• アパート経営
  • 2018/3/12

アパート経営の収入が900万円を超えるなら法人化すべき5つの理由

アパート経営をすでに始めている方、もしくはこれから始めようと思っている方のどちらであっても、「税金」は常に大きな存在だと思います。不動産投資は税金との関わりが避けられず、それはもちろんアパート経営でも同じです。

少しでも税金を安くして多くの利益を手元に残したい

とお考えになるのは当然のことです。

そこで脳裏に浮かぶのが、

法人化をすれば節税になるのでは?

という漠然とした疑問です。

個人事業よりも、それを法人化することで経費に算入できるものが多くなったりと、何となく節税できる余地が多くなりそうなイメージをお持ちの方は多いと思います。

もちろんこれは事実なのですが、次に思い浮かぶのが「それはアパート経営にも当てはまるのか?」という疑問です。

アパート経営法人化することによる節税について、その実際のところについて投資家の方々(これから投資家になる方々も含む)が知っておくべき情報をまとめました。

アパート経営の税金を少しでも節約したい方、その他にも何かメリットがあるのであれば法人化をぜひ検討したいという方にとって読めばかなりオトクになる情報なので、ぜひ最後までお読みください。

1、アパート経営は法人化したほうが良いというイメージがありますが

アパート経営を法人化をすると何かとメリットが多そうだと考える人は多くいます。その「何か」とはどんなメリットなのでしょうか。

(1)法人化すると税金が安くなる?

アパート経営のような事業を法人化すると、何となく税金を安くできるのではないかとお考えの方は多いと思います。結論から申し上げますと、これは事実です。

その理由については後述していきますが、アパート経営と節税について何となくお持ちのイメージは事実であることを認識していただいて問題ありません。

よく言われているのが、法人化したら経費として計上できるものが増えるというメリットですが、その他にもアパート経営を法人化すると適用される税率が法人税に変わるため、所得税と法人税の税率の違いによる節税メリットも見逃せません。

(2)生活のあらゆる出費が経費になる?

前項で述べたように、個人事業よりも法人化をすると経費算入できるものが多くなるので、その分利益を圧縮することができるため節税になります。実質的にマイカーとして使用しているクルマを法人名義にすれば維持費が経費になりますし、その他にも旅行を「出張費」、家族を法人の役員にしている場合は家族旅行を「慰安旅行」として、それぞれ費用を経費として計上可能です。

これらの経理処理は個人事業ではできないことなので、法人化の大きなメリットです。

(3)相続対策になる?

不動産を所有している人にとって、相続対策は悩みの種です。しかも相続税はますます税率が高くなり課税強化の流れになっているので、以前よりも対策の重要性は増しています。

アパート経営をしているということは、アパートという収益不動産を所有しています。この不動産に対する相続税を軽減するための対策として、法人化が有効です。

詳しくは後述しますが、アパート経営を法人化して将来相続の予定がある人を役員にすれば、役員報酬という形で金銭を支払うことで実質的な生前贈与をすることができます。このスキームは資産管理会社を設立するメリットとして広く用いられているものです。

2、アパート経営に関する税金の基本をおさらい

アパート経営にはどんな税金がかかってくるのか、そしてその税金を少しでも少なくするにはどんな方法があるのか。法人化による節税の基本的な知識をおさらいしましょう。

(1)アパート経営に深く関わる3大税金

アパート経営に関わる税金は、3つあります。その3つは以下の通りです。

①所得税(住民税)

アパートの入居者から支払われる家賃収入や、売却した時に利益が発生したら所得税の課税対象となります。その所得金額によって住民税額が決まるので、所得税と住民税はセットになっているとお考えください。

②固定資産税

不動産を保有している人にかかる税金なので、アパートを所有している人には固定資産税がかかります。税率は一律で1.4%ですが、評価額が数千万円クラスになる不動産に対する1.4%なので、決してバカにできない金額です。

