40代になると、子どもの子育て真っ最中でなかなか他の資金について考えている暇はないけれどできれば今のうちに計画的に資産づくりしたいという方もいらっしゃいます。今回は奥様が積極的な運用希望で不動産投資に至ったケースをご紹介しましょう。(伊藤亮太・ファイナンシャルプランナー)
目次
・【投資家の横顔】共働きでも教育費はまだ考えず…
Hさんは47歳女性、夫も47歳。Hさんは自営業で、年収は800万円ほど。ただし毎年安定しているわけではなく、年によっては1000万円を超えたり、700万円ほどであることもあります。
一方で夫は一般的な会社員であり、年収は同じく800万円ほど。預貯金は2000万円ほどあり、今はお子さん(1人、16歳)の教育費を考慮して特に何も運用はしていないとのことでした。
・【投資の背景】趣味にお金をかけたことへの反省
今までは海外旅行や趣味にかなりのお金をかけてきたため、本来であれば夫婦でもう少し預貯金を貯めて運用をしておけばよかったと後悔していたHさんご夫婦。
確かにアベノミクスにのっかって運用していれば資産は増えていたかも知れませんが、一方でご家族でこれまで満喫されてきたわけですから、後悔する必要もないのではないでしょうか。
Hさんご夫婦は、これからは計画的に資産作りしていこうとお考えであり、教育資金も大学費用として仮に下宿代などもかかったとしても1000万円ぐらいあればなんとかなるだろう、足りなければ稼げば良いというポジティブな考えで預貯金1000万円をもとに不動産投資をするとの決意に至りました。
不動産投資を選んだのは、資産が残せること、最終的に複数戸持てば多少なりとも節税につなげられるだろうというお考え、安定的に家賃収入を得たいという3点からです。
・【物件選び】福岡市のワンルームマンション
Hさんが購入されたのは、福岡市のワンルームマンション1戸です。なぜ福岡市を選ばれたかというと、もともと奥様が福岡出身であり土地勘があったこと、政令指定都市の中でもっとも勢いがあるのが福岡と感じられていたからです。
購入物件価格は、諸費用も含めておよそ870万円ほどでした。
ローンを利用しなかったのは、着実に家賃を得たいというご希望と、最初の一歩なのでまずは借りずにスタートしたいという堅実な考えからです。
築17年のマンションですが、博多駅から徒歩10分ほどであり、ここなら賃貸はつくだろうと考えて購入に至りました。年間の家賃収入は63.6万円、実質的な収入は49.2万円であるため、実質利回りはおよそ5.7%です。
・【FPの分析・アドバイス】今後は何件も不動産を持てる可能性も
Hさんご夫妻は、手元資金の中から870万円ほどを拠出しても十分やっていけるという判断から投資を決意されました。
奥様の地元であり、運用を積極的にやりたいとお考えであったため、また資産をつくりたいというご希望からも福岡への投資は正解と言えるでしょう。
次はお子さんの教育費が一段落つきそうな気配になってきたら、それまでにまた預貯金や家賃を蓄え、次の物件にチャレンジするとのことでした。
年収が高いため、あえて借り入れしないという選択肢はHさんご夫婦ならでは。堅実に行うのであればそれもよいのではないでしょうか。
・借入をうまく利用できるならアリ
Hさんご夫婦の場合、息子さんが社会人になった頃でもまだ50代前半のため、今後の不動産投資次第では何件も保有することは可能でしょう。
最終的には不動産投資の収益が年金のようになれば良いということで、おそらくその目標は達成できるのではないでしょうか。
年齢や家族環境、考え方にもよりますが、借入を行い、手元に資金を残すという選択肢もあってよいでしょう。
投資を行う不動産も築年数や地域分散を図りながら、次へのステップに邁進していただきたいですね。
【40代から始める不動産投資】
・【事例編 1】老後資金の確保は貯蓄ではなく不動産で
・【事例編2】あえてローンを組む選択肢もアリ?