株式投資をしていると、M&Aという言葉を聞くことが多くなったと思いませんか?
- 「M&A関連銘柄」
- 「M&A絡みの材料」
といったように、M&Aが株価に何らかの影響を与えていることを思わせる報道を目にすることもよくあります。
このようにM&Aという言葉を見聞きすることが多くなると、「やっぱりM&Aのことを理解しておいたほうが株で儲けるチャンスが多くなる?」と思ってしまいます。
しかし、多くの投資家にとってM&Aとは
- 「企業買収のこと?」
- 「企業の合併や経営統合に関係のあること?」
といった知識以上のことはよく分からないという方が多いのではないでしょうか。
よく分からない部分はあるものの、株価に影響を与えるのであれば知っておくべきだと思う……というのが多くの方に共通するM&Aに対する認識ではないかと思います。
そこで、月間20万人の方々が訪問する投資家のメディア「不動産投資の教科書」では、M&Aが株価に与える影響やその仕組みについて解説し、投資妙味のあるM&A関連銘柄7選をお伝えしたいと思います。
M&Aと株価の関係に少しでも関心がある方、M&Aを投資成績アップに役立てたいと思っている方は、必見の内容です。
資産運用にご興味がある方は「資産運用とは?|金融商品の種類、メリットデメリット徹底解説」も併せてご参照ください。
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目次
1、M&Aは株価が大きく動くチャンス
M&Aについての詳しい解説は後述するとして、まずはM&A絡みの報道があると株価にどんな影響が出るのかを体感していただきたいと思います。その上で、株式投資家にとってM&Aとは何なのかという概要を掴んでください。
(1)M&Aで株価はこんなに動いている
実際にあったM&Aの事例と、その報道があった時に株価はどう動いたのかという結果をご覧いただきましょう。ここでご紹介する事例は、3つです。
最初に見ていただくのは、ソフトバンクによる携帯キャリアのイー・アクセスの買収報道があった時のソフトバンクグループ(9984)の株価推移です。
出典:https://minkabu.jp/stock/9984/chart
当時のソフトバンクは携帯事業への本格参入に向けてなりふり構わない姿勢を見せていただけに、4番目の携帯キャリアだったイー・アクセスの買収はインパクトがありました。買収報道があった2012年以降の株価を見ると急激な上昇を見せており、これはM&Aが同社の収益に寄与するという見方から買いが集まった結果です。M&Aが株価に影響を及ぼした典型例と言えるでしょう。
次に、2018年のM&Aニュースで大いに話題を振りまいたRIZAPグループ(2928)です。ライザップと言えば「結果にコミットする」というキャッチコピーでおなじみのフィットネス事業が有名ですが、多角化の一環でさまざまな企業の買収に乗り出しています。映像コンテンツ小売り大手の「新星堂」や「サンケイリビング新聞社」、さらにはサッカーJリーグの「湘南ベルマーレ」など、その投資対象は多彩です。
そんなライザップがM&A戦略を打ち出し始めた時期からの株価推移を見ると、高騰ぶりが顕著です。
出典:https://minkabu.jp/stock/2928/chart
言うまでもなく、これもM&Aが株価に与えた影響です。
もうひとつ、積極的なM&Aということではなかったと思いますが、救済的なM&Aによって株価が跳ね上がったマネックスグループ(8698)の事例です。
同社が仮想通貨取引所を運営するコインチェック社を買収すると発表した瞬間に、株価はご覧の通り跳ね上がりました。
出典:https://minkabu.jp/stock/8698/chart
仮想通貨NEMの巨額流出というスキャンダルによって存亡の危機に瀕していたコインチェック社を救済的に買収した同社ですが、これによって仮想通貨市場に本格参入する足掛かりになることが材料視され、ご覧のような急騰となったわけです。
これもM&Aが株価に影響を与えた典型例で、いずれもこの値動きで大きな利益を得た投資家が多数いたはずです。
(2)M&Aはチャンスである
先ほどご紹介した3つの事例では、いずれも株価が大きく動きました。株価変動が大きければ大きいほど取れる利益も大きくなるので、M&Aをきっかけとした株価変動は投資家にとってチャンスです。
しかもM&Aのニュースを入手することはそれほど難しくはなく、一般的な株式ニュースや経済ニュース、さらには後述するM&A専門ニュースサイトに目を通していれば知り得る情報です。その手軽さの割には大相場に遭遇できるチャンスにも恵まれているので、株式投資家にとってM&Aの投資機会を逃す手はありません。
(3)M&Aで大きく儲けたい方がするべきこと
株式投資家にとって大きなチャンスであるM&Aを実際にトレードに結び付けるには、どうすれば良いのでしょうか。
この記事はそのために必要な知識を網羅していますので、まずはこの記事で解説していることをしっかりと自分のものにしていただき、そこから具体的な銘柄の物色をしてみてください。
この記事の最後には「不動産投資の教科書」編集部がオススメするM&A関連銘柄もご紹介していますので、そちらもぜひ参考にしてください。
2、M&Aと株価の関係を理解できる5つの基本
M&Aと株価には、どんな相関関係があるのでしょうか。それを理解するために必要な最低限の知識を5つの項目に整理しました。
(1)そもそもM&Aってなに?
