AI(人工知能)の存在感が日に日に増しています。私たちの身の回りでAIを利用したサービスが続々と誕生している中で、その波は投資の世界にも押し寄せています。AI関連の投資信託が高い人気を見せており、ホットワードのひとつとなっています。
ここでいう「AI関連の投資信託」とは、
- 投資戦略の立案や運用にAIが関与する投資信託
- AI関連産業に集中投資をする投資信託
という2種類があります。
いずれもAI関連の投資信託として注目度が高くなっています。本記事では上記2種類のAI投資信託について、毎月資産運用に興味ある方が数万人訪問する当メディア「不動産投資の教科書」が解説します。
「いつかはAIが投資のホットワードになると思っていた」「漠然とAIのことが気になっていた」「AI投資の波にはぜひとも乗っておきたい」という方にとって必要な情報を網羅していますので、ぜひ最後までお読みください。
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目次
1、盛り上がりを見せる「AI投資信託」
(1)AIに運用を任せたら資産が増えている
資金の運用をAIに任せる、もしくはAIに関与させることを特徴とする投資信託が登場しており、大きな話題になっています。その中でも有名な「AI日本株式オープン」という投資信託の運用成績を見てみましょう。
出典:三菱UFJ国際投信
こちらは2017年7月から12月までの「AI日本株式オープン」の運用成績です。赤い線の基準価額は一時的な落ち込みがあったものの、その後は回復して値上がりしています。
もうひとつ、三菱UFJ国際投信が行ったAI運用のバックテスト結果も見てみましょう。
出典:三菱UFJ国際投信
青い線は実際の株価で、赤い線はAI運用によるバックテストの結果です。実際の株価はさまざまな大きな出来事に振り回されることもあって乱高下をしていますが、バックテストの結果は順調な伸びを見せています。
運用判断のすべてをAIが行った結果なので、人間が関与しなくてもこれだけの運用成績を上げることができるという、ある意味衝撃的なデータです。
(2)AI関連株に集中投資をしたら資産が1.5倍になっている
AI関連投資信託のもうひとつの視点、AI関連産業に集中投資をする投資信託の運用成績はどうなのでしょうか。AI投資信託として有名な「グローバルAIファンド」の推移を見てみましょう。
出典:SMBC日興証券
順調という表現よりも、急上昇というほうが正確でしょう。AI関連株には開発会社や技術を持つ会社、AIを利用したサービス業などが含まれています。これらの株が総じて値上がりしていることが、この投資信託の基準価額を押し上げているのでしょう。
(3)AI投資信託の波に乗り遅れたくない方へ
AIが運用に関与する投資信託、AI関連株に集中投資をする投資信託、それぞれの「AI投資信託」がどちらも良好な運用成績を上げているので、注目を集めるのは当然でしょう。
この記事をお読みになっている方も、そのことに注目をしている一人だと思います。このAIの大波にしっかりと乗りたいという方が今すぐできることとして最も手軽なのは、AI関連の投資信託を購入することです。
冒頭では2つの投資信託をご紹介しましたが、それ以外にも続々とAI関連の投資信託が新たに設定されて人気を集めています。この波に乗り遅れたくないという場合は、すでに値上がりをしている投資信託だけでなく新規に設定される投資信託も有望な選択肢となります。
これからもまだまだ続くと見られるAIの大波に乗り遅れたくなければ、AI関連の投資信託を購入するのが最も手軽で確実な方法である・・・まずはこの一点を押さえておいてください。
2、投資信託の世界でAIの存在感が増大中
(1)今さら聞けない、AIとは?
