50代になると、退職後のリタイアメントプランをどのように行っていくか考える方も多いのではないでしょうか。
今まで貯めたお金を運用すべきか、それとも現預金で安定的に運用すべきか?現預金だと増えないため取り崩していくと不安が残ると言った悩みが尽きない年代です。
今回は50代夫婦で、その後の老後資金を枯渇させないために不動産運用を始めたのお話です。彼らはどのように考えて不動産投資を行うに至ったのでしょうか?(伊藤亮太・ファイナンシャルプランナー)
目次
【投資家の横顔】安定的に老後生活を送るためにはどうしたら?
Fさんご夫婦の年齢は55歳男性、52歳女性(以下、Fさんご夫妻)。夫婦の年収は1400万円ほどであり、子供も社会人となった今、不自由には感じません。
住宅ローンも完済し、いよいよ老後資金を貯めるためにラストスパートをかけたい。
とはいえ、老後資金をどのぐらい貯めるのが理想なのか、また安定的に収入を得ながら老後生活を送るにはどうすればよいか?
こうした悩みから相談に至りました。
【投資の背景】貯蓄だけではもったいない…投資未経験でも不動産投資を選んだワケ
Fさんご夫婦は、それまで投資はほとんど行ったことがなく、ひたすら貯蓄に励み貯めた資金をもとに子供の教育資金や住宅ローンの返済資金を確保してきました。
それらがすべて必要ではなくなった今、いよいよ老後資金を作って行くことにシフトします。
預貯金は2,500万円ほどあり、毎年最低でも300万円は貯蓄したいと考えており、夫が60歳の段階で4,000万円の貯蓄と退職金をあわせて老後資金がある程度確保できれば良いと考えていました。
その後も65歳ぐらいまでは働きたいという考えだったため、よほど贅沢をしない限りは年金と貯蓄でやりくりが可能なキャッシュフローを維持できる見込みです。
それでもよかったのですが、収入源が年金だけになることに不安を感じ、不動産投資による安定収入の道を模索することになったのです。
この背景には、貯蓄の利子が全くつかないため、眠らせておくのももったいないという意識がありました。
【物件選び】地震リスクを考慮しホテルとマンション一戸投資へ
Fさんご夫婦は、アパート一棟投資も考えましたが、地震リスクなどを考慮し、マンション一戸投資に決めました。
地域分散を図るため、まずは川崎市のホテル一戸と福岡のワンルームマンション一戸に投資しました。
これは、今後の人口増加が期待できる点と、現状の現預金の範囲内で購入するためです。年齢的に融資は厳しいだろう、また融資の返済でも不安が残るため、現金で購入することを決意されました。
川崎の物件は、築25年前後で価格は900万円程度。実質利回りは8.3%であり、駅から徒歩8分にあるホテルの一室です。
ホテル需要は今後も訪日外国人の増加等で期待でき、安定的な収入になると考え、投資されるに至りました。
福岡の物件は、築13年前後で価格は川崎と同様900万円程度。実質利回りは5.5%であり、駅から徒歩9分にある都心のマンションの一室です。福岡市は政令指定都市の中でも人口増が期待できるため投資に至りました。
【FPの分析・アドバイス】ホテル投資は安定的な収入源となりうる
Fさんご夫婦は、この投資により現金が600~700万円程度になったため、あとは退職時までコツコツ貯蓄されるようです。そして、不動産投資により毎月10万円程度の収入を生み出すことができるようになりました。
川崎の物件は、築年数から見て老後に継続して保有して持つことが望ましいかは微妙なところです。ただし、ホテル投資のため、空室になることは考えにくく、安定的な収入源として考えてもよいかもしれません。
いずれも、どこかで売却するのも一手段です。その後の相続も考慮しながら、最終的には考えていきましょう。
年金代わりの不動産投資は、中長期的な視野をもって
Fさんご夫婦は、老後資金構築として月に10万円の収入源を持つことができました。
実際には65歳以降に年金代わりの収入源となります。家賃は引き続き貯め、まとまった資金ができた場合には不動産の組み換えもしくは追加も検討したいとのことでした。
その際の注意点は、売却できるかどうか、その後も安定的に収入源となるかどうか。また、現預金の割合との兼ね合いをどうするか。
資産があってもキャッシュがなければ困窮しかねません。
そのため、中長期的な視野から、不動産投資を行うことが妥当かどうか検討する必要があるでしょう。
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