厚生労働省のデータによると、2016年現在、日本は年間結婚をするカップルは約63万組に対して、離婚をするカップルは22万組というデータが出ています。
つまり、単純に考えれば結婚したカップルのうち、なんと約三分の一ものカップルが離婚しているということになります。
円満離婚できればいいのですが、離婚する際に、婚姻期間中に築いた共有財産の分配に巡って大きく揉める夫婦も少なくありません。
有利な離婚をするには財産分与のポイントについて知っておくことが重要です。この記事をお読みの方の中にも、離婚時に不動産の売却に関して悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
今回は、共有財産のうち、婚姻期間中に購入したマンションをメインとして、できるだけ円満に財産分与する方法について説明していきます。離婚時のマンションの財産分与でお悩みの方のご参考になれば幸いです。
目次
1、前提として知っておきたい!離婚時のマンションの財産分与の方法
婚姻期間中に購入したマンションは、名義人に関係なく、夫婦の共同財産になります。ですので、離婚時に財産分与の対象となります。つまり、離婚時に、その不動産を夫婦のいずれかが所有するか(もしくは売却した場合にどのようにお金を分け合うか)を話し合いまたは裁判で決めなければなりません。
そして財産分与の方法は当事者間での話し合い等によって自由に決めることができます(もし話し合いで決まらない場合は裁判)。ここでは、財産分与の方法について説明していきます。
(1)名義人がそのまま住み続ける方法
まず一つ目の方法として、マンションを購入した際の名義人がそのまま住み続けることです。
例えば夫のほうが収入が多く、夫の名義でマンションを購入した場合、名義人である夫がそのまま住み続けて、妻は家を出ていくケースが多くなります。
そのようなケースでは、マンションを夫のものにする代わりに、現金・預貯金等の他の財産を妻に渡すという形で財産分与することになります。
この方法は最もシンプルで揉めにくいです。ただ、夫側に現金・預貯金などのその他の財産が十分にあることが必要となります。
(2)慰謝料の代わりにマンションを渡す方法
離婚の原因は様々です。不貞行為など、どちらか一方のみに落ち度がある場合、落ち度がある側が相手側に慰謝料を支払う義務が発生します。慰謝料というお金を支払う代わりにマンションという財産を渡すという財産分与の方法もあります。
また、そのような慰謝料の代わりとは別の財産分与の意味もあります。それは扶養義務を果たす、という意味での財産分与です。
つまり、財産分与には扶養の意味も含まれているので、配偶者がほとんど財産を持っていない専業主婦(専業主夫)の場合は、離婚後も生活ができるようマンションにそのまま住んでもらうという形の財産分与です。
(3)所有権を持たない側が所有権を持つ相手に対して家賃を支払い住み続ける方法
先程挙げた例と同様に夫の方が収入が多く、夫名義でマンションを購入した場合に引き続き夫が所有権を持ち続ける場合でも、親権を持つ妻が子供の学校の転校を避けたいなどマンションに住み続ける必要があるケースも考えられます。
そのような場合、所有権はあくまで夫で、名義人ではない妻が、夫に家賃を支払う形で住み続ける方法もあります。
(4)マンションを売却してそのお金を分け合う方法
以上のようにいずれかがマンションに住み続けるという方法の他に、マンションを売却して、そのお金を分け合う、という方法もあります。
この方法について詳しくは「4、財産分与のトラブルを回避するには「売却」が最も有効?」をご参照下さい。
(5)マンションを賃貸に出すことで得た賃料を分配する方法
双方ともそのマンションに住み続ける意志がない場合は、マンションを賃貸に出すことで得られた賃料収入を折半にする方法です。
2、名義人以外の者がマンションに住む場合に!財産分与後によくあるトラブル
結婚しているうちはともかく、離婚してしまえば所詮他人です。離婚当時の約束はその後の生活環境変化によって守れなくなり、実際にトラブルになってしまうケースも少なくありません。
具体的には以下のようなトラブルが挙げられます。なお、これらのトラブルは「1、離婚時にマンションを財産分与する方法」に挙げた(1)(2)(3)に記載したような場合で、名義人以外の者がマンションに住む場合に起こります。
(1)住宅ローンの返済を巡るトラブル
まず多いのは、住宅ローンの返済に関するトラブルです。
例えば、マンションの名義人が夫で、名義変更なしで妻がマンションに住み続けた場合でも、住宅ローンを返済する責任は引き続きマンションの名義人である夫にあります。
離婚当時にこれで納得していても、その後、夫の年収が減るなど生活環境の変化で考え方が変わり、実際にローンの返済を途中で止めてしまうケースもあり得ます。
一般的には購入時に連帯保証人として妻となる場合が多く、当然ローンの請求は連帯保証人である妻にいきます。離婚したとしても連帯保証人であることは変わらないからです。
また、妻が連帯保証人ではない場合でも、金融機関の了承を得ずに名義人でない人が対象マンションを住居に使用していたら、それは金融機関との契約違反になり、実際に住んでいる妻にローンの残高を一括返済する義務が発生する可能性があります(なお、名義変更の方法は「不動産の名義変更について知っておきたい7つのこと」の記事を参考にしてみて下さい)。
一括返済じゃなくても、ローンの返済は夫が支払わずにいて、妻に返済能力がないと認定されてしまうとマンションが競売にかけられるリスクもあります。
このように住宅ローンが残っている物件を売却せずに所有することによって、トラブルが起きるケースがあります。
(2)名義人が勝手にマンションを処分してしまうトラブル
2つ目は勝手に賃貸に出してしまうというトラブルです。
マンションの処分に権限を持つのは名義人です。名義人が断り無く勝手に他の人に貸し出したとしても名義人でない方はそれを断る権利はありません。それに名義人が一方的にマンションを売却することもできます。
つまり、名義人でない限り、上記のようなトラブルを防ぐにはなかなか難しいでしょう。
(3)名義変更するのも簡単ではない?