AI、または人工知能という言葉がこれだけ毎日のように飛び交っていると基本を見失ってしまいそうになりますが、そもそもAIとは何なのでしょうか。
人工知能とも呼ばれているように、人間が作り出したコンピューター上で「考える力」を持つ知能のことです。SF映画の世界では発達しすぎたAIが人間を敵とみなして支配されたり戦争を仕掛けてくるといった描写を見ることもありますが、これはAIに対する人間の潜在的な警戒心かも知れません。それくらいAIは進化をしており、すでに私たちの社会や生活に浸透しているのです。
AIには大きく分けて、2つの種類があります。1つはコンピューターによる新しい知能を作るという考え方、もう1つは人間が行っていることをAIに代行させるというものです。投資信託の運用をAIが行うという利用例は、後者に分類されます。
動画投稿サイトのYoutubeでは、自分がこれまでに視聴した動画の傾向から興味を持ちそうなものがトップページに並ぶようになっています。また、世界的なSNSであるFacebookには「知り合いかも?」という項目にもしかしたら知人かも知れない人が表示される機能があります。
これらはAIがユーザーの趣向や人間関係を分析した結果で、人間が思っている以上に精度が高いことに驚かれた方も多いと思います。
そんな人工知能がすでに投資の世界に進出しており、人間に代わって運用をしたりAI関連株に投資をする投資信託が大きく注目を集めているのです。
(2)投資信託とAIの関係
投資の世界には、実にたくさんのテーマがあります。ホットワードになっている言葉がたくさんある中で、AIはそのひとつとして注目を集めています。他にもロボットや介護、バイオ、仮想通貨、自動運転などのホットワードが考えられますが、どことなくAIに近い業種が多いようにも見えます。
このことから分かるのは、投資の世界においてAIはホットワードの中のホットワードだということです。さらに投資信託の運用をAIが担うという形まで実用化されてきているので、投資とAIはとても密接な関係にあると言って良いでしょう。そして、この傾向は今後も続くと考えられます。
(3)AIとロボットの違い
「AIが資金の運用をする!」という話題はセンセーショナルに聞こえるかも知れませんが、投資の世界にはすでに自動売買やロボット運用が広く浸透しています。その典型例はFXのシステムトレードで、最初に一定の条件を与えておけば後は自動的に小刻みに売買を繰り返してくれます。
AIとの違いは、自動売買ロボットには機械的な動作をする機能しかなく、AIのように考える力がないということです。この違いにはとても大きな意味があり、AIには自らの行動から学習をしてさらに賢くなる能力があるのです。
AIが運用する投資信託のパフォーマンスについても同じことが言え、最初の頃はあまり良好ではなかったパフォーマンスがAIの進化によって好転していく可能性も大いにあります。
このことも、AI運用に注目が集まっている理由のひとつでしょう。
3、AI関連銘柄に集中投資をする投資信託市場の現在と未来
(1)好調が続くAI関連投資信託
AIが社会的にも大きく注目されていることもあって、AI関連株に集中投資をする投資信託は総じて好調が続いています。単位株でAI関連株を買っても儲けを出しやすい地合いになっているので、この「AIネタ」はまだまだ続くかも知れません。
(2)AI関連銘柄の好調はバブルか?
AI関連の投資信託が好調を続ける中、こうした動きはバブルであるという指摘もあります。バブルとは実力以上の評価によって株価や基準価額が高くなることですが、AI関連株には若干その雰囲気が漂っているのは否めません。
というのも、AI関連銘柄だと持てはやされている株の中には、業績が赤字続きなのに株価が上昇しているものもあるからです。もちろんこれは今後の大化けを期待した上での買いだと思いますが、本来の株式投資のセオリーから見るとリスクの高い投資です。
かつてITバブルと呼ばれる、局地的な株価高騰がありました。ヤフー株が1億円を突破したニュースが大々的に報道されたこともありましがが、現在のヤフー株がそんな高値圏にないことは言うまでもないと思います。
AI関連の投資信託の購入には、この事実を意識する必要があると思います。「AIだから上がる」という盲目的な投資判断は危険なので、なぜその投資信託に有望性があるのかという根拠をしっかりと精査してください。
(3)有名2大AI投資信託のご紹介
AI関連株への投資を行っている2つの有名な投資信託をご紹介します。いずれも好調さが目立つ投資信託です。
①グローバルAIファンド
AI関連株への投資信託としては代表格のような存在です。ポートフォリオには、世界中にあるIT企業、特にその中でもAIの活用を推進している企業の名前がズラリと並びます。
設定来の値動きを見ても、まさに右肩上がり。AI関連企業の好調がそのまま反映されています。
出典:SMBC日興証券
すでにある程度の値上がりをしているので、ここから爆発的な値上がりを期待するのは難しいかも知れませんが、AIのさらなる進化や普及を資産運用に取り込むという意味では有望性十分でしょう。
②ニッセイ AI関連株式ファンド
世界各国のAI関連株に集中投資をする投資信託です。こちらも右肩上がりの上昇を続けており、基準価額、純資産残高ともに順調に伸びています。ほぼすべてを外国証券に投資しており、アメリカなど先進国の好調な株価が反映されていると言って良いでしょう。
