一戸建ての売却価格の相場ってどれくらいなのだろう……。
具体的には、どのような要素が相まって相場が決定されるのだろう……。
一戸建ての売却をしたいと考えている方のなかには、一戸建ての売却価格の相場について知りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
一戸建ての売却を検討しているなら、相場をしっかり理解する必要があります。
今回は、
- 一戸建ての売却価格の相場の決定要素
- 一戸建ての売却は相場を知って価格アップするのか
- 一戸建ての売却価格の相場を調べられるサービス
などについて、不動産投資をはじめとした資産運用のコンテンツを発信している当メディア「不動産投資の教科書」が解説します。
あわせて、「一戸建ての売却価格相場を知ってから高額で売却するまでのポイント」についても、プロセス別に確認しましょう。
本記事が、一戸建ての売却価格の相場について知りたいと考えている方の参考になれば幸いです。
なお、相場を調べる方法についてこちらの記事「不動産売却で相場を簡単に調べる方法!高値売却には相場把握が大切」でも紹介していますので、ぜひ併せてご参照ください。
※この記事は2017年9月11日に公開したものを2021年4月19日に加筆修正しました。
目次
1、戸建て住宅の売却価格の相場の決定要素とは
一戸建て住宅は、集合住宅とは違って単体の建物で成り立っている物件です。
一戸建ての売却価格の相場は、物件固有のものとなります。
マンションなど集合住宅であれば、同じマンションの取引実績を参考にしやすいでしょう。
しかし、一戸建て住宅の場合はそういった情報がなく、物件固有のさまざまな要素をもとに相場が決まります。
具体的には、次のような要素によって、おおよその相場が決定されます。
- 近隣の物件の相場
- 立地条件
- 築年数
- 間取り
- 耐震強度
個別の要素について、具体的に確認しましょう。
(1)近隣の物件の相場
マンションのように、同じ建物の中で参考にできる不動産取引がない一戸建て住宅の場合、「近隣の物件の相場」が参考情報となります。
近隣で同様の条件の一戸建て住宅が取引きされている場合には、売却価格の相場に影響を与えます。
実際にご自身が一戸建ての売却価格を設定する際や、購入希望者との値引き交渉などにおいても、「近隣の物件の相場」が強く意識されるでしょう。
(2)立地条件
一般的に、不動産の価格は「立地条件」によって大きく変動します。
もちろん、一戸建てでも同じです。一戸建て住宅は土地付き不動産なので、家が建っている土地の相場も強く意識されます。
立地条件としては、主に次のような点が相場を左右する要素です。
- 交通アクセスがよいか
- 学校が近いか
- 病院が近いか
- スーパーやコンビニが近いか
- 公園やなどが充実しているか
立地条件に欠かせない「交通アクセス」については、主に次のような点が相場形成要素です。
- 最寄駅への所要時間
- 最寄り駅から都心までの所要時間
例えば、最寄駅から徒歩10分以内で、最寄駅から都心まで1時間以内、という条件であれば理想といえるでしょう。
(3)築年数
一戸建ての「築年数」も、売却価格の相場を決定する要素の1つです。
築年数については、特に次の2つのポイントが重要となります。
- 築10年が節目
- 法定耐用年数
①「築10年」が節目
築年数で相場を割り出す際には、「10年」がひとつの節目になります。
公益財団法人不動産流通推進センターが作成する「価格査定マニュアル」によると、築10年で「築浅による評価プラス」がなくなるというガイドラインが設けられています。
築10年を超えて、築年数が長くなればなるほど査定価格が下がるとのことです。
②法定耐用年数
一戸建て住宅の相場を算出する際に、もう1つ意識したいのが「法定耐用年数」です。
木造住宅の法定耐用年数は、次の通りです。
- 自己居住用の場合:33年
- 投資用の場合:22年
自己居住用の木造一戸建ての場合は、法定耐用年数が33年と長期であるため、あまり焦る必要はありません。
しかし、投資用の木造の一戸建てとなると、法定耐用年数は22年となり、次の買主がローンを組める年数に影響が出ます。
築10年の一戸建てを売却する場合、次の買主が投資用に購入するとなると、法定耐用年数の残存期間は12年です。
最長で、12年までしかローンを組めません。
中古一戸建ての場合、「物件価格が安ければ購入希望者も多いのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、中古一戸建てを売却するデメリットとして、以下の点が考えられます。
- 売却価格によってはローン期間の短さがネックになって購入希望者が敬遠する
- 購入希望者の与信によってはローン期間の短さゆえに融資がつかない
以上より、築年数は、一戸建ての売却価格の相場に大きな影響を与える要素ということがおわかりいただけたでしょう。
一戸建て住宅を売却する場合、「築10年」という節目を意識すると、高額で売却できる可能性が高くなります。
(4)間取り
一戸建てを含めて物件の売却では、「間取り」も重要な成否のカギを握ります。
分譲住宅のように、誰にでも受け入れられるような一般的な間取りが人気です。
一方、個性的な間取りは購入希望者を狭めてしまう可能性があるでしょう。
(5)耐震強度
中古の一戸建て住宅を購入する際に、「耐震強度」を重視する人は非常に多い傾向にあります。
物件の耐震強度も、売却価格の相場に影響を与える要素の1つです。
最も分かりやすい目安は、1981年に行われた建築基準法の改正で、1981年以降の建物は新基準に合致しており、一定の耐震強度が保証されています。
耐震強度においては、「長期優良住宅」に適合している家や「耐震等級」が高い家は、その分売却価格の相場も高くなります。
2、戸建て住宅の売却は相場を知って価格アップ?
