事業用不動産をスムーズに高額で売却するためには、売却の流れや費用、不動産会社選びなどについて、事前にしっかり確認することが大切です。
今回は、
- 事業用不動産売却の流れ
- 事業用不動産の売却にかかる費用
- 事業用不動産を早期に高く売却するための3つのポイント
事業用不動産の売却を検討している皆さまのご参考になれば幸いです。
事業用不動産とは、特定の事業目的で使用される不動産のことを指します。具体的な例としては、オフィスビル、工場、倉庫、商業施設、ホテル、医療施設、物流施設などが挙げられます。
目次
1、事業用不動産を売却する流れ
事業用不動産とは、店舗や事務所ビルなどから家賃収入等の収益を得ることを購入した不動産です。
具体的には、次のようなものが「事業用不動産」にあたります。
- 投資用マンションなどの「投資用不動産」
- 事務所ビルや店舗などの「事業継続にあたり利用される不動産」
では、実際に事業用不動産を売却する流れについて、確認しましょう。
(1)事業用不動産の売却前に準備すべきこと
事業用不動産の売却を決めたら、まずは次の3つのことを準備しましょう。
- 事業用不動産のテナントへ売却することを通知
- テナントの敷金を清算する
- 売却したい事業用不動産の売却価格相場を知る
①事業用不動産のテナントへ売却することを通知
事業用不動産の売却前に、事業用不動産に入っている店舗や事務所などのテナントなどから売却の同意を得る必要はありません。
しかし、売却によって事業用不動産のオーナーが変更となった場合には、テナントの賃料振込先が変わります。
テナントに対しては、「事業用不動産を売却しました」という「通知」をしておきましょう。このときにテナントへ送る通知書を、「地位承継通知書」といいます。
なお、実務上は、通知書と一緒にテナントから同意書をもらうのが一般的です。
事業用不動産売却のテナントへの通知書は、売却後に、旧オーナーと新オーナーが連名で送ります。
②敷金を清算する
テナントの入居時に旧オーナーへ支払われていた敷金は、事業用不動産が売却されると、旧オーナーから新オーナーへ継承されます。
売却後に新オーナーやテナントとのトラブルを防ぐため、事業用不動産売却前には、各テナントに敷金がどれくらいあるかについてまとめておきましょう。
③売却したい事業用不動産の売却価格相場を知る
事業用不動産の売却前には、不動産の売却価格の相場を知りましょう。
なぜ、事前に事業用不動産の売却価格の相場を知る必要があるのでしょうか。
事業用不動産を含め、不動産売却にあたっては、売り出す前に「売り出し価格」を決めなければなりません。
「売り出し価格」は、売却媒介契約を締結する不動産会社が決めてくれるケースもあります。
もし、不動産会社が「早く売りたいなら、売り出し価格を少し安くしよう」と割安の売却価格を設定してきた場合、本来高く売れたのに損してしまうことになりかねません。
以上のような事態を避けるには、ご自身で売却価格の相場を把握して売却価格を設定する必要があるのです。
(2)売却する事業用不動産を査定する
事業用不動産の売却価格相場を把握したら、次は事業用不動産の売却価格を査定しましょう。
事業用不動産の売却価格は、次の方法によって査定が可能です。
- 簡易査定
- 訪問査定
まずは、一括査定サイトで「簡易査定」をしてもらい、その後対応が良かった不動産会社に直接連絡して「訪問査定」をしてもらうという流れです。
訪問査定後に、正式に不動産会社を選び、売却仲介契約を締結します。
具体的に、それぞれの査定方法について解説します。
①一括査定
事業用不動産の売却時にも、住居不動産と同様に、一括査定サイトを利用することでお得に売却できます。
よく利用されている一括サイトを紹介しますので、ぜひご参考ください。
すまいValue|ここでしか依頼できない大手不動産会社が集結!
