アパートの建築費をローコストに抑えて、アパート経営を行うにはどんな方法があるのでしょうか?
アパート建築をローコストに抑える方法は、いくつかあります。
ローコストでアパート建築を行うメリット・デメリットと合わせてみていきましょう。
今回は、
- アパート建築はいくらかかるか
- 建築費を抑えてローコストでアパート経営を始める方法
- アパート建築をローコストに抑えるメリットデメリット
- アパート建築をローコストで行った際の注意点
などについて、「不動産投資の教科書」が解説します。
フドウくん
目次
1、ローコストに抑える方法を知る前に~そもそもアパート建築はいくら?
本章では、ローコストに抑えたアパート建築方法をお伝えする前に、一般的なアパート建築でかかる費用についてお伝えします。
- 構造別アパート建築の費用相場
- 建築費以外でかかるコスト
(1)構造別アパート建築の費用相場
アパート建築にかかる費用は、建築する建物の構造や広さによって異なります。
一般的に、2階建てや3階建てのアパートでは、木造や軽量鉄骨造を選択できます。
3階建て以上のアパートは、鉄骨造や鉄筋コンクリート造が採用されることが一般的です。
アパートをローコストで建築するのであれば、費用の安い木造を選択できる2階建て以下で行うとよいでしょう。
建物の構造別に、坪単価の相場は以下のようになっているので、1つの目安にしてください。
木造(2~3階建て) | 57万円/坪 |
鉄骨造(2~4階建て) | 83万円/坪 |
鉄筋コンクリート造(主にマンション) | 86万円/坪 |
参考:地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和3年分用】|国税庁(全国平均をもとに算出)
建築するアパートの面積に上記構造の単価を掛けることで、建築費用の概算総額を算出できます。
建築費用=建築するアパートの坪×坪単価
より具体的に建築費用をシミュレーションしたい方は、一括査定サイトにて建築費の見積を一括請求するとよいでしょう。
HOME4Uなら、最大で10社の見積を一括請求することができるのでおすすめです。
(2)建築費以外でかかるコスト
アパート建築には、前項「(1)構造別アパート建築の費用相場」でお伝えした費用以外にも、必要な費用があります。
具体的な項目は以下のとおりで、建築費の10%程度だともいわれています。
- 現地測定費
- 地盤調査費
- 印紙代
- 設計料
- 水道分担金
- 火災保険料・地震保険料
- 新築建物登録免許税
- 抵当権設定登録免許税
- 司法書士手数料
- 新築建物不動産取得税
- 融資関係費用
アパート建築を行う際は、諸手続きにかかる費用が多いため、確認しておくと安心です。
2、建築費を抑えてローコストでアパート経営を始める方法
建築費をできるだけ抑えてアパート経営を行うためには、どんな方法があるのでしょうか。
本章では、ローコストでアパート建築を行う具体的な方法をお伝えします。
- できるだけ今すぐ建てる
- 設計施工方式で依頼する
- 業者の相見積を比較する
- 複雑な間取りにしない
- 木造構造で建築する
- 設備と共有部分にこだわりすぎない
- 部屋の広さを40㎡~240㎡にする
- 金利の低い融資を使用する
(1)できるだけ今すぐ建てる
ローコストでアパート建築を行うには、できるだけ早めに建てるという判断をすることも必要です。
ここ数年、建築費は上がる一方なので常に「今が一番安い」状況です。
建築費は下がらないと考えておくのが無難でしょう。
以下は、建築費の値動きを表す建築費デフレーター(住宅総合)と、土地価格を表す地価公示価格(全国の全用途の平均土地単価)の過去20年間の推移です。
この表からも、建築費は上昇傾向が続いていることが読み取れます。
参考:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/jouhouka/sosei_jouhouka_tk4_000112.html
建築費上昇の主な原因は、人手不足だとされています。
建築現場では、職人が高齢化によって退職し始めているためです。