③将来の相続税

所有しているアパートの評価額が相続税の課税対象額を超えている場合、現在の所有者が亡くなって相続をする際に、相続税がかかります。相続税の税率は上限が55%となっており、かなりの高率です。しかも、今後相続税は課税強化の流れになっているためさらに相続時の負担は大きくなると思われます。

アパート経営を法人化するメリットとして相続対策が注目されているのは、この税率の高さや今後の課税強化の流れが大きな動機となっています。

この3つの税金のうち、固定資産税だけは不動産を所有していることで自動的に一律の税率が課税されるので、法人化をしても変わりはありません。法人化によって「工夫」ができる余地があるのは、所得税(住民税)と将来の相続税です。

(2)法人税と所得税の税率差に注目しよう

同じアパート経営であっても、そこからの収入を得る「人格」によって適用される税金が異なります。個人事業主であれば所得税、法人であれば法人税です。適用される税金が異なるということは、当然税率も異なります。

それぞれの税率は、以下の通りです。

【所得税の税率】

課税所得額 税率 控除額
195万円以下 5% 0
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

【法人税の税率】

資本規模 課税所得額 税率
1億円超  0 23.40%
1億円以下 800万円以下 15.00%
800万円超 23.40%

しかも、法人税は長らく軽減される傾向にあります。日本の法人税がそもそも高すぎることが理由ですが、それによって産業が海外に出て行ってしまうことを防ぎたいという政治的な思惑があるので、この傾向は今後も続くでしょう。最高税率を見ても、所得税よりも法人税の方が低い税率に抑えられていることが分かります。これだけを見ても「なるほど、法人化したほうが税率が低い」というイメージをお伝えできると思います。

それを如実に示しているのが、法人税率の推移です。以前と比べるとずいぶん税率が低くなっていることが分かりますが、今後さらにこの傾向が強まるのであれば将来的に見てもアパート経営を法人化するメリットは大きくなると考えられます。

出典:財務省 法人税の推移

(3)どんな人が法人化をするべきか

所得税と法人税の税率の違いを見ていただいた上で、次に湧いてくるのは「所得がいくら以上ある人だと法人化のメリットがあるの?」という疑問でしょう。

これについては、再度税率の違いを見ていただくと一目瞭然です。

【所得税の税率】

課税所得額 税率 控除額
195万円以下 5% 0
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

【法人税の税率】

課税所得額 税率 控除額
195万円以下 5% 0
195万円超~330万円以下 10% 97,500
330万円超~695万円以下 20% 427,500
695万円超~900万円以下 23% 636,000
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000
1,800万円超~4,000万円以下 40% 2,796,000
4,000万円超 45% 4,796,000

つまり、アパート経営による年間の課税所得が900万円を超える人が、法人化によって節税メリットを得られる人です。法人税の最高税率は23.4%なので、所得税の各段階でその数値を超えるところからがすべて「法人化したほうが節税になるゾーン」です。

(4)法人化をしても意味がないケース

前項とは逆に、法人化をしても税金面でのメリットがあまりないのは、どんなケースでしょう。最も典型的なのは、経費が多くかかっていて課税所得が900万円を超えない場合です。

築年数が古い物件など維持にお金がかかるアパートを所有している場合によくあることで、修繕などでコストがかさんでいるのであれば、法人化をしてもあまりメリットがないので個人事業のままでも良い場合があります。

3、アパート経営を法人化する5つのメリット

節税メリットも含めて、アパート経営を法人化することによって得られるメリットを5つの項目に整理しました。

(1)所得税、住民税の節税

ここまでの解説ですでにお分かりかと思いますが、所得税と法人税の税率差だけを見ても年間900万円以上の課税所得がある人には節税メリットがあります。

その他にも、さまざまな費用を経費として計上できるため、節税メリットはさらに大きくなります。

経費に計上できるものには以下のようなものがあります。

  • 携帯料金
  • 生命保険料
  • 旅費
  • 地代、家賃
  • 飲食代金 などなど

こうした出費を法人名義にすることにより、家賃収入から損金として差し引くことができるので、税額を低くすることができるわけです。

(2)資産の分散が可能

アパート経営の法人化には、資産の分散というメリットがあります。これも節税に有効なスキームなのですが、これだけとよく分からないと思いますので「資産管理会社を活用した節税の仕組みと3大テクニック」で取り上げているケーススタディで解説します。

