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  • 2024/5/29

アパート経営Q&A:立ち退き料はいくら払いますか?交渉のポイント

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アパートオーナーは、何らかの理由で入居者に退去を求める際、一般的に立ち退き料を支払う必要があります。
立ち退き料の支払いは、賃貸経営を行う大家さんにとって避けて通れない課題の一つです。この記事では、立ち退き料の相場や交渉の流れを具体的に解説します。オーナーが直面する可能性のある問題を事前に理解し、適切な対策を講じることで、双方にとって最良の解決を図るためのガイドとなる内容です。

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立ち退き料はアパートオーナーと入居者の話し合いで決まります。明確な金額の法律的規則はありません。相場は、家賃6か月後程度で、ざっくり40〜60万程度です。

 

1、アパートの立ち退き料とは

本章では、立ち退き料に関する基本的な知識をお伝えします。

(1)アパートの立ち退き料とは?

立ち退き料とは、アパートオーナー側の事情で入居者に退去を求める際、入居者の損害補償として支払われる費用です。
この料金は、入居者が移転することによる不便や新たな住居への移動費用などを考慮して決定されます。

(2)立ち退き料が正当事由の判断に必要な理由

立ち退き料は、正式に法律規定や支払い義務が存在するわけではありません。借地借家法において、正当事由がない限り入居者は立ち退きを断ることができると定められています。アパートオーナー側から立ち退きを強制することはできないのです。

つまり、アパートオーナーが立ち退きを要求したい場合は正当事由が必要です。借地借家法第28条(下記参照)に記載の通り、財産上の給付として立ち退き料を支払うことが、正当事由を補完する1つの要素となるのです。

立ち退きを要求するほとんどの場合、立ち退き料を支払うと考えておきましょう。

次項では、正当事由が認められる立ち退き料の支払いが不要なケースをご紹介します。

借地借家法第28条 転記
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)

建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

引用:借地借家法

(3)立ち退き料を支払わなくてよいケース

基本的には立ち退きを要求する際、立ち退き料の支払いが必要となります。しかし、中にはアパートオーナーの正当事由が認められ、支払いが不要なケースもあります。立ち退き料を支払わなくてよい主なケースは、以下の通りです。

  • 債務不履行など入居者が契約違反をした場合
  • 定期建物賃貸借契約で契約が満了している場合
  • 契約締結時点で期限が設けられている賃貸借契約の場合
  • 老朽化などにより物件に住み続けることが危険な場合

物件に住み続けることに危険が生じた場合は、過去に裁判で争われたことがありますが、判例自体少なく、立ち退き料が不要と判決された事例はほとんどありません。

2、アパートの立ち退き料の相場

立ち退き料はアパートオーナーと入居者の話し合いで決まります。明確な金額の法律的規則はありません。相場は、家賃6か月後程度で、ざっくり40〜60万程度です。

入居者との立ち退き交渉で、安くできる可能性はあります。一方でより高額な立ち退き料を要求してくる可能性もあります。上手く交渉を進めるためには、入居者と良好な信頼関係を築いておくことがポイントとなるでしょう。

借地借家法26条において、立ち退きの際は入居者に1年前〜6か月前までの間に契約更新しない旨を伝えなければならないとされています。なお、契約更新しないことについて、正当事由が認められる必要があります。

借地借家法第26条 転記
(建物賃貸借契約の更新等)

建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

2 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
3 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

引用:借地借家法

3、アパートの立ち退き料の内訳

本章では、アパートの立ち退き料に含まれる料金の内訳をお伝えします。

立ち退き料の内訳は、主に以下の通りです。

  • 新居や引越しの費用
  • 立ち退き物件の家賃と新居の家賃の差額
  • 電話やインターネット環境の費用

(1)新居移転費用や引越し費用

アパートオーナーの自己都合で入居者を退去させる場合、新居に移転する際にかかる費用や引っ越し費用を負担しなければならないと考えるのが一般的です。

  • 不動産会社への仲介手数料
  • 敷金、
  • 礼金
  • 1か月分の前家賃
  • 保険
  • 引越し代
  • 鍵交換代
  • 電話やインターネット環境の整備費用など

