「競売物件ってなに……?」
「投資物件が安く手に入るって聞いたけど、本当……?」
と不安に考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?
不動産投資で成功するためにはいい物件を安く手に入れることが大切ですが、安く手に入れる方法として「競売」を活用している投資家もいます。
今回は、毎月不動産に興味ある方が数万人訪問する『不動産投資の教科書』が
- 競売物件とは一体どのようなものか
- 競売物件の情報を得る「3点セット」とは
- 入札額を決めるうえで重要な指標となる競売評価書の見方
について説明しましょう。(田井能久・不動産鑑定士、ロングステイアドバイザー、タイ・バリュエーション・サービシーズ代表取締役)
収益物件の選び方について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
不動産投資のバイブル
- 不動産投資に興味があるけど何から始めていいか分からない…
- 営業マンのいうことを鵜呑みにして失敗したくない…
- しっかりと基礎から学び、できる限りリスクを避けたい…
- 今は不動産投資の始めどきなのか?
- 安定収益を得るための不動産投資物件の選び方
- 不動産投資の失敗例から学ぼう
目次
1、競売物件と一般の物件の違いとは?
一般的には競売とはオークションと呼ばれるもので、自分自身で値段を付けていくものです。
不動産でいう競売(けいばい)とは債権者が債権を回収するために、債務者が保有する不動産の売却を申し立てて裁判所が行う一連の手続きのことを指します。
買いたいと思う人の中から最も高い値段を付けた人に売ることはオークションと似ていますが、すべての手続きは誰でも自由にできるものでなく、所有者が売りたくないと考えている場合が多いことが特徴です。
物件を売りたくない所有者の権利を守ることも重要となってくるので、複雑な手続きが必要となります。
また一般の物件なら売買代金や売買条件の交渉ができ、内覧や必要な資料をもらうことで知りたい情報を提供してもらえますが、競売は個別対応ではなく「3点セット」と言われる報告書を読み、競売の参加者が自分で入札価格を決める必要があるのです。
2、競売物件の情報を得る「3点セット」とは
競売物件の情報を得るのに大事なものに3点セットと言われるものがあります。
それは
①物件明細書
②現況調査報告書
③評価書
です。
①の物件明細書は、物件の表示と売却によって成立する法定地上権の概要、買受人が負担することとなる他人の権利、物件の占有状況等に関する特記事項など、売却後に話し合いが必要となる権利関係について明記されています。
ここで買受人負担する権利がある場合や、占有者がいる場合にはその内容に注意した方が良いでしょう。
②の現況調査報告書は、①と同じような物件目録に加え、占有者がいるならその占有者が土地や建物の所有者か否かという権利の内容、物件担当執行官の意見や現地調査の日時や内容、現況写真などが書かれています。
調査方法や資料の内容、そして執行官の判断が分かる資料であると言えるでしょう。
③はこれらを踏まえて、評価人として任命された不動産鑑定士が作成するもので、競売物件の評価書となる重要なものです。
評価書に関して少し詳しく見ていきましょう。
3、「競売物件評価書」のチェックポイント
競売の評価書は①の物件明細書と②の現況調査報告書の内容を踏まえ、その物件の資産価値(評価額)を査定し結果をまとめたものです。
競売評価書にはいくつかチェックポイントがあります。
(1)占有者の存在を減価する
一般市場では空き家よりも人が住んでいた方が状態が良いと思われがちですが、競売の場合は適切な家賃などがやりとりされていない場合が多いためか、人が住んでいた事は価値が下がると考えます。
誰にも利用されず占有もされていない更地などは、競売の世界では価値が高くなるでしょう。
(2)独特の市場性修正や競売市場修正の項目がある
占有者の状況や物件により、評価額を求める前段階で市場性修正や競売市場修正という形で評価額を安くする傾向があります。
本来であれば希少性の高い物件なら価値を高くしても良さそうではありますが、実はマイナスの要因は厳しく見るもののプラスの要因はほぼ考慮されません。
この評価額は競売に出すときの「売却基準価額」というオークションの指標となる価格になります。
高すぎると誰も競売に参加しない可能性も出てきてしまいます。
一般の市場価格から比較して低めの価格に評価額を決める重要な指標となるため、このような独特な減価要因を設けているのです。
まとめ|競売物件は低い売却基準価格をさらに下回る入札額でもOK
競売物件は個別の情報が提供されないため、3点セットでその内容を理解するしかありません。
低く査定がされている売却基準価格であっても、さらに20%を下回る入札金額でも応札が認めているなど、裁判所としても自己責任で入札価格を決めることを推奨しています。
競売はとてもリーズナブルに物件を入手できる可能性があるいい手段ではありますが、一般の売買との違いを十分に理解し、そのリスクの判断もできるようになってから挑戦すると良いかも知れません。