土地売却で気になるのは費用(経費)がどれくらいかかるのか、ということではないでしょうか。何らかの理由で土地を売却しなければならないケースが訪れても、どのような費用がかかるのかを理解しておけば心強いでしょう。
そこで今回は、不動産に興味ある方が毎月数万人訪問するメディア「不動産投資の教科書」にて
・土地売却費用における手数料などの経費について
・土地売却費用における税金について
・土地売却を成功させるためのポイント
などについてまとめました。これから土地売却のため、費用を調べたい方のご参考になれば幸いです。
土地売却全般についてはこちらの記事も併せてご参照ください。
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目次
1、費用相場を知る前に!土地売却にはどのような費用がかかるのか
土地売却には、主に以下8つの費用がかかります。
費用 | 内容 | 金額 | タイミング |
仲介手数料 | 仲介依頼した不動産会社へ支払う | (売却額×3%)+6万円 に消費税 | 売買契約時(および決済時) |
抵当権抹消費用 | 土地に抵当権があるとき | ・1件1,000円 | 抵当権抹消登記時 |
測量費用 | 隣地との境界線が不明のとき | 35~45万円くらい | 測量完了時 |
解体費用 | 古家の解体が必要なとき | 100~300万くらい | 解体工事完了時 |
地質調査費用 | 地質調査が必要なとき | 20~30万円くらい | 地質調査完了後 |
印紙税 | 売買契約書に添付するための税金の一種 | ・売却価格による ・200円〜48万円 ※軽減税率適用後 | 売買契約時 |
登録免許税 | 土地の所有権移転登記の際にかかる税金 | ・売却価格の2% ・2021年3月31日までは1.5% | 所有権移転登記時 |
譲渡所得税 | 売却益がでたとき | 各税の計算方法は後章「9.譲渡所得税・住民税・復興特別所得税」を参照 | ・確定申告時 ・住民税は一括(6月末)か4分割(6、8、10、翌1月) |
上記費用について、次章から詳しく説明していきます。
2、土地売却にかかる費用① 仲介手数料
(1)仲介手数料とは
仲介手数料とは、不動産会社へ仲介を依頼した場合に支払う手数料です。売買が成立した場合のみ発生する手数料なので、仲介を依頼しただけではかかりません。
土地売却では、不動産会社へ依頼して買い手を探してもらうのが一般的なので、仲介手数料は必要経費と考えておきましょう。
不動産会社に仲介依頼することで、土地の査定や販売活動をして買い手を探してくれるほか、売却の流れに沿った手続き方法などもタイミングよく教えてくれます。
(2)仲介手数料の計算式
仲介手数料の計算方法は以下になります。
①400万円超の場合 {(売却額×3%)+6万円}×消費税(10%)
②200万円超~400万円以下 {(売却額×4%)+2万円}×消費税(10%)
③200万円以下 (売却額×5%)×消費税(10%)
例えば、土地売却の金額が5,000万円だった場合は、
{(5,000万円 ×0,03) + 6万円} × 1.1 = 「1,716,000円」
となります。
不動産会社が受け取る仲介手数料は、宅地建物取引業法により上限が設けられており、上記の計算式は上限額を求めるものです。地域の商慣習によっても変わりますが、上限金額で請求されるのが一般的です。
不動産会社は仲介業務で報酬となるのは仲介手数料のみなので、別途経費などを請求されることはありません。通常支払うタイミングは、売買契約時と決済時になります。
(3)媒介契約
「仲介」は宅建業法では「媒介」と定められています。土地売却を依頼する不動産会社と媒介契約を結ぶことになりますが、媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。
一般媒介契約
複数の不動産会社に仲介依頼することができます。また、売主本人が買主を見つけて売買することも可能です。複数の不動産会社へ依頼するため、多くの買い手に情報が行き渡る可能性がある反面、不動産会社各々の営業優先順位が下がる可能性もあります。
専任媒介契約
不動産会社を1社に絞って媒介契約を結ぶ方法で、契約中に他社と媒介契約すると違約金が発生する契約です。売主本人が買主を見つけて売買することはできます。1社なので営業活動は盛んになる可能性はありますが、もし不動産会社に力量不足を感じても契約中は任せるしかありません。
専属専任媒介契約
不動産会社を1社に絞って媒介契約を結ぶ方法で、契約中に他社と媒介契約すると違約金が発生する契約です。専任媒介契約との違いは、売主本人が買主を見つけて売買することが禁じられていることです。
