消費税法では、土地の譲渡(売却)は「消費税を課さない」つまり非課税であると定められています。
消費税は、商品・サービスなど「消費されるもの」に対して課税される税金です。土地は消費されるものではないため、消費税がかからないのです。
しかし土地売却に関連する取引で、課税されるものもあります。
消費税の課税・非課税に関しては「そもそも消費税とはどのような税金なのか」を押さえることで理解が容易になります。
土地を売却する際に必要な消費税の知識を詳しく解説します。
土地売却の際にかかる税金についてはこちらの記事も併せてご参照ください。
土地の売却には消費税はかかりません。非課税対象です。
1、土地売却に消費税はかからない!
土地を売却する際、土地そのものに消費税がかかることは一切ありません。
改めて消費税法を見てみましょう。
(非課税)
第六条 国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。
別表第一
一 土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡及び貸付け(一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)
そもそも以下4つの要件を満たす取引が、消費税の課税対象になります。
- 日本国内での取引であること
- 「事業者」が事業として行う取引であること
- 対価を得て行う取引であること
- 事業として有償で行われる商品や製品などの販売、資産の貸付けおよびサービスの提供であること
土地の譲渡(売買)は、モノやサービスの消費ではなく資本の移転とみなすことができ、消費税の性格になじまないため、非課税となるのです。
国税庁のWebサイト上にも、「土地の譲渡は非課税である」という記述があります。
No.6201 非課税となる取引
主な非課税取引
(1) 土地の譲渡および貸付け
土地には、借地権などの土地の上に存する権利を含みます。
ただし、1か月未満の土地の貸付けおよび駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税取引には当たりません。
2、土地に関連する消費税非課税の取引4つ
不動産取引で、消費税がかからないものは以下の4つです。
- 土地・借地権の売却
- 個人が保有する建物の売却
- 土地の定着物
- 土地売却にともなう各種税金
それぞれ詳しく解説します。
(1)土地・借地権の売却
売り手が個人であるか法人(事業者)であるかに関わらず、土地の売却(譲渡)は非課税取引となります。
「土地」には、借地権などの土地の上に存在している権利も含まれます。
借地権についても土地同様、非課税対象です。
ただし、
- 1か月未満の土地の貸付け
- 駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合
は、非課税取引には当たらず、消費税がかかるので注意してください。
(2)個人が保有する建物の売却
事業者(法人)ではない個人が住宅を売却する場合、建物の売買も非課税対象です。
住宅を売るのが法人である場合、一部を除いて建物の売却には消費税がかかります。
例えば、不動産会社が家付きの土地を売った場合、土地は非課税ですが、建物は消費税の課税対象になります。
個人の売買でも、事業とみなされれば、建物に消費税が課される場合がある点には注意が必要です。
例として、不動産投資を事業レベルで行っている場合などが挙げられます。
投資物件をいくつも所有し、その賃借にかかる前々年度の課税売上高が1,000万円を超えるような場合には、個人であっても建物の売却に消費税が課税されます。
(3)土地の定着物
土地の定着物を宅地と一体で売却する場合には、定着物も土地と同様に、非課税対象となります。
土地の定着物とは、具体的には、庭木や石垣・庭園などのことを指します。
ただし、車庫や小屋、物置などは、設備の譲渡とみなされるため、消費税の課税対象です。
(4)土地の売却で発生する各種税金
土地売却の際には、
- 所得税と住民税
- 印紙税
- 登録免許税
など、消費税以外の各種税金がかかります。各種税金はそれ自体が税金であるため、消費税が二重に課されることはありません。
