賃貸オーナーの方々(賃貸経営をお考えの方々)にとってはもちろんですが、現在住まれている家のハウスクリーニングをお考えの方、さらには入居している賃貸住宅を退去する時に敷金から差し引かれる「ハウスクリーニング料金」の相場が気になる方など、さまざまな立場の方にとってハウスクリーニングの相場は気になるところです。
すでにハウスクリーニングを利用している方であっても、今お使いの業者が高いと感じていてもっと安くやってくれる業者はないか?
ちゃんと比較検討しないと高い業者に依頼してしまうかも知れない…と考えている方もおられるなど、ハウスクリーニングの相場に対する疑問は尽きません。
こうした疑問や不安を解消するには、ハウスクリーニングの客観的かつフラットな目線で正しい相場を知るのが一番です。
正しい相場を知った上でハウスクリーニングの業者を比較検討すれば、安くやってくれる業者、コストパフォーマンスに優れた業者に出会う可能性も高くなります。
そこでこの記事では、
- ハウスクリーニングについての基本的な知識
- 平均的なハウスクリーニングの相場、実勢価格
- ハウスクリーニング料金を安くする方法
- ハウスクリーニング業者の選び方、傾向と対策
- おすすめハウスクリーニング業者紹介
などについて解説します。
ハウスクリーニング業者選びで失敗したくない方にとって必須の情報をまとめていますので、ご参考にしていただければと思います。
特に今の時期だと以下のようなエアコンクリーニングを要望される方も多いと思うので、是非その観点でも費用の相場を参考にして下さい。
目次
1、賃貸経営とハウスクリーニング
(1)そもそも、ハウスクリーニングとは?
ハウスクリーニングとは、一般的に言われている掃除よりもさらに専門的な装備や技術を用いて家全体をクリーニング(美化)することです。専門の業者が行うため、素人の掃除では思いが及ばないような部分も含めて、隅々まできれいに磨き上げてくれます。
ハウスクリーニングは居住している人が大掃除の代わりに依頼することもできますし、賃貸オーナーが空室になった部屋を次の入居者が入るまでにきれいにするという目的などで利用されています。
多くの場合、賃貸契約には退去後にハウスクリーニングを行うことが含まれており、退去時に返還する敷金や保証金からハウスクリーニングに要する費用が差し引かれて返還されるケースが多く見られます。そのため、ハウスクリーニングにいくらかかるのかという相場観については、賃貸オーナーだけでなく入居者にとっても関心事と言えるかも知れません。
(2)どんな業者がハウスクリーニングを行っている?
ハウスクリーニングを行っている業者として最も多いのは、掃除を本業としている専門の業者です。社名に「おそうじ」「クリーニング」などの言葉が含まれている業者が多いので、そういった業者は社名を見ただけでハウスクリーニングの専門業者であることが分かります。
その他には引っ越し業者や便利屋ビジネスを行っている業者などもハウスクリーニングに参入しているので、そのすそ野は広くなっています。
業者間の競争も激しいため利用者としては比較検討をしやすいですが、賃貸住宅の入退去が集中する春先や年末の大掃除シーズンはハウスクリーニング業者にとっても繁忙期となり、例年その時期は作業予約を取りにくくなります。
(3)ハウスクリーニングの主なサービス内容
サービスを行っている業者によって作業内容や相場はまちまちですが、一般的にハウスクリーニングと呼ばれているのは、マンションの部屋全体または一戸建て住宅の家全体をクリーニングすることを指しています。
そのサービス内容は、どの業者もおおむね以下のようになっています。
- 玄関
- 台所、ダイニング
- 換気扇、レンジフード
- 浴室
- トイレ
- 洗面所、脱衣所
- ベランダ、バルコニー
- 窓、サッシ
- 各室、廊下、階段などの床・壁
- エアコン
レンジフードやエアコンについては内部に汚れがたまりやすいので、分解したり内部のフィルターを洗浄するサービスが含まれている場合が多いようです。
これ以外に、以下のサービスが含まれていたり、オプションサービスとして用意されています。
- 一戸建て住宅の外壁
- クリーニングで出たごみの処分