不動産売却一括査定サイトのなかで、絶対に外したくないのが「すまいValue」。
不動産大手6社が共同で立ち上げた一括査定サイトです。
6社というと少ないように感じるかもしれませんが、このうちの3社は以下のとおり。
- 三井不動産リアリティネットワーク
- 住友不動産
- 東急リバブル
この3社だけで、業界における仲介件数がトップ3を占めているため、査定サイトの中では流通件数自体は最も多いとも言えます。
また、上記3社は「すまいValue」でしか査定依頼ができません。これだけでもかなりのメリットといえるのではないでしょうか。
大手不動産会社は広告料が安く、有名ポータルサイトに物件を掲載してくれる可能性もあるため、早く売れる可能性が高くなるでしょう。
「すまいValue」に参加している6社は、すべて全国的なネームバリューを誇る大手不動産業者なので、不安や心配を感じることは少ないでしょう。
「すまいValue」を利用した人の96.3% が安心感があると回答しています。安心感を最優先させたい人におすすめの一括査定サービスです。
ただ、大手不動産会社のため、売却時の仲介手数料は比較的高額になる可能性が高く、地方や郊外の物件の場合は査定のエリア外となってしまう場合もありますので、注意が必要です。
HOME4U|売却査定サイトで唯一!無料電話相談が可能
「HOME4U」は、NTTのグループ会社であるNTTデータ・スマートソーシングが運営する一括査定サービスです。
2001年にサービスが開始され、他社と比べると立ち上げが非常に早いといえるでしょう。すでに20年以上の歴史があるので、安心感が違うのではないでしょうか。
HOME4Uの一括査定サイトとしての唯一無二の特徴は、電話相談対応をしていることです。NTTだけに、フリーダイヤルで無料というところもポイントです。
他に電話相談ができる一括査定サイトはありません。
また、プライバシーマークを取得しており、個人情報を手厚く保護する体制も整っています。
査定サイトとしては、独自の審査基準を作り、ユーザーにマッチした不動産会社を吟味・厳選したうえで掲載しているのが特徴です。
常に悪徳不動産業者のパトロールを行っているため、信頼性はかなり高いといえるでしょう。
ただし、大手不動産会社には査定の依頼ができないことに注意が必要です。
SRE不動産|AIを使った売却手法×エージェント制度で納得度の高い査定
「SRE不動産」はソニーグループの不動産会社です。
SRE不動産では、業界最高水準の精度を誇るAI が、以下のような人間では処理できないほどの大量なデータや、さまざまな条件から売却の推定価格を算出します。
また、注目すべき特徴として、「売却エージェント制」があげられます。
不動産会社では、自社で売り手と買い手の両方を担当することを目標とするのが一般的です。これを「両手仲介」といい、双方から仲介手数料を受け取れるというメリットがあります。
しかしながら、仲介手数料は成功報酬なので、成約しなければ受け取ることができません。
成約につなげるためには売り手・買い手どちらかに肩入れするのではなく、双方の妥協点をすり合わせていくというスタイルになります。会社利益を考えればやむを得ないことですが、売る側も買う側も100%満足というわけにはいきません。
SRE不動産では、ひとりの営業が売り手と買い手の双方の担当者となることを原則禁止し、売却専門・購買専門に組織を分けたエージェント制度を導入しています。
仮に自社で買い手が見つかったとしても、業務や担当が完全に独立しているため、売却エージェント(担当)は100%売り手の要望にそって交渉にあたります。
「業界最高水準のAI(人工知能)」による客観的でより正確な査定価格の算出と、「売却に特化した専門エージェント」のサポートによって、「安心安全なお取引」と「早く高く売ること」を徹底的に追求しているのです。
なお、SRE不動産はサービスエリア(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)が限られていますが、該当する場合はぜひおすすめしたいサイトです。
②訪問査定
