株に関する確定申告は、株式投資を行っている方にとって気になるところです。
まだ株式投資をしたことのない方にとって、確定申告が必要かそうでないかは知りたいところですよね。会社勤めで自分で確定申告を行ったことがないという方であれば、もし確定申告が必要なら少し不安に感じると思います。
株式投資に興味が沸いても、そのような理由から「結局めんどくさそう」と断念してしまう方がいますが、株式投資の確定申告について理解することは決してむずかしいことではありません。
そこで本記事では、「株式投資で確定申告は必要なのか、必要なのはどのようなケースなのか」について詳しく紹介しています。
本記事を読むことで、株式投資の確定申告に関する疑問を解決することができるので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
1、株式投資を行ったら確定申告をしなければいけないのか
株式投資を行った場合、開設する口座によって確定申告をしなければならないのか、そうでないかが異なります。
証券会社で口座開設をするときは、特定口座と一般口座のどちらかを選択する必要があり、さらに特定口座においては、源泉徴収ありなしを選択しなければなりません。
他にも、NISAという口座もあります。
- 特定口座(源泉徴収あり)
- 特定口座(源泉徴収なし)
- 一般口座
- NISA口座
次章より、各口座において確定申告が必要なのかどうかについて説明します。
2、株の確定申告|特定口座(源泉徴収あり)の場合
特定口座(源泉徴収あり)の場合、原則確定申告をする必要はありません。所得税や住民税の源泉徴収を証券会社が行って納税してくれるからです。
しかし、確定申告が不要でも自分で確定申告を行うことで、あるメリットがあります。
基本的に確定申告は利益を得た人が行うものと思いがちですが、実は株式投資によって損失が生まれた場合でも確定申告を自分で行うことによって、いくらか損失を取り戻すことができるのです。
詳しくは6章の「株式投資で損をした人も確定申告をしよう」にて解説しています。
3、株の確定申告|特定口座(源泉徴収なし)の場合
特定口座(源泉徴収なし)の場合、年間で利益がでていたら確定申告をする必要があります。しかし、自分で譲渡損益を計算するということはありません。
証券会社が譲渡損益を計算し、年間取引報告書が送付されるため、その年間取引報告書に基づいて確定申告を行い税金を納付しましょう。
この場合についても、もし損失が出ていたら確定申告をすることで損失を取り戻せることがあります。
4、株の確定申告|一般口座の場合
一般口座でも、年間を通して利益が出ていた場合は確定申告が必要です。
特定口座(源泉徴収なし)の場合のように、年間取引報告書は送付されないため、取引報告書を自分で計算して確定申告を行わなければなりません。
しかし、一般口座の場合であっても年間を通して20万円以下の利益であれば確定申告を行う必要はありません。
5、株の確定申告|NISA口座の場合
NISAとは少額投資非課税制度ともいい、一定金額以内の投資であれば税金がかからない制度です。
本来、特定口座・一般口座を利用して利益を得た場合はおよそ20%の税率が課せられます。
NISAの主なメリットとして以下の3つがあります。
- 配当金・分配金・譲渡益が非課税
- 年間120万までの投資利益が非課税
- 非課税期間は最長5年間
こちらの口座では原則確定申告は不要ですが、年間を通して株式投資で損失が出ている場合でも、後述する損益通算や繰越控除はできません。
NISAについての詳細は、「NISA(ニーサ)とは?賢く活用するために事前に知っておきたいメリットとデメリット」をご覧ください。
6、株式投資で損をした人も確定申告をしよう
皆さんの中には、確定申告は利益を得たら行うものと思っている方も多いと思います。
それなのに、なぜ株式投資で損をした人も確定申告をするべきなのかというと、確定申告を行うことで節税をすることができるからです。
これには主に「損益通算」と「繰越控除」の2種類があるので順に見ていきましょう。
(1)損益通算
損益通算とは、1年間(1〜12月)に行われた売買での利益や損失を計算・合計して、最終的に利益がでたのか損失となってしまったのかを算出することです。
※株や不動産など、資産の売却を行った際の損失を譲渡損失と言います。
例えば、1年間の損益を
・譲渡損失100万円
・配当利益10万円
とすると、この場合の損失は年間で90万円です。しかし、配当金にも税金がかかるということを忘れてはいけません。
つまり配当利益は10万円ですが、そこに20.315%(10万円の利益だと20,315円)の税金が天引きされるため、手元に入るお金は 79,685円です。
すなわち税金を考慮して年間の損失を計算すると、
譲渡損失(-100万円) + 配当金(10万円) – 税金(20,315円)= -920,315円