- 天井、屋根裏
- 床のワックスがけ
- 光取り窓の洗浄
- 浴室のカビ防止コーティング
- ロフト
- クロス張り替え
- 畳表替え
こうしたサービスの組み合わせや内訳は業者によってまちまちなので、相場を調べる前に必要なハウスクリーニングの内容で業者の目星をつけておくことも重要でしょう。
もちろん、これらの部位を個別に依頼することもできます。気になるところだけ、自分たちではできない部分だけ、といった依頼のし方もOKです。
(3)夏のタイミングはエアコンクリーニングを依頼する方が多い
この記事の更新日は2018年8月5日ですが、このタイミングだとエアコンクリーニングを依頼される方が多いようです。
おそうじ本舗
2、ハウスクリーニングの費用の相場を見てみよう
(1)空室アパート、マンションの家全体ハウスクリーニング相場
ハウスクリーニングを行っている業者が提示している価格の相場は、おおむね以下の通りです。部屋が広くなるにつれて作業箇所が多くなるため、比例して相場も高くなっていきます。
部屋の広さ、間取り | 料金 |
ワンルーム、1K | 15,000~30,000円 |
1DK、1LDK | 30,000~40,000円 |
2DK、2LDK | 30,000~70,000円 |
3DK、3LDK | 50,000~85,000円 |
4DK、4LDK | 70,000~100,000円 |
それ以上 | ほとんどの業者に設定がなく、別途見積もり |
上記の一覧はあくまでも目安であり、複数の業者が提示している料金を参考にしてまとめたものです。
また、上記の料金は空室アパート、空室マンションのものであり、居住中のアパートやマンションの場合は料金が異なります。
(2)居住中のアパート、マンションのハウスクリーニング相場
居住中と空室では、ハウスクリーニングの相場が大きく異なります。
全体的に空室時の方がハウスクリーニングの相場は低めになっており、それには以下のような理由があります。
- 家に何も置いていないので作業をしやすい
- 家財道具を汚さないようにする養生の必要がない
- 居住者がいないので、作業の時間帯も比較的自由になる
居住中の自宅についてハウスクリーニングを依頼したい場合は、前項の相場から20~50%程度加算した相場観が目安となります。
(3)部位別ハウスクリーニング相場
前項までは家全体のハウスクリーニング相場でしたが、次は個別の部位に対する相場を見てみましょう。大手ハウスクリーニング業者が提示している料金から、目安となる金額をご紹介します。
床(ワックス込み) | 8,400円~15,000円(6畳あたり) |
エアコン1台あたり | 12,000円前後 |
トイレ | 8,000円~10,000円 |
浴室 | 14,000円~17,000円 |
台所 | 15,000円~25,000円 |
洗面、脱衣所 | 8,000円~9,000円 |
これらはすべて実際にハウスクリーニングサービスを提供している業者の実勢価格です。実際の見積もりでは諸要素によって金額が変わってくる可能性があります。
そうした事情を踏まえて言えるのは、個別の部位だけだと割高になることです。「ハウスクリーニング=家全体のクリーニング」というイメージが強いのは、家全体を丸ごと依頼したほうが安く感じるからだと思います。
(4)一戸建て住宅のハウスクリーニング相場
一戸建て住宅であってもハウスクリーニングのサービス内容が特に変わるわけではないので料金相場にそれほど差はありません。ただし、一戸建て住宅の場合は階段や廊下などマンション、アパートにはないようなクリーニング箇所があるのでその分だけ割高になります。
また、1階と2階それぞれにトイレや水回りがあるような住宅など、基本サービスでは1ヶ所のみとなっているクリーニング箇所が複数ある場合だと家全体のハウスクリーニングであっても、多くの業者では2つ目がオプション扱いとなります。
(5)ハウスクリーニングの繁忙期と閑散期
ハウスクリーニングサービスには、時期によって繁忙期と閑散期があります。繁忙期は新年度を控えて引っ越しが多くなる3月と、年末の大掃除需要が高くなる12月です。この中でも新年度に関わる引っ越し集中期というのは引っ越しが集中しやすいため、希望の日時にハウスクリーニングの予約を取りにくい事態も十分考えられます。