3、土地に関連する消費税が課税される取引4つ
不動産取引にあたって、消費税の課税対象となる取引には、以下のようなものが挙げられます。
- 課税事業者が売却した建物
- 土地に埋まっている地下車庫などの設備
- 不動産会社へ支払う仲介手数料
- その他土地売却に関連する各種手数料
本章では、この4つについて解説します。
(1)課税事業者が売却した建物
一般的に、事業者が不動産を売却する場合、消費税が課税されます。
例えば、事業として使っていた土地・店舗物件を売却する場合には「事業活動の一環としての不動産売却」とみなされ、建物に消費税がかかります。
(この場合も、土地には消費税はかかりません。)
ただし、法人であっても
- 前々年度の課税売上高が1,000万円に満たない場合
は、免税事業者となります。
免税事業者は納税の義務が免除されるため、消費税は課税されません。
ただし、資本金が1,000万円以上の法人の場合、免税事業者になることはできない点には注意してください。
※2023年10月実施のインボイス制度により、免税事業者が申請することで課税事業者になることが可能になる。
(2)土地に埋まっている地下車庫などの設備
土地は非課税であると先述しましたが、土地に埋まっている地下車庫などの設備は、消費税の課税対象になります。
地下車庫の売却は、土地ではなく、設備の譲渡とみなされるからです。
(3)不動産会社へ支払う仲介手数料
土地を売却したときに支払う、不動産会社への仲介手数料は、課税事業者が提供しているサービスへの対価(報酬)とみなすことができます。
そのため、仲介手数料は消費税の課税対象です。
仲介手数料は、土地売却成立時の取引金額によって、以下の表に示す通り、上限額が定められています。
取引金額 | 仲介手数料(消費税抜き)の上限額 |
200万円以下 | 取引額の5%(+ 消費税) |
200万円超~400万円以下 | 取引額の4% + 2万円(+ 消費税) |
400万円超 | 取引額の3% + 6万円(+ 消費税) |
(4)その他土地売却に関連する各種手数料
土地売却に関連する手数料には、以下のようなものがあります。
- 司法書士へ支払う司法書士報酬
- 融資手続きの手数料
- 住宅ローンに関する手数料
上記の手数料も、不動産会社へ支払う仲介手数料と同様、課税事業者が提供しているサービスへの対価とみなされるため、消費税の課税対象になります。
4、不動産取引でかかる消費税 2つの注意点
前章までで、土地に関連する消費税がかかる取引・非課税の取引について解説してきました。
本章では、土地を売却する際の消費税に関する2つの注意点をご紹介します。
(1)仲介手数料は消費税抜の不動産価格を基準に計算される
不動産会社に支払う仲介手数料は、土地売却成立時の「取引金額」をもとに計算されます。この「取引金額」は消費税抜きの価格となります。
例えば、
- 土地価格:1,500万円(非課税)
- 建物価格:税抜2,500万円(消費税込2,750万円)
の場合、仲介手数料は4,000万円 × 3% + 6万円が上限となります。
取引金額 | 仲介手数料(消費税抜き)の上限額 |
200万円以下 | 取引額の5%(+ 消費税) |
200万円超~400万円以下 | 取引額の4% + 2万円(+ 消費税) |
400万円超 | 取引額の3% + 6万円(+ 消費税) |
なお、上の表が示す仲介手数料は税抜価格であり、仲介手数料は課税対象なので、別途消費税がかかります。
仲介手数料 = 4,000万円 × 3% + 6万円=126万円(税抜)⇒ 消費税込 138万6,000円
不動産の販売価格は全て税込価格で表示されますが、仲介手数料の計算時は、税抜価格をもとにする点には注意しましょう。
不動産価格に含まれる消費税の金額は、売買契約書で確認することができます。
(2)引き渡し時点で消費税が発生する
もし、不動産の売却を検討しているタイミングで、消費税率の変更がある場合、変更前と変更後、どちらの税率が適用されるのでしょうか。
不動産の売買取引で消費税が課税されるタイミングは、不動産の引き渡し時点です。
売買と消費税率アップのタイミングが近くなりそうな場合は、引き渡しの日がいつになるか、注意深く確認するようにしましょう。
5、不動産売却で課される消費税以外の税金は?