法人から役員となっている家族に報酬を支払うとその報酬は損金となるため、法人税の軽減に貢献します。しかし、その一方で役員報酬を受け取った人の課税所得が大きくなるので、そちらで税額が大きくなってしまっては意味がありません。ここで意味を持つのが、資産の分散です。

上記記事では年間585万円の家賃収入を想定しています。ここで再び所得税率をおさらいしましょう。585万円の収入をすべて1人の役員に支払ったとしたら、税率は20%です。

【所得税の税率】

課税所得額 税率 控除額
195万円以下 5% 0
195万円超~330万円以下 10% 97,500
330万円超~695万円以下 20% 427,500
695万円超~900万円以下 23% 636,000
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000
1,800万円超~4,000万円以下 40% 2,796,000
4,000万円超 45% 4,796,000

それでは次に、この法人から3人の役員に585万円を3等分して195万円の報酬を支払ったとしたら、どうなるでしょうか。

課税所得額 税率 控除額
195万円以下 5% 0
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

もう、お分かりですね。

1人の役員に585万円を支払うと税率は20%ですが、3人に195万円ずつ支払うと5%×3人で合計しても15%です。

これが、資産の分散による節税スキームです。このような会計処理は、アパート経営を法人化してはじめて可能になることです。

(3)欠損金の繰越ができる

アパート経営をしていてある年が赤字になったとして、その翌年には黒字になったとしましょう。この場合、赤字になった年の欠損金を翌年以降に繰り越すことができます。つまり、黒字になった年の黒字分を前年の赤字と相殺することで課税所得から控除できるということです。

この繰り越しは、個人事業だと3年で期限切れとなりますが、法人化をすると期限が9年になるので、税務上有利になります。

(4)相続対策になる

アパートに限らず不動産経営を法人化する人の中には、相続対策をメインの目的にしている人も少なくありません。相続対策として生前贈与が活用される事例は多いですが、法人化をすることで「役員報酬の形で資産の移転・継承」ができるようになります。

贈与であれば税率の高い贈与税が適用されますが、役員報酬であれば所得税が適用されるため、贈与税と比べるとかなりオトクです。

それともうひとつ、遺産相続というと相続人同士の間で遺産分割が問題になりがちです。特にアパートといった1つの不動産を分割するのは難しいので遺産分割協議が難航する原因になってしまいがちですが、相続財産を法人の所有にすることで法人の株式を分配すれば遺産分割もスムーズになります。

さらに、実際の遺産相続が発生した際には相続税を現金で支払う必要があります。遺産を相続しないことには納税金を用意できないというケースの場合、物納といって不動産で納税することもあります。物納だと不動産を失ってしまうことになりますが、法人化によって役員報酬の形で生前から資産の移転を進めておけば、その現金が相続税の納税に役立ちます。

アパート経営の法人化が相続対策になると言われているのは、この3つのメリットが根拠となっています。

(5)投資家が厚生年金に加入できる

老後のための公的年金には、国民年金と厚生年金があります。厚生年金はサラリーマンなどが加入している年金で、未納など問題の多い国民年金と比べると支給額が大きいことで知られています。

