株を買って利益を出すために、優良な株の銘柄を選定する方法は大きく分けて二つあります。テクニカル分析(チャート分析)によって売買する株を選ぶ方法と、ファンダメンタルズ分析によって選ぶ方法です。
今回は、初心者のかたにもわかりやすく5つのテクニカル分析(チャート分析)の方法をご紹介します。
テクニカル分析は株価の値動きの波動を「チャート」で分析し将来の株価を予想します。チャートの見方をマスターして株式投資にお役立てください。
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過去の株価の動きや出来高のパターン、様々なチャートから将来の株価を予想し、現在の相場の流れは上昇トレンドなのか、下降トレンドなのかを判断していくのがテクニカル分析です。
目次
1、テクニカル分析とは
テクニカル分析とは過去の株価の動きや出来高のパターン、様々なチャートから将来の株価を分析し売買する銘柄を選定していく方法です。
株式市場は様々な要因で株価が上下します。現在の相場の流れは上昇トレンドなのか、下降トレンドなのかを判断していくのがテクニカル分析です。
テクニカル分析は、初心者でもすぐ使えるものから、プロ級まで幅広くありますが、まずは基本的なものを押さえておくだけでかなり銘柄選びが楽になります。
さて、テクニカル分析にはいくつもの手法があるのですが、ここでは最低限押さえておきたいものをご紹介していきます。
ローソク足
移動平均線
一目均衡表
ボリンジャーバンド
MACD
ストキャスティクス
2、テクニカル分析レベル1 〜ローソク足〜
(1)ローソク足とは?
テクニカル分析の基本となるのはもちろん株価チャートです。株価チャートは株価の動きグラフ化して表したものです。
その中で基本中の基本は「ローソク足」です。ローソク足は江戸時代から始まった日本発祥のチャートです。
1日、1週間、1ヶ月、1年といった期間の中の値動きをローソクのような形の棒で表し時系列に並べていったもので、以下の4本値を使ってチャートを作成します。
始値(始値)一定期間の最初についた価格
終値(終値)一定期間の最後についた価格
高値(高値)一定期間の最高値
安値(安値)一定期間の最安値
(2)ローソク足の見方
初値よりも終値が高ければローソク足の胴体の部分は白く塗ります。この線を陽線と呼びます。また、終値よりも初値が高ければローソク足の胴体部分は黒く塗ります。この線を陰線と呼びます。
そしてローソク足の胴体の部分から高値まで縦の線(ヒゲ)を引き、下側には安値まで縦線(ヒゲ)を引き、1本のローソク足が完成します。
ローソク足の形は投資家の心理状態や相場の強さを表します。
例えば、ローソク足の本体が陽線(白い線または青線)の時は買いが優勢だった事を表し、本体が長ければ買いの勢いが強く、短ければ弱かった事を表します。ローソク足の本体が陰線(黒い線または赤線)の時は売りが優勢だった事を表し、本体が長ければ売りの勢いが強く、短ければ売りの勢いは弱かった事を意味します。
上下のヒゲは値動きの強弱を表します。上のヒゲは弱気のサインで、ヒゲが長いほど相場の値動きは弱く、逆に下のヒゲは強気のサインで長いほど値動きが強い事を表しています。
(3)ローソク足の使い方 〜買いのサイン〜
①陽の丸坊主
(ヒゲのない陽線)
強い株価の上昇を表わします。投資家心理が非常に強い状態です。
②陽の大引け坊主
(短い下ヒゲができる陽線)
上昇見込みを表します。下値には買い支持があります。
③陽の寄付坊主
(短い上ヒゲができる陽線)
上値に抵抗があるものの上昇見込みを表します。
④カラカサ下影陰線
(上ヒゲがなく短い陰線に長い下ヒゲ)
初値から大きく下げて安値から大きく反発しているため上昇転換のサイン。