繁忙期と閑散期では予約の取りやすさだけでなく料金相場にも違いがあるので(閑散期の方が安い)、繁忙期のハウスクリーニング依頼は早め早めに手を打つことが重要です。
3、ハウスクリーニングの費用を安く抑える方法
(1)できるだけ「まとめて依頼」する
家全体のハウスクリーニングと、部位別のハウスクリーニングについてそれぞれの相場をご紹介しましたが、これを見ると「個別部位で依頼すると割高になる」ことは明らかです。
どうせ依頼するならまとめて、という考え方を基本に、同時に複数の箇所を依頼できる状態になってから依頼するのも一つの手です。
賃貸住宅の退去時に行うハウスクリーニングであれば家全体が基本ですが、居住中の住宅について依頼される場合は「まとめて依頼」を心がけましょう。その方が価格交渉の余地も大きくなります。
(2)繁忙期よりも閑散期
「2—(5)ハウスクリーニングの繁忙期と閑散期」で述べたように、ハウスクリーニング業界には繁忙期と閑散期があります。繁忙期は大掃除が集中する12月と新年度を控えた3月で、その時期から離れるほど閑散期となります。
エアコンの利用を控えた6月や11月など、小規模な繁忙期もあるので、賃貸オーナーのように時期的な制約があまりない方はできるだけ閑散期を狙いましょう。
(3)複数業者からの相見積もり
ハウスクリーニング業者選びにおいて、比較検討は基本中の基本です。少なくとも複数社からの見積もりを取ってみてください。そのサービス内容や価格体系が大きく異なるため、できるだけ広い視野で比較することをおすすめします。
また、ハウスクリーニング業者との価格交渉において、他の業者からも見積もりを取っていることは交渉を有利にする可能性もあるので、特に賃貸オーナーなど長く付き合える業者をお探しの方は面倒がらずに取り組みたいところです。
(4)安さだけを追求しないこと
ハウスクリーニング業者の比較検討となると、どうしても「価格」に目線がいきがちです。もちろん価格で比較することは重要なのですが、業者側もそれを熟知しているので価格の表示にはさまざまな工夫を凝らしています。それを知らずに安さだけに注目をして依頼してしまうと失敗の原因になるので、「妙な安さ」に対しては少し疑いの目をもって臨むようにしてください。
次章の「4、ハウスクリーニング業者の選び方、傾向と対策5選」では、注意点やカラクリについて詳しく解説します。
4、ハウスクリーニング業者の選び方、傾向と対策5選
ハウスクリーニングは「たかが掃除」と思われている部分もありますが、ご自宅の衛生管理や快適性、さらに資産価値にも関わる部分なので、相場だけでなくサービスの質にもこだわりたいところです。賃貸オーナーにとっては物件の内覧に訪れた入居希望者をガッカリさせるようなハウスクリーニングだと意味がないので、失敗しない業者の選び方について傾向と対策をまとめました。
(1)相場より妙に安い業者は要注意
ハウスクリーニング業者の多くはネット集客に力を入れているので、ネット上には無数の広告が出されています。やはりネットでは価格で比較されやすいので、価格の安さを前面に打ち出している広告が目立ちます。
そこで注意したいのが、「相場より妙に安い業者」です。安さに飛びつきたくなるのは当然ですが、料金表示が「〇〇円~」「〇〇円から」となっている場合は要注意です。
こうした広告に表示されているのは、最低料金です。現場を見てからの見積もりで汚れの程度によって加算があるなど、結局はそんなに安くないことになってしまう場合があります。
対策:この場合は問い合わせ時に「どんな場合に加算があるのか」という基準を尋ねてみてください。それが明確になっていないのであればどんぶり勘定で料金を加算される恐れがあります。
(2)基本料金が安い場合はオプションに注目
家全体のクリーニングをパッケージ商品として提供している業者は多く見られますが、その基本料金が相場より安く感じる業者も何らかの理由があるかも知れません。なぜなら掃除は手間賃仕事なので人件費に大きな違いはなく、相場より妙に安い基本料金だと採算が取れないからです。
