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  • 2019/5/8

「スルガ銀行・かぼちゃの馬車」事件のオーナーたちは今どうしているのか

不動産投資,トラブル,スルガ銀行

2018年に、その後の不動産投資業界を大きく変えることになった「スルガショック」をご存知でしょうか。

発端は、女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」でした。

都内を中心に845棟のシェアハウスのサブリース契約を行なっていた株式会社スマートデイズが資金難に陥り、約700名のオーナーに対してサブリース賃料を支払えなくなった事件です。

不動産業界を震撼させたこの事件を振り返りながら、かぼちゃの馬車のオーナーたちは今どうしているのか見ていきましょう。(岩田亜希・宅地建物取引士、兼業不動産投資家)






・「かぼちゃの馬車」のビジネスモデル

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を建築・販売・管理を行っていたスマートデイズのビジネスモデルは以下の通りでした。
※金額はわかりやすい数字を仮に入れています。
 
<建築>
提携している建築会社が施工
1棟あたりの建築コストは5,000万円

<販売・融資斡旋>
オーナーには1億円で販売する
購入時の融資はスルガ銀行を紹介
建築会社より5,000万円のキックバックを受け取る
 
<管理>
オーナーとサブリース契約を締結し、管理を行う
 
オーナーとしては、

・新築物件が用意される
・購入資金の融資をしてくれる銀行を用意
・購入後の管理にはサブリース契約

自分はなにも努力せずに毎月賃料収入が得られるという、これだけ聞けば夢のような話でした。

またオーナーの多くは30〜50代の会社員で、副業としてアパート経営を始めるケースが多かったようですが、そのような甘い文句で購入に至った人も多かったのではないでしょうか。

・問題は「サブリース賃料設定の甘さ」だった

それでは実際に「かぼちゃの馬車」とは、どのような物件だったでしょう?

筆者の知人が実際に所有している物件をご紹介しましょう。ちなみに現在は別の管理会社に委託しており、物件名も当時と変更になっています。

・都内私鉄駅から徒歩10分
・7平米
・築5年以内
・キッチン・シャワー・トイレ・洗濯乾燥機は共用部に設置

個室にはベッドと冷蔵庫、TV、収納を置いたらギリギリの広さです。この部屋のサブリース賃料が7万円の設定でした。

さすがに都内とはいえ、立地や築年数にこだわらなければ7万円でもう少し広いワンルームに住むことも可能です。もちろんこれでは入居者がつきません。

入居者のいない空室であってもサブリース契約ですので、スマートデイズ側はオーナーにサブリース賃料を支払わなければなりません。

そしてその原資となっていたのが、建築会社からのキックバックでした。

そのためこのスキームですと、新築を建て続けないといつかは資金が底をついてしまいます。

底を付き始めたのが2017年10月ごろです。

その頃からスマートデイズからオーナーへのサブリース賃料の支払いが滞るようになって行きました。

その後、2018年1月にはサブリース賃料の支払いが完全にストップ、同年4月に民事再生手続きを申請します。

その後、この申し立ては棄却され、同年5月、東京地方裁判所がスマートデイズに対して破産手続を開始することが決定しました。

・不動産投資業界に与えた影響

2018年4月、この一件を問題視した金融庁がスルガ銀行に立入検査に入りました。実は、スマートデイズからのサブリース賃料が滞った2017年10月ごろから同行のオーナーに対する融資を打ち切っていたのです。

融資ができないことによりスマートデイズの新規販売が悪化し、原資が底をついたスマートデイズは破産しました。自転車操業状態だったビジネスモデルは、融資元であるスルガ銀行の幕引きによって一瞬にして崩れたのです。

2018年10月には金融庁からスルガ銀行に対して行政処分が下されました。この一連の「スルガショック」を受けて、他の金融機関も不動産投資に対する融資に慎重になり始め、その結果、これまでのように融資ジャブジャブで誰でも物件が買えていた時代が終わりました。

・「かぼちゃの馬車」オーナーは今どうしているのか

さて、建築価格の倍額で購入してしまったオーナー達はいまどうしているのでしょうか。

例えば1億円を融資期間30年、金利4.5%で借り入れた場合、月々の返済額は50万円にもなります。

前述の通りオーナーの多くは会社員の副業としてアパート経営を行なっていたので、毎月のサブリース賃料を返済に当てているため、スマートデイズからの賃料が滞ると必然的に銀行への返済ができなくなります。

幸い、スルガ銀行はかぼちゃの馬車オーナーからの返済を猶予しています。その間は、滞納者としてブラックリストに登録されることもないそうですが、返済が再開したときのために今から準備をする必要があるでしょう。

筆者の知人は、管理会社を変更し、賃料設定を見直したことでなんとか満室でアパート経営が出来ていますが、賃料は当初設定されていたサブリース賃料の半分以下となってしまいました。

これでは毎月の返済額には到底足りず、もし返済が再開されれば、毎月自分の給与収入から補填して返済しなければなりません。

売却するにしても、元々倍近い金額で購入しているため、ローンだけが残ってしまいます。

全てお膳立てされて簡単にスタート出来たアパート経営ですが、いまでは止まっても地獄、進んでも地獄、簡単には抜け出せないアパート経営となってしまったのでした。

美味しい話にはウラがある……不動産投資をする場合にはこうなる可能性もゼロではないことを肝に銘じておきましょう。

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