訪問査定は、不動産会社が実際に事業用不動産を見たり、詳細な資料を確認したりして行う査定です。
簡易査定と比較すると、より正確な価格を算出できます。
なお、不動産会社によって査定方法が異なるので、同じ不動産でも不動産会社によって査定価格が異なる可能性があります。
一社のみでは正確性が心配な場合、複数の不動産会社に依頼するがおすすめです。
各不動産会社の査定後には、なぜその価格になったのか根拠をきちんと各不動産会社へ確認しましょう。
媒介仲介契約を結ぶ不動産会社は、査定価格の算出の根拠を分かりやすく説得的に説明してくれる会社を選ぶことがおすすめです。
(2)売却の媒介契約を締結
売却依頼をする不動産業者が決まったら、売却媒介契約を締結しましょう。
媒介契約には、次の3種類があります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
不動産会社と事業用不動産売却の媒介契約を締結できたら、不動産会社に売却活動をしてもらいましょう。
不動産会社の売却活動は、不動産を早期に高額で売却するために最重要な項目です。
(3)売買契約締結
無事に不動産の購入者が決まったら、次の流れで不動産売買契約を締結しましょう。
- ①代金の支払いや物件の引渡し日などを決める
- ②不動産売買契約書をかわす
①代金の支払いや物件の引渡し日などを決める
まずは、不動産購入者の「購入申込書」を取得します。
次に購入者と次の事項などについて取り決めた後、不動産売買契約を締結します。
- 代金の支払い
- 物件の引渡し日
不動産売買契約時には、さまざまな書類が必要です。
詳しくは、「不動産売却の必要書類を解説!【チェックリスト付】」をご確認ください。
②不動産売買契約書をかわす
不動産売買契約を正式に締結するために、購入者と不動産売買契約書をかわします。
不動産売買契約書は、事業用不動産をはじめ、すべての不動産売却において非常に重要な書面です。
不動産売買契約書は、一般的に不動産会社が作成してくれますが、契約書の内容に間違いや抜け漏れなどがないように、売主側でもよく注意する必要があります。
また、不動産売買契約成立時には、不動産会社へ仲介手数料を支払うケースもあります。
(4)事業用不動産の引渡し
売買契約締結後、購入者から代金を全額受領したら、あらかじめ取り決めていた「引渡し日」に事業用不動産の引渡しを行いましょう。
なお、事業用不動産の引渡し時には、所有権移転登記する必要があります。
登記には、売渡証書や権利証の準備が必要です。
売渡証書については、司法書士に伝えて準備してもらうようにしましょう。
以上が、事業用不動産の売却の流れとなります。
次に、事業用不動産の売却にかかる費用について解説します。
2、事業用不動産の売却にかかる費用
本項では、
- 事業用不動産の売却にかかる費用
- 事業用不動産の買換え特例
について、確認しましょう。
(1)事業用不動産の売却時にかかる費用
事業用不動産の売却時には、次のような費用がかかります。
- 印紙代
- 仲介手数料
- 抵当権抹消登記の免許税
- 金融機関に支払う一括繰上げ返済手数料
①印紙代
事業用不動産をはじめとした「不動産売買契約書」には、契約金額に応じた金額の収入印紙を貼付して印紙代を支払う必要があります。
印紙を貼っていない場合、「過怠税」などで後日請求されることもあるため忘れずに収入印紙を貼り付けましょう。
②仲介手数料
事業用不動産の売買契約が成立したら、売却仲介契約を締結した不動産会社へ「仲介手数料」を支払う必要があります。
以下の表のとおり、「宅地建物取引業法」と「国土交通省告示第 172 号」によって、仲介手数料の上限額は、売買代金の金額区分ごとに定められています。
不動産の売買価格 | 手数料の上限 |
200万円以下 | 5% |
200万円超400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円超 | 3%+6万円 |
※物件の価格:非課税
例えば、売買価格が1億円の場合、仲介手数料の上限額は次の通りです。
- 300万円+6万円+消費税