前項では、一戸建ての売却価格の相場を決定する要素について解説しました。
一戸建ての売却では、売却価格の相場を事前に知っているかどうかによって、実際の売却価格を左右します。
具体的にはどういうことなのでしょうか。本項で確認しましょう。
(1)相場を知っていると一戸建ての売却価格が数百万円アップ!
一戸建て住宅に限ったことではありませんが、不動産の売却においては、売却価格の相場を事前に知ることが重要です。
事前に売却価格の相場を知らない場合と比較すると、実際の売却価格が数百万円レベルで高くなる可能性があります。
不動産は高額商品だけに、少し価格が変動しただけでも金額が大きく感じます。
不動産投資家であっても一般の方であっても、その数百万円が大きな意味を持っているのは同じです。
少しでも高く売りたいと思うのは、すべての人に共通することなので、売却したいと思っている一戸建て住宅の相場を事前に知ることが絶対不可欠でしょう。
(2)相場を知っていると高く売れるワケ
「一戸建ての売却価格の相場を知る」というのは、その一戸建て住宅の客観的な評価を知ることにもなるのです。
不動産業界では、「価格」という極めてわかりやすい数値で物件が評価されます。
事前に物件の「評価」を知っておくことには、次のようなメリットがあります。
- 必要以上の値引きに応じてしまうリスクをなくす
- 「どうすれば高く売れるか」という戦略を立てるためにも役立つ
不動産業者に対して、「海千山千である」というイメージを持っている方は少なくないでしょう。
しかし、不動産業者との信頼関係は、家を高く売るための基本です。
一戸建ての売却価格の相場を知ることは、不動産業者との信頼関係を作るうえでも効果的でしょう。
3、戸建て住宅の売却価格の相場を調べられるデータベース3選
前項では、一戸建ての売却価格をアップするためには、売却価格の相場を事前に知ることが大切であることを説明しました。
では、具体的に売却価格の相場は、どのように調べればよいのでしょうか。
以前なら、一戸建て住宅の相場を知る方法は、不動産業者だけが利用しているデータベースを使う必要がありました。
今では、一般に開放されている有用なデータベースがありますので、利用しましょう。
売却価格の相場を調べられるサービスを利用すると、無料で簡単に今すぐ一戸建て住宅の相場を知ることができます。
当メディア「不動産投資の教科書」がおすすめする無料サービスは、次の3つです。
(1)不動産取引価格情報検索(国土交通省)
「不動産取引価格情報検索」は、国土交通省が提供しているサービスです。
実際に取引きされた不動産の価格情報がデータベース化されています。
「1、(1)近隣の物件の相場」で述べたように、一戸建て住宅は近隣の取引実績でついた価格が強く意識されます。
近隣の物件の取引事例を調べたい場合には、不動産取引情報検索が役立つでしょう。
https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
(2)REINS Market Information(不動産流通機構)
「REINS Market Information」(レインズ)は、不動産の業界団体「不動産流通機構」が提供している、一般向けの不動産取引情報のデータベースです。
レインズは、不動産業者向けのサービスとしてすでに定番です。
「売却活動を開始=レインズに売り出し情報を掲載」だといっても良いほど、広く利用されています。
不動産業者向けサービスを一般向けに提供しているため、取引情報についても質・量ともに充実しています。
一戸建て住宅の近隣取引情報を調べて相場を知るのに役立つでしょう。
http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do
(3)周辺売出相場検索(東急リバブル)
「周辺売出相場検索」は、中古住宅取り扱いの大手「東急リバブル」が提供している売り出し価格情報のデータベースです。
対象エリアの平均価格が表示されるのが、ユニークなポイントです。
個別の物件情報を調べる前に、エリアの相場観をいち早く知ることができます。
https://www.livable.co.jp/baikyaku/kodate/
4、一戸建てを早期により高額で売却するなら「一括査定サイト」の活用もおすすめ!
