投資信託とは何か?そんな疑問をお持ちの方の多くは、投資信託を始めてみたいとお考えなのではないでしょうか。
しかし、いざ投資信託を始めようと思っても、何から始めれば良いのか分からない、たくさんある中からどれを選べば良いのかも分からないという疑問にぶち当たる方も多いと思います。
そこで、安定的でリスクの少ない資産運用ともいえる投資信託とは?という問いに本気でお答えしていきましょう。
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1、なぜ投資信託が良いのか
(1)投資信託だからできる利回り
定期預金であっても金利は雀の涙という時代において、投資信託では依然として高い利回りが続出しています。分配金利回りの上位ランクインをしている投資信託のデータを見てみましょう。
スルガ銀行のランキングを参考にしていきましょう。
出典:ノーロード投資信託の達人 分配金利利回りランキング(毎月分配型 投資信託)
スルガ銀行のランキングでは、なんと1位は43%を超えています。
投資信託とは、これだけの利回りを稼ぎ出すこともある投資商品であるということを最初にお伝えしておきたいと思います。
(2)運用はプロにお任せだから初心者も安心
投資信託の「信託」とは、資産運用を人に任せるという意味です。この「人」とはファンドマネージャーと呼ばれる運用のプロなので、投資信託は手持ちの資金をプロに運用してもらうことで高い利回りを狙うことができる投資商品です。
投資信託とは初心者向きの投資商品であると言われることも多いですが、それは「プロに任せられる」からです。
(3)投資家は投資信託を選んで買うだけ
投資信託の本数はとても多く、投資対象も実にさまざまです。投資家はその多彩な選択肢の中から「この投資信託は安心」「この投資信託は儲かりそう」という判断で投資ができるため、実質上投資家が行っていることは「選んで買うだけ」です。
個別銘柄の株やFXなどをご自身でトレードする場合だと売買画面に向き合って自分で売った買ったをしなければなりませんが、投資信託はお金を預けておくだけでファンドマネージャーがこの売った買ったを行ってくれます。
高利回りでプロにお任せ、そして投資家は選んで買うだけで本格的な投資ができる―投資信託とは、投資初心者にとってのメリットがとても大きい投資商品なのです。
2、ゼロから学ぶ投資信託とは?
(1)投資信託とは何か
投資信託とは、投資家から集めた資金を元手にあらかじめ設定した投資対象や投資方針などのルールに沿って投資を行い、そこから得られた利益を投資金に応じて投資家に分配する投資商品のことです。
投資の知識や技術がなくてもプロに運用を任せることで高い利回りが期待できるとあって個人投資家からの人気が高く、すでに数千本もの投資信託が運用されています。
(2)投資信託の仕組み
投資信託には、4つの当事者がいます。投資信託の運用ルールを決めて投資商品を作る「信託投資会社」、その運用ルールに基づいて実際に運用を行う「信託銀行」、投資信託を販売する窓口となる「販売会社」、そして投資信託に対して投資を行う投資家です。
窓口となっている証券会社や銀行自身が運用をしているわけではなく、運用はあくまでも委託会社の運用ルールに基づいてお金を動かしている受託会社であるということを押さえておいてください。
異なる証券会社や銀行で同じ投資信託を購入できるのは、この仕組みがあるからです。
(3)投資信託の種類
すでに日本国内には数千本もの投資信託が運用されています。これだけあるとその種類も実に多彩で、投資家のあらゆるニーズに応えられるようにラインナップされています。
ここでは実際に投資を行う際に必ず選択をすることになる3つのポイントで投資信託を分類してみます。
①国内か、海外か
投資対象を日本国内に限定するか、もしくは海外に限定するのかによって投資信託の性格は大きく異なります。海外といっても先進国への投資なのか開発途上国への投資なのかによって利回りや安全性も変わってきます。
内外型といって国内と海外の投資対象をミックスした投資信託もあります。
②何に投資するか
投資信託が投資対象としている金融資産として代表的なものは、株式、債券、不動産です。不動産の場合は不動産投資信託(REIT)と呼ばれ、J-REITといって証券取引所に上場されている投資信託もあります。
株式や債券、不動産などすべてにおいて国内への投資なのか海外への投資なのかという細かい分類があります。