そもそも論として、まずはM&Aとは何かという概念を理解しておく必要があります。M&Aとは企業の合併を意味する「Merger」と、買収を意味する「Acquisition」を組み合わせた言葉です。つまりM&Aとは「合併&買収」という意味です。このことからも分かるように、合併や買収を伴う企業の取引のことをM&Aといいます。
不採算事業を売却して本業に専念したい企業が一部事業を譲渡する場合や、廃業してしまうにあたって事業全体を譲渡する場合、さらに多角化の一環で異業種の企業を買収する場合など、M&Aには実にさまざまな思惑や目的があります。
株式投資家にとってのM&Aはどうなのかと言いますと、売買のチャンスがもたらされることや、買収側企業によって保有株が高く買い取られることもあるため、メリットのほうが多いと言って良いでしょう。
(2)買収する側にとってのM&A
他社を買収する側にとって、M&Aの評価はその内容によりけりです。なぜなら「M&A=グッドニュース」という図式になるかどうかはケースバイケースだからです。
資金力のある企業が、経営が思わしくないものの魅力的な技術やブランドを持っている企業を安く買収するとなると、これはグッドニュースです。当然株価は上昇という形で反応しますが、すべてのM&Aがこうした形であるとは限りません。
シナジー効果やスケールメリット、多角化など業績に寄与すると判断できることから実行に移されるのがM&Aなので、普通はグッドニュースとして捉えられますが、それよりもリスクやデメリットの方が大きいと判断される場合もあるということです。
この典型例が武田薬品工業(4502)のM&A戦略なので、これについては後述します。
(3)売却する側にとってのM&A
一部の敵対的な買収を除くと、一般的に売却側にとってのM&Aは「願いがかなった」という形になります。というのも、M&Aは売却側から話が持ち上がることが多く、何らかの事情で自社の一部もしくは全部を買ってほしいと考えているからです。
そんな企業と、買収する資金力や意向のある企業を結ぶマッチングサービスを展開する専門会社もあるので、こうした仲介によってM&A案件が具体化します。
売却側の企業には、売却したい何らかの問題があります。業績低迷や資金力不足、後継者問題などさまざまですが、売却によってそんな問題が解決するのであれば会社にとっても経営者にとってもプラスなので、売却側にとってM&Aとはグッドニュースとして扱われることがほとんどです。
(4)M&Aで株価が動く理由
M&Aは株式投資家にとってチャンスであると述べましたが、それはやはりM&Aを契機に株価が動く可能性が高いことや、売却側の企業の株を保有している場合は買収企業によって高値で買い取られる可能性があることがその理由です。
M&Aでリスクを取るのは、買収側企業です。何らかの理由で手放したいと思っている企業を買うのですから、その問題を丸抱えする可能性もあります。そのためM&Aでは買収側企業の株価は上に行くか下に行くか言い切れない部分があります(大半は上に行きますが)。
その一方で売却側の企業の株価はあらゆる理由を考えても上に行く可能性が圧倒的に高く、M&Aのニュース報道があると材料視されて買われやすくなります。
こうした事情や投資家心理を背景に、M&A相場が形成されやすくなるのです。
(5)今後、M&Aはますます増える
株式投資家にとってはチャンス的要素が強いM&Aは、今後どのように推移していくのでしょうか。あらゆる理由、角度から検証しても今後M&Aは増加することが確実視されています。
その最大の理由は、後継者問題です。こちらは中小企業庁がまとめた「2017年版中小企業白書」です。この白書では企業の後継者問題の深刻さをデータを交えて指摘しており(24ページ)、その多くがM&Aに解決の糸口を求めていることも明らかになっています。
出典:http://www.chusho.meti.go.jp/pam
これはつまり、近い将来にわたってM&A市場に多くの案件が流通する可能性が高いということです。株式市場にM&Aが影響を及ぼす機会もさらに多くなると考えて良いでしょう。
3、M&Aで株価はどう動く?