前項で紹介したデータベースサービス以外にも、「一括査定サイト」によっても、一戸建ての売却価格の相場を知ることができます。
一括査定サイトで査定価格を調査すると、一気に複数社から見積もりをもらうことが可能です。
相見積もりを取ることができるため、より高い金額で売却できる可能性が高くなるでしょう。
本項では、一括査定について詳しく解説します。
(1)一括査定サイトとは
「一括査定サイト」とは、下図のとおり、一度で複数の不動産会社から売却価格の見積もりをもらえるサービスです。
同時に、売却価格の相場についても確認できます。
(2)一括査定サイトを活用するメリット
一戸建ての売却において、一括査定サイトを活用するメリットは、次のとおりです。
- 一度に複数社から見積もりをもらうことができる
- 一番高く買ってくれる不動産会社を即時に見つけられる
高額で売ることができるかをすぐに判断できる点では、一括査定サイトは非常に優れものといえるでしょう。
(3)一括査定サイトおすすめ6選
当メディア「不動産投資の教科書」では、次の6つの一括査定サイトをおすすめしています。ぜひ、ご活用ください。
①すまいValue
すまいValueは、東急リバブル・住友不動産販売・野村の仲介といった、大手不動産会社だけが登録されている大手志向の一括見積サイトです。
「大手不動産会社の査定もしてみたい!」という場合に利用すると、一括で大手6社に見積依頼を出すことができます。
②HOME 4U
HOME 4Uは、NTTグループが提供しているため、安心感のある一括査定サイトです。
登録不動産業者の審査が厳しく、営業攻勢を掛けてくるような業者を排除しているという特徴もあります。
初めて不動産売却を考えている方にもおすすめのサイトです。
③SRE不動産
ソニーグループが提供している一括査定サイト・SRE不動産。
「売却エージェント制」と「情報公開制度」で、透明性のある売却活動が可能です。
売り手の安心感や、成約価格に対する納得度は高いものとなっています。
なお、エージェント制のためサービスエリアが限られています。
東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・大阪府・兵庫県・京都府・奈良県エリアに該当するなら、ぜひおすすめしたいサイトです。
④イエウール
イエウールは、1,700社以上の不動産会社と提携しており、最大6社同時に査定を依頼できる一括査定サイトです。
複数社の査定額を比較できるため、高値で売ってもらえる業者を見つけやすいでしょう。
⑤RE-Guide 不動産一括査定
運営15年目の老舗不動産サイト・「RE-Guide」。
対象エリアは全国で、一度に最大10社への一括査定が可能です。
5、戸建て住宅の売却価格相場を知ってから高額で売却するまでのポイント【プロセス別】
(1)【査定依頼前】相場観を持つ
本記事の読者の方の多くは、ご自宅や所有している投資用の一戸建て住宅の売却をお考えでしょう。
前項までで説明したように、「売却価格の相場を知ることの重要性」も認識されていると思います。
不動産会社に実際に査定を依頼する前の段階で、ご自身で相場観を持つことによって、次のようなリスクを回避できます。
- 不動産会社に丸め込まれて安値で売ってしまう
- 強気の高値で売りに出したもののいつまでも売れ残ってしまう
幸い、現代においては、相場を確認できるツールが充実しています。
「3、」や「4、」で紹介したデータベースや一括査定サイトなどをフル活用して、大まかな相場観のイメージを持ったうえで、査定依頼に臨みましょう。
(2)【査定依頼時】複数不動産会社へ査定を依頼する
前項でも説明したように、一戸建ての売却価格の相場を知るためには、一括査定サイトの活用がおすすめです。
複数不動産会社へ査定依頼ができれば、それぞれの会社の売却査定価格を比較検討できます。
(3)【不動産会社選定時】不動産会社を絞り込む5つのポイント
最終的に売却依頼をする不動産業者を絞り込む際に、注目したいポイントがあります。
以下のポイントを照らしてみて、該当する会社は避けたほうが無難です。
- ①相場より提示価格が不自然に高い
- ②相場や他社価格よりも提示価格がかなり低い
- ③電話攻勢など営業活動がしつこい
- ④自社買取にこだわった提案をしてくる
- ⑤提示価格や営業トークの根拠が乏しい
特に注意したいのが、「①相場より提示価格が不自然に高い」ケースです。
提示価格が高いことは良いことだと思ってしまいそうですが、不動産には確固たる相場があります。
