老後資金2,000万円問題が騒がれて久しいですが、40代になると目の前のことだけではなく、老後のことも視野に入れて行きたいという方も出てきます。
いくらあればよいというよりは、今のうちにできるだけ収入を作っておきたいと考えるお客様が多く、その後の生活に支障を来さないような老後資金作りを手がけたいというご相談が増えています。
いったいどのような方がそうした不動産投資に至っているのか、今回は40代の方の事例をご紹介しましょう。
・【投資家の横顔】共働き夫婦
Sさんは45歳男性で、妻と子ども一人の3人家族です。
夫婦で同じ会社につとめており、年収は2人で1,500万円ほどあるため、不自由のない生活を送っています。
会社の福利厚生も充実しており、順調に貯蓄もできています。
また、お子さまの教育費も学資保険などで計画的に貯めているため、今のところ心配することは無いと言えるでしょう。
このように、余剰資金をどう活用するか、将来を見越して老後資金もそろそろ作っておこうと考えて、最初から不動産投資で安定収入をつくりたいという希望で相談に来るケースが増加しています。
・【投資の背景】中長期的な運用として不動産投資を
Sさんは、株式や投資信託などは一通り経験済みで、短期売買での投資が主力でした。
ただ、老後資金という問題を考えたときに、短期売買ではなく中長期的な運用を心がけるべきと思い直し、日々価格変動のある金融商品での運用ではなく、じっくり寝かせてコツコツ安定収入が得られるよう不動産投資や外国債券、太陽光投資などを検討されていました。
全部投資するという方法も検討したのですが、不動産投資だけでもある程度の資金が必要であり、地域を分散させて持ちたいという意向であったため、まずは不動産投資による安定収入をつくっていくことに専念したいと思ったそうです。
・【物件選び】足立区のワンルーム
Sさんが購入されたのは、足立区のワンルームでした。
Sさんは足立区に住んでいるため、地元で投資したいという思いが強くあったのが背景です。
人口変動という視点からは、足立区自体は今後人口減少が見込まれるため、的を絞る必要がある点を指摘したところ、今後も人口増加が見込める街として「北千住」を選択されました。
足立区全体では人口減少の可能性があるものの、中心とも言える北千住は交通の利便性も高く、今後も引き続き注目できるためこの場所で投資案件を選定するに至りました。
Sさんが購入したのは新築で価格は2400万円、金利は1.8%、借入期間は20年の物件でした。
駅から徒歩7分のため賃貸ニーズはありそうですし、借入期間を20年に設定したのも返済終了時期がちょうど65歳で老後資金の確保につながるためです。
また、諸経費を15%程度と見積もったときの月次の収支はマイナス22000円ほどになりました。
今回は自己資金は株式等売却した金額の合計500万円で、借入期間が20年のためどうしても家賃よりも返済金額の方が多くなってしまいました。
ただあくまで老後に備えての投資のためと考え、最終的に20年後に家賃が入ってくるようにできればよいとの事で投資決意に至っています。
・【FPの分析・アドバイス】場合によっては次の物件へ
Sさんの場合、ご夫婦の年収から判断して早めの繰上げ返済をできる限り薦めました。
もちろん教育費や住宅ローンとの兼ね合いもありますが、余力が出たら早期返済も視野に入れていくと良いでしょう。
また借入枠をうまく活用し投資するため、場合によってはこの物件は借り入れを行ったまま次の物件選びへ着手することも検討してみるのも良いかもしれません。
「65歳時点で月に手取り15万円」など目標を定めて不動産投資を始めると、公的年金と企業年金以外の安定収入として不動産収入を見込めることになります。
もちろん、賃貸ニーズが強い場所に特化することが重要ですが、老後資金不足問題で悩むことはなくなるといえるのではないでしょうか。