⑤カラカサ下影陽線
(上ヒゲがなく短い陽線に長い下ヒゲ)
一度価格が下がったもののその後反発して高値つけしているため底値圏で出た場合は転換のサインとなります。逆に上昇相場ででた場合は反落の可能性もあるので注意。
⑥トンボ
(本体が薄く上ヒゲがなく長い下ヒゲ)
相場の転換点のサインで、底値で出た場合は上昇へ切り替わる可能性があります。
(4)ローソク足の使い方 〜売りのサイン〜
①陰の丸坊主
(ヒゲのない陰線)
強い株価の下落を表します。売りが優勢な局面です。
②陰の寄付坊主
(短い下ヒゲができる陰線)
下落見込みを表します。投資家の心理も弱気です。底値で出た場合、反転する可能性もあるので注意が必要です。
③陰の大引け坊主
(短い上ヒゲができる陰線)
上値が重く投資家心理も弱いため、下落傾向が続く状態です。
④トンカチ
(長い上ヒゲのある陽線と陰線)
一度価格が大きく上昇したものの急反落した状態です。天井上をつけた形になり下落する可能性が高いです。
⑤トウバ
(本体が薄く下ヒゲがなく長い上ヒゲ)
初値から上昇したものの最終的には戻ってしまった状態。相場の流れの終わりを意味し売りサイン。
(5)ローソク足の使い方 〜様子見〜
①陽・陽のコマ
(短い陽線・陽線と短い上下のヒゲ)
あまり値動きのない状態です。上下の値動きの判断が難しく様子見局面です。
②十字線
(薄い本体と上下のヒゲ)
相場全体が様子を見ている状態です。相場の転換点になる可能性もあるため注意が必要です。
このようにローソク足からも相場の予想が立てられます。ただしどの局面でも同じような値動きをするとは限りませんので他の指標と併用して使うといいでしょう。
3、テクニカル分析レベル2 〜移動平均線〜
(1)移動平均線とは?
この指標はテクニカル分析で最もよく利用されるポピュラーな指標といっても良いでしょう。
移動平均線は一定期間の終値の平均を線でつないだものです。この平均価格を使用する事で1日の相場の値動きに惑わされる事なく、現在の相場の方向性が上昇局面なのか、下落局面なのか、見極めることができます。
価格を平均する期間に応じで5日移動平均線、25日移動平均線、75日移動平均線などがあります。
25日などの長期と、5日などの短期の平均線を組み合わせて使うのが基本です。
短期で設定した移動平均線は実際の相場の値動きに近い形で動きますが、長期の平均線は直近の株価の影響を受けにくくなるためもっと動きが緩やかになります。それで、それぞれ短期、長期の株価のトレンドを判断するために使います。上向いていれば上昇、下向いていれば下落のトレンドです。
(2)移動平均線の使い方 〜買いのサイン(ゴールデンクロス)〜
短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に突き抜ける事をゴールデンクロスと言います。
これは株価が上昇トレンドに入った事を表わしており、この後株価が上昇して行くため買いのサインと言えます。
ゴールデンクロスが発生した後は両方の移動平均線が下値の支持線(サポートライン)となります。つまりそれよりは価格が下がらないように相場は反発します。
(3)移動平均線の使い方 〜売りのサイン(デットクロス)〜
短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に突き抜ける事を、デットクロスと言います。
これは相場が下降トレンドに入った事を表しています。この後株価は下落していくため売りのサインとなります。
デットクロスが発生した後は両方の移動平均線が上値抵抗線(レジスタンスライン)となり、それ以上に価格が上がらないように相場は調整して場合が多いです。
4、テクニカル分析レベル3 〜一目均衡表〜
(1)一目均衡表とは?
