• 不動産投資
  • 2017/3/7

デッドクロスで黒字倒産? デッドクロスの仕組みと10個の回避策

不動産投資をされている方の中で、「デッドクロス」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

不動産投資で言うデッドクロスとは、借入れの元金返済額が減価償却費の金額を上回ってしまうことを言います。

つまり、経費として計上できない借入れの「元金返済額」が、経費として計上できる「減価償却費」より多くなり、手取り金額が少ないのにも関わらず帳簿上では黒字のため、所得税をたくさん納税しなければなりません。その結果、帳簿上では黒字経営してるのに事実上の経営が破綻してしまうような状況に陥ってしまいます

では、デッドクロスを回避するにはどうしたらいいでしょうか?

そこで今回は、デッドクロスについて分かりやすく解説し、デッドクロスを回避するために知っておくべき知識を以下にてまとめました。

  • そもそもデッドクロスとは? その仕組みについて
  • 不動産投資においての減価償却の仕組みを知る
  • 不動産投資ローンと経費の関係
  • デッドクロスを回避するには?10個の回避策

デッドクロスについて詳しく知りたい方のご参考になれば幸いです。


1、そもそもデッドクロスとは? その仕組みについて

そもそもデッドクロスとはなんでしょうか。

(1)そもそもデッドクロスとは

不動産経営において、デッドクロスとは次のような現象を意味します。

借入れの元金返済額 > 減価償却費

つまり、借入れの元金返済額が減価償却費を上回ってしまい、帳簿上の利益が黒字であるのにも関わらず手元の資金がなくなり、経営破綻に転じることです。

(2)デッドクロスの仕組みについて

では、なぜデッドクロスが起きるのでしょうか?

簡単に言えば、経費として計上できる金額が減るにも関わらず支出が増えるからです。以下の図をご覧ください。

赤色のラインは減価償却費を表しています。不動産の減価償却費は、購入金額を一括にて経費計上するのではなく、計上可能な年数に分割して経費計上していく仕組みになっています。償却できる期間が終わってしまえば、経費として計上することもできなくなります。

一方、青のラインは元金返済額を表しています。ローンの返済額は「元金+利子」となっています。そのうち経費として計上できるのは利子のみです。

不動産投資を始めて最初のうちは、実質上出費していない減価償却費を経費計上することができることから、不動産所得税の節税対策として有効ですが、そのうち、減価償却期間が終わり、元金返済額が減価償却費額より多くなり、「デッドクロス」が起きてしまいます。

デッドクロスを理解するには、不動産投資における「減価償却費」と「ローン」の関係について知っておく必要があります。

以下にて詳しく説明していきます。

2、不動産の減価償却の仕組みを知る

(1)なぜ不動産投資では減価償却費が重要なのか

実際の出費に伴わず、帳簿上で経費として計上することができるのは減価償却費の最も大きな特徴です。

(2)減価償却できる対象とは

不動産において、減価償却できる対象は

  • 建物本体
  • 設備

になります。

(3)減価償却費の計算方法

不動産の減価償却費の計算方法は、

  • ①定額法
  • ②定率法

と2種類があります。

①定額法とは

定額法とは、不動産の耐用年数に渡って、毎年同額の減価償却費を経費として計上する方法です。耐用年数の1年目から最後の年まで同じ金額になります。

建物本体の減価償却費を計算する場合、定額法のみ利用します。下記イメージ図のように、取得した年から毎年、一定額を減価償却費として経費計上していきます。

②定率法とは

一方、定率法とは、毎年決められた率で減価償却費を計算して経費として計上していく方法です。定率法の場合、年数が経過するにつれ率が下がり、計上できる金額も少なくなっていきます。

平成28年4月1日以降に購入した物件の場合、建物本体も付属設備も適用できるのは定額法のみとなりました。

なお、土地は減価償却しないので、土地の費用を減価償却費として計上できないこと注意しましょう。

(4)耐用年数の考え方

不動産の場合、新築と中古によって耐用年数の考え方が異なります。

①新築の場合

建物は構造によって法定耐用年数が決められています。

  • 木造:22年
  • 鉄骨造:34年
  • 鉄筋コンクリート(RC)造:47年
    ※住宅用として。使用部材により一部変動あり。

新築で購入した場合は、上記の耐用年数をフルに減価償却することができます。

②中古の場合

一方、中古で購入した場合は、以下の計算式にて耐用年数を算出することになります。

中古物件の耐用年数は、ただ法定耐用年数から建築年数を差し引く計算ではないこと注意しましょう。

(5)実際に減価償却費を計算してみる

では、下記条件にて実際に減価償却費を計算してみましょう。

  • 木造アパート
  • 築年数:15年
  • 購入価格:6,000万円(土地価額4,000万円、建物2,000万円)

耐用年数:(22年−15年)+(15年☓0.2)=10年

減価償却費:2,000万円÷10年=年間約200万円

この場合、実質上の出費がないのにも関わらず、年間「200万円」を10年間に渡って減価償却費として、経費計上することができます。

なお、11年目以後ローンの返済は残っているのに対して、経費として計上できる減価償却費がないため、手取り金額が年間200万円多くなります。つまり、手取り金額が多くなることによって、課税対象所得金額も高くなります。

3、不動産投資ローンと経費の関係

一方、不動産投資ローンの場合はどうでしょう。

(1)経費計上できるのは利子のみ?