③運用方針
投資信託とは「運用方針を買う」ようなものなので、その投資信託がどんな方針で運用することを目的としているのかによって、大きく2つに分かれます。
1つ目はインデックス運用で、もう1つはアクティブ運用です。
インデックス運用とは日経平均株価やTOPIX、海外の株価指数など特定の指標と連動するように運用するもので、アクティブ運用はインデックス運用が目指す平均的な運用成績を上回る成績を上げることを目的としています。
当然ながらアクティブ運用の方が大きな利益が出やすいですが、その反面で大きな損失も出やすいという表裏一体の関係にあります。
(4)投資信託のメリット
個人投資家、とりわけ投資初心者にとっての投資信託には主に4つのメリットがあります。
①運用はプロに任せられるので初心者でも安心
ファンドマネージャーが運用ルールを設定してそれに基づいた運用が行われるため、投資信託を持っておくだけでプロの運用効果が得られます。初心者にとって「どう運用するか」は大きな課題ですが、投資信託であればファンドマネージャーにお任せでOKなので投資技術が未熟であっても不利になることはありません。
②少額から好きな金額で投資できる
手持ち資金があまりないという方や、大金を投じるのは抵抗があるという方であっても、投資信託であれば少額から始められるので安心です。株であれば最低でも数十万円程度、不動産投資だと少なくとも数百万円程度からの投資になりますが、投資信託だと1万円未満からでも購入可能なので、投資金額の自由さは投資信託の大きな優位性です。
③リスク管理の基本である分散投資も手軽に可能
投資のリスク管理には分散投資が基本かつ効果的ですが、分散して投資するとなるとそれだけ多くの投資金が必要になります。投資信託はそもそも複数の投資対象に投資をしているので、1本の投資信託を保有しているだけでも一定の分散効果が得られます。
インデックスファンド(インデックス運用をする投資信託)であれば、対象となる指標の平均値を求めるための銘柄に投資をしているため、とても高い分散効果が得られます。
④投資の選択肢が多い
投資初心者がいきなり外国の株式や不動産に投資するとなるとかなりハードルが高くなりがちですが、投資信託だとそれもお手軽です。外国株で運用する投資信託や外国不動産で運用する投資信託を見つけるのは簡単なので、それを購入するだけでOKです。
数千本ある投資信託だけに投資対象も実に多彩です。これだけ多彩な選択肢から選べるのは投資信託のメリットです。
(5)投資信託のデメリット
プロのファンドマネージャーに任せっきりで安全性の高い投資ができるのは投資信託の魅力ですが、プロに任せることによるデメリットもあります。
①コストがかかる
ファンドマネージャーは職業として資産の運用を行っているので、報酬が必要です。投資信託ではこの報酬を信託報酬といいます。信託報酬は保有中ずっとかかり続けるものなので、コストとして計算に入れておかなければなりません。
その他にも投資信託を売却する際に一定の手数料などが必要になるため、こうしたコスト負担がデメリットして挙げられます。
②人任せなので投資の醍醐味は味わえない
プロに任せっぱなしで投資のリターンを狙うことができる投資信託ですが、任せっぱなしにするということは投資家にとってすることが何もないことでもあります。「買って持っておくだけ」の投資信託では、自分で売買をして利益を上げたり、そのためにチャートや相場を分析するなどの醍醐味は味わえないでしょう。
また、人任せの投資なので投資技術が磨かれることもあまり期待できないと思います。
3、投資信託とは何かを理解して利益を上げる方法
(1)投資信託で利益を上げる2つの方法
投資信託には、2通りの利益があります。その2つは、インカムゲインとキャピタルゲインです。
- インカムゲイン・・・分配金として定期的に支払われる利益
- キャピタルゲイン・・・購入時と売却時の差額で発生する利益
これを不動産投資に例えると、インカムゲインは家賃収入、キャピタルゲインは売却益です。
投資信託には定期的な分配金があるものと、そうでないものがあります。分配金を配当している投資信託はインカムゲイン狙いの人向け、分配金がないものはキャピタルゲイン狙いの人向けとざっくり分類して考えても良いと思います。
もちろん分配型の投資信託であっても分配金が上昇すれば人気も上昇、投資信託の価格も上昇するのでキャピタルゲインを狙うこともできます。
