• 不動産ローン, 不動産投資
  • 2024/5/10 (更新日:)

不動産投資でローンを返済できなくなるリスクは?データから検証

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不動産投資のリスクとして最も気になることの一つに、ローンを返済できなくなることがあげられるのではないでしょうか。

しかし、銀行から見たローンの返済状況を見てみると、そのような心配があまり意味のないことだと分かります。

本記事では、実際に銀行が出している数字を見ながらローン返済のリスクについて解説します。(田井能久・不動産鑑定士、ロングステイアドバイザー、タイ・バリュエーション・サービシーズ代表取締役)

なお、不動産投資のリスク全般についてはこちらの記事をご参照ください。

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  • 今は不動産投資の始めどきなのか?
  • 安定収益を得るための不動産投資物件の選び方
  • 不動産投資の失敗例から学ぼう

1、「ローンを返済できない」本当の確率とは

実際ローンを返済できなくなる確率というのは、不動産投資においてどのくらいあるものでしょうか?

千葉銀行の2018年中間決算説明会資料によると「アパートローンの延滞率は?」という質問に対し、以下のように答えています。

賃貸用不動産向け貸出全体の延滞率は0.02%、サラリーマン向けの3か月以上延滞債権はゼロである。色々な案件に取組んでいるが、全て一般貸出として審査・途上与信管理を行っており、信用リスクは制御されていると考えている。

 

出展:千葉銀行「2018年度中間決算説明会 主な質疑応答」

また群馬銀行は2018年11月21日に開催されたIR説明会中で、17年度のアパートローンのデフォルト率(要管理先以下になること)を、アパートローンは0.07%、賃貸不動産向け貸し出し(法人所有の居住用賃貸向けを含む)では0.22%であると発表しています。(参照P.5 アパートローンのデフォルト率等)

出展:群馬銀行「2019年9月期 中間決算説明会

そして不動産投資に関する融資で有名なオリックス銀行の2018年3月の決算資料を見ると、リスク管理債権残高は約0.3%であり、2016年3月期で0.31%、2017年3月期で0.28%と同程度の水準で推移しています。(参照P.6 リスク管理債権(不良債権)の状況)

これは貸出金残高に対する割合であり、その貸出金の総額(16,757億円)のうち住宅ローンが約8割(13,295億円)を占めているので、アパートローンの数字とは言えないのですが、最もリスクが高いと思われるカードローン等も含んでいる割には意外に低い印象ではないでしょうか。 (参照P.2 貸出金の状況)

出展:オリックス銀行「2018年3月期 決算説明資料」

ちなみに、昨年過剰な融資で問題になったスルガ銀行の2018年3月期の第3四半期の決算短信【日本基準】(連結)を参照してみると、シェアハウスに対するローンは2018年9月期では30.13%、2018年12月期では38.71%と他のローンに比べて突出した延滞率になっています。

しかし、その他のローンでは一棟収益ローンの延滞率の急増が気になるものの、住宅ローンは0.26%、ワンルームローンは0.66%でありました。(参照P.10 個人ローンの状況について)

出展:スルガ銀行「2019年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結) 」

2、各銀行が出している「ローンを返済できなくなる目安」とは?

各銀行でローンを返済できなくなる目安として紹介しているものには、延滞率やデフォルト率、リスク管理債権残高率があります。

延滞率は3カ月以上の延滞債権をローン残高で割ったものだったり、デフォルト率は金融再生法に基づく開示債権のうち、不良債権の割合をいいます。

またリスク管理債権残高率は、銀行法上何らかの理由で返済されない貸出金債権の割合になります。

これらは「返済できなくなった」という定義がそれぞれ違うので一括りにできないものですが、銀行が不動産投資のために貸したお金が「回収できなくなる」状態まで陥ってしまうことは実は1%もないということが確認できるのではないでしょうか。

3、もしローンを返済できなくなったらどうなる?

不動産投資 ローン返済

銀行はローンを返済できなくなった場合は、一括返済を求めるので、任売や競売によって残債を支払う必要があります。

任売や競売によって売れた金額でもさらにまだ残債が残る場合には、無担保となった債権を金融機関と話し合って新たな返済計画を立てて返していくこともありますし、金融機関が回収を諦めた場合にはサービサー(民間の債権管理回収専門業者)に債権が売却されることもあります。

このサービサーに売られた債権は額面通りの回収は期待できない無担保債権なので「ポンカス」などと呼ばれ、払ってもらえればラッキーといった感覚で、かなり安価で売買されるのです。

ちなみにローンを返済できないことから競売にかけられ、一括で返せないほど残債も残り、金融機関と話し合いもつかず、サービサーにも債権が売られず、残債の全額を従来の融資条件のままで支払い続けなければいけないという、かなり極めて悲惨な状態に陥る確率とは、実は想像よりもずっと低い確率と言えるのです。

4、不動産投資でローン返済をリスクに感じるならまず行動した方がよい?

もちろんこれらは適正な審査を行って、健全な融資をした場合を前提としていますが、不動産投資でローンが返せないと、投資家はもとより貸している金融機関が重大な被害を受けます。

そのために金融機関はお金を貸す前に慎重な審査をして融資をするわけで、投資家としてはローンを返せないよりも借りられないリスクの方が実は大きいと言えるのです。

ローンだけではなくリスクを懸念しすぎて何もしないと、時間だけが過ぎてしまいます。

安定した収入があるサラリーマンでローンを払える期間が長い(つまり若い)ということは、それだけで大きな価値を有している事も忘れないようにしましょう。

まとめ ~不動産投資の物件選びで悩んだら~

不動産投資の物件を選ぶ際には、様々な疑問が出てくることでしょう。

不動産投資は大きな金額の投資になるため、不安になったり悩んだりすることも普通のことと言えます。

そのため、不動産投資では、検討している物件に関して第三者の意見を求めたり、複数社に問い合わせして比較検討しながら投資物件を決めることが主流になりつつあります。

不動産投資の教科書が提供する「セカンド・オピニオン」サービスでは、編集部に所属する現役の不動産投資家に、以下のような相談をすることができます。

  • 不動産投資会社から提案されている物件を見てほしい
  • 検討している物件の家賃が適正なのか知りたい
  • 不動産投資の戦略について相談したい

不動産投資の教科書のセカンドオピニオンサービスを多くの人に知ってもらいたいという思いから、無料で相談することができます。

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