株式投資家にとって最も気になるのは、M&Aで株価がどう動くかです。それが分かれば、M&Aのニュースが流れた際の投資判断に役立ちそうです。
(1)基本的には株価上昇
この記事の冒頭ではソフトバンク、ライザップ、マネックス証券の事例をもとにM&Aが株価に与える影響をご覧いただきました。これらはすべて株価が上昇という形で反応していており、M&Aは基本的に株価を上昇させる影響を持っていると考えて良いでしょう。ただし、買収側企業にとってはそうとは限らない状況もあるので、それについては次項で解説します。
買収される側、つまり売却側にとっては、プレミアムといって市場価格よりも高く買い取られることもあるため、株価上昇も含めて株主にとってのメリットは大きいと言えます。
(2)買収の戦略によって株価が下落することも
買収側の企業にとってのM&Aは、かならずしもポジティブに捉えられないことがあります。その典型例が、アイルランドの大手製薬会社「シャイアー」の買収を決めた武田薬品工業(4502)です。優れた新薬開発力を目的に買収を持ち掛け、6兆8,000億円という巨額買収が成立となったのですが、株価は下落で反応しました。
出典:https://minkabu.jp/stock/4502/chart
ご覧のように株価は下落を続けています。これについては、いくつかの理由が考えられます。
- あまりの巨額買収でリスク懸念のほうが大きい
- 買収資金調達に伴う新株発行で既存株の価値が希薄化する
この2つは株主にとって不満材料なので、2018年6月に開催された株主総会では「1兆円を超えるM&Aには事前に株主総会の承認を必要とする」という議案が提起されたほどです。
つまり、買収側にとってのM&Aはメリットとデメリットを天秤にかけた時にメリットの方が大きいと判断されれば株価上昇、逆であれば株価下落という反応を見せます。
(3)M&A報道は「中身」を重視しよう
ここまでの解説を総合すると、M&Aで株価は「基本的に上昇しやすいが、そうはならないケースもある」と考えて良いでしょう。上昇と下落、その分かれ目がどこにあるのかはケースによりけりですが、それを判断するためにもM&Aのニュースは中身を重視する必要があります。
闇雲に「M&A=株価上昇」という反射的な行動だけで儲けを出せるほどM&A相場は甘くないということです。
4、M&Aの情報を収集する方法
M&Aの情報をいち早くつかみ、投資行動につなげるには情報収集源をしっかり持っておく必要があります。基本的には証券会社が配信しているニュースで事足りると思いますが、ネット上にはそれ以外にも有益な情報源がたくさんあります。
(1)証券会社が配信しているニュース
まずは口座をお持ちの証券会社が配信しているニュースが、情報収集の基本となります。
例えばSBI証券では、以下のように株式ニュースが配信されています。ロイターだけでなくFISCO、株式新聞など多彩なニュースを横断的に見ることができます。これだけでもかなりの情報を網羅できると思います。
(2)経済ニュース、株式ニュース
経済ニュースや株式ニュースのサイトとして、オススメのサイトをピックアップしました。
①Yahoo!ファイナンス
HP:https://finance.yahoo.co.jp/
②みんなの株式
③モーニングスター
HP:https://www.morningstar.co.jp/stock/
④会社四季報ONLINE
(3)M&A専門ニュース
経済ニュースの中でもM&A関連のニュースに特化したサイトをピックアップしました。
①M&A速報(M&Aonline)
②M&Aニュース(日本M&Aセンター)
HP:https://www.nihon-ma.co.jp/news/
③M&A Times
5、不動産投資の教科書編集部厳選!M&A関連銘柄7選
「不動産投資の教科書」編集部が厳選した、オススメのM&A関連銘柄を7つご紹介します。
(1)RIZAPグループ(2928)
積極的なM&A戦略で常に話題を集めるライザップグループ。すでにフィットネス事業で高い知名度を有しており、そのPR戦略も奏功して株価上昇に寄与しています。
出典:https://minkabu.jp/stock/2928/chart
(2)日本M&Aセンター(2127)
「4、(3)M&A専門ニュース」の情報収集源としてもご紹介した、M&A仲介大手です。M&A市場の拡大を追い風に専門性を発揮して業績、株価ともに急上昇中です。
出典:https://minkabu.jp/stock/2127/chart
(3)M&Aキャピタルパートナーズ(6080)
前項と同じく、M&A仲介の大手です。上場してまだ浅い銘柄ですが、すでに株価は右肩上がりです。
出典:https://minkabu.jp/stock/6080/chart
(4)山田コンサルティンググループ(4792)
前項、前々項と同様にM&A仲介の大手です。上記2銘柄と同じく、M&A市場が活発になり始めた頃からの株価上昇が目立ちます。
出典:https://minkabu.jp/stock/4792/chart
(5)G-FACTORY(3474)
飲食業界に特化したM&Aに強みを持ちます。飲食業界の再編は今後加速すると見られており、商機拡大の余地は十分にあります。株価は一度下落した後出遅れ感があるので、ねらい目かも知れません。
出典:https://minkabu.jp/stock/3474/chart
(6)ユーザベース(3966)
ベンチャー企業支援、経営支援などを事業とする会社をグループ内に持っています。M&Aにも積極的に進出しており、株価にもその期待値が感じられます。
出典:https://minkabu.jp/stock/3966/chart
(7)JT(2914)
国内たばこ最大手で、おなじみのJTです。禁煙ムードの浸透によって国内のたばこ需要は低迷しており、それを受けて積極的に海外M&Aを展開中です。
出典:https://minkabu.jp/stock/2914/chart
まとめ
M&Aとは何なのかという概要を理解して、その上で株価への影響や具体的な投資戦略への役立て方について解説してきました。最後にはオススメのM&A関連銘柄をご紹介しましたが、これでM&A相場に参戦する準備はできましたでしょうか?
この記事でご紹介したM&A専門のニュースサイトはどれも速報性が高く、M&Aにターゲットを絞って株式投資をするのであればかなり使えると思いますので、こうした「武器」を存分に使いこなしてください。