• アパート経営
  • 2022/8/18

アパート経営における修繕費の相場とさらに安く抑える5つのポイント

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アパート経営において、修繕費は必要不可欠なものです。
修繕費にはどのようなものがあって、どれくらい必要なのでしょうか。

アパート経営において、「どれくらいのスパンでどこを修繕するべきか」「どれだけの修繕費が必要になるのか」ということは、アパート経営のコストに直結する問題だけに、アパートを購入する前の段階から意識しておくべきことです。

また、入居者にとっても、退去時のトラブルを避けるためにアパート修繕費に関する責任の所在や相場観など、正しい知識を知っておくことは有効です。

今回は、

  • アパート経営における修繕費の基礎知識
  • 大規模修繕における費用の相場
  • 入退去時修繕における費用の相場
  • アパート経営の修繕費を抑えるためのポイント

といった情報について、不動産投資に関する情報を発信している当メディア・不動産投資の教科書が解説します。
アパート経営における修繕費について、正しい知識を整理し、健全なアパート経営を目指しましょう。


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1、アパート経営における修繕費の基礎知識

集合住宅であるアパートは、時間の経過とともに老朽化していくことは避けられません。
どんな建物であっても老朽しないことは避けられないので、アパートには定期的なメンテナンスが必要です。アパート経営におけるメンテナンスが“修繕”であり、修繕にかかる費用がアパート修繕費です。

アパートの修繕箇所としては、屋根や外壁、金属部品の改修などの外側から、給湯器やエアコン、内装などの内側についてがあります。

(1)アパート経営と修繕費の関係

アパート経営で少しでもキャッシュフローを多く残したいと思うと、家賃を高くするコストを切り詰めるかのどちらかになります。
家賃を高くすると、近隣物件との競争力が低下して空室率が上がってしまうため、余地があるとすればコストの部分です。

当然ながら、アパート修繕費もコストの一部なので「何とか安くしたい」という意識が働きやすい部分です。
もちろん、不要なアパート修繕費までかける必要はありませんが、必要な修繕を渋るのはおすすめしません。些細な修繕箇所を放置していると、やがて大きな修繕を要してしまい、かえってコストがかかってしまう可能性があるからです。

また、些細な修繕箇所を放置したまま入居した人からクレームが発生しては、アパート物件の評判にも影響します。
アパート経営に修繕費は付き物」「必要なものは惜しむことなく修繕を行う」というのが、長い目で見た場合にアパート経営の収入を最も安定化させます。

(2)2種類のアパート修繕

アパート修繕と一口に言っても、目的や内容によって違いがあります。まずは、その主な分類を明確にしておきたいと思います。

①大規模修繕

アパートに限らず、マンションや団地などの集合住宅に共通して必要なのが、大規模修繕です。
おおむね10年から15年に一度の周期で必要になるとされているもので、アパートの機能に直接関わる設備や外壁、雨漏り防止などの工事がメインです。

定期的にこのような工事を行わないと、アパートが本来持っている機能を損ねるばかりか、資産価値を下げてしまうことにもなります。10年から15年に一度の修繕工事に備えて、修繕金積み立てをしておく必要があります。

②入退去時の修繕(原状回復修繕)

アパートの入居者が退去した後に次の入居者を募集する際には、部屋のクリーニングを行うことが通常でますが、修繕が必要な個所があったらこのタイミングで修繕も行います。
具体的には、襖や網戸やクロスの張り替えなどが主な修繕項目で、その他にも設備に不具合が出ている場合には、機器類の交換なども行います。

次の入居者に気持ち良く住んでもらうことは、アパート経営の満足度向上につながります。評判が悪いと、不動産業者も紹介しづらいので、入退去時の修繕は必要に応じて行いましょう。

(3)アパートの主な修繕箇所

アパートの維持管理に必要な修繕箇所の主な項目をみていきましょう。それぞれの修繕費については、詳しく後述します。
以下の項目には、大規模修繕だけでなく、原状回復修繕や日常的に入居者からクレームが出た場合などに対応する修繕も含まれています。

  • 屋根や屋上、ベランダの防水工事
  • 外壁改修
  • 給水ポンプの交換
  • 給湯器の交換
  • エアコンの交換
  • 鉄製部品の防錆工事
  • クロスの張り替え
  • クッションフロアの張り替え
  • 障子や襖、網戸の張り替え

厳密ではありませんが、上から規模の大きなもの、周期の長い傾向にあるものという順に並べています。下にいけばいくほど頻度の高いものです。

(4)アパート修繕費は誰が払うべき?