(2)立ち退き物件の家賃と新居の家賃の差額

立ち退き予定の物件より新居となる物件の家賃が高ければ、アパートオーナーはその差額を負担する場合があります。賃貸契約の契約期間は2年であることが多いため、2年分差額を負担することが一般的です。

(例)立ち退き予定の物件が家賃7万円で新居が9万円だった場合、

[差額2万円/月]×[24か月]=48万円を負担することとなる。

しかし、差額をどのくらい負担するかについても明確な規則があるわけではありません。

例えば、入居者が立ち退き料として差額が支払われるということを知ったうえで、高い家賃の物件へ引越すようなケースに関しては、全差額を負担する必要はないでしょう。そのようなケースを避けるために、家賃の差額分を全負担するといわないほうが良いです。

(3)その他の費用

新居移転費用や引越し費用など実費として支払わなければならない費用の他に、迷惑をかけたお詫びとして慰謝料などが必要となる場合があります。

立ち退き料自体に義務ではないため、慰謝料も当然支払い義務はありません。しかし、立ち退き要求の理由によっては、入居者が納得してくれない場合が多くあります。

慰謝料に関して、相場はありません。入居者との関係構築を築いておくことで、スムーズにできるだけ安い負担で抑えられるように交渉しましょう。

4、アパートの立ち退き料を支払う時期

地域によって多少違いがありますが、立ち退き料の支払いは、建物の明け渡しと同日に行うのが一般的です。

しかし、入居者が移転先を契約するのは明け渡しの日より前であることが多いため、「早めに立ち退き料が欲しい」と交渉されることもありますが、立ち退き料を早く支払うことはアパートオーナーにとってリスクです。お互いが納得するタイミングを話し合いましょう。

5、アパートの立ち退きの流れ

アパートの立ち退きの流れは、主に以下の通りです。

  1. 入居者へ立ち退きを要求する旨を書面で伝える
  2. 対面で立ち退きについて伝える
  3. 立ち退き料の交渉
  4. 退去の手続きを行う

入居者の中には、立ち退きを拒否する人もいるかもしれません。借家法は入居者を保護しています。

うまく立ち退きが進まないからと、立ち退きを強制的にしようと違法行為をした場合、アパートオーナーが罪に問われてしまう可能性もありますので、気をつけましょう。

6、アパートの立ち退き交渉をスムーズに行うポイント

アパートの立ち退き料を支払うなら、できるだけ少ない金額でスムーズに交渉を進めたいですよね。スムーズに立ち退き交渉を行うポイントは以下の通りです。

  • 入居者と信頼関係を築いておく
  • 余裕を持った立ち退きスケジュールを伝える
  • 立ち退きの理由を分かりやすく伝える
  • トラブルが発生したらすぐ弁護士に相談する

(1)入居者と信頼関係を築いておく

入居者と信頼関係を築いておけば、立ち退きの際の理由に不満を持たれにくいため、トラブルになる可能性を低くすることができます。

関係性によっては、立ち退き料も安くしてくれるかもしれません。

(2)余裕を持った立ち退きスケジュールを伝える

法律上は、1年前〜6か月までの間に立ち退きする旨を伝えなえればならないとされています。入居者にとって、立ち退きは大きな労力がかかることを考慮すると、1年前には伝えておくことが理想的です。

余裕があるほうが、立ち退きに対する不満も少なからず軽減されるでしょう。

(3)立ち退きの理由を分かりやすく伝える

入居者にとって、立ち退きの理由は不満の種になりかねません。自己都合な理由である場合は不満になりやすいですが、仕方のないことがほとんどだと思っています。しかし、立ち退き理由が入居者に明確に伝えられないなんてことがあったら、反感をかってしまうでしょう。

はっきり立ち退きの理由を明確にし伝えることで、納得してもらいましょう。

(4)トラブルが発生したらすぐ弁護士など専門家に相談する

立ち退き交渉において、トラブル発生のリスクは充分にあります。トラブルが大きくなってしまうと裁判になるケースも存在します。最悪の場合、アパートオーナーが罪を負ってしまうかもしれません。立ち退き料に関しては、法律も多々絡むので、トラブルが発生したら、弁護士などの専門家に相談し、正しい早期解決をできるようにしましょう。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回の記事が、アパートの立ち退き料に関するお悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。

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