相場より極端に高い価格で売れると豪語しているのは、眉唾ものといえるでしょう。
以上のような営業手法の業者にありがちなのが、まずは高い提示価格で自社に関心を持たせて、実際の査定となった途端に色々と難癖をつけるというケースです。
「この価格でないと売却は難しい」などと言い、結果として他社の提示価格と同等、もしくはそれよりも低い価格でしか売却できないというパターンです。
「④自社買取にこだわった提案をしてくる」とも重なる部分として、査定で価格を下げたうえで自社買い取りを提案してくる場合はさらに注意しなければなりません。
相場よりも安く買い取ることで、転売して利益を上げようとしている可能性が高くなります。
自社買取にこだわる不動産会社は、信用に値しないといってもよいでしょう。
もっとも、本記事で紹介した「一括査定サイト」は、登録業者の審査が厳しいためそういったことはまずありません。
他の手段で問合わせや査定依頼をした場合には、本項での「不動産会社を絞り込むポイント」を意識しましょう。
(4)【売却活動時】不動産会社や担当者との信頼関係を作る
信頼できそうな不動産会社に絞り込んだら、実際に売却仲介契約を締結します。
不動産業者や営業担当者によって、不動産売却活動における広告方法やノウハウは異なります。
実際に物件を売り出してみないと、本当に早期に高額で売却ができるかどうか判断ができません。
以上のことより、最初から1社の不動産業者に絞って売却依頼するのではなく、複数の不動産業者に依頼できる「一般媒介契約」からスタートしましょう。
「一般媒介契約」の活用方法について、詳しくは「一般媒介契約 | 不動産を高く売却したい方が知っておくべき3つのこと」をご参考ください。
実際に売却活動を始めると、不動産業者や営業担当者のスキルを判断できるようになります。
信頼できる担当者であることを判断できたタイミングで、「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」に切り替えましょう。
複数不動産業者に同時に売却依頼できる一般媒介契約より、1社に絞って売却活動する方が、不動産業者としてはより確実に報酬をもらえるため、営業担当者も売却活動に力が入るでしょう。
不動産業者への売却依頼について、詳しくは「不動産業者に売却依頼しよう!早期に高額で売却する4つのポイント」をご参考ください。
(5)【売却活動時】売却交渉では適正価格の「少し下」を落としどころにする
事前の入念な相場調査によって、適正価格を知ったうえで売却交渉をすると、どうしても適正価格にこだわりを持ちたくなります。
「そうでないと相場を調べた意味がない!」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、購入希望者との交渉では、最終的に相場情報から得られた適正価格と比べて「少し下」の価格が理想的な落としどころです。
購入希望者は、一戸建て住宅を買うのにあたって物件代金だけでなく、さまざまな必要経費を負担します。
「せめてその分だけでも値下げに応じよう」というような柔軟性を持っておくと、交渉がまとまりやすく、早期に売却できるでしょう。
「早期に売却」というのは、そのまま高値売却であるという意味がほとんどです。
不動産売却は情報が新鮮で買主もその気になっているうちに、一気に売却まで済ませてしまうのが、不動産売却を成功に導くための基本となります。
少しでも高く売りたいと思って欲張りすぎると、せっかくの売却チャンスを逃してしまうでしょう。
最終的に、何度も値引きさせられて売却価格が大きく下がってしまった……という例は数え切れません。
「少し下」という落としどころで交渉を成立させるのも、相場を知っているからこそできることです。
まとめ
今回は、一戸建て住宅の売却において、相場を知ることの重要性を中心に解説しました。
相場を知らずに家を売ることは、家の売却において損をしてしまうことの一番の原因ともいえるでしょう。
相場について正しい知識を持ち、相場に逆らわずに売却活動をすれば、どの場面においても疑心暗鬼することなくスムーズに進んでいくはずです。
相場を知ることは、一戸建てを高く売却するためだけでなく、早く確実に売るために必要なプロセスなのです。
ぜひ、本記事を参考にして早期に高額な一戸建ての売却を目指してくださいね。
こちらの記事「【2019年最新版】不動産の価格の推移と今後の予測について」では、不動産の価格推移について解説しています。
ぜひ併せてご参照ください。