投資信託には、長期的な運用を前提とした商品が多く、複数年にわたって保有することが一般的です。
しかし、不測の事態が発生した場合や、投資目的に合わなくなった場合には、途中で解約することが必要になる場合があります。
途中解約をするときのベストなタイミングはいつでしょうか?
損切り、利益確定などさまざまな場面を解説していきます。
なお、投資信託について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
投資信託とは|「投資信託」を理解して利回り30%超えを目指す方法
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1、投資信託を解約すべき7つのタイミングとは?
(1)リスクが許容限度を超えた
投資をするときの心構えとして、まずは「どこまでのリスクを取れるか」損切りのポイントを決めておくことが大切です。
市場環境や社会情勢の変化により、元本割れのリスクが発生し、想定の限度を超えてしまうことがあります。
そのようなとき、潔く損切りして売却(解約)することが大切です。
「もう少し待てば、再度上がるかもしれない」と期待して売却のタイミングを逸してしまう方が多いのですが、それは、初心者が陥りやすい落とし穴です。
確証バイアスに注意しましょう。
(2)投資配分が崩れたので、リバランスしたい
投資をするときには、自分が受け入れられるリスクとリターンのバランスをとって、商品を組み合わせるものです。
たとえば、債権と株式を7:3に設定したり、5:5に設定したりして投資を行うケースなどがあります。
しかし、時間が経つと商品に値動きが起こり、運用資産のバランスが崩れることがあります。
その場合には、増えすぎた資産を売り、減った資産を買い足して、バランスを取り直す必要があります。
このことを、「リバランス」と言います。
リバランスを行うとき、一定割合までバランスが崩れたときにその都度行っても良いですし、定期的に見直して買い足しと解約をしてもかまいません。
(3)資産配分を見直したい
当初、自分のライフスタイルに応じて投資商品を設定・購入しても、自分自身に変化が起こることがあります。
たとえば、収入が増えて、より大きくリスクを取れるようになることもあるでしょうし、反対に家族ができたためにリスクを取れなくなるケースもあります。退職した場合にも、投資方法が変わるでしょう。
このようなときには、資産配分の見直しが必要となり、このことを「リアロケーション」といいます。
資産配分を見直すときには、これまでの商品で不要なもの、多すぎるものを売却し(解約)、足りないものを買い足す必要があります。
一般的に、若い人であれば株式保有比率を高めにしておいて、年齢が高くなれば株式の比率は低くしていくことが多いとも言われます。
しかし、その人の考え方や家族構成、収入などにも左右されるので一概には言えません。
(4)利益を確定する
投資信託に投資をするとき、目標金額を定めることもあります。
その場合、基準価格が上がって目標を達成したら、迷わず売却すべきです。
このとき、「これだけ上がったのだから、まだ上がるかも知れない」と考えて売却を渋る方がおられますが、そうすると、反対に下がってしまい「あのとき売っておけば良かった」ということになりかねません。
「まだはもうなり」の格言を思い出してください。
欲を出さずに売却してしまう方が、長い目で見ると良い結果を得られやすいものです。
また、基準価額の2倍になったときに半分だけを売り、元手を回収するというテクニックもあります。そうすると、必ず元本を確保して、リスクを抑えて投資ができます。
(5)運用方針が大きく変わった
「ファンドマネージャーが交代したため、運用方針が変わった」
「分配金の率や配当方法が変わった」
このような大きな変更があると、今までの投資信託が、ニーズに合わなくなる可能性が高いです。
分配金目当ての方は、分配金の率を落とされると不満を感じるでしょうし、反対に、どんどん再投資したい方は、分配回数を増やされたり、高い分配金を出す方針に変えたりされると、魅力ある商品とは言えなくなります。
そういったときには、解約を検討しましょう。
(6)純資産総額が大きく減少した
ファンドが効率的に投資を続けるには、最低でも10億円程度の純資産が必要と言われています。
それを下回ると、運用効率が落ちて、繰上償還が行われる可能性も高くなります。
どのくらいの残高になったら繰上償還されるのかについては、目論見書に書いてあります。
そこまで行かなくても、類似のファンドに比べて運用成績が落ちているならば、解約を検討した方が良いでしょう。
(7)他に魅力的な商品が見つかった
たとえば「新興国」「IT」「コモディティ」「エネルギー」など、投資信託にはその時代に応じた「流行り」があります。
確かに流行りのものに投資するのも良いですが、こうした商品は、ブームが過ぎると急激に値下がりしてしまうことが多いです。
以前に流行っていた商品で、これ以上持っていたら損失が膨らみそうなケースでは、早めに解約しましょう。
2、投資信託を解約する際の4つの注意点
この章では、投資信託を解約する際の注意点をご紹介します。
(1)解約できないクローズド期間
投資信託の中には、一定期間は解約を受け付けないものがあります。
その期間のことを「クローズド期間」と言います。
クローズド期間のある投資信託は数としては多くないですが、自分が持っている投資信託にクローズド期間があるかどうか、チェックしておくべきです。
また、海外資産に投資する商品の場合、投資先の国の証券取引所の休業日には解約できないケースもあります。
証券会社に確認して、把握しておきましょう。
(2)解約から返金まで3日くらいかかる
投資信託を解約しても、そのときにすぐ解約できてお金が返ってくるわけではありません。
商品にもよりますが、だいたい3営業日くらいはかかることが普通です。
お金が必要な場合には、余裕をもって早めに解約しましょう。
(3)基準価額
投資信託の基準価額は、1日1回算定されます。
そこで、正確な約定金額(基準価額)は確定させられないまま、解約の発注をすることが多いです。
利益が出たと思って解約すると、解約が有効になるまでに基準価格が変わって損失になってしまうこともあり、注意が必要です。
(4)手数料(信託財産留保額)
決して大きい金額ではありませんが、投資信託を解約すると、信託財産留保額という手数料がかかるケースがあります。
ただ、商品によっては信託財産留保額がかからないものも多いですし、一定期間保有すると、信託財産留保額が低くなるものや、なくなるものもあります。
解約の際、信託財産留保額の要否や金額を、確かめておきましょう。
3、投資信託の解約時にかかる税金は?