これまで消費税について解説してきましたが、本章では土地売却の際にかかる消費税以外の税金について解説します。
土地を売却した際にかかる税金は、以下の4種類です。
- 所得税
- 住民税
- 印紙税
- 登録免許税
(1)所得税
所得税は、個人が1年間に得た所得に対して課税される税金です。土地売却においても、売却益が出れば所得税がかかります。
所得税は10種類に分類されており、土地売却にかかる税金は、その中の「譲渡所得税」にあたります。
土地売却で得た所得から、控除分を差し引いた分を「譲渡所得」といい、譲渡所得税は、譲渡所得に応じて課税額が決まる税金です。
土地の譲渡所得は、他の所得と分けて計算しなければなりません。
所得税は土地売却でかかる税金の中で、最も高額になります。
(2)住民税
土地売却によって発生した譲渡所得には、住民税もかかります。
住民税は売却した土地の保有年数によって税率が異なる点に注意しましょう。
- 5年以下の場合「短期譲渡所得」となり9%
- 5年超の場合「長期譲渡所得」となり5%
(3)印紙税
多額の金銭が動く契約では、書面のやりとりが生まれます。印紙税は、このような場合に交わす契約書や領収書などにかかる税金です。
土地売却では、売買契約成立時に交わす契約書に、収入印紙を貼付して納税します。記載額によって税額が変動する税目で、主な納税額は以下の通りです。
なお、書面に記載された契約金額が10万円を越える場合、令和6年3月31日まで軽減措置が適用されます。
書面に記載された契約金額 | 本則税率(2024年4月~) | 軽減税率(~2024年3月) |
500万~1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万~5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円~5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
(4)登録免許税
登録免許税は、不動産登記をするときに必要になる税金です。
土地を売却する場合、その土地に抵当権が設定されている(不動産を担保にローンを組んでいる)のであれば、抵当権の抹消登記が必要になります。
抵当権抹消登記を行う不動産1つにつき1,000円になるので、売却する土地が1つの場合、かかる登録免許税は1,000円となります。
土地を売却するときの消費税に関するQ&A
Q1:土地に消費税はかかる?
消費税は、商品・サービスなど「消費されるもの」に対して課税される税金です。土地は消費されるものではないため、消費税がかかりません。
Q2:土地に関連する取引で、消費税がかかるものはある?
不動産取引にあたって、消費税の課税対象となる取引には、以下のようなものが挙げられます。
- 課税事業者が売却した建物
- 土地に埋まっている地下車庫などの設備
- 不動産会社へ支払う仲介手数料
- その他土地売却に関連する各種手数料
Q3:事業者が土地を売却するとき、消費税は非課税?
売り手が個人であるか法人(事業者)であるかに関わらず、土地の売却(譲渡)は非課税取引となります。
「土地」には、借地権などの土地の上に存在している権利も含まれます。
借地権についても土地同様、非課税対象です。
ただし、
- 1か月未満の土地の貸付け
- 駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合
は、非課税取引には当たらず、消費税がかかるので注意してください。
まとめ
土地自体は、消費税の非課税対象です。
しかし、土地に埋まっている設備や、不動産会社へ支払う仲介手数料などは、消費税の課税対象であることに注意してください。
仲介手数料の上限は、消費税を考慮しない税抜価格をもとに計算されます。仲介手数料の上限を計算し、それに対する消費税額を求めることで、実際に支払う仲介手数料を見積もると良いでしょう。
これから土地を売却される方の参考になれば幸いです。
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不動産大手6社が共同で立ち上げた一括査定サイトです。6社というと少ないように感じるかもしれませんが、このうちの3社は以下のとおり。
- 三井不動産リアリティネットワーク
- 住友不動産
- 東急リバブル
この3社だけで、業界における仲介件数がトップ3を占めているため、査定サイトの中では流通件数自体は最も多いとも言えます。
また、上記3社は「すまいValue」でしか査定依頼ができません。これだけでもかなりのメリットといえるのではないでしょうか。
大手不動産会社は広告料が安く、有名ポータルサイトに物件を掲載してくれる可能性もあるため、早く売れる可能性が高くなるでしょう。
「すまいValue」に参加している6社は、すべて全国的なネームバリューを誇る大手不動産業者なので、不安や心配を感じることは少ないでしょう。
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