仲介手数料の値引きという観点で考えると、1社に絞った専任媒介契約と専属専任媒介契約になります。しかし、営業活動を依頼する性質上、必ずしも仲介手数料の値引きが手元に残る金額を多くできる方法とは限りません。
(4)買取の場合
仲介で買い手が見つからない場合は、不動産会社が土地を買い取る「買取」という方法も選択できます。仲介ではないので、もちろん手数料は発生しません。また、すぐに現金化できるため、販売活動に長期間かけられない場合にも有用な方法といえるでしょう。
しかし、仲介よりも1~3割程度、売却金額が安くなるのが一般的です。例えば、前述のように5,000万円で売却した際の仲介手数料は「171万6,000円」、一方の買取では単純に1割安で考えると「500万円」減ることになります。
買取は、時間をかけられないなど、理由を整理してから検討しましょう。
3、土地売却にかかる費用② 抵当権抹消費用
売却する土地にローンの残債がある場合、抵当権抹消手続きを行います。抵当権はローンを組んだ金融機関などにあるため、そのままでは売却できません。その手続きにかかる費用になります。
抵当権抹消登記の登録免許税は、1件1,000円。土地だけなら1,000円ですが、土地に建物がある場合は2件となり2,000円の費用が必要です。
また、この手続きは司法書士に依頼するのが一般的なので、司法書士報酬がかかります。その場合、2~3万円程度の手数料がかかると考えておきましょう。
4、土地売却にかかる費用③ 測量費用
測量図は法務省で取得できますが、境界確認書は公的保管されていないので、失くしているなら測量会社への依頼が必要です。もし、境界確認書があったとしても情報が古く、境界線が不明になっているなら、売却後トラブルになるケースがあるので再測量を行います。
この場合、売主、買主、隣地所有者の3者で現地確認し合意書を締結するのが一般的です。土地の面積によって変わりますが、測量費用は35~45万円程度で測量後に支払います。
5、土地売却にかかる費用④ 解体費用
売却する土地に古家があり解体する必要があるときに発生する費用です。建物の大きさや施工環境などによりかわりますが、100~300万円程度が目安になり、費用は解体工事完了後に支払います。
もし、その建物が価値もなく利用もできないものなら、更地にして売却するのが適切な判断です。買主は、解体費用を含めた購入価格を考えます。また、転売目的など買主の属性も変わってくるでしょう。そのため、結果的に費用をかけて更地にして売るよりも、安く買い叩かれてしまう可能性もあるのです。
6、土地売却にかかる費用⑤ 地質調査費用
地質調査が必要なときにかかる費用です。20~30万円程度で調査後に支払います。地質調査は、売却後の買主とのトラブル防止や、買主の安心感につながることです。売却後であっても、地盤に問題があれば責任を問われるケースもあります。
最近では大きな地震も多く、液状化現象で家が傾いてしまうなどの事例が報道されたこともあり、土地の地盤は買主も不安を感じている部分です。しっかりと調査していることを示せれば、売買成立や値引き要素を抑えることにもつながります。
7、土地売却にかかる費用⑥ 印紙税
売買契約書に添付することで納税する税金の一種です。売買契約時に必要になります。税額は国税庁で定められているので、以下を参考にしてください。
契約書に記載する売買金額 | 本則 | 軽減税率※ |
1万円未満 | 200円 | 非課税 |
1万円以上10万円以下 | 200円 | 200円 |
10万円超50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
5億円超10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
10億円超50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
50億円超 | 600,000円 | 480,000円 |
金額の記載のないもの | 200円 | 200円 |
※「不動産譲渡契約書」「建設工事請負契約書」(令和2年4月1日から令和4年3月31日までに作成されるもの)は軽減税率が適用される。
8、土地売却にかかる費用⑦ 登録免許税
土地の所有権を買主へ移行する所有権移転登記にかかる税金です。利率は土地売却金額に対し2%ですが、2021年3月31日まで1.5%に軽減措置が取られています。
例えば、5,000万円で土地を登記する際には、
・5,000万円 × 0.02 = 「1,000,000円」
