資産運用先として「アクティビストファンド」に関心をお持ちですか?
アクティビストとは「提案、発言をする人」という意味ですが、株式市場ではアクティビストのことを「モノ言う株主」と解釈されています。
モノを言う以上、アクティビストファンドには企業価値を高めて株価を高くするための戦略や考えがあります。それが成功すると株価が上昇して株主還元も手厚くなり、アクティビストファンドに預けている投資家の資産を大きく増やすことができるため、投資家の間でも注目が集まりやすい存在です。
- アクティビストファンドとはどんなファンドなのか?
- アクティビストファンドにお金を預けると儲かるのか?
- アクティビストファンドのリスクとは?
アクティビストファンドへの投資をお考えの方の頭の中にあるのは、おおむねこういった疑問点ではないでしょうか。
そこで月間20万人の方々が訪れるお金のメディア「不動産投資の教科書」として、若干謎めいた存在であるアクティビストファンドに光を当て、投資家の方々にとって必要な全情報をお届けしたいと思います。
この記事をお読みの方で「ファンドとは何か?7つのポイントできちんと理解しよう」について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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目次
1、資産を安全かつ大きく増やしたい方へ
資産を大きく増やしたいが、安全性もしっかり確保したい。これはすべての投資家に共通する願いです。本来矛盾する願いですが、アクティビストファンドならそれを両立できるかも知れません。
(1)高いリターンは高いリスクと背中合わせ?
リスクとリターンは常に表裏一体のものであり、高いリターンを狙うのであればハイリスクになることは避けられない・・・というのが投資の世界の常識です。それゆえにローリスク商品からハイリスク商品までさまざまな選択肢があります。
高いリターンは欲しいがハイリスクは避けたいという相反する願いは投資家に共通するものですが、それを実現できる可能性を持っているのがアクティビストファンドです。
なぜアクティビストファンドなら高いリターンとローリスクという夢のような両立が可能になるのでしょうか?その理由を順次解説していきます。
(2)意外にも?低リスクで堅実なヘッジファンド
ヘッジファンドという言葉をご存知の方は多いと思います。日本でのイメージというと「ハゲタカファンド」という言葉に象徴されるように、利益を上げるためなら他人の犠牲も厭わない存在という感じではないでしょうか。
確かにその一面もあるかも知れませんが、本来ヘッジファンドとは市場がどんな状況になっている時であっても利益を追求する存在です。投資信託であれば株価の下落によって同時に価値が下落しますが、ヘッジファンドは空売りなどあらゆる投資戦術を駆使して絶対利益を追求します。
ヘッジファンドに関する詳しい解説は「個人投資家がヘッジファンドに投資する裏ワザは?」に譲りますが、ここでは「どんな状況であっても投資家の利益を追求するのがヘッジファンド」だと理解しておいてください。
この記事でご紹介するアクティビストファンドも、そんなヘッジファンドと同じ目的を持っています。
ヘッジファンドにしても、それと同じ方向性を持っているアクティビストファンドにしても、投資家にとっては意外にリスクが低く堅実な投資対象であることを、まずは押さえておいてください。
(3)企業とともに企業価値を高めるのがアクティビストファンド
ヘッジファンドと同じ目的を持っているアクティビストファンドですが、最大の特徴は市場の原理だけでなく企業そのものに発言、提案をすることで企業価値の向上を目指すところにあります。
「株価が上がりそうだから買う」のではなく、「株を買って株価が上がるように努力する」のがアクティビストファンドです。その性質上、アクティビストファンドが得意としているのは低位株を成長させるバリュー投資です。
一般投資家がバリュー投資をするとなると成長株を見つけるのにひと苦労ですし、仮に買ったところで企業に何かを働きかけて企業価値を高めるためにできることは限られています。
アクティビストファンドは投資家から集めた潤沢な資金とプロの技術によってそれを行うため、多くの低位株がアクティビストファンドの活動によって値上がりをして、投資家に利益をもたらしています。
そんな魅力的なアクティビストファンドに投資をしたいと思われた方は、この記事を順次読み進めてください。
2、アクティビストファンドの基礎知識
アクティビストファンドへの投資を検討するのにあたって、この段階で知っておくべきアクティビストファンドの基礎知識を網羅しておきましょう。
(1)アクティビストファンドとは?