アパートの修繕費は、誰が支払うべきものなのでしょうか。
過去に幾度となく争われた事例は、入居者に法外な請求がきたケースや、入居者の明らかな瑕疵なのに支払いを拒否した例などです。

原則として、アパートなど賃貸住宅には原状回復義務があります。入居者が退去する時には、入居時の状態に戻しておかなければならないという義務です。
とはいえ、長年そこに住んでいれば汚れたり劣化したりするのは避けられません。自然に劣化した部分については、入居者が修繕費を支払う義務はないというのが一般的な認識です。

しかし、入居者の瑕疵によって大きな傷や汚れがある場合や、取り扱い方が悪かったせいでまだ耐用年数を経ていない設備を壊してしまった場合などは、修繕費を入居者が負担するのが通例です。

入居者が負担する修繕費用は、保証金や敷金の名目で預けているお金から差し引かれ、その残りが入居者に支払われるという形になります。

以上のことから、入居者の瑕疵によらない自然な摩耗や汚損などに関するアパートの修繕費はオーナーの負担になるということです。

2、アパート経営における修繕費の相場【大規模修繕】

アパートの修繕費は実際にどれくらい必要なのか、その具体的な相場観を持っておくために項目ごとに解説します。
まずは、費用も大きくなりがちで、オーナーにとっても関心の高い大規模修繕からです。

(1)屋上や屋根の防水工事

アパートの屋根には防水加工が施されていますが、半永久的なものではなく、15年前後で経年劣化して雨漏りの原因になります。
アパートの防水工事を行う際の修繕費用相場は、1平方メートルあたり1万円前後です。
雨漏りはクレームの発生源になるだけでなく、建物を著しく損傷するため、アパートの築年数が10年を超えたら意識しておくべき修繕項目です。

(2)ベランダの防水工事

ベランダ各戸における「外と内」の接点についても防水加工が施されているので、屋根と同程度の時期に経年劣化します。各戸に雨水が侵入するのを防ぐために、10~15年スパンで修繕工事が必要になります。
屋根よりも工事をしやすい箇所のため屋根と比べると若干安く、修繕費の相場は1平方メートルあたり7,000円程度です。

(3)外壁改修

外壁は、雨風に晒されているだけでなく、紫外線が当たっているため、自然からの作用で劣化が進みます。放置していると見た目が悪くなることで、集客力が低下するだけでなく、外壁だけではなくその内側の劣化を進めることもあります。

目安としては1015年に一度のスパンで改修工事が必要とされていますが、10年経過時点で劣化が目立つようであれば早めに修繕工事を検討しても良いと思います。

アパートの外壁改修は修繕費の相場が1平方メートルあたり1万~3万円と開きがあります。
アパートの階数によって、足場が必要であるかどうか、塗装を何度塗りにするか、洗浄などの作業を含むかなどによって変動するためです。

(4)給水ポンプ交換

アパート内の各戸に給水するための設備として、アパートには必ず給水ポンプが設置されています。この給水ポンプにも寿命があり、おおむね1520年程度と言われています。つまり、給水ポンプも大規模修繕の項目に含まれます。

給水ポンプについては購入してきて自分で取り付けるわけにもいかないので、工賃込みで70~150万円程度が修繕費の相場となります。

(5)給湯器・エアコンの交換

給湯器やエアコンは、アパート内にある各戸の住宅設備です。いずれも生活に欠かせないものなので使用頻度も高く、10~15年で寿命を迎えます
機器類はそれほど高いものではなく、1台あたりの修繕費は工賃込みで10万円前後ですが、アパートの戸数分だけ必要になることに中が必要です。