出典:モーニングスター
すでに設定時から30%程度の上昇をしているため、ここからの上値追いは限定されるでしょう。しかし、堅調であることに変わりはなく、AI関連産業の成長に投資をする直接的な効果が期待できます。
4、AIが銘柄選定に関与する投資信託市場の現在と未来
(1)AIはまだまだ進化、学習する
多くの方がお感じだと思いますが、現段階でのAIにはそれほど賢いとは言えないものも多くあります。しかし、AIの特徴は人間のように学習をすることでさらに賢くなっていくことです。
AIが運用する投資信託の多くはビッグデータを使用しており、人間ではなかなかすべてを分析できないようなデータを分析に使用していることは「賢くなる」ために大いに役立つと思います。
つまり、AIが運用する投資信託はこれからさらに運用能力を向上させていくことが予想されます。今はまだAIが運用する投資信託の話題性が先行しているようにも感じられますが、今後はひとつのジャンルとして確立していくことでしょう。
(2)人間的な思い入れが入らない運用の強み
個人投資家が自分の裁量で投資をしている場合、必ず入り込んでくるのが人間的な思い入れです。それによって損をしてしまった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、AIは違います。目の前にある投資判断に必要なデータを機械的に処理し、そこから答えを導き出します。そこに人間的で曖昧な思考は入り込まないので、このことが運用成績を安定化させる強みがあります。
自動売買ソフトは与えられた条件に基づいて機械的に売買を繰り返すだけですが、AIはそれに「考える力」が加わります。運用成績を向上させることだけを目的として考え、冷静に判断するAIは独自の強みを発揮していくものと思われます。
(3)代表的なAI運用投資信託4選
AIが運用することを前面に打ち出している投資信託の中から、代表的なものを4つご紹介します。
①AI日本株式オープン
最も有名であると言っても良いほど知名度の高いAI投資信託です。名称の通り運用対象は日本株です。
出典:モーニングスター
②GSグローバル・ビッグデータ投資戦略
日本など先進国の株式を運用対象とする投資信託で、AIの助言を活用しながら幅広い株式に対して分散投資をしています。
出典:モーニングスター
③Yjamプラス!
国内検索エンジン大手のヤフー社から提供されるビッグデータを活用してAIが投資判断を行うというユニークな投資信託です。
出典:モーニングスター
④日本株ロボット運用投信
カブロボと呼ばれるコンピュータープログラムが運用を担当する、AI運用型の投資信託です。中長期的な資産形成を目指しています。
出典:モーニングスター
5、結局のところ「AI関連投信」はアリなのか?
(1)AIは万能ではない
巷のAIに対する認識から感じるのは、AIが人類の存在意義まで変えるほどの大変革を起こすという過大評価です。将来にはAIが人間の知能を追い抜いて凌駕する時が来ると警告する科学者もいますが、現在の状況を見ていると仮にそうなるとしてもかなりの時間が掛かるでしょう。
実際のところ、AIが運用している投資信託が運用成績の上位を独占しているわけではなく、「好調ではあるが突出しているわけではない」というのが妥当な評価です。ソフトバンクのAIロボット「ペッパー」が人間顔負けのコミュニケーションを取れるかというと、そんなこともありません。
AIが今後さらに進化していくのは間違いありませんが、今はまだその過渡期です。AI関連株だから、AIが運用しているからといって万能であったり、魔法の杖を持っているわけではないことを認識しておくべきでしょう。
(2)「不動産投資の教科書」が考えるAI関連投資信託との付き合い方
AI関連の株や投資信託は目下好調が続いていますが、その中にはバブル気味に高騰しているだけの銘柄もあるという点にすでに述べました。この点はかつてのITバブルにとても似た状況なので、バブルである以上はバブル崩壊があるというリスクは常に隣り合わせです。
AI運用についてもまだ始まったばかりの感が強く、今後どれだけ運用成績に反映されるかは技術革新次第です。ロボット産業の進化を見ても、マンガなどに登場する「鉄腕アトム」や「ドラえもん」といったロボットの誕生には程遠い状況なので、AI運用に対する評価をする段階ではないと思います。
AI関連の投資信託に資産の大半をつぎ込むようなことは、まだまだリスクが高いと言って良いでしょう。
あくまでも資産運用ポートフォリオの一部として「ちょっとユニークな選択肢」という位置づけがちょうど良いと思います。
まとめ
AIが投資の世界にやって来る!AIが投資の世界を大きく変える!といったセンセーショナルな論調が目立つAIの取り扱いですが、実際のところはどうなのか?という問いにお答えできるだけの情報をまとめ説明してきました。
ここまでお読みになった印象としては、「選択肢のひとつとして考えておこう」というニュアンスの方が多いのではないでしょうか。「不動産投資の教科書」としては、その付き合い方が現段階では最も無難だと考えています。
AI関連の投資信託は今後も続々と登場するものと思われますが、その購入を促すための過度な煽り文句に惑わされることのないよう、冷静にその実力を見極めてください。