アクティビストとは「モノ言う株主」のことである、と冒頭で述べました。アクティビストファンドはモノ言う株主が率いているファンドのことで、投資家から集めた資金を使って株を買い、大口株主となった企業に対してさまざまな発言や提案をすることで企業価値の向上を図ります。
ここで重要なのは、企業価値を高めるだけではアクティビストファンドの目的を果たしたことにはなっていない点です。企業価値が高まった結果として株価が高くなり、そして配当などの形で株主還元がなされることが最終的な目的です。企業価値を高めるための努力をした上で、しっかりとその見返りも求めているというわけです。
モノ言う株主という言葉に日本では少々マイナスイメージがあるのは、アクティビストファンドが企業に対して敵対的な投資や発言をすることもあったため、日本の伝統的な経営と相容れない部分があったからです。
かつて「村上ファンド」が活躍していた頃には、良いイメージを持っていなかった人が大半でした。しかしこの「村上ファンド」こそ日本でのアクティビストファンドの草分け的存在であり、投資家の絶対的利益を追求するスタイルを貫いていたことも事実です。
(2)アクティビストファンドと他のファンドの違い
ファンドという言葉には基金という意味があります。投資の世界では投資家から集めたお金を使って投資を行い、そこから得た利益を投資家に還元する仕組みのこととして理解されています。
アクティビストファンドもその仕組みに属するものですが、他のファンドと違うのは低位株に狙いを定めて株を買い、自らも発言や提案を行うことで企業価値を高めることに特化している点です。言わば参加型のバリュー投資というスタイルです。
前項では「村上ファンド」の例をご紹介しましたが、世界に目を向けると伝説的な投資家であるウォーレン・バフェットも典型的なアクティビストです。
(3)アクティビストファンド投資のメリット
アクティビストファンド投資のメリットは、何と言ってもプロの分析や活動によるバリュー投資に参加できることです。低位株の中から自分で大化けする銘柄を見つけることができればアクティビストファンドの必要性もないと思いますが、一般投資家にとってそれは実に難しいことです。
アクティビストファンドであれば低位株を自分たちの活動で大化けさせてくれる可能性があるので、投資家にとってはとても頼もしい存在です。
(4)アクティビストファンド投資のデメリット
手堅い投資である上に大化けの期待も持てるアクティビストファンド投資ですが、その一方でデメリットもあります。
多くの一般投資家にとって最大のハードルは、最低投資金額です。多くのヘッジファンドが億単位の投資しか受け付けていないのと同様に、アクティビストファンド投資にもまとまった資金が必要です。
さらに、投資信託のようにいつでもやめられるという代物ではありません。アクティビストの方針に従う必要があるので、流動性は低くなります。
事実上まとまった余剰資金がある人にしか、門戸が開かれていないと考えるべきでしょう。しかし、少なくとも数千万円程度またはそれ以上の余剰資金がある方にとってはかなり魅力的な投資対象となります。
(5)アクティビストは何をしているのか?
アクティビストは以下のような活動をしています。
アクティビストの活動①企業の株式を買い入れて一定以上保有する
アクティビストは、株主総会などで経営陣への発言権をもつ必要があるため、企業の株式を一定以上保有する必要があります。
企業にとっては株式を発行し投資家に買ってもらうことも資金調達のひとつなので、その株式を一定以上保有する見返りに、株主総会への参加、発言権を手にします。
アクティビストの活動②株価を上昇させるため企業の経営陣への提言する
株価が上昇するということは、一般的に企業の時価総額も上昇することになります。企業にとっても株主にとっても、悪いことではありません。
そのため、口を出される経営陣も、有用な提言なら受け入れるケースがあります。具体的には、事業戦略や資本構成についてなど、経営の効率化や自社株買いなどを提言し、株価を上昇させるように働きかけているのです。
アクティビストの活動③株主への利益還元を最優先に考えているか提言、監視している
株主を代表して、コーポレートガバナンスに関する提言、監視を行うのもアクティビストの活動です。企業のコーポレートガバナンスが正常に機能していなければ、経営陣や取締役会の交代要求など、改善を目的とした提言を行います。
後述しますが、コーポレートガバナンスは「企業は経営陣ではなく、資本投資している株主のもの」という考えのもと、企業の収益や競争力アップ、不正防止などを目的に策定されています。そのため、経営陣を監視し株主にとって不利益にならないように提言しているのです。
(6)アクティビストの必要性や影響とは?
