• 不動産投資
  • 2023/4/27 (更新日:)

不動産投資の固定資産税はいくらかかる?仕組みと計算方法を徹底解説

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不動産投資の固定資産税はいくらかかる?仕組みと計算方法を徹底解説

マンション投資において、税金は避けて通れない問題の一つです。

特に、保有している間ずっとかかる固定資産税は、課税対象者が自分自身であることや、税額がどの程度かかるのか、節税の方法はあるのか、といった点が気になるでしょう。多くの投資家は、「固定資産税を考慮していなかったために赤字になってしまった」という最悪の事態に陥っています。

そこで、当メディア「不動産投資の教科書」では、固定資産税の正しい計算方法について解説し、節税についても詳しくご紹介します。もちろん、「何とか固定資産税を安くする方法はないか?」とお考えの方にもぴったりの情報をご提供します。税金の節税は、収益に直結する大切なファクターです。しっかりと学び、賢く投資を行いましょう。

この記事をご覧の方は、以下の記事を読むとさらに理解が深まります。

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  • 不動産投資の失敗例から学ぼう


物件の課税基準額 × 1.4% = 固定資産税額

1、マンション投資では「固定資産税」の計算をお忘れなく

マンション投資 固定資産税

(1)税金の知識と戦略が重要な理由

マンション投資を含む、不動産投資に税金の知識は欠かせません。不動産を購入したり所有したりするとそれぞれの場面で税金が発生します。不動産投資に関連する税金を挙げてみると、以下のようになります。

【不動産購入】

  • 不動産取得税
  • 登録免許税

【不動産保有】

  • 固定資産税
  • 家賃収入に対する所得税
  • 住民税

【不動産売却】

  • 譲渡益に対する譲渡税(譲渡益がある場合のみ) 

【不動産相続】

  • 相続税(課税対象の人のみ)

こんなにあるのかと思われましたか?それぞれの金額はそんなに大きくないかも知れませんが、税金の名前だけを並べるとウンザリしてしまうかも知れません。

不動産保有時の1つ目に、この記事のテーマである固定資産税が登場しています。毎年1回発生するものなので、年間のキャッシュフローからその分を差し引くことを忘れないでください。

(2)固定資産税がキャッシュフローを圧迫する?

詳しくは後述しますが、固定資産税は「物件評価額の1.4%」が税額になります。仮に1,000万円の評価であれば14万円といった具合です。

もし、マンション投資の収支が10万円の黒字だったとします。この収支に固定資産税が考慮されていなかったとしたら、単純計算で4万円の赤字になってしまいます。

さすがにそんなことはないと思われる方も多いと思いますが、実はこのように固定資産税のことを忘れていたばかりに赤字になってしまったという事例は多いのです。

  • マンション投資の利回りが高くない
  • 空室率の高さのせいでキャッシュフローが思わしくない
  • コストがかかりすぎている

こうした理由で収支が辛うじて黒字というマンション投資で固定資産税のことを忘れていたとすると、先ほどのような赤字転落の憂き目にあってしまいます。

不動産投資の収支が赤字であっても、固定資産税は所有していることに掛かる税金なのです。

実際にマンション投資を始めてからはもちろんですが、マンション投資を検討している段階、物件選びの段階で行うシミュレーションでも固定資産税の存在を置き忘れないようにしてください。

 

2、固定資産税の仕組みと税額の計算方法

固定資産 評価額

(1)固定資産税とは?

固定資産税とは、土地や家屋、償却資産などが含まれる「固定資産」を所有している人に課税される税金です。つまり、マンション投資で所有することになるマンション物件も固定資産に該当するので対象に含まれます。一棟マンションならもちろんですが、区分マンションでもマンションの敷地を区分所有しているので、もちろん固定資産税の課税対象です。

後述しますが、よほどのことがない限りマンション投資には固定資産税が付いて回るとお考えください。

ところでその固定資産税の趣旨ですが、不動産などを持っているということは道路に面していたり社会インフラの恩恵を受けることになるので、その分を所有者が負担するべきという考え方に基づいています。

(2)固定資産税の計算方法

固定資産税の計算式は、実にシンプルです。

 物件の課税基準額 × 1.4% = 固定資産税額

 課税基準額については次項で解説しますが、その物件を課税という目線で評価した金額のことです。それに対して1.4%なので実際に計算をするときには、0.014を掛ければOKです。

 物件の課税基準額 × 0.014 = 固定資産税額

 なお、課税対象者はその年の11日の時点で物件所有者となっている人です。ちなみにこのように課税対象者が確定する11日のような日のことを、専門用語で「賦課期日(ふかきじつ)」といいます。

(3)課税基準額とは?

