• アパート経営
  • 2022/10/25

アパートローンの繰り上げ返済はするべき?メリット・デメリットを徹底解説

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アパートローンの繰り上げ返済はするべきなのだろうか?

アパートローンの繰り上げ返済については、「した方がいい」「しなくていい」と様々な意見があることでしょう。

「ローンを早く返してしまいたい」と思われるアパート経営者も少なくないと思います。

しかし、アパートローンの繰り上げ返済をするべきかどうかは、状況や今後の経営戦略によって変わってきます。

この記事では、アパートローンの種類繰り上げ返済のメリットデメリット自身の状況や今後と照らし合わせる時のポイントを解説します。

アパートローンの繰り上げ返済を検討する際に、役立てていただけましたら幸いです。

賃貸経営の仕組みとメリットデメリット【賃貸経営の実態を知りたい方に】」の記事では、賃貸経営全般について解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

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1、アパートローンの繰り上げ返済は2種類ある

繰り上げ返済とは、毎月の返済額とは別に、まとまった額を返済することです。 

返済は元本に充てられるため、繰り上げ返済する元本分の利息が減り、トータルの支払額を減らすことができます。

まずは、繰り上げ返済の種類と、それぞれの効果のちがいをみてみましょう。

(1)期間短縮型

月々の返済額は変えずに、返済期間を短縮する方法です。返済期間が短くなるため、トータルで支払う利息の金額を減らすことができます。

期間短縮型は、「早くローンを完済したい」という方に向いています。

一方、月々の返済額は変わらないため、繰り上げ返済によってすぐにキャッシュフローが良くなるという効果はありません。

(2)返済額軽減型

返済期間は変えずに、繰り上げ返済した翌月からの返済額を減らす方法です。月々の支出が減るため、即効性のあるキャッシュフローの改善を図ることができます。

一方、利息部分の減額率は、期間短縮型よりも低くなります。

 

2つの返済方法をみると、自身がどのようにキャッシュフローを改善していきたいかにより、効果の高い繰り上げ返済方法が変わってくることがわかります。

2、アパートローンを繰り上げ返済するメリット

この章では、アパートローンを繰り上げ返済するメリットについて解説します。

アパートローンを繰り上げ返済するメリットは、以下の3つです。

  • トータルの返済額を減額できる
  • 金利上昇のリスクを軽減できる
  • 与信がよくなる

詳しくみていきましょう。

(1)トータルの返済額を減額できる

繰り上げ返済の最も大きいメリットといえるのが、トータルの返済額を減らせる点です。

アパートローンの利息はローンの元本に応じて決まるため、繰り上げ返済により元本を減らすことで支払う利息分も減額できるのです。

前章で繰り上げ返済方法は2種類あると説明しましたが、「期間短縮型」の方が利息部分の減額率が高いため、繰り上げ返済の効果が大きくなります。

(2)金利上昇のリスクを軽減できる

金利上昇のリスクに備えられる点も、繰り上げ返済のメリットといえます。

変動金利を選んだ場合、金融政策の動向によっては想定より金利が高くなる可能性があるのです。

日本では、金融緩和により低金利が続いています。したがって、今より金利が低くなることは考えにくく、金利が上がる可能性の方が高い状態といえるでしょう。

少しでも返済額を減らしておくことで、金利上昇による返済額の増加でキャッシュフローが悪化するリスクを軽減できるのです。

ただし、金利が上昇した後に繰り上げ返済をすると、繰り上げ返済した時点の金利で返済額が再計算されるため、以降の毎月の返済額が高くなる可能性があることに注意しましょう。

(3)与信がよくなる

繰り上げ返済により、金融機関に対して不動産経営能力があることをアピールすることができます。「経営がうまくいっている」という印象を持ってもらうことにより、金融機関への与信がよくなるのです。

今後、不動産経営を拡大させるために新しくローンを受ける可能性がある場合は、繰り上げ返済のメリットが大きくなるといえるでしょう。

3、アパートローンを繰り上げ返済するデメリット

この章では、アパートローンを繰り上げ返済するデメリットについて解説します。

アパートローンを繰り上げ返済するデメリットは、以下の3つです。

  • 手数料次第で損する可能性がある
  • 急な出費への対応が困難になることがある
  • 不動産の買い増しがしづらくなるケースがある

以下にて、詳しく説明します。

(1)手数料次第で損する可能性がある

繰り上げ返済をする際は、金融機関がローン返済計画書を作り直す必要があるため、ほとんどの金融機関で繰り上げ返済時に手数料がかかるのです。

手数料の設定は様々で、「繰り上げ返済1回ごとに○○円」というパターンや、「ローン残額に対して○%」というパターンもあります。

固定金利を選択した場合は、違約金・損害金を支払って繰り上げ返済をすることになりますが、変動金利でも、違約金・損害金が発生する金融機関があります。

繰り上げ返済を検討する際は、手数料や違約金・損害金を支払ってもトータルの返済額を減らすことができるかどうか、よく確認するようにしてください。

繰り上げ返済を何度かに分けて行う場合、その都度手数料がかかることも覚えておきましょう。

(2)急な出費への対応が困難になることがある

繰り上げ返済をする際には、ある程度まとまった金額を返済することになります。

無理して繰り上げ返済して、手元に現金がほとんど残らない状態にしてしまうと、設備の故障や退去時の原状回復のほか、プライベートの急な出費に対応できなくなることがあるのです。

