少額から不動産に投資でき、気軽に始められる「不動産投資型クラウドファンディング」。
どの投資案件に投資するかの判断材料として、利回りを意識される方も多いのではないでしょうか?
どんな投資でも重要となる利回りですが、不動産投資型クラウドファンディングにおける利回りには、いくつか注意点があります。
そこで本記事では、
- 不動産投資型クラウドファンディングの利回り計算方法
- 不動産投資型クラウドファンディングの利回りの注意点
- 他の投資における利回りとの比較
を中心に、不動産投資の情報を発信する不動産投資の教科書が解説します。
この記事をお読みの方は、以下の記事も併せてお読みください。
クラウドファンディングの選び方
- 不動産投資型クラウドファンディングの概要
- 不動産投資型クラウドファンディングの
メリットデメリット - 不動産投資型クラウドファンディングの選び方
- おすすめのクラウドファンディングサービス
目次
1、不動産投資型クラウドファンディングの利回りとは?
投資するうえで重要な「利回り」。簡単に言えば、投資金額に対する収益の割合のことを指します。
本章では、不動産投資型クラウドファンディングにおける利回りと注意点について、解説していきます。
(1)想定利回りの計算方法
不動産投資クラウドファンディングでは、出資募集の際に想定利回りが提示されます。
想定利回りのほとんどは年利で示され、計算式は以下の通りです。
1年間の予定配当金額 ÷ 投資金額
上記の式で計算された利回りは、募集時点での予定配当金額をもとに計算した利回りです。
これは確定した利回りではないため「想定」という言葉がついています。
(2)実際の分配金は源泉徴収税が控除される
想定利回りについての説明をしましたが、ここで1つ注意点があります。
不動産投資型クラウドファンディングで受け取れる分配金は、運用益から源泉徴収税20.42%(所得税+復興特別所得税)が控除されるため、実際に受け取れる分配金は想定利回りより小さくなるという点です。
想定利回りは、源泉徴収税控除前の分配金で計算した利回りです。そのため、手取りベースで考えると、実際の分配金は想定利回りよりも下がります。
たとえば、想定利回り3%のファンドに100万円投資すると、1年間に受け取れる分配金は3万円です。
しかし、3万円から源泉徴収税6,072円(3万円×20.24%)が差し引かれます。実際に手元に残る金額は2万3,928円のため、手取りベースの実質的な利回りは2.393%となります。
不動産投資型クラウドファンディングでファンドを選ぶ際は、手取りベースの利回りまで計算して投資判断を行うといいでしょう。
源泉徴収税をおよそ20%とみなし、想定利回りに0.8を掛けると、おおよその手取りベースでの利回りを求めることができます。
(3)想定利回りはあくまでも「想定」
もう1点注意点があります。
広く投資全般に言えることですが、想定利回りはあくまでも「想定」であるということです。
不動産投資クラウドファンディングにおける想定利回りについても、当然のことながら確定されたものではありません。ファンドの運用次第では、想定利回り通りの分配金が得られなかったり、無配当になったりするケースも考えられます。
ファンドの運用がうまくいかなかった場合、変更となる可能性があることに留意しましょう。
(4)不動産投資型クラウドファンディングの利回りはどのくらい?
不動産投資クラウドファンディングの平均的な利回りは、3~8%程度が目安となります。もちろんこれはあくまで目安であり、中には、8%を上回る想定利回りの投資案件も存在します。
ただし、投資における利回りは高いほうがいいというわけではありません。利回りはリスクと比例するからです。
「利回りが高い = ハイリスク・ハイリターン」という認識を忘れないようにしましょう。
2、不動産投資型クラウドファンディングの仕組みやメリットは?
不動産投資型クラウドファンディングの利回りについて説明する前に、
- 不動産投資型クラウドファンディングの仕組みはどのようなものなのか
- 不動産投資型クラウドファンディングのメリット
の2点を解説します。
(1)不動産投資型クラウドファンディングの仕組み
そもそも、クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を調達する方法です。ネット環境が整っているからこそできる資金調達形態の1つです。
不動産投資型クラウドファンディングは、事業者(不動産購入者)がインターネットを通じて個人投資家などから資金を調達し、不動産の購入・運営を行います。
この形態を利用して、投資家は現物不動産を購入するのではなく、出資者として事業者を支援します。
不動産投資型クラウドファンディングによって、投資家は、配当として利回り(2~6%)を受け取ることができるのです。
以上が、不動産投資型クラウドファンディングの仕組みです。
さらに、平成29年に不動産特定事業法が改正されたため、参入事業者が増えており不動産投資型クラウドファンディング市場は活性化しています。
不動産特定共同事業法について、詳しくは「10分で分かる!不動産特定共同事業法の改正のポイント」で解説しているので、あわせてご確認ください。
(2)不動産投資型クラウドファンディングのメリット
不動産投資型クラウドファンディングのメリットとして、おもに
- 少額資金から始められる
- 手間が少ない
- リスクが低い
が挙げられます。
上記の3つのメリットについて、「不動産のクラウドファンディングはおすすめ?選び方やおすすめを紹介」にて、詳しく解説しています。こちらも合わせてご覧ください。
3、他の投資との利回りを比較
不動産投資型クラウドファンディングの平均的な利回りは、前述のとおり、およそ3~8%程度です。
本章では、不動産投資型クラウドファンディング以外の他の投資商品の利回りを紹介します。