経営に口を出し株価を上昇させ利益が膨らんだところで売り抜けるなど、企業にとっては悪影響を与えることもあるアクティビストですが、株主にとっては必要な存在といえます。
企業は、社員を守りつつ会社を発展させ次の世代へ存続させること、また会社の事業が社会貢献につなげることが目的です。いわば、企業や社会のため、長期的な利益を目的としています。
反対にアクティビストは、投資家や自ファンドに利益をもたらすことが目的です。株主のため、短期的な利益を目的としています。
そのため、企業にとっては悪影響を与える一方、株主にとっては必要性の高い存在といえるのです。
企業へ客観的な提言を行い企業価値を上げ、それにより株主へ利益をもたらすなど、企業と株主の利益バランスを考えると、アクティビストは社会的に必要性が高いといえるのではないでしょうか。
(7)アクティビストが考えていること
多くのアクティビストが考えていることは以下の通りです。
- 企業価値向上に何もやっていない企業が実に多い
- 当然、株主への還元も優先順位がとても低い
- 自社の株価に関心を持ち株主還元をもっと考えるべき
- アクティビストファンドはそんな現状を変える役割を担っている
日本の企業はまだまだ自社が上場している株について、そしてその株を持っている人に対する意識が低いということですね。
逆に考えるとそこにプロのアクティビストが活動することで、多くの株が大化けする余地を残しているとも言えます。
現在高い運用成績を上げ続けているアクティビストとして、「不動産投資の教科書」はBMキャピタルという投資会社に注目しています。BMキャピタルについての詳細は4章で紹介します。
3、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードとは
アベノミクスの一環として、経済の活性化を目的とした「コーポレートガバナンス・コード」「スチュワードシップ・コード」という枠組みがあります。これらは、アクティビストの活動を動機づける役割もあるのです。
(1)コーポレートガバナンス・コード
コーポレートガバナンス・コードとは「企業統治」という意味です。前章でも触れましたが、企業の収益や競争力アップ、不正防止などを目的に策定されています。
「企業は経営陣ではなく、資本投資している株主のもの」という原則に従い策定され、コーポレートガバナンス・コードを遵守することが自ファンドや投資家への利益に直結することから、アクティビストが企業へ提言、監視するのです。
日本においてコーポレートガバナンス・コードが策定された背景には「日本企業の国際競争力を高める」ということがあります。
世界一の経済大国であるアメリカの企業は、日本企業に比べ株主配当が多い傾向があり、「企業は資本投資している株主のもの」という経営スタイルです。
その経営スタイルが世界一の経済大国に押し上げているのは事実なので、日本企業でも株主第一のスタイルが大切になります。よって、今後もアクティビストの活動が活性化されるのではないでしょうか。
(2)スチュワードシップ・コード
スチュワードシップ・コードは、企業に課せられるものでなく受託者側が遵守すべき原則となります。
アクティビストを含む機関投資家や投資信託会社などの受託者が、企業に対して対話や投資によってどのような成長を促すかなど、「責任ある機関投資家」として正しい受託者責任を履行するための原則をまとめたものです。
このように、アクティビストは投資家の利益を最大限にするため、企業価値の向上を目指すことを遵守するよう求められています。
4、まだまだある、オススメのアクティビストファンド
先ほどはオススメのアクティビストファンドとしてM&Sをご紹介しましたが、その他にも日本国内で投資できるアクティビストファンドがあります。ここでは主要な2つのファンドをご紹介します。
(1)タイヨウ・パシフィック・パートナーズ
投資先企業との友好的な関係を重視し、企業価値を高めるというスタイルでは草分け的な存在です。時には耳の痛い話でも伝えてくれる「厳しい友人」がコンセプトです。
(2)ストラテジックキャピタル
かつて一世を風靡した村上ファンドで中心メンバーとして関わってきた丸木強氏が率いるアクティビストファンドです。
まとめ
この記事を読み始めた時は、アクティビストファンドって何?言葉は聞いたことあるけれど・・・という方が大半だったと思います。しかし今、記事を読み終えての感想はいかがでしょうか?
そんな魅力的なファンドなのであればぜひ投資してみたいと思った方は、ぜひ検討してみてください。もちろん投資の世界なので成功率100%ではありませんが、安全性を高めながら大きなリターンを目指す投資の世界に足を踏み入れる大きな第一歩となるでしょう。
この記事をお読みの方で「おすすめ資産運用方法9選を徹底比較!具体的な始め方と内容」について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。