待できる
- (3)相続・贈与税対策として有効である
- (4)生命保険の代わりになる
- (5)少額自己資金から始められる投資である
- (6)節税効果がある
- (7)私的年金の確保ができる
では、それぞれについて見てみましょう。
3、安定した不労所得を得られる
不動産投資の最大の魅力は、賃料という毎月安定した不労所得を得られる点にあると言えるでしょう。
下記データで分かるように、金利、株価、地価などは大きく変化したにも関わらず、マンションの賃料水準はほとんど変化なく、安定しています。
出典:東京カンテイ(2014年7月15日)
4、高利回りが期待できる
銀行の金利は普通貯金が0.02%、定期貯金でも0.3%という超低金利時代に、少しでも高い利率の金融商品や投資対象を求める方が多くいらっしゃるでしょう。
株式投資やFX、外貨預金などの投資商品では、ハイリターンが得られる反面、ハイリスクの商品でもあります。
それらに比べ、不動産投資は家賃収入により安定して高利回りが得られる点が魅力といえるでしょう。
特に首都圏のワンルームマンションは安定しており、5%前後の高利回りが期待できます。
5、相続・贈与税対策として有効である
相続や贈与の税金は非常に大きな負担です。特に現金や有価証券の場合は、時価に対して課税対象であるため金額も高くなります。
しかし、不動産で相続や贈与の場合、固定資産台帳や路線価などから算出した評価に対して課税となりますので、納める税金の額を少なくする事ができます。
建物の場合は、およそ50〜60%で評価され、土地は公示地価の80%位で評価されます。また、投資用不動産で第三者に賃貸することで、評価額がさらに30%が控除され、現金に比べ約1/3の評価となり、相続・贈与税対策としてもとても有効と言えるでしょう。
下記同じく2,000万円を現金と投資不動産で相続した場合の評価額を見てみましょう。
■ 現金2,000万円を相続した場合
相続税の評価額:2,000万円
■ 購入価格が2,000万円の投資マンションを相続した場合
(建物評価:1,200万円、土地評価:800万円)
相続税の評価額:682万円
<計算方法>
—建物—
1,200万×0.5(建物評価)×(1−0.3)(借家権割合)=420万円
—土地—
800×0.8(公示価格の80%)×(1—0.6×0.3)(借家権割合)×0.5(事業用小規模住宅)=262万円
—評価合計—
420万円+262万円=682万円
不動産の相続税の仕組みなどについて、詳しく「不動産は相続税対策として有効?不動産の相続税の仕組みについて」をご参照ください。
6、生命保険の代わりになる
不動産の購入資金を金融機関から融資を受ける場合は、団体信用生命保険に加入しなければなりません。
万が一、ローンの返済期間中に死亡または高度障碍者となった場合、団体信用生命保険が適用されローンの残債は保険金から返済されます。
残されたご家族には、無借金のマンションを残し、毎月安定した家賃収入もあります。
残される家族には保険のような役割も果たせるのは、数ある投資対象の中で、不動産投資の大きな特徴と言えるでしょう。
7、借入により少額自己資金から始められる投資である
不動産投資は、投資商品の中で、唯一その商品自体を担保にし、金融機関から購入資金を借入する事が可能です。ローンを活用すれば、少額の自己資金で不動産を購入することができ、家賃収入の収益を得ることができます。
借入により少額で収益を得ることができる点も不動産投資のメリットの一つといえるでしょう。
なお、最近積極的に投資ローンの融資をしてくれる金融機関も増えていますので、比較的融資も利用しやすい状況です。
不動産投資ローンについては、詳しく「不動産投資ローンについて知っておくべき10個のこと」をご参照ください。
8、節税効果がある
不動産投資では、給与所得とは別に、家賃収入を「不動産所得」として申告することが可能です。
不動産経営での年間収支が計算上で赤字になった場合は、給与収入と損益通算をし、確定申告をすることによって納めすぎた「所得税」を還付させる事が出来ます。
また、所得税の納税額をもとに算出する「住民税」も節税する事が可能です。
不動産経営の場合は、毎年のランニングコストとして、以下の費用を経費として計上できます。
- 建物管理費・修繕積立金、
- 賃貸管理会社費用
- ローン金利
- 固定資産税
- 減価償却費
以下、不動産投資による不動産所得と給与収入が損益通算した場合の所得税のシミュレーションを見てみましょう。
下記不動産情報や借入条件を前提にて算出しました。
不動産情報 |
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物件価格 | 15,000,000 | |
家賃(月額) | 80,000 | |
管理費・修繕積立金(月額) | 16,110 | |
賃貸管理会社管理費(月額) | 4,320 | |
借入条件 |
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自己資金 | 5,000,000 | |
借入金額 | 10,000,000 | |
借入金利(変動) | 3.00% | |
物件築年(西暦) | 2004 | |
建物構造 (RC=47 重量鉄骨=34 木造=22) |
47 | |
ローン年数 | 20 | |
経過年数 | 10 | |
残存耐用年数 | 37 | |
税務上耐用年数 | 39 |
年間収入額 |
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家賃収入額 | ① | 960,000 |
給与所得 ※給与所得の金額=収入金額(源泉徴収される前の金額)-給与所得控除額 |
② | 5,000,000 |
収入合計額(①+②) | ③ | 5,960,000 |
不動産諸経費 |
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固定資産税 | ④ | 60,000 |
管理・修繕費 | ⑤ | 193,320 |
PM会社費用 | ⑥ | 51,840 |
損害保険料 (火災・地震保険など) |
⑦ | 20,000 |
減価償却費 ※1,500万(物件取得費用)*0.028減価償却率) |
⑧ | 420,000 |
借入金利子 | ⑨ | 283,660 |
税理士報酬 | ⑩ | 50,000 |
合計(④~⑩合計) | ⑪ | 1,078,820 |
所得税計算 |
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所得金額(③-⑪) | ⑫ | 4,881,180 |
青色申告控除 | ⑬ | 100,000 |
課税対象額(⑫-⑬) | ⑭ | 4,781,180 |
年税額 ※③*20%-427,500円 |
⑮ | 528,736 |
源泉徴収額 | ⑯ | 150,000 |
所得税額(⑮-⑯) | ⑰ | 378,736 |
結果として、不動産投資をしたにもかかわらず、給与だけの収入では528,736円の所得税に対して、不動産収入により、最終的に「378,736円」になり、約15万円の節税ができました。
サラリーマンの方が不動産投資した場合の確定申告については、詳しく「不動産所得があるサラリーマンのための確定申告講座」をご参照ください。
9、私的年金の確保ができる
日本の公的年金は、少子高齢化により財源不足だけではなく、厚生年金も負担する保険料額だけ増大していき、年金の受給額は減少傾向になります。また、受給年齢も引き上げされて、更に年金に対する不安が高まりました。
従って、今のうちから不動産投資を始めれば、賃料収入で長期的・安定的に資産形成していくことができます。退職後もゆとりあるセカンドライフを楽しむことが出来るでしょう。
10、 不動産投資のデメリット
上記にて不動産投資のメリットを紹介してきましたが、投資である以上デメリット、つまりリスクも伴います。不動産投資のリスクについては「不動産投資において失敗しないために知っておくべき14個のリスクまとめ」で詳しく書いております。参考にしてみてください。
まとめ
みなさん、今回は不動産投資のメリットについて書いてきましたがいかがでしょうか。これから何かの投資をしてみたい、または不動産投資しようか迷っている方のお役に立てば幸いです。
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