職人不足は、高齢化が進む日本の建築業界において簡単に解決できる問題ではないため、建築費がなかなか下がらないのではないかと予想されます。
そのため、建築を先延ばしにするのではなく、なるべく早いうちに建てるほうが費用を抑えられるでしょう。
(2)設計施工方式で依頼する
ローコストでアパートを建築するために、ハウスメーカーに設計施工方式で依頼しましょう。
設計施工方式とは、設計会社と施工会社が同じ会社である発注方式です。
設計施工一括方式ともいわれています。
大手ハウスメーカーは施工会社でありながら、一級建築士も内勤している場合が多いので、設計から施工まで全て対応してもらうことが可能です。
設計施工方式に対して、設計施工分離方式も存在します。
設計施工方式は、異なる設計会社と施工会社に依頼する方法です。
独立した一級建築事務所に設計のみを依頼し、別の施工会社に建物の建築を依頼します。
設計施工方式のメリットとして、設計料が安くなるという点があります。
一般的に、ハウスメーカーで設計施工方式で依頼した場合、設計料は建築費に対して1~3%程度です。
一方で、分離方式で一級建築士事務所に依頼した場合の設計料は建築費に対して5~8%程度かかってしまいます。
さらに、設計施工方式はハウスメーカー会社の設計者が、その会社特有の最もローコストな方法で設計してくれるので、トータルコストを安く抑えることができます。
(3)業者の相見積もりを比較する
アパートをローコストで建築するには、まず、いくつかの業者の相見積もりを取ることが重要です。
方法としては、設計分離方式で、1つの設計案に対して複数の施工会社から見積を取ることが挙げられます。
ですが、不動産投資の教科書がローコストでアパート建築を行いたい方におすすめしたいのは、設計施工方式で依頼できるハウスメーカー同士の相見積もりを取る方法です。
ハウスメーカーは、大量にアパート建築を行うため、安く資材調達することができ、高い施工品質を実現できるうえ、工期も短いといった特徴もあります。
ハウスメーカーに相見積もりをとる場合は、HOME4Uがおすすめです。
HOME4Uは、最大で10社の相見積もりを取れるので、簡単に比較できます。
また、土地活用のプロに相談もできるので、自分1人では考えられない提案を受けることもできるでしょう。
HOME4Uで、相見積もりを利用してみてはいかがでしょうか。
(4)複雑な間取りにしない
ローコストで建築するには、間取りを複雑でないシンプルなものにすることも重要です。
間取りを複雑にすることは、部屋や壁が増えることになります。
その分、材料費がかかることとなり、費用がかさんでしまうのです。
(5)木造構造で建築する
アパートをローコストで建築するには、木造構造を選ぶことが一番安く建築できる方法です。
しかし、大手ハウスメーカーが軽量鉄骨構造を得意としている会社が多く最近の主流です。
準大手のハウスメーカーであれば、木造構造を得意とする会社も増えてくるので、準大手のハウスメーカーも含めて検討するとよいでしょう。
ただ最近は、木材価格が高騰しているウッドショックといわれる状況になっています。
軽量鉄骨のほうが安くなる場合もあるので、木造以外の構造も含めて検討するのが良いかもしれません。
(6)設備と共有部分にこだわりすぎない
設備と共有部分にこだわり過ぎないのもローコストで建築するためのポイントです。
安い構造を選択していても、設備や共有部分にこだわっているとそれなりにお金がかかってしまいます。
生活するのに最低限必要な設備のみを導入する、共用部分は無駄のないシンプルにするなど、いかに無駄のない建築ができるかが費用を抑えるポイントです。
ハウスメーカーが設計してくれた設備や仕様に対して、減額提案を依頼することもできます。
元の見積から5~10%程度減額できる場合もあるので、提案を受けてみてもいいかもしれません。
(7)部屋の広さを40㎡~240㎡にする
アパートの建築には、不動産取得税がかかります。
土地や不動産を手に入れたら、各都道府県へ速やかに納付のために申告しましょう。
不動産取得税は、アパート1室の広さを40㎡~240㎡にすることで、減額されます。