となってしまいます。
ここで確定申告を行った場合どうなるかというと、税金を考慮しない場合年間で90万円の損失ですから、配当金の10万円の利益が相殺され、源泉徴収された20,315円が還付されます。
本来損失は920,315円であるのに対し、確定申告を行うことで90万円で済むのであれば、確定申告してみるのも良いでしょう。
また、複数の証券会社を利用していて売却による利益と損失が出ている場合についても同じことが言えます。
証券会社A:200万円の譲渡損失
証券会社B:100万円の譲渡益
上の例で考えると、年間で100万円の損失となってしまいますが、税金を考慮すると損失額は 1,203,150円です。
しかし年間を通して損益はマイナスであるため、確定申告することで100万円の利益に課税される203,150円が還付されます。
先ほどの例ではわずか2万円ほどの還付でしたが、還付額が20万ともなると確定申告による節税効果の重要性がわかっていただけるのではないでしょうか。
特定口座(源泉徴収あり)では証券会社が全て確定申告してくれるわけではありません。他の口座との損益通算は必ず確定申告を行いましょう。
(2)繰越控除
繰越控除とは、譲渡損失額を翌年3年間にわたり繰り越すことができる制度です。
流れとしては、株式投資で損失が出てしまったらまずは損益通算を行います。それでも損失分のマイナスが残っている場合に繰越控除を行いましょう。
下図を例に説明します。
2020年に株式投資を行い、1000万円の損失が出てしまったとしましょう。「次こそはいける気がする」と翌年の2021年も株式投資を行い、200万円の利益がでました。
もし、2021年までに株式投資で3年以内での繰越がない場合、200万円の利益に対して 406,300円の税金が取られてしまいます。
しかし、繰越控除によって2020年の損失と2021年損益で損益通算を行うことができるため、800万円の損失となり、 406,300円の税金を払わなくて済むのです。さらに、未だ800万円の損失があるため、翌年にも繰り越すことができます。
注意しなければならないのは、上場株式の譲渡損失が生じた年はもちろん、その損失を繰り越す期間は毎年確定申告をしなければなりません。
証券会社が手続きしてくれるわけではないので、忘れずに確定申告しましょう。
7、株式投資の確定申告のやり方
株式投資において、いずれの口座においても確定申告を行うことが重要であるとお伝えしました。
しかし、初めての方であればやはり戸惑いもあると思います。
国税庁の「株を売却した方へ:令和3年分 確定申告特集」では、初めて確定申告される方へ確定申告の手続きをわかりやすく説明しています。
また、より楽に確定申告を済ませたいのであれば、会計ソフトを利用することもよいでしょう。本章では代表的な会計ソフトを3つご紹介します。
(1)freee
出典:freee個人向け会計
日常の取引入力から確定申告まで完結する、クラウド会計ソフトです。
専用アプリが使いやすく、利便性が高いため、「不動産投資の教科書」が1番おすすめする会計ソフトです。
スタータープランは確定申告をサクサクと済ませたい人に、スタンダードプランは消費税申告や農業所得の決算書作成を含め、日々の経理業務を効率化したい人におすすめです。
(2)マネーフォワードクラウド会計
マネーフォワードは、小規模法人から上場企業まで、さまざまな規模の会計業務をサポートするクラウド会計ソフトです。
個人事業主向けのプランもあるため、事業の規模や月々の料金、サポート内容などから最適のプランを選べます。
(3)弥生会計オンライン
出典:弥生会計
1987年に販売開始の会計ソフト「弥生」シリーズのクラウド版です。
古くからの実績があり、20年連続売上1位を誇ります。簿記の知識がほとんどない人にも使いやすい設計で、サポート体制も充実しています。
まとめ
株式投資では、口座によって確定申告を行う必要があるのかどうかが別れます。
株式投資を行うための口座は主に、
- 特定口座(源泉徴収あり)
- 特定口座(源泉徴収なし)
- 一般口座
- NISA口座
の4種類です。
特定口座(源泉徴収あり)とNISA口座では、原則確定申告の必要はありません。
また、特定口座(源泉徴収なし)と一般口座においては、株式譲渡による利益が出た場合は確定申告を行う必要があります。
しかし、特定口座(源泉徴収あり)の場合でも確定申告をすることによって、損失が出たときに、
- 損益通算
- 繰越控除
というありがたい制度を利用できるようになります。この制度を利用する場合は、特定口座(源泉徴収ありなし)どちらの場合においても、自分で確定申告を行う必要があります。
自分で確定申告を行うのはめんどくさいと思う方もいるかもしれませんが、メリットは大きいです。
制度を上手に活用していきましょう。