それでは次に、固定資産税額を算出する重要な数値、課税基準額について解説します。不動産などの固定資産を所有している人は固定資産台帳という帳簿を作成する必要があります。そこに記載されている固定資産が課税対象になるので、それをまとめておくというわけです。

この固定資産台帳には価格も登録されていて、その価格課税基準額となります。マンション物件を購入した時の取引価格ではないので、この点は注意してください。

自治体によって考え方が異なる場合があるので一概には言えない部分があるのですが、おおむね課税基準額は国が発表している公示価格の70%程度が目安となります。公示価格は相続税の税額算出では100%であるのに対して70%と低く見積もられているのは、3年に1回しか更新されない数値なので誤差を調整する意味合いが含まれているといわれています。

マンション投資を検討されている物件、もしくは所有されている物件の課税基準額を調べる方法として、資産評価システム研究センターが提供している「全国地価マップ」が便利です。

出典:全国地価マップ(一般社団法人資産評価システム研究センター)

(4)優良物件ほど固定資産税は高くなる

マンション投資に限らず、不動産投資では優良物件をいかに見つけるかが成否を分けます。うまく見つけることができた優良物件は、物件価格も相応です。不動産に掘り出し物なしという格言の通り、優良物件は人気が高くそれなりの価格になります。そうなると課税基準額も高くなるため、固定資産税の税額も比例して高くなるというイメージを持っておいてください。

ただし、優良物件の場合は利回りや稼働率が高くなるので、税額が高くなってもキャッシュフローが悪くなる可能性は低いのですが。

 3、固定資産税を考慮した正しいキャッシュフローの計算例

不動産 物件

(1)固定資産税を算出する

ある中古の区分マンション物件を想定、その物件の購入時価格は2,000万円だったとします。ここでは単純計算で、実勢価格の70%ということで課税基準額は1,400万円とします。

この物件の年間利回りは10%で、空室率を考慮した上での数値としましょう。まず、この物件の固定資産税額を求めます

1,400万円 × 0.014 = 196,000

この区分マンションを所有していることで、年間の固定資産税は196,000円です。

(2)年間のキャッシュフローを計算する

次に、このマンション投資のキャッシュフローを計算します。空室率を考慮した上での利回りが10%なので、課税前の年間収益は、

1,400万円 × 0.110%) = 140万円

ここでは利回りから計算をしましたので簡単に140万円という数字が出てきましたが、月々の家賃額から算出することもできます。この区分マンション物件の家賃が12万円だとすると年間の家賃収入は144万円になる、という具合です。

(3)年間キャッシュフローから固定資産税を差し引く

先ほど算出した年間のキャッシュフローは固定資産税を考慮していません。それでは正しい収支が見えてこないので、ここで(1)で求めた196,000円という固定資産税額を差し引きます。

140万円(年間の収入) - 196,000円(固定資産税) = 1204,000

固定資産税を考慮したことで、より現実に即したキャッシュフローの計算ができました。

4、マンション投資の固定資産税は節税できる?

固定資産 評価額

(1)事業用不動産で節税できる可能性は?

不動産はそもそも分母になる金額が大きいので、税金も大きくなりがちです。先ほど計算をした19万円6,000円という固定資産税についても、不動産を所有していない方にとっては毎年それだけの税金が増えるのは重大なことだとお感じかも知れません。

もっとも、不動産投資の世界では当たり前のことで、それを支払っても手元にお金が残るようにシミュレーションをします。

しかし、そうはいっても固定資産税は毎年のことなので少しでも安くできないかと考えるのは当然の投資家心理です。自分で住むための不動産にはさまざまな減税や特例制度がこれまでにあったので優遇されている印象がありますが、事業用の不動産はどうなのでしょうか。