なお、税金軽減措置は、新築物件・中古物件によって要件が異なるので確認しておきましょう。
(8)金利の低い融資を使用する
アパート建築を行うときに金利の低い利用する融資を利用することで、最終的な税負担金額を軽減することができます。
複数の金融機関の中から、自分に合った、金利が低いアパートローンを選択しましょう。
3、アパート建築をローコストに抑えるメリット・デメリット
ここまでアパート建築をローコストに抑える方法をお伝えしてきました。
本章では、アパート建築費をローコストに抑えるメリットとデメリットを解説します。
(1)ローコストアパート建築のメリット
ローコストアパート建築のメリットは主に以下の2つです。
- 初期費用が抑えられる
- 利回りが高くなる
①初期費用が抑えられる
一般的に、アパート建築をしてアパート経営を行う際には、高額な費用が必要となります。
しかし、ローコストでアパート建築を行えば、アパート経営を始めるための初期費用を抑えることができます。
その分、早く収益を生み出せるアパート経営が可能です。
②利回りが高くなる
通常、利回りは「年間の家賃収入÷初期費用」で算出されるので、初期費用が安いほど利回りは大きくなります。
その点、ローコストアパート建築は、初期費用が安く抑えられているため、高い利回りが実現できるのです。
しかし、アパート経営には、物件の修繕費や管理費等の支出も出てくるため、表面利回りだけでなく実質利回りも見ておきましょう。
とはいえ、初期費用が家憂く済むことに越したことはありません。
(2)ローコストアパート建築のデメリット
ローコストアパート建築のデメリットは主に以下の3つです。
- 同じようなデザインになりやすい
- 設備が劣る
- 性能が低い
①同じようなデザインになりやすい
ローコストで建築されたアパートは、建築資材や設備の大量仕入れをすることによってコストを抑えている場合がほとんどです。
そのため、どのアパートも同じようなデザインになりやすいです。
設計やデザインにこだわりたい方は、ローコストでアパートを建築できるハウスメーカーではなく、自由設計をしてくれるような建築会社に依頼するほうが望ましいでしょう。
②設備が劣る
ローコストでアパート建築を行う場合は、価格の安い設備を選択して導入します。
価格の安い設備でも、生活する分には問題ありませんが、高い設備よりは機能性やデザイン性に劣ってしまいます。
とはいえ機能性が低すぎて入居者が入らない原因とならないように、ある程度の確認はしておきましょう。
③性能が低い
ローコストでアパート建築を行う最大のデメリットは、基礎性能が低いことです。
ローコストに抑えるためには、建築資材や設備が安いものを使用するため、耐震性・耐火性・断熱性に劣ります。
グレードの高いアパート建築と比較すると、結果として維持費がかさんでしまう可能性があります。
4、アパート建築をローコストで行った際の注意点
ローコストでアパート建築を検討中の方は、以下の2点に注意しましょう。
- 修繕費がかかる
- 入居者が決まりにくい
(1)修繕費がかかる
前章でお伝えしたようにローコストアパート建築は、費用を抑えられる反面、通常よりも性能に劣ってしまうという弱点があります。
そのため、定期的な修繕が必要となってしまうかもしれません。
修繕費がかさみすぎて収益がマイナスにならないように、建築してアパート経営をする際のシミュレーションをしておきましょう。
(2)入居者が決まりにくい
ローコストで建築されたアパートは、機能性に劣っているケースがどうしても多くなります。
入居者が住みにくいと感じてしまうと空室の原因になってしまうので、ある程度の設備の充実を図っておくことが重要です。
まとめ
今回は、ローコストでアパート建築を行う方法について解説しました。
お伝えしたように、ローコストでアパート建築をし賃貸経営を行うには、メリットもあればデメリットもあります。
実際のキャッシュフローをしっかりシミュレーションしたうえで、判断するとよいでしょう。
この記事が、ローコストでのアパート建築を検討中の方の参考になれば幸いです。