(2)これ1枚で投資信託のリスクが一目瞭然の分布図
せっかくの投資信託なので、どうせなら利回りの良いものを選びたい。しかし、虎の子の資金を必要以上の危険に晒したくないというのが投資家の本音です。
その要望を満たすための投資信託選びには、4つのポイントがあります。
ここで、各種投資信託の投資先別のリスク分布図をご覧ください。
投資先の国別に見ると、リスクの低い順に「国内>先進国>新興国」となります。投資商品別に見ると、リスクの低い順から「債券>不動産>株式」となります。
その基本を分布図に当てはめてみると、国内債券が最も安全で新興国株式が最もハイリスクであることが分かります。
そして縦軸は集中投資か分散投資かによってリスク分布を示しており、複数の投資商品にまたがって投資をしているものは分散効果によってリスクが低くなります。
それを総合すると、国内の複合型ファンドが最も安全度が高く、新興国の株式集中投資型のファンドが最もハイリスクとなります。
この関係性から投資をする資金をどこまでリスクに晒せるのか、そしてどこまで大きなリターンを期待したいのかを検討してください。
(3)魅力的な投資信託選びに必要な4つのポイント
投資信託の運用先や投資方針で大まかな戦略を立てたら、次はそれをしっかりと反映して利益を上げてくれる投資信託の銘柄選びです。投資信託選びには共通する5つのポイントがあります。これを押さえておけば「ババ掴み」を避けられるので、ぜひ投資信託を選ぶ際にチェックしてみてください。
①コストはできるだけ安く
「2-(5)①コストがかかる」のところで投資信託のデメリットとしてコストを挙げました。信託報酬がどれだけかかるのかによって投資のリターンが大きく影響を受けるため、「購入時」「保有時」「売却時」それぞれの手数料と合わせて少しでも安いものを選ぶのがポイントです。
仮に運用成績が1%高い投資信託だとしても手数料が1%高ければ相殺してしまうので、水物でもある運用成績が高いことよりもコストが安いことの方が重要です。
ノーロードといって購入時の手数料が無料のものを多くなっていますので、まずはその中から探し、信託報酬はインデックス型で0.5%未満、アクティブ型で1.5%未満というのを目安に選ぶのが良いと思います。
②純資産額は100億円以上
たくさんある投資信託の中には、不人気であるがゆえに純資産額も小さなものもあります。純資産額が小さいということはファンドマネージャーにとっての選択肢も限られてしまうので運用成績に悪影響を及ぼしかねず、そのために純資産額が伸び悩むという悪循環に陥ってしまいます。
純資産額が大きいことは人気の証しでもあるので、目安としては100億円以上ある投資信託を選びましょう。
③純資産額が増えている銘柄を選ぶ
前項で純資産額は人気の証しであると述べました。ヒットチャートではありませんが、「人気急上昇中」のヒット曲が注目を集めるのと同じで、投資信託でも純資産額が増えている銘柄がオススメです。
純資産額の推移は、Yahoo!ファイナンスで探すのが手軽です。「Yahoo!ファイナンス」の「投資信託カテゴリー」から調べたい投資信託を検索して、詳細画面の中からチャートを表示すると純資産額の推移を見ることができます。
このボリュームチャートを見て、投資を検討している投資信託の純資産額が徐々に増えているかどうかをチェックしてみてください。
④分配金再投資型の投資信託を選ぶ
月に一度分配金の支払いがある投資信託は、特に日本人投資家から高い人気を集めています。投資信託を保有しているだけで口数に対して分配金が支払われるので「毎月不労所得が入る」という触れ込みが人気の理由です。
しかし、毎月分配型の投資信託は身銭を切って分配金を支払っている例も少なくなく、また毎月分配型だとその分配金にその都度税金がかかるのでとても効率が悪く、実は最も儲けを出しにくいのです。
投資信託を検討するにあたって、分配金再投資型といって毎月の分配金支払いがない一方で基準価額の値上がりが見込める銘柄を選びたいところです。
4、投資信託に投資する3つの手順
(1)証券会社に口座を開設する
投資信託の購入は証券会社が主な窓口になるので、まだ口座をお持ちでない場合は証券会社に口座を開設するところからスタートです。銀行や郵便局でも投資信託の購入は可能ですが、取り扱い本数や力の入れようを考えると証券会社に軍配が上がります。