繰り上げ返済後も、想定できる急な出費には対応できる現金が手元に残る状態で行うようにしましょう。

(3)不動産の新規投資がしづらくなるケースがある

繰り上げ返済により手元の現金が減ると、新規投資する際の自己資金が出せなくなり機会損失になる可能性があります。

不動産の新規投資を考えている場合は、繰り上げ返済後も自己資金分が残る状態にする必要があるのです。

4、繰り上げ返済を検討するときのポイント

この章では、繰り上げ返済で失敗しないために、検討するときのポイントについて解説します。

(1)違約金・損害金を確認する

3ー(1)手数料次第で損する可能性がある」でも触れましたが、繰り上げ返済時に違約金・損害金がかかる金融機関があります。手数料が実質的な違約金・損害金になることもあります。

金融機関側から見ると、繰り上げ返済により減った利息の分だけ、儲けが減ることになります。

そのため、喪失した利息分を少しでも補うために、繰り上げ返済する際には手数料や違約金・損害金を支払うことが契約で決められているのです。

まずは契約書を見直し、契約内容を把握することから行いましょう。

(2)繰り上げ返済後のシミュレーションをする

繰り上げ返済後に、損益やキャッシュフローがどのように変化するのか、シミュレーションすることが非常に大切です。

繰り上げ返済は、タイミングにより効果が大きく異なります。

ローンの種類は、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類です。いずれも返済開始初期であるほど返済金に対しての金利割合が高く、返済後期になるほど金利割合が低くなります。

したがって、早いタイミングで繰り上げ返済するほど金利部分を減らせるため、効果が高くなるケースが一般的です。

(3)現金をどのくらい残すか確認する

急な出費に対応するための現金をどのくらい残すべきかは、個人の状況により異なります。子どもがいる場合は、子どもにかかる出費を考慮する必要がありますし、病気などで想定外の医療費がかかる場合もあります。

アパートの設備の修繕や、空室や滞納が続いた場合も想定しなければなりません。

このように、起こり得る急な出費を想定し、対応できるだけの現金を残した上で繰り上げ返済をすることは、リスクを回避することにつながるでしょう。

(4)投資戦略をふまえて検討する

自身の「投資戦略」によって、繰り上げ返済のメリット・デメリットは変わってきます。

今後、アパート経営を拡大していく戦略がある場合、金融機関に経営能力、支払い能力が高いという印象を与えられると、長期的に見てメリットがある可能性があります。

また、自己資金に余裕があり、とにかく返済を軽減したいと考えている方は、積極的に繰り上げ返済をすることも戦略のひとつになるでしょう。

一方、繰り上げ返済をすることでローンによるレバレッジ効果は低くなります。不動産投資は、他人資本で投資ができる点が大きなメリットになるため、そのメリットを最大限に活かすことができなくなることも覚えておきましょう。

(5)所得税額が増える可能性があることを考慮する

繰り上げ返済により支払う利息が減ると経費も削減されることになり、課税対象額が増えます。そのため、所得税額が増える可能性があるのです。

アパート経営による不動産所得は、家賃収入から様々な経費をひいたものになります。繰り上げ返済により利息の支払いを減らすことができますが、その分経費も減ることを考慮して行いましょう。

アパート経営の税金については、「アパート経営の税金7種を解説!節税方法も説明します」で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

アパートローン繰り上げ返済に関するよくある質問

(1)複数の不動産投資ローンを契約している場合は?

契約しているアパートローンの金利や返済期間、残高などを比較し、繰り上げ返済するアパートローンを選択する必要があります。

ポイントは、

  • 金利の高いローン
  • 残額の多いローン

から返済することです。

どちらも、どの選択肢が支払う利息分を減額できる効果が高くなるか、がカギになります。

(2)ローンの見直し時に他の選択肢はある?

金利を下げたい場合は、「借り換え」という選択肢があります。

借り換えについては、「不動産投資ローンの借り換え成功のために知っておきたい6つのこと」で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

(3)繰り上げ返済でローンを完済したらすることはある?

「抵当権抹消手続き」をする必要があります。抵当権は、ローンを返済するまでは対象の不動産が金融機関の抵当に入っていることを示すものです。

そのため、ローンを完済した場合は抵当権抹消手続きをすることで、自身に抵当権を移動させる必要があります。

金融機関にローン完済を証明する書類を発行してもらい、法務局に提出して所定の手続きをすることで完了します。

まとめ

今回は、アパートローンの繰り上げ返済について、メリット・デメリットから検討する際に気をつけたいポイントについて解説しました。

アパートローンの繰り上げ返済が有効かどうかは、オーナー自身の自己資金の状況や今後の経営計画により異なります。

自身の状況を整理し、借り換えを含めた複数のシミュレーションをしてみることで、自身のアパート経営に最適な返済方法を知ることができるでしょう。

アパート経営についての全般的な情報は、「アパート経営するには?成功させるために知りたい11のこと」で解説しています。ぜひご覧ください。


フドウくん
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