法律などで規定されているのはあくまで仲介手数料の「上限額」で、上限額より低ければ、いくらにしても問題ありません。
特に、売買価格が高い場合には、仲介手数料の負担額も大きくなってしまうため、値引きを受けられないか交渉するとよいでしょう。
不動産会社の選定段階で、「仲介手数料を安くしてくれたら売却仲介を依頼する」などと交渉すると効果的です。
③抵当権抹消登記の免許税
売却する事業用不動産を担保に金融機関から融資を受けていた場合、事業用不動産には抵当権が設定されています。
抵当権が設定されている事業用不動産を売却する場合には、売却代金でローン残債を完済してから、抵当権抹消登記手続を取らなければなりません。
売却代金よりローン残債が大きい場合は、差額について自身で現金を用意する必要があります。
万が一、差額の現金を用意できない場合には、事業用不動産を売却できなくなってしまう点に注意が必要です。
④金融機関に支払う一括繰上げ返済手数料
事業用不動産の取得時に融資を受けており、まだ完済されていない場合には、金融機関へローン残債とともに、「一括繰り上げ返済手数料」を支払う必要があります。
(2)事業用不動産を売却したときの譲渡所得税
事業用不動産を売却して利益を得られたら、「譲渡所得」として所得税と住民税を納める必要があります。
譲渡所得税は、次のように算出しましょう。
- 売却価格-(不動産取得費+売却費用)×税率
税率は、所有期間によって、次のように異なります。
- 所有期間5年以下で39%
- 所有期間5年超で20%
参照:土地や建物を売ったとき―国税庁
所有期間が5年を超えるか超えないかによって、税率は2倍近い違いがあります。
所有期間が5年を超えてから売却するようにしたほうが、お得といえるでしょう。
(3)事業用不動産の買換え特例
「事業用不動産の買い換え特例」とは、一定の事業用不動産へ買換えた場合に、譲渡利益の80%について課税の繰り延べが認められることです。
事業用不動産の売却時に、売却利益が出た場合にメリットとなる特例です。
所有者が法人でも個人でも、同様に利用することができます。
利用条件や譲渡所得の金額の計算方法など詳しい内容については、国税庁の「事業用不動産の買い換えたときの特例」をご参照ください。
3、事業用不動産を早期に高く売却するための3つのポイント
事業用不動産を短期間にて高額で売却するには、大きく以下の3つのポイントが挙げられます。
- 査定価格についてしっかり理解する
- 不動産会社が積極的に売却活動してくれているか確認する
- 「買取」という売却方法もある
では、順番にみていきましょう。
(1)査定価格についてしっかり理解する
「事業用不動産を売却したい!」と思ったら、まず「今の自分の不動産はいくらになるのだろう?」という点が気になり、査定を依頼される方は多いのではないでしょうか。
事業用不動産を高く売却するには、査定価格についてしっかり理解することが重要です。
①査定価格とは?
そもそも査定価格とは、「売り出し価格」を設定する基準となる価格です。
不動産会社が、取引事例などの客観的なデータを基に「査定価格」を算出します。
実際に、いくらで不動産を売却できるかどうかについては、売り手と買い手の合意があってこそ初めて決まります。
査定価格は、あくまで「売却価格ではない」ことに注意しましょう。
②不動産価格の3つの査定方法
不動産の売却価格を査定する方法として、大きく次の3つの方法があります。
- 取引事例比較法
- 収益還元法
- 原価法
取引事例比較法は、最も基本的な査定方法です。
収益還元法は、投資不動産の際に使われる方法です。
原価法は、主に建物や一戸建てに使われる方法となります。
不動産会社によって、査定方法や不動産に対する考え方に違いがあります。
同じ不動産を複数不動産会社に査定してもらうと、査定価格に差が出ることが一般的です。
したがって、不動産会社の査定価格が適正かどうかを判断するには、次のことが大切です。
- 「査定価格算出の根拠」を不動産会社に確認する
- 不動産の売却価格相場を知る
③高すぎる査定価格は注意すべき?