※2021年3月31日までは「750,000円」
がかかることになります。
移転してしまうと所有権は当然買主へ移ります。移転後に買主からお金が振り込まれないなどのトラブルを防ぐため、売却代金の受け取り後に行いましょう。または、司法書士へ依頼するなどの検討も必要です。
不動産会社へ仲介依頼している場合は、司法書士の手配も手続きもすべて任せられます。
9、土地売却にかかる費用⑧ 譲渡所得税・住民税・復興特別所得税
(1)譲渡所得
土地の売却によって得た利益を譲渡所得といいます。それにかかる税金が、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税です。また、土地を売って譲渡損になった場合は納税の必要はありません。
譲渡所得税は売却翌年の確定申告で納付、住民税は売却翌年に一括(6月末)か4分割(6、8、10、翌1月)で支払います。復興特別所得税は2037年まで所得税額に2.1%加算されるものです。
(2)譲渡所得の計算式
譲渡所得 = 土地の売却価格 - 取得費用 - 譲渡費用
取得費用とは、土地を購入した際にかかった費用です。例えば、土地の購入代金や仲介手数料、税金など土地取得のためにかかった費用をいいます。
譲渡費用とは、土地売却にかかった費用です。例えば、仲介手数料や印紙税、解体費や測量費などをいいます。
売却代金から、それらを引いてプラスになれば「土地の売却によって得た利益がある」となるため、譲渡所得税などがかかるのです。
(3)譲渡所得税・住民税・復興特別所得税の計算式
譲渡所得は土地を所有していた期間によって税率が異なり、5年以下を短期譲渡所得、5年超を長期譲渡所得といいます。年数の判定は、土地売却した年の1月1日時点での所有期間です。
短期譲渡所得(所有期間が5年以下):30%+9%+0.63%
所得税が30%、住民税が9%、復興特別所得税が0.63%(所得税30%の2.1%)で、「39.63%」が税率です。
長期譲渡所得(所有期間が5年超):15%+5%+0.315%
所得税が15%、住民税が5%、復興特別所得税が0.315%(所得税15%の2.1%)で、「20.315%」が税率です。
例えば、5,000万円で売却した土地が、所得費用3,000万円、譲渡費用200万円だった場合、譲渡所得は5,000万円 – 3,000万円 -200万円 =「 2,800万円」となり、以下のように計算できます。
短期の場合:2,800万円 × (30%+9%+0.63%) =「 1,109,640円」
長期の場合:2,800万円 × (15%+5%+0.315%) =「568,820円」
となります。
(4)譲渡所得の特別控除
前章で計算したように、譲渡に関わる税金は安くありません。しかし、土地を売却したときの譲渡所得の計算上、特例として特別控除が受けられる可能性もあります。
各種ありますが、最もポピュラーなのは居住用の土地を売った場合の3,000万円の特別控除の特例です。譲渡益が3,000万円に満たない場合は税額0になります。
例えば、自分のマイホームがあった土地を売って、2,800万円の譲渡所得があった場合、当然譲渡益は3,000万以下なので、3,000万円特別控除の対象です。
土地だけを売る場合は、
・家屋を取り壊してから1年以内に譲渡契約を締結すること
・住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・家屋を取り壊してから譲渡契約の締結までに、敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと
・親子や夫婦、内縁関係など、売手と買手が特別な関係でないこと
などの条件もあるので、確認も必要です。
10、土地売却を成功させるために
上記のように、土地売却にはある程度の費用がかかることがわかります。となれば、少しでも高額で土地を売却したいと考えるのが当然ではないでしょうか。少しでも土地を高額で売却したい方は、次の関連記事を参考にしてください。
関連記事:土地売却(売買)の流れ|素早く高額で土地を売却するために
まとめ
土地売却費用には、さまざまな手数料や税金がかかります。特に多くの費用を占める税金は、土地所有期間を意識することや特例を受けることで、金額にかなりの差が出る費用です。
土地売却時の費用について理解を深めておけば、実際に売却する際でも余計な費用を払うことを防げます。しかし、自分ですべての手続きや計算、支払いを行うのは簡単ではありません。土地売却を考えているなら、まずは不動産会社など専門家への相談を検討しましょう。