一目均衡表は細田吾一氏が長年の歳月をかけて編み出し1936年に発表したテクニカル指標です。現在では、ローソク足とともに世界中で利用されている純国産のテクニカル指標です。
とても奥が深くまた細かく研究していくと非常に複雑ですが、基本的な内容と分析手法を説明していきます。
一目均衡表は、相場は売りと買いの均衡が崩れた方向に動いていき、値動きがはっきりとしたあとの相場の行方は一目瞭然であるという意味で名付けられました。この分析手法は時間というものに重きをおいて考えていきます。
特定の時間軸の中での値動きと平均値を考慮し、将来の株価を予想していきます。いつ相場が変化するか、過去の値動きから算出される目標値がいつ達成されるかといった時間軸をテーマにして分析していきます。
一目均衡表は以下の5つの線とローソク足を利用します。
基準線:過去26日間の最高値と最安値の中間値
転換線:過去9日間の最高値と最安値の中間値
先行スパン1:基準線と転換線の中間値を26日先行させて記入したもの
先行スパン2:52日間の最高値と最安値の中間値を26日先行させて記入したもの
遅行スパン:当日の終値を26日遅らせて記入したもの
雲:先行スパン1と先行スパン2の間の面積。チャート上では雲のような帯で表示される。
(2)一目均衡表の使い方
①転換線と基準線が交わったところを見る
転換線が基準線を下から上に抜けるとゴールデンクロスとなり買いシグナル。
転換線が基準線を上から下に抜けるとデットクロスとなり売りシグナル。
②遅行スパンを見る
遅行スパンがローソク足を下から上に抜けるとゴールデンクロスとなり買いシグナル。
遅行スパンがローソク足を上から下に抜けるとデットクロスとなり売りシグナル。
③雲を見る
雲はレジスタンスライン(抵抗線)またはサポートライン(支持線)として利用します。
ローソク足が雲を上抜けるとその後大きく上昇する可能性があり買いシグナル。
ローソク足が雲を下抜けるとその後大きく下落する可能性があり売りシグナル。
この三つのポイントが全て揃って買いシグナルの場合、「三役好転」と呼びより強い買いシグナルとなります。
逆に全てが売りシグナルの場合、「三役逆転」と呼び、より強い売りシグナルとなります。
5、テクニカル分析レベル4 〜ボリンジャーバンド〜
(1)ボリンジャーバンドとは?
ボリンジャーバンドは標準偏差の考え方が基本になっています。標準偏差というと受験の時にお目にかかる偏差値のイメージと近いものです。平均値からどれだけ値動きがあるかを標準偏差で計算し、値動きが収まりやすい範囲を想定していきます。
ボリンジャーバンドは移動平均線(通常25日移動平均線を使う)を中心として上下にそれぞれ3本の線を引きます。
一定期間のデータの標準偏差(シグマ = σ)を算出し、移動平均線の上の線をそれぞれ+1σ、+2σ、+3σ表示し、移動平均線の下を−1σ、−2σ、−3σと表示します。
標準偏差の理論によれば、±1σの範囲に株価が収まる確率は68.2%、±2σの範囲に収まる確率は95.4%、±3σの範囲に収まる確率は99.7%
となります。
それで、ボリンジャーバンドの活用法はこのようになります。
(2)ボリンジャーバンドの使い方
①±1σ、±2σ、±3σの線に株価が近づけば、それは株価が上限または下限に近づいたサイン。
例えば±2σの線ならその範囲に株価が収まる確率は95.4%ですのでそれより株価が上下する可能性は少ないと考えて+2σなら売り、−2σなら買いと判断します。
②±2σ、±3σの線を株価が上抜けたり、または下抜けたりした場合、トレンド変換のサイン。
95.4%または99.7%の範囲に収まらないのは異常値であるためトレンドの変換があったと考えられます。
+方向に抜けたら買い、−方向に下抜けたら売りと判断します。
ただし、あくまで確率ですので、95.4%の確率ということは、4.6%は例外があるわけです。例外的な値動きもあるということは、常に頭に置いて判断した方が良いと思います。
ちなみにこの手法は値動きの大きい小型株などに特に相性の良い手法と言えるでしょう。
6、テクニカル分析レベル5 〜MACD〜
(1)MACDとは?