「査定価格が高い不動産会社に売却依頼をすれば、高く売れるでは……?」と思っている方は少なくないでしょう。
しかし、査定価格は売却価格設定時の参考程度の金額であるため、査定価格が高いからといって必ずしも高く売れるわけではありません。
売却媒介契約を締結させるために、実際に売れる可能性が低いような高額の査定金額を提示する不動産会社も少なくありませんので、注意しましょう。
(2)不動産会社が積極的に売却活動してくれているか確認する
不動産会社に売却依頼をした後に、具体的にはどのような売却活動をしているかを売主自身でしっかり確認することも大切です。
不動産会社が積極的に売却活動してくれているかをチェックするには、大きく以下の3つのポイントが挙げられます。
- 販売用図面(マイソク)をチェックする
- REINS(レインズ)の登録をチェックする
- 広告活動をチェックする
では、順番に確認しましょう。
①販売用図面(マイソク)をチェックする
不動産の売却活動を始める前に、不動産会社は対象不動産の「販売用図面」を作成します。
「販売用図面」とは、一番最初に購入希望者に物件の情報を伝わる情報であり、内覧に繋げるかどうかとても大切な情報です。マイソクとも呼ばれます。
販売用図面をチェックする際には、不動産の基本情報をはじめ、次の点をチェックしましょう。
- 不動産の写真は外観・室内など複数掲載されているか
- 不動産のセールスポイントを細かく記載されているか
- 白黒ではなくカラーで作成されているか
②REINS(レインズ)の登録をチェックする
不動産会社は、売却媒介契約を締結した物件を、「レインズ(※1)」に登録する義務がある場合があります。
登録義務については、媒介契約の種類によって異なります。
レインズに物件を登録すると、物件情報がレインズのネットワーク上に公開されます。
レインズに登録されている物件は、他の不動産会社の抱えている購入希望者にも、紹介してもらうことが可能です。
しかし、不動産会社のなかには、買主と売主の両方から仲介手数料を受け取るために、「販売用図面をレインズに公開しない会社」も存在します。
不動産業界では、「販売用図面を公開しないこと」は、他社へ情報を紹介しようとする意思がない証拠といわれています。
レインズにご自身の不動産が登録されていない場合、積極的に売却活動が行われているとは言い難いでしょう。
不動産会社を通じて、レインズにご自身の不動産が登録されたら、「登録証明書」を必ず受領し、「図面の登録有・無」を確認することが重要です。
※1、レインズとは、「Real Estate Information Network System」の略称で、不動産流通標準システムのことです。
③広告活動をチェックする
不動産売却の広告活動として、具体的には次のような方法があります。
- 紙媒体(新聞チラシやポスティングなど)
- インターネット(自社HPへの掲載や不動産ポータルサイトへの掲載)
- オープンルーム開催(空室の場合)
実際に、ご自身の不動産がどのように広告されているかについて、インターネットで不動産を検索したり、オープンルームの開催状況を確認したりしましょう。
具体的には、「4、事業用不動産の売却で損しないための不動産会社の選び方」で解説しますが、媒介契約の種類に応じて、売却営業活動の報告が義務付けられています。
報告書のフォーマットは会社ごとに異なりますが、主に以下のような内容が記載されます。
- チラシ配布部数
- 問合せ件数
- 内覧件数
- お客さん案内のフィードバック
どのような広告活動を行っているか、詳細をしっかり不動産会社へ確認しましょう。
営業活動報告書のイメージを貼付しますので、参考にしてください。
出典:ノムコム
(3)「買取」という売却方法もある!