不動産ローンにおいて経費として計上できるのは、返済額のうちの「利子」のみになります。

例えば、毎月の返済額が10万円という条件で融資を受けた場合、上記図のように、返済額10万円のうち利子に該当する「4万円」のみ経費として計上することができます。残りの元金6万円分は、実際に支払いが発生していたにも関わらず経費として計上することはできません。

(2)「元利均等」と「元金均等」の違い

融資を受けた際に、返済額の計算方法として

  • 元利均等
  • 元金均等

と2種類の方法があります。

上記図のように、元利均等返済は、毎月の返済額は完済するまで一定です。しかし、図を見ていただくと分かる通り、返済を開始した当初は返済額のうち利子の割合が多く占めていることから、元金はほぼ減っていません。つまり、元利均等払いの場合、返済の年数が長くなるにつれ、元金が減っていくという仕組みになります。

一方、右側の元金均等返済は、毎月返済する元金の金額は完済するまで一定です。利子は最初が多く、後半になればなるほど少なくなっていく仕組みになっています。

(3)なぜ元利均等払いが一般的なのか

上記にて書いたように、ローンへの返済方法は2種類ありますが、実際のところ「元利均等払い」を選ばれている方が多いようです。

なぜ、「元利均等返済」の方が多いのでしょうか。

それは、元金均等返済と比較して、元利均等返済は

  • 返済額が一定していることから返済計画が立てやすい
  • 返済開始当初の元金返済額が少ない(運用開始初期に費用計上できる利子額が大きい)

などのメリットがあるからです。   

4、デッドクロスを回避するには?10個の回避策

デッドクロスを引き起こす原因として、

  • 経費計上ができる実質支出がない「減価償却費の減少
  • 経費計上ができない実質支出がある「借入れの負担の増加

による

  • 手取り金額の減少

です。

つまり、デッドクロスを回避するには、「支出をできるだけおさえて、手取り金額を増やす」ことがポイントになります。

以下にて物件を「購入前」と「購入後」別に回避策を書いていきますので、参考にしてみて下さい。

(1)購入前の回避策

まずは、物件を購入する前の回避策をみてみましょう。

①減価償却期間に合せて融資期間を選ぶ

デッドクロスは、減価償却費より融資への元金返済額が多くなった時に起きます。つまり、その物件の減価償却期間に合せて融資期間を選べば、減価償却期間と同時に融資の返済も終りとなりますので、デッドクロスを回避することができます。

その場合、新築物件と比較して中古物件の減価償却ができる期間が短くなりますので、融資期間を減価償却期間に合せることによって、月々の返済額が高くなる可能性が高いため、きちんと返済シミュレーションをする必要があります。

②利回りが高い収益性の高い物件を選ぶ

利回りが高いの物件の場合、、キャッシュフローもよくなります。減価償却期間中に経費計上を活用することによって、キャッシュをプールすることができます。

減価償却費計上できる期間が終わったタイミングで、プールしたキャッシュで繰上げ返済することによって、デッドクロスを回避することができるでしょう。

③自己資金を多く入れて返済期間を短くする

物件を購入する際に、自己資金を多く入れることによって借入れ金額を少なくすることができます。

返済期間が短くなれば、デッドクロスが起きるリスクも回避することができると言えるでしょう。

④築古物件の購入を避ける

物件の築年数が古ければ古いほど減価償却ができる期間も短くなります。減価償却ができる期間が短くなれば、デッドクロスが起きやすくなりますので、あまり築年数が古い物件の購入を避けるといいでしょう。

中古物件の減価償却期間の計算は「2−(4)耐用年数の考え方」をご参照下さい。

⑤元金均等返済を選ぶ

上記「3、不動産投資ローンと経費の関係」にも書いたように、年数が経過するにつれ元金の金額が上昇する元利均等返済と比較して、元金均等返済の場合、元金の返済額は毎月一定しています。デッドクロスを回避するには、元金額が一定とする元金均等返済を選ばれるといいでしょう。

(2)購入後にできる回避策

続いて、物件を購入後の回避策についてみてみましょう。

①家賃収入をしっかりプールしておく

減価償却費は実質上、出費していない費用を経費として計上することができることから、手元にキャッシュが残しやすくなります。

万が一デッドクロスが起きたとしても、納税や修繕費など急遽出費があった場合でも対処ができるでしょう。

②繰り上げ返済を意識する

家賃収入をプールしておくもう一つの目的は、「繰り上げ返済」として挙げられます。最初は無理のない返済額に設定し、手元にある程度の金額が溜まりましたら、積極的に繰上げ返済をしましょう。

繰上げ返済することによって、借入れ金額が減り、返済期間も短くすることができます。返済期間が短くなればデッドクロスのリスクを回避することもできると言えるでしょう。

③経費をきちんと計上する

不動産投資において、減価償却費と返済額の利子の他にも様々な費用を経費として計上することができます。

経費をきちんと計上することによって、純利益額をおさえることができ、手取り金額を増やすことができます。

なお、不動産投資にて計上できる経費について詳しくは「確定申告時に知っておくと得する12個の経費とは」を参考にしてみて下さい。

④ローンを借り換えして返済期間を延ばす

既存のローンを借り換えて、融資期間を延長することによって、融資への返済額を減らすことができます。返済額が軽減できれば、現金の支出もおさえることができます。

⑤物件の買い替えにより新たに減価償却を計上する

減価償却期間が終了となった物件を売却して、新たに物件を購入することによって、再度減価償却費を計上することができます。

なお、デッドクロスが起きた物件だと金融機関からにすれば資産価値のない物件だと、評価が出なくなってしまうと売却も難しくなりますので、買い替えするタイミングは大切と言えるでしょう。

まとめ

今回はデットクロスについて書きましたが、いかがでしたでしょうか。

不動産投資は長期に渡り資産形成していく投資商品です。きちんと減価償却費と融資の仕組みについて理解し、目の前の収支ではなく、減価償却期間が終わった後のシミュレーションをすることも大切です。

せっかくの黒字経営がデッドクロスで破綻しないように、この記事が参考になれば幸いです。

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