MACD(移動平均収束拡散手法)は基本となるMACDという線とシグナルと呼ばれる線(MACDの9日移動平均線)という二本の線で構成されます。
MACDの細かな算出の仕方は省きますが、ここで使用する平均線は平滑移動平均とも言われ、新しい価格の方がより参考になるということで、直近の値動きに比重を高めて計算されているということだけ押さえておいてください。
具体的なMACDの使い方を説明します。
(2)MACDの使い方
MACDがシグナルを下から上に抜けると
ゴールデンクロスで買いサイン、上から下に抜けるとデットクロスで売りサインです。
グラフの数値にある0のラインを両方の線が越えると
強い相場の動きが発生しているサインとみます。
例えば、買いサインが出た後に両方の線が0のラインを超えていくと上昇トレンドがはっきりと出ているという事がわかります。
反対に売りのサインが出た後に両方の線が0のラインを下回ると下落のトレンドです。
7、テクニカル分析レベルレベル6 〜RSI〜
(1)RSIとは
この指標は一定期間における相場の値上がり幅と値下がり幅を使って、相場の「買われすぎ」、「売られすぎ」を客観的に判断します。
つまり株価が上昇し続ければ、買われすぎと判断し売りタイミングとし、逆に下落し続ければ、売られすぎと判断し買いタイミングとします。RSIは0から100%までの値で推移します。
(2)RSIの使い方
25から20%以下は売られすぎと判断し買いタイミング
70から80%以上は買われすぎと判断し売りタイミング
ローソク足と逆行してRSIが動く場合、トレンドの反転が近いことを示します。
例えばローソク足が安値圏で下がっているにもかかわらず、RSIが上昇している場合、株価は底値を打って上昇する可能性があり、逆にローソク足が高値圏で上昇しているにもかかわらずRSIが下落している場合、株価は天井を打って下落する可能性があります。
期間は14日を使うことが多いですが、期間を変えるとグラフの上下の回数が変化します。期間を長く設定すると、銘柄によってはほとんどシグナルが現れないこともあります。逆に期間を短くすると頻繁にシグナルが現れます。それで短期売買の場合には期間は短く、長期売買の場合は長く、売買のスタイルに合わせて期間の設定を変えます。
8、テクニカル分析レベル7 〜ストキャスティクス〜
(1)ストキャスティクスとは
RSIと同じく、相場の買われすぎ、売られすぎから売買すべきタイミングを判断する分析手法です。
やはりRSIと同じく0から100%の数値の中でグラフの動きを分析しますが、ストキャスティクスは二本の線を使って明確な売買シグナルを発生させます。
ストキャスティクスは「ファストストキャスティクス」と「スローストキャスティクス」の2種類があります。
「ファストストキャスティクス」で使う2本の線は、それぞれ「%K(パーセントK)」と「%D(パーセントD)」
「スローストキャスティクス」で使う2本の線は、それぞれ「%D」と「%SD」と呼びます。
ファストの方は短期(5から10日程度)の相場を見る指標として、スローの方は数週間程度の中期の指標と考えれば良いでしょう。
(2)ストキャスティクスの使い方
①%Kを単独で使う
80%以上で買われすぎ、20%以下で売られすぎと判断し相場の転換を見極める。
②ファストストキャスティクス
80%以上のゾーンで%Kが%Dを下に抜けるとデットクロスで売りシグナル
20%以下のゾーンで%Kが%Dを上に抜けるとゴールデンクロスで買いシグナル
③スローストキャスティクス
80%以上のゾーンで%Dが%SDを下に抜けるとデットクロスで売りシグナル
20%以下のゾーンで%Dが%SDを上に抜けるとゴールデンクロスで買いシグナル
9、株式投資スクールで学ぶ~日本ファイナンシャルアカデミー
日本ファイナンシャルアカデミーが主催する株式投資スクールは、受講生の7割以上がプラスの運用実績を残しています。
今なら、無料で90分間の教室を体験することができます。体験してみて受講を決めることができますので、申込みをしてみてはいかがでしょうか。
株初心者のテクニカル分析Q&A
Q1、テクニカル分析(チャート分析)でわかることは何ですか?
・見えない株式市場動きが全て織り込まれているので、あらゆる角度から総合的に株価の予想ができる。
・過去の相場は繰り返すので、株価が予想できる。
・相場のトレンドをいち早く確認できる。
Q2、トレンド系とは?
ローソク足、移動平均線、ボリンジャーバンド
市場の全体的なトレンド(方向性)を見極めることを目的にしたとしたテクニカル分析です。
Q3、オシレータ系とは?
ストキャスティクス、RSI、MACD
相場の「買われ過ぎ・売られ過ぎ」を判断するチャートです。
相場に明確なトレンドが出ていない状況などの投資判断で役に立ちます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
株の売買で利益を上げていくには、まずはこまめな相場のチェックが欠かせません。無料のホームページや無料のアプリなどを上手に使ってこまめに相場を見る習慣をつけましょう。
テクニカル分析をマスターしたら経済全体の大きな動きも把握できるようになります。
相場は今どこの位置にいるのか?これから先どこへ向かっているのかという大きな流れを掴むことによって投資の戦略をたてる事ができます。
銘柄の選定や売買のタイミングを決める際には、ここで紹介した分析手法を利用しましょう。