不動産の売却は、不動産会社を媒介して売却する方法以外に、「買取」という売却方法もあります。
「買取」とは、不動産買取り会社などに直接不動産を売却する方法です。
「売却に時間の余裕がない」「他人に知られることなく売却をしたい」などという事情を抱えている方は、検討してみてはいかがでしょうか。
買取による売却の流れなどは、仲介による売却とは異なります。
詳しくは、「【不動産買取のキホン】買取を完璧に理解するための12のこと」をご参照ください。
4、事業用不動産の売却で損しないための不動産会社と担当者の選び方
事業用不動産を高く売却するには、信頼できる不動産会社と売主の味方になってくれる営業担当者を見極めることがとても大切です。
本項では、不動産会社と営業担当者選びで損しないために、次の点を解説します。
- 事業用不動産の売却時の不動産会社とのおすすめ仲介契約形態
- 信頼できる不動産会社の選び方
- 売主の味方になってくれる営業担当者の選び方
(1)事業用不動産の売却時の不動産会社とのおすすめ仲介契約形態
①仲介契約は3つの種類がある
不動産売却における仲介契約には、次の3つがあります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
【一般媒介契約】
一般媒介契約は、複数の不動産会社へ同時に仲介を依頼できる契約です。
売主がご自身で購入者を探すこともできます。
【専任媒介契約】
専任媒介契約は、契約期間中に専任媒介契約を締結している不動産会社以外と媒介契約を締結できません。
専任媒介契約では、売主がご自身で購入者を探すことができます。
【専属専任媒介契約】
専属専任媒介契約は、専任媒介契約と同様に、契約期間中他の不動産会社と媒介契約を締結できません。
また、売主がご自身で購入者を探すことも制限されています。
それぞれの契約の特徴について、以下の表にまとめました。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
複数の不動産会社に依頼ができるか | ○ | × | × |
自分で購入者を探せるか | ○ | ○ | × |
レインズの登録 | 法律上不要 | 契約から7日以内 | 契約から5日以内 |
契約期間 | 法律上なし(※1) | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
仲介業務の報告義務 | なし(※2) | あり(週1回) | あり(2週間に1回) |
(※1)行政上「3ヶ月以内」との指導あり
(※2)任意で義務を課すことは可能
②まずは「一般媒介契約」での契約がおすすめ
不動産会社や営業担当者によって、不動産売却活動における広告方法やノウハウが異なります。
実際に不動産を売り出さないと、本当に早期に高額で売却ができるかどうか判断できません。
以上のことより、最初から1社の不動産会社に絞るのではなく、複数の不動産会社に売却活動を依頼できる「一般媒介契約」からスタートしましょう。
「一般媒介契約」の活用方法について、詳しくは「一般媒介契約 | 不動産を高く売却したい方が知っておくべき3つのこと」をご参考ください。
(2)信頼できる不動産会社の選び方
(1)では、実際に売却活動が始まらないと、不動産会社の売却活動方法などが判断できないと説明しました。
媒介契約を結ぶ前に、「信頼できる不動産会社を見極めるポイントはないの?」と不安な方も多いでしょう。
ご安心ください。媒介契約締結前に「信頼できる不動産会社を見極めるポイント」には、次のようなものがあります。
- 資本金が大きい
- 従業員数が多い
- 取り扱っている不動産の仲介件数が多い
上記のポイントを踏まえて、「5、おすすめの不動産会社3社」で不動産会社をピックアップしましたので、ご参考ください。
(3)売主の味方になってくれる営業担当者の選び方
不動産の売却において、信頼できる不動産会社を選ぶのはもちろん重要です。
さらに、売主のニーズをしっかり理解したうえで、責任を持って仕事をしてくれる「営業担当者」を選ぶことも同じくらい大切といえるでしょう。
売主の味方になってくれる担当者を選ぶためには、以下のようなポイントが挙げられます。
- 依頼主のニーズに合ったプランを提案してくれるか
- 査定金額の根拠を明記したか
- 不動産の現況など細かい情報までヒアリングしてくれるか
- 確認事項に対して丁寧に応えてくれるか
- 売主の意見を聞き入れてくれるか
購入希望者や買主との交渉、不動産売却に関連する書類の作成など、不動産売却におけるさまざまな手続きはすべて担当者が行います。
その意味でも、信頼できる担当者を選ぶことは非常に重要です。
まとめ
今回は、事業用不動産の売却を中心に解説しました。
事業用不動産に限らず、不動産売却においては、「媒介契約を締結する不動産会社」や「営業担当者」が信頼できるかどうかが非常に重要です。
不動産会社選びに失敗しないためにも、売主ご自身が不動産売却についてよく理解する必要があります。
事業用不動産を売却する際には、ぜひ本記事をご参考いただき、早期により高額での売却を目指しましょう。