証券会社の中でもSBI証券と楽天証券は取り扱い本数が群を抜いているので、選択肢の多さや、やはり力の入れようから見てもこの2社が有望です。それ以外ではマネックス証券とカブドットコム証券の取り扱い本数が1,000本を超えているので、こちらも有望といえるでしょう。
SBI証券
楽天証券
https://www.rakuten-sec.co.jp/
マネックス証券
カブドットコム証券
(2)投資信託を選ぶ
証券会社に口座を開設したら、投資信託の購入や売却はすべて口座管理画面での操作になります。投資信託の選び方については「3-(3)魅力的な投資信託選びに必要な4つのポイント」でかなり詳しく解説していますので、そちらをご参照の上、投資信託の銘柄を選んでください。
銘柄を選んだら、投資信託の購入に必要な原因を口座に入金して、購入の準備を整えます。
(3)投資信託を購入する
証券会社の口座では投資信託の購入を「買付」と表記しています。目的の投資信託に対して買付の操作をすることで注文完了です。買付の方法はいくつかありますが、初めての方は「金額買付」といって購入金額を指定して購入することをオススメします。
5、投資信託のリスク管理
(1)投資信託の2大リスク
投資にはリスクが付き物なので、そのリスクをいかにコントロールするかが投資の成否を分けます。投資信託はプロに運用を任せるため安全度は高いですが、それでもリスクがゼロになるわけではありません。運用方針によってはハイリスクな銘柄もあるので、投資信託にも適切なリスク管理が求められます。
投資信託のリスクを分類すると、主に2つに分けられます。
- 価格変動リスク
- 為替変動リスク
為替変動リスクについては外国株式や外国債券など、日本円建てではない投資信託に限ってのことなので、投資対象が国内の場合はあまり関係ありません。
すべての投資信託に共通しているのは価格変動リスクで、購入した時の基準価額よりも下回ってしまうと売却時に損失が出てしまいます。
(2)異なるタイプの投資信託を組み合わせてリスクを分散
分散投資はリスク管理の基本です。投資信託の中には分散投資を目的としたバランス型ファンドも多数あるので、それを購入することである程度の分散効果を得ることができます。
自分で複数の投資信託を組み合わせて分散投資をするのも効果的で、国内と外国、株式と債券といった具合に異なる成り立ちの投資信託を組み合わせて持っておくと資産が目減りするリスクを軽減することができます。
(3)時間軸でリスクを分散
購入する投資信託の内訳でリスクを分散する方法だけでなく、時間軸でリスクを分散する方法もあります。その代表的な方法として、「ドルコスト平均法」があります。
同じ金額を毎月同じ日に投資し続けるのがミソで、基準価額が低いときは多めに買うことができるので多めに、基準価額が高い時は少ししか買えないので少なく、といった具合に同じ金額で買える分を買い続けるのがポイントです。
これを続けることにより取得金額が平均化され、価格変動によるリスクを平均化することができます。
シンプルかつ有効性の高いリスク管理術なので、「ドルコスト平均法で失敗したくない方のためのメリット&デメリット解説」の詳細解説もお読みになり、ぜひこのリスク管理法を身につけてください。
(4)余裕のある資金計画
選ぶ銘柄にもよりますが、投資信託は比較的安全性の高い投資商品です。そのため手持ち資金の大部分を投資しても大丈夫という意識になりがちですが、投資信託は元本が保証されているわけではなく、あくまでもリスク商品の一種であることを忘れないでください。
今すぐ必要になる可能性が低いお金、つまり余剰資金での投資を心がける必要性は他の投資商品となんら変わりません。お金の入用で投資信託を現金化しなければならないようなことがあると、損なタイミングで売らなければならない事態も考えられます。
投資のお金は投資に専念させるというのも、大切なリスク管理なのです。
まとめ
投資信託とは何か?という問いに対する答えとして基本的な知識から具体的な投資方法、投資信託の銘柄選び、そしてリスク管理までを網羅するように解説してきましたが、いかがでしたか?
今すぐにでも投資信託を購入してみたい!と思われた方は、善は急げです。まずは口座開設から一歩を踏み出してみてください。しかし、いくら早く投資をしたいからといって闇雲に買ってしまうのではなく、この記事で解説した内容を考慮しながら意義のある投資を始めましょう。