その場合、些細なことであっても全てオプション扱いとなり、オプション料金を加算すると結果的に高くなってしまうことも珍しくありません。
対策:基本料金が相場より妙に安いと感じたら、「どこまでが基本料金の範囲なのか」をしっかり確認してください。見積もりをもらう場合は、それを書面でもらっておくとトラブル防止に役立ちます。
(3)「人」にも注目を
ハウスクリーニングは人が提供するサービスです。大切な所有物件に人が入ってきてクリーニングを行うのですから、どんな人が来るのかにも関心を持ちましょう。
大手の場合はあまり見られませんが、小規模経営をしているハウスクリーニング業者の多くは掃除を担当する人の写真を広告に出しており、多くの依頼者が「どんな人が来るのか」という点に関心を持っていることが分かります。
人手が不足している業者だと雇ったばかりのアルバイトがやって来ることもあるそうなので、それだとハウスクリーニングの仕上がりに不満が残りそうです。
対策:写真を見ると「どんな人が来るのか」という雰囲気までは分かりますが、その人のスキルにも注目したいところです。何が得意なのか、どんなスキルを持っている人なのかを尋ねるだけで、雇ったばかりのアルバイトなどサービス品質が高くない人派遣されるリスクを軽減できます。
(4)大手vs個人経営の業者
全国展開をしているような大手業者と、地域密着の小規模業者がありますが、やはり大手の方がテレビCMをやっていたり知名度が高いので安心だと思ってしまいがちです。
対策:ハウスクリーニングというサービスの内容に大きな違いがあるわけではありません。大手だからと言って特別な人が来るわけではなく、また大手企業の看板を出していても経営母体は小規模なフランチャイズ店というケースもよくあります。
大手だから良さそうと無条件に考えることなく、小規模であっても長い付き合いができるような信頼に足りる業者も多くありますので、電話の対応や見積もり時の対応などでフラットな目線で比較検討しましょう。
(5)損害保険加入の有無を確認
大切な所有物件の中に入ってきて作業をするため、万が一室内に傷や汚れなどをつけてしまった場合は資産価値を下げることにもつながります。
そんな事態に備えて多くのハウスクリーニング業者は損害保険に加入していますが、相場より安いハウスクリーニング料金を前面に打ち出している業者の中には保険に加入していない場合があるので要注意です。
対策:問い合わせ時、見積もり時などに損害保険加入の有無を確認してください。業者側から説明があれば、リスク管理も行き届いている業者なのでポイントアップだという判断材料にしても良いと思います。
5、おすすめのハウスクリーニング業者3選
(1)おそうじ本舗
ハウスクリーニング業界の成長企業として知られ、全国展開をしている大手グループです。価格にもこだわりがあるため、うまく時期やキャンペーンを狙うと安く依頼することができます。
(2)さくらメンテナンス工房
さくらメンテナンス工房は現在モニター募集中でかなりリーズナブルにハウスクリーニングを依頼することができます。費用を抑えたい方は是非今すぐ利用してみて下さい。
(3)ダスキン
ハウスクリーニングサービスだけでなく、「お掃除」に関する総合的な商品やサービスを展開する大手です。ハウスクリーニングの草分け的な存在でもあるので、安定感は抜群です。
(4)もし迷ったらハウスクリーニングの比較・一括見積もりサイト
ダスキンとおそうじ本舗はどちらも大手なので日本全国で均一的なサービスを依頼可能ですが、それぞれの地域には中小の業者が無数にあります。それらの業者は一括見積サイトで探すのが最も手早いので、以下のサイトをおすすめします。
①ズバット ハウスクリーニング比較
②ハウスクリーニング比較.com
まとめ
大切なマイカーの洗車を頼む際、いい加減な作業をする人には頼みたくないでしょう。
それが不動産となると資産価値も桁が違うので、大切なご自宅のメンテナンスであるハウスクリーニングは信頼できる業者に依頼したいものです。
その一方で賃貸住宅から退去する方にとっては「いくら差し引かれるのか」という相場の物差しを持っておくことはトラブル防止にも役立ちます。長く付き合える業者との出会いにこの記事の情報が役立てば幸いです。