結論から述べますと、事業用不動産であっても節税の可能性は十分にあります。ここではマンション投資の固定資産税にテーマを絞って、節税の可能性と知っておきたい制度をご紹介します。

(2)固定資産税を節税する基本的な考え方

固定資産税だけの話ではありませんが、税金とはいかに分母を小さくするかが節税の基本です。所得税の税額を少なくするには、いかに所得を低く抑えるか、もしくは経費を大きくして儲けを少なくするかの勝負です。会社経営をしている人が領収書を欲しがるのは、まさにそのためです。

固定資産税の場合は税率の1.4%が動かないので、課税基準額をいかに低くするかがポイントです。実は固定資産税の課税については行政側もしっかりと算出をしているとはいえない場合もあるので、何もしなければ最大値の税金を支払っている可能性があるのです。

そこで役立つのが正しい知識なので、固定資産税をゼロにする、もしくは安くする可能性を制度面から探ってみましょう。

(3)免税点

免税点とは、「これ以下の資産であれば固定資産税の課税対象になりません」という基準です。

固定資産の種類

免税点

土地

30万円

家屋

20万円

償却資産

150万円

ここで表示されている金額は、課税基準額ベースでの数値です。つまり、実勢価格がもう少し高めであっても70%を掛けてみて上記の免税点を下回れば非課税になる可能性があるということです。

マンション投資ではあまり現実味がない金額に見えるかも知れませんが、地方の古いマンションで区分所有であれば信じられないような価格で取引されていることもあります。そんな場合は該当する可能性があるので、この制度を認識した上で激安物件を所有(もしくは購入を検討)されている方はチェックしてみてください。

(4)小規模住宅用地の特例

固定資産税には小規模住宅用地の特例という制度があります。規模の小さな不動産からは多額の固定資産税を取りませんよ、という趣旨の特例です。小規模住宅用地と見なされるのは200平方メートルまでの土地です。200平方メートルまでの部分は課税基準額が6分の1として計算され、それを超える部分であっても3分の1になるという、不動産所有者にとっても非常に魅力的な特例制度です。

マンションなど集合住宅の場合は、1戸単位で計算できます。つまり、区分マンション投資をしている場合は、マンションの敷地面積を戸数で割った面積から計算できます。この面積が200平方メートルを下回るのであれば全面積が6分の1の軽減対象になるので、かなりオトクです。

一棟マンション投資をしている場合は戸数ごとに計算ができるので、20戸あるマンションであれば200平方メートル×20戸分の面積までが6分の1軽減対象です。

それでは、「3、固定資産税を考慮した正しいキャッシュフローの計算例」で計算をした固定資産税について、この特例が100%適用されたとして再計算をしてみましょう。

課税基準額が1,400万円でしたが、この特例によって6分の1になります。

1,400万円 ÷ 6 = 233.3333万円

なんと、約233万円にまで圧縮することができました。これをもとに固定資産税額を再計算すると、こうなります。

233万円 × 0.014 = 3万2,620円

年間で16万円もの差が出ました。この制度を使うことの意義がご理解いただけたと思います。

(5)新築の特例

購入したマンションが新築の場合、新築の特例が受けられます。120平方メートルまでの面積に対して、固定資産税額が向こう5年間にわたって半分になるという制度です。

新築の特例を詳しく解説すると一般の住宅は新築後3年間なのですが、マンション投資の場合は5年間の軽減対象になる要件を備えているので、新築マンション投資であれば「120平方メートルまでの部分が5年間は固定資産税が半分になる」という認識で良いと思います。

まとめ

マンション投資には付き物といえる固定資産税について、その仕組みや税額の計算方法、さらには節税の可能性と具体的な制度まで解説をしてきました。これをすべてお読みになったあなたは、すでに固定資産税マスターです。

固定資産税に限らず、税金は自分から主張をしないと有利になる制度が適用されません。経営上、節税はとても大切なことなので、この記事で解説した特例などに該当しないかを一度チェックした上で、税理士に相談をして有利になるものは取りこぼさないようにするのが「成功する不動産投資家」への大切なステップです。

なお、土地の固定資産税・相続税は、利用区分や地目によって金額が変化します。
詳しくは、以下の記事もご参考にしてください。

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