不動産投資で最大のリスクは「空室リスク」でしょう。
もし、所有する物件が空室になった場合には、家賃収入がない中で、ローンの返済、租税公課、火災保険料、管理費などを支払わなければならず、負担だけが増えます。
そのため、空室リスクをいかに抑えるかが不動産投資の成功のカギといえます。
では、オーナーは空室対策のために何をすべきなのでしょうか。
それは、顧客(=入居者)を見据えた「マーケティングの視点」を持つことです。
この記事では、資産運用に関する発信を行う当メディア「不動産投資の教科書」が、その具体的な方法について説明していきます。(中村伸一・ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士、マネーデザイン代表取締役)
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不動産投資の14個のリスクと回避策を徹底解説
1、マーケティング視点①人口動態で街力を調べる
空室リスクの回避には2つのマーケティングの視点が有効です。
第一は「人口動向で街力を確認すること」です。
具体的には、投資を考えているエリアなどで将来人口が増えるのか、減るのかという「街力」を確かめます。
当たり前ですが、投資するエリアに、お客さん(入居者)が、どれだけいるのかが分からなければ話になりません。そのため、重要なファクターになります。
日本は人口減少時代に突入しています。これは賃貸物件の空室率と密接な関連があります。
不動産投資をする際に、物件の収益率などを計算することは大切ですが、仮に満室時の高い利回りが想定されても、将来人口が減少し、賃料が下落したり、空室が出るエリアであれば、計算の前提が崩れてしまいます。
物件がある場所は絶対に動かすことはできません。そのため、投資をする場所をしっかりと想定して、人口動態、世帯動態から、その地域の街力がどう変わっていくのかを想定することが大切なのです。
その際の手掛かりになるが、厚労省の外郭団体である国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の地域別将来推計人口」です。
「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(該当のページに飛びます)
これは、都道府県別、市町村別の将来人口推移について、2015年を100とした場合の指数推移を表したデータです。
この中で特に活用したい表は、「結果表1 総人口及び指数(2015年=100とした場合、その後の推移を表す)」です。都道府県別の推移はもちろん、区、市町別の今後5年ごとの将来推移が分かります。
例えば、東京都全体でみると、2045年の指数は100.7(2015年を100とした場合)です。
区別では千代田区が「132.8」、中央区は「134.9」、港区は「134.4」で上回る一方、足立区は「87.4」葛飾区、江戸川区は「91.0」と下回っています。
このデータを踏まえていうと、同じ利回りであれば、より高い人口推計指数の高い地域に投資した方が安全です。モノの価値は需要と供給により変化しますが、不動産投資も同様だからです。
そして、マクロの視点からエリアを絞った後は、その地域を重点的にリサーチしていきます。その結果、そのエリアを深く知ることができて情報も集まり、同じエリアをリサーチしている投資家が見落としているポイントも見えてきます。
人口減少時代に入った日本では、今まで以上に、このエリアマーケティングが大切になってくることは間違いありません。
2、マーケティング視点②物件設備の不満・ニーズを知る
もう1つが「物件の設備」です。今の入居者は設備に何を欲しているのかを知ることです。そのために、まずは入居者が物件に不満に感じている部分や必要としているものは何かをリサーチすることから始めましょう。
参考になるデータを紹介しましょう。LIXIL住宅研究所の「賃貸住宅の不満に関する調査報告」(2015年6月)です。
少し前のデータですが、入居者の意向を知るには役立ちます。
調査によると、現在、住む賃貸住宅に不満を持つ割合は75.7%で、アパートでは80.6%という結果になりました。そして(1)防音(2)断熱(3)湿気の3つが大きな不満要素であることが分かりました
また、物件を選ぶ時の必須条件として、風呂とトイレは別室、内装がきれいであること、ベランダ・バルコニーがあることが上位として挙がっています。また、最近では、インターネットの普及で、ネット環境が整備されていることは必須でしょう。
こうした不満点をクリアし、ニーズに対応した上で、オーナーは物件の魅力を高める努力を怠らず、時によっては大規模修繕を計画的に行うことが、空室リスクを下げることになります。
3、賃貸経営はサービス業
このように物件の地域性を確認した上で、オーナーができる設備増強を行うという2つのマーケティングの視点を持つことが、空室リスク回避につながることが分かってもらえたと思います。
その上で、覚えておいて欲しいのは「賃貸経営はサービス業である」ということです。お客様(入居者)と同じ目線を持ち、何が不満で退去してしまうのか、空室になる原因を探り、対処する姿勢を常にとることが大切です。
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