(6)鉄製部品の防錆工事

鉄製部品は雨水に晒されると錆びてしまい、美観が悪くなるだけでなく本来の性能を失ってしまいます。
修繕するには塗装による防錆工事が必要になり、おおむね5年程度のスパンになります。

防錆工事の修繕費の相場は、1平方メートルあたり4,000円前後となっています。周期的に見て、アパートの大規模修繕と同時に行うのは3回のうち1回程度です。

3、アパート経営における修繕費の相場【入退去時の修繕

入居者が退去して次の入居者を迎え入れるまでの期間に行われるアパート修繕は原状回復を目的としたものなので、大規模修繕ほど大がかりなものにはなりません。
しかし、手抜きをすると集客力を低下させることになるため、次の入居者を早急に見つける意味でも怠りなくメンテナンスをしておきたいところです。

(1)クロスの張り替え

クロスとは、壁紙のことです。前の入居者が故意に破いたり汚したりしていなくても、何年も入居していたのであれば色褪せたり細かい傷や汚れがついたりするのが通常なので、入居者が退去する度に確認するのが良いでしょう。
内装業者に依頼すると、1戸あたり4~6万円が相場となります。

(2)クッションフロアの張り替え

クッションフロアとは、キッチンやトイレなどに敷かれている少し柔らかい素材の床材のことです。食器などを落としても割れないようにすることや、階下への音漏れを防ぐ配慮から、多くのアパートで敷かれています。

床材は通常の日常生活においても時間が経つにつれてどうしても汚れが目立ってくるため、入退去時にアパート修繕の一環として張り替えるケースが多く見られます。修繕費用の相場は1戸あたり4~5万円程度です。

(3)障子・襖・網戸の張り替え

和室でなければ障子や襖(ふすま)はないと思いますが、障子は約5年襖は約10年を目安に張り替えると良いでしょう。網戸の張り替えについては、5~10年をみておくと良いでしょう。

なお、障子や襖、網戸の張り替えについて、業者に依頼する場合の修繕費の目安はそれぞれ数万円程度です。大規模修繕と違って工務店やリフォーム業者などに依頼しなくても、オーナー自身が作業をすることも可能です。その場合は必要なのは材料費だけなので、それぞれ1万円を超えることはないとみてよいでしょう。

(4)ハウスクリーニング

退去時に部屋をきれいに掃除するのは当然のことですが、それよりもさらに普段は手を入れないようなところも含めて専門的に徹底的に行う大掃除としてハウスクリーニングをするのが一般的です。

ハウスクリーニングは、厳密にはアパートの「修繕」ではありませんが、メンテナンスの一環として必要なものとして認識しておきましょう。

ハウスクリーニングについては、以下の記事をご覧ください。
ハウスクリーニングの料金の相場と失敗しない業者選びの傾向と対策5選

4、アパート経営の修繕費を抑えるためのポイント

(1)定期的に修繕を行う

アパート経営における修繕費を抑えるためには、まずは定期的に修繕を行うようにすることがポイントです。

大規模修繕は、特に激しい損傷がなくても建物を維持するために行います。まだ使える状態であっても、設備や部品の交換や補修をするため、一見すると修繕を実施せずに放っておきたくなるでしょう。

しかし、定期的な修繕を実施しないと、結果として後で大きな修繕費用が生じてしまいます
例えば、定期的な外壁塗装をしなければ、将来的に下地補修工事まで必要となってしまい、外壁塗装の何倍もの費用が発生する可能性があります。

以上のことからも、定期的な修繕を実施することが、最終的な修繕費を抑えることに繋がるといえるでしょう。
また、定期的に大規模修繕を実施してきた物件は、仮に売却するようなことがあっても買主に高く評価してもらえます。

まさに資産価値を維持する行為に繋がりますので、大規模修繕は必要な支出だと思って定期的に実施するようにしてください。

(2)入居者の審査を厳しくする

アパート経営における修繕費を抑えるポイントとして、入居者に部屋を大切に使ってもらうことが挙げられます。
そのために、入居者審査を厳しくして、マナーの良い人を入居させることを心がけると良いでしょう。