上記を読んで頂いた方には、財産分与に関するトラブルの原因の大半は「マンションの名義人が住み手ではなく相手側である場合」であることが分かって頂けたかと思います。
では、名義を変更すれば解決できるのではないかと思われている方が多いと思いますが、実は名義変更もそう簡単にはできないようです。
住宅ローンが完済していれば問題ないですが、住宅ローンが残っている場合、名義人が変更して現在の名義人より返済能力が低くなると、金融機関などの債権者に債権回収ができないリスクが大きいと判断され、名義変更を認めない可能性があります。
他の金融機関に住宅ローンを借り換えするという方法もありますが、新しくローンを組むのも返済能力の有無で判断されますので、借り換えも簡単ではありません。
なお、離婚によって名義変更する際に必要な書類や流れなどについて詳しくは「不動産の名義変更について知っておきたい7つのこと」を参考にしてみて下さい。
3、財産分与のトラブルを回避するには「売却」が最も有効?
「2、財産分与後によくあるトラブル」に記載したようなトラブルを回避するには、離婚するタイミングでマンションを売却することが最も有効的な解決方法です。
売却される場合、離婚時のマンションの売却のノウハウが豊富なHOME4Uをぜひ利用してみて下さい。
(1)すまいValue
東急リバブル、住友不動産販売、野村の仲介など、登録会社を大手不動産会社だけに絞った大手志向の一括見積サイトです。
大手の意見も聞いてみたいという場合に利用すると、一括で大手6社に見積依頼を出すことができます。
(2)HOME 4 U
登録不動産業者の審査が厳しく営業攻勢を掛けてくるような業者を排除していることや、NTTグループである安心感など、初めての方や投資家ではなく自己所有の家を売却したい方などにもオススメできるサイトです。
(3)SRE不動産(旧ソニー不動産)
ソニーグループの不動産会社で、100%売り手の立場で売却活動をサポートしてくれます。サービス対応エリアに該当するならオススメです!!
(4)イエカレ(不動産売却)
不動産を最高価格で売却するをうたっているサイト。土地活用にも強いので、土地だけを売りたい場合もシミュレーションしてみると良いかも知れません。

4、売却しても住宅ローンが残るか否かで売却方法が変わる?住宅ローンが残る場合の任意売却とは?
売却するとして、もし売却しても住宅ローンが残る場合には「任意売却」となります。任意売却とは、「不動産会社に通常と同様に売却依頼することができ、売却した価格で完済できなかった残債については、債権者つまり金融機関と相談の上で、分割などの方法により返済できる売却方法」です。
任意売却になるか否かを事前に把握する意味でも、まずはHOME4Uなどの一括査定サイトを利用してマンションの資産価値を把握しておきましょう。
以下では、
- (1)査定価格で住宅ローンを完済できそうな場合
- (2)査定価格の金額が住宅ローンを完済できない可能性がある場合
に分けて対応方法を記載していきます。
(1)査定価格で住宅ローンを完済できそうな場合
一括査定での査定価格が住宅ローンを完済できそうな金額である場合、不動産会社に売却を依頼しましょう。
マンションを高くかつ短期間に売却するポイントについて詳しくは「マンション売却で損しないために知っておきたい8つのコツ」を参考にしてみて下さい。
(2)査定価格の金額が住宅ローンを完済できない可能性がある場合
一方、購入してまだ年数が浅い場合、マンションを売却しても住宅ローンを完済できないことも考えられます。足りなかった金額について名義人がしっかり返済できれば問題ないのですが、中には手元に貯金がなく完済できない方もいらっしゃいます。
この場合、「任意売却」でのマンション売却を検討しましょう。
なお、任意売却のメリットとしては、
- 相場価格に近い価格での売却ができる
- 残債を分割にて返済することが可能
- 仲介手数料などの諸経費がかからない
- 自分の意志で売り先を決められる
などが挙げられます。
任意売却をする場合、金融機関などの債権者との交渉がありますので、任意売却に経験が豊富な不動産会社に依頼されるといいでしょう。
しかし、どこの不動産会社が任意売却の経験が豊富なのかが分からない方も多いと思います。HOME4Uには任意売却や買取保証がある不動産会社も多く登録されていますので、査定も含め、ぜひHOME4Uを利用してみて下さい。
まとめ
今回は、財産分与の方法から離婚時のマンション売却について書きましたがいかがでしたでしょうか。
マンション売却の方法には様々な方法がありますが、将来的のトラブルを回避するためには、離婚のタイミングでマンションを売却するのが最も有効です。
この記事が離婚時の財産分与で悩まれている方のご参考になれば幸いです。