投資信託を解約すると、税金がかかります。
ただ、利用している口座の種類により、税金の納付方法が異なりますので、以下で順番に確認しましょう。
(1)特定口座
証券会社を利用する場合、「特定口座」にしていることが多いです。
特定口座を利用している場合、投資信託の譲渡益に対する税金額は口座内で計算されますし、「源泉徴収あり」にしている場合、証券会社が口座から税金を納めてくれるので、利用者が確定申告する必要はありません。
(2)一般口座
一般口座を利用している場合には、証券会社が代わりに税金を計算して税務署に納めることがないので、利用者本人が確定申告しなければなりません。
確定申告するときには、解約(償還)損や解約(償還)益を株式売買益と通算できますし、損失を繰り越して次年度以降にかかる税金を低くすることも可能です。
(3)譲渡益にかかる税金20.315%
投資信託の譲渡益にかかる税率は、源泉徴収される場合、一律で20.315%(所得税 15.315%+住民税 5%)となっています。
また、NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)などを利用していると、投資信託を解約しても、税金がかからないケースがあります。
4、投資信託を解約手順
最後に、ネット証券である「SBI証券」を例として、投資信託の具体的な解約方法の手順をご紹介します。
まずは、IDとパスワードを入れて、SBI証券のページにログインします。
↓
そして、画面右上にある「取引」をクリックします。
↓
画面の上に「投資信託」が出てくるので、それをクリックします。
↓
すると、すぐ下の列に「売却」があるので、それをクリックしましょう。
↓
売却する銘柄を選択し、売却をクリックしましょう。売却をクリックすると、売り注文を入力する画面が出てきます。
↓
まず、「売却方法」の欄から「解約」をチェックしましょう。
↓
そして、「注文金額」の欄に、売却したい金額を入力します。
投資信託は、一部だけ売却することも可能です。全部解約したい場合には「全部」をチェックしましょう。
すると、パスワード入力欄が現れます。
あらかじめ設定してある「取引パスワード」を入力して、横にある「注文確認画面へ」のボタンをクリックします。
すると、売り注文の確認画面が出てきます。
内容を確認して、間違いがなかったら「注文発注」のボタンをクリックしましょう。
これで、投資信託の売り注文が完了し、解約が完了します。
基準価格に変動があるので、解約注文を出したときの金額で売れるとは限りませんので注意が必要です。
また、投資信託には、すぐに解約できないものもあるので、そういったものを売りたいときには、解約可能になるまで待つ必要があります。
よくある質問 【投資信託解約】
投資信託はいつでも解約できますか?
原則としていつでも解約可能です。ただし投資信託によっては購入から一定期間解約のできない「クローズド期間」や海外市場休業日等があります。
解約時にかかる費用はなんですか?
解約手数料(換金手数料)
多くの投資信託は解約手数料は無料ですが、まれに解約手数料がかかるものはあります。注意してください。
信託財産留保額
解約時、現金を用意して受け渡すのにコストがかかります。そのコストの負担が信託財産留保額です。
信託財産留保額が引かれた額が受け渡しされるので、別途支払う必要はありません。信託財産留保額のかからない商品もあります。
まとめ
今回は、投資信託の解約するタイミングや解約方法、解約時の注意点について、解説しました。
投資信託には、損切り、利益確定、ライフスタイルの変化などのため、解約すべきタイミングがあります。
また、基準価格や手数料の問題、解約から返金まで時間がかかることなども、頭に入れておきましょう。
今回の記事を参考に、投資信託の解約方法を正しく理解して、賢い投資信託の運用に役立ててください。