マナーの悪い人を入居させてしまうと、部屋を汚く使われたり、設備を壊されたりする可能性があり、高額な修繕費がかかってしまう恐れがあります。

アパート経営を管理会社に依頼している場合には、管理会社に入居者審査を厳しくしてもらうように依頼すると、より効果的です。

(3)修繕費を見据えた建築プランを立てる(新築の場合)

これから新築でアパートを建築する場合には、修繕費を見据えた建築プランを立てましょう。
建築プランを立てるためには、複数社にプランを出してもらい、比較することをオススメします。

不動産投資の教科書では、アパート建築プランを含め、複数社にプランを一括請求できるHOME 4U 土地活用がオススメです。

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HOME4U土地活用は、大手NTTデータが運営しているサービスです。
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(4)修繕履歴を精査して物件を選ぶ(中古の場合)

これから中古アパートを購入してアパート経営を行おうと考えている方にとっては、どのような物件を選べば良いかという疑問があるでしょう。
築年数5年未満の物件であれば、少なくとも10年先くらいまでは大規模修繕がいらないと見込むことができますが、築年数10年以上の中古アパートはどうでしょうか。

物件を選ぶポイントとしては、前オーナーが大規模修繕の出費を嫌って出口戦略として売りに出しているなら、販売価格に修繕費を加算した金額が必要になることを見越して物件選びをする必要があるでしょう。

中古アパートの修繕状況を知ることは、物件選びの段階でとても大切なことです。
そこで注目したいのが、アパートの修繕履歴です。「いつどのような修繕をしたのか」を記録した書類で、次に必要となる修繕項目が分かります。

特に、屋根の防水や給水ポンプは、100万円を超える修繕費を伴うことがあるので、修繕時期や交換時期がいつだったのかを修繕履歴から把握しておきましょう。修繕履歴がない場合や不明確な場合は、購入対象から外すのが無難です。

アパートの修繕費に関するよくある質問

Q1.アパートの修繕費にはどのような種類がある?

アパートの修繕費には、次のようなものが含まれます。

  • 屋根や屋上、ベランダの防水工事
  • 外壁改修
  • 給水ポンプの交換
  • 給湯器の交換
  • エアコンの交換
  • 鉄製部品の防錆工事
  • クロスの張り替え
  • クッションフロアの張り替え
  • 障子や襖、網戸の張り替え

Q2.アパートの修繕費の相場は?

  • 屋上や屋根の防水工事・・・1平方メートルあたり1万円前後
  • ベランダの防水工事・・・1平方メートルあたり7,000円程度
  • 外壁改修・・・1平方メートルあたり1万~3万円
  • 給水ポンプ交換・・・工賃込みで70~150万円程度
  • 給湯器・エアコンの交換・・・1台当たり工賃込みで10万円前後
  • 鉄製部品の防錆工事・・・1平方メートルあたり4,000円前後
  • クロスの張り替え・・・1戸あたり4~6万円
  • クッションフロアの張り替え・・・1戸あたり4~5万円程度
  • 障子・襖・網戸の張り替え・・・オーナー自身が張り替えるなら材料費含めて1件あたり1万円以内

Q3.アパートの修繕費を抑えるポイントは?

  • 定期的に修繕を行う
  • 入居者の審査を厳しくする
  • 修繕費を見据えた建築プランを立てる(新築の場合)
  • 修繕履歴を精査して物件を選ぶ(中古の場合)

まとめ

ここまでアパート経営に付き物の修繕費について目的別、項目別に解説してきました。こんなに多岐にわたる修繕費がかかるようだとアパート経営は儲からないのでは?と思われるかも知れませんが、すべてのアパートは修繕費をかけた上で経営を成り立たせているので、ご安心ください。

実際に修繕を依頼するのは管理会社などになることが多いですが、その際にも修繕費を鵜呑みにするのではなく、ここで解説した費用感を参考に修繕費の妥当性などをチェックした上で依頼するようにしてください。

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