投資商品は以下の5つです。
- 預貯金
- 株式投資
- ソーシャルレンディング
- 現物不動産投資
- REIT(不動産投資信託)
(1)預貯金
預貯金とは、銀行の普通預金や定期預金のことを指します。元本が保証されており、すぐに引き出せるため、生活費や近い将来に使う予定のお金の置き場所に便利です。
一方で、利回りは低いので、資産運用の手段には向いていません。
(2)株式投資
株式投資とは、株式会社が資金調達のために発行する「株式」を売買して、配当金などの利益を狙うことです。
上場株式に投資すると、銘柄によりますが、決算ごとに配当金を受け取ることができます。
東証プライム上場企業の株式平均利回り(加重平均利回り)は、2.39%(2023年1月)です。
株価は常に変動しているため、配当金(インカムゲイン)のほかに値上がり益(キャピタルゲイン)を得られる可能性もあります。売買タイミングをうまくとらえることができれば、大きな値上がり益を得られるでしょう。
一方で、取引のタイミングを間違えて大きな損失が発生するリスクもあります。
(3)ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングはクラウドファンディングの種類の1つで、不特定多数の投資家から資金を集めて、最低成立金額に達した場合に企業に融資を行うというサービスです。
ソーシャルレンディングの運営会社の多くは、想定利回りが3~8%程度のファンドを扱います。
ソーシャルレンディングは貸付先がデフォルト(債務不履行)となり、損失が生じるリスクがある点に注意が必要です。
(4)現物不動産投資
現物不動産投資は、不動産を購入して第三者に貸し出し、その家賃を利益として受け取る投資方法です。
投資用不動産の利回りの相場は、その立地条件や新築・中古など、物件のスペックによって大きく変わります。
2%程度の物件から、10%を上回る物件も存在し、不動産投資の利回りはかなり幅広いと言えるでしょう。
現物不動産投資は、金融機関の融資を利用して投資を始められる点が他の投資にはない大きな特徴です。自己資金を上回る金額を運用することで、レバレッジをかけることができ、運用効率の向上が期待できます。
ただし、現物不動産投資は管理費・修繕積立金、税金など、様々な管理費用がかかります。不動産は築年数が経過すると建物が老朽化し、価値が下落するリスクがある点にも、注意が必要です。
(5)REIT(不動産投資信託)
REIT(不動産投資信託)とは、多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する投資商品です。
REITと不動産投資型クラウドファンディングは、少額から投資を始められる点や、分散投資に向いているという点で類似しています。
分配金を目的に投資する場合、利回りの面では現在は不動産投資型クラウドファンディングの方がやや有利でしょう。また、REITでは投資先の不動産を選定することはできません。
一方で、REITの方が流動性が高いため、換金に時間がかからないというメリットがあります。
4、不動産投資型クラウドファンディングサービス3選
不動産投資型クラウドファンディングを提供しているサービスの中から、比較的案件が多く、規模の大きいサービスを3つ紹介します。
近年、不動産投資型クラウドファンディングは非常に人気があるため、投資したい案件に投資できないケースがあります。複数のサービスに登録しておき、投資したい案件には必ず応募することがおすすめです。
(1)COZUCHI(コヅチ)
COZUCHI は、1999年に創業したLAETOLI株式会社が運営している不動産投資型クラウドファンディングです。
投資先は、主に都心のマンションですが、人気レストランが入った物件や事業用地などの案件もあります。
想定利回りが高く案件の規模や募集金額も大きいため、非常に人気があり、投資したいファンドに投資できないことがある点がデメリットです。
しかしCOZUCHIは、手数料を支払えばファンドの途中解約ができるなど投資家にとってメリットがとても多いサービスといえます。まずは登録して新規案件をチェックし、投資したい案件は確実に応募することをオススメします。
(2)利回り不動産
利回り不動産は、優先劣後出資を採用するだけでなく、マスターリース契約を行うことで空室リスクを低減し、安定した賃料収入を確保しています。
最大の特徴は、投資する度に「ワイズコイン」が貯まることです。貯まったワイズコインは、利回り不動産で再度出資する際の原資に充てたり、Amazonギフトカードと交換することが可能です。
募集方法はファンドごとに先着または抽選となりますが、利回りの良い物件はすぐにうまってしまいます。
新規公開ファンドや、ワイズコインプレゼントなどのキャンペーン情報を受け取れるメルマガに登録しておくことをオススメします。
(3)OwenersBook(オーナーズブック)
運営会社のロードスターインベストメンツ株式会社は、東証プライム上場のロードスターキャピタル株式会社の100%子会社なので、投資先に安心感があるといえます。
案件数が多く、マンションや商業ビルまでさまざまな規模の案件があるため、投資する機会や選択肢が多い点がメリットです。
また出資者の募集方法として、「先着方式」と「抽選方式」があるため、今までなかなか先着で案件を獲得することができなかった人にも投資するチャンスがあるでしょう。
まとめ
本記事では、不動産投資型クラウドファンディングの利回りに関して解説しました。
不動産投資型クラウドファンディングを始める際に、利回りはとても重要な判断材料の1つになります。
利回りを見る際には、
- 想定利回りに加えて、実質利回りも確認すること
- 想定利回りは、あくまで「想定」であること
以上2点を意識して、不動産投資型クラウドファンディングを検討してみましょう。