アパート経営が個人事業の場合は加入できる年金は国民年金に限られますが、「厚生年金のほうが年金額が大きいのでそっちに入りたい」と考える人も多いでしょう。

その場合、アパート経営を法人化するとその法人に所属する社員という身分になれば厚生年金に加入することもできます。

4、アパート経営を法人化する3つのデメリット

メリットがとても多いアパート経営の法人化ですが、デメリットもあります。3つあるデメリットを順に解説します。

(1)法人を設立するにはお金がかかる

法人化といっても、その法人を手に入れるのはタダではありません。株式会社の設立には最低でも約24万円が必要になりますし、合同会社であっても約10万円ほど必要です。

これには資本金が考慮されていないので、後から自分で自由にできるお金とはいえこれらの費用に加えて資本金となるお金を用意する必要があります。

(2)赤字でも住民税がかかる

法人を維持するには、コストも必要です。黒字が出ている場合は法人税などの負担があるのはもちろんのこと、赤字決算になっていても最低限7万円の税金が必要になります。

この7万円を高いと思うかどうかはアパート経営の規模や収入次第ですが、法人を維持するのもタダではないことを念頭に置いておいてください。

(3)厚生年金に加入しても折半のメリットがない

法人化のメリットとして5つ目に厚生年金に加入できるというポイントを挙げましたが、厚生年金は労使折半といって勤務先と労働者が保険料を折半する仕組みになっています。しかし、アパート経営を法人化したとしてもそれは自分の会社なので、会社の負担分も実質上投資家本人がすべて負担することになります。

年金額が大きくなることがメリットはあるものの、長い年月にわたって労使負担分の両方を負担していると厚生年金に加入できるというメリットは薄れてしまうかも知れません。

5、アパート経営を法人化してメリットを得る最もシンプルな3ステップ

最後は、アパート経営を法人化するための具体的な方法を解説します。できるだけ分かりやすく、かつシンプルにするため3つのステップに整理しました。

(1)資産管理会社を設立する

アパート経営など不動産投資を法人化する際には、資産管理会社と呼ばれる会社を設立します。資産管理会社といっても特別な形態の会社があるわけではなく、資産管理を目的とした会社法人という意味です。

株式会社と合同会社のどちらかで設立するのが一般的ですが、設立費用のことを考えると合同会社のほうが適していると言えます。

資産管理会社の設立方法については、「資産管理会社とは?いますぐ設立すべき人と具体的な設立の全手順」に詳しい解説があります。

(2)事業開始の届け出をする

会社を設立したら、次に税務署へ届け出をする必要があります。この届け出をしないと節税メリットを実現できないので、重要な手続きです。

提出するのは、以下の3つです。

  • 法人設立届出書
  • 青色申告承認申請書
  • 給与支払事務所等の解説届出書
  • 事業開始の届出

これらの書類については、「資産管理会社とは?いますぐ設立すべき人と具体的な設立の全手順(4)役所への届け出」に、詳しい解説とひな形があります。

(3)役員報酬を決める

役員報酬を決めることとはつまり、資産管理会社からどれだけのキャッシュを代表者(つまり投資家)に移すかという比率を考える作業です。資産管理会社と代表者は法的には別人格ですが、最終的には「同じ財布」です。法人と代表者のどちらにキャッシュを持たせるのが税務上有利になるかによって決めるのが良いでしょう。

法人税率は最高が23.4%なので、これを下回る所得税率になっている所得水準までに抑えておくと節税メリットを享受できます。ここで再度、所得税率と法人税率の一覧表を見てみましょう。

【所得税の税率】

課税所得額 税率 控除額
195万円以下 5% 0
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

【法人税の税率】

資本規模 課税所得額 税率
1億円超 0 23.40%
1億円以下 800万円以下 15.00%
800万円超 23.40%

695万円以下だと所得税率が20%なので、この水準に役員報酬を抑えておくと法人税率よりも安い税額で資産を移転することができます。900万円以下の人からが23%なので法人税率を下回っていますが、わずか0.4%のためだけに法人化をすることがコストに見合うかどうかは微妙です。

まとめ

アパート経営を法人化すると税金面などに色々なメリットがある・・・という漠然としたイメージで読み始め、最後まで読み進めていただいたと思いますが、最後までお読みいただいてその漠然としたイメージが明確な情報となったのではないでしょうか。

法人化すると税金が安くなる」ということが事実であり、その他にもメリットがあることがお分かりいただけたと思います。法人化した方がメリットが大きい投資規模に該当する方は、ぜひ資産管理会社の設立を検討してみてください。

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