• 不動産売却
  • 2019/12/5

【税理士監修】不動産売却でかかる「3つの税金」と4つの節税対策

不動産を売却する時にも税金がかかるのはみなさんご存知でしょうか?

「不動産を購入する際に税金を支払ったはずなのに売却する時も税金がかかるの?」なんて思われている方も少なくないのではないでしょうか。購入する時の税金とは内容が異なりますが、売却する時にも課税されます。

ただ、要件を満たせば、特例を利用するなどにより、税金を低くおさえることもできます。

そこで今回は、

  • 不動産売却時にかかる3つの税金の種類
  • 税金を安くおさえる4つの方法
  • 売却の税金に関する注意点

などについてご説明しますので、不動産の売却を検討されている方のご参考になれば幸いです。(監修:税理士・鈴木まゆ子)

1.不動産売却時にかかる税金

不動産を売却する時にかかる税金の種類には、大きく以下のようなものがあります。

  • 売買契約書に貼付する印紙税
  • (抵当権設定された場合)抵当権抹消登記の登録免許税
  •  (売却益が出た場合)不動産の譲渡所得に課される所得税・住民税

では、順番に詳しくみていきましょう。

2.売買契約書に貼付する印紙税

不動産を売却する時に、売買契約書の記載金額に応じて印紙税が課せられます。

印紙税額とは

印紙税とは、一定金額以上の領収書や契約書を作成するときにかかる税金です。権利や財産の取得および移転に対して課される税金の一種であり、自動車重量税や登録免許税と同じく流通税に区分されます。

なぜ、契約書や領収書といった「ただの書類」に税金が課されるかというと、「国が定めた法令によってそれらの書類の効力が担保されている部分があるから」です。

また、契約書や領収書を作成する背景には、利益を得るための経済的な取引が存在しているはずです。つまり、国が事業者の利益を得る手助けをしている一面があるので、「利益の一部を税金として負担してください」という趣旨になっています。

印紙税額は、売買契約書に記載された金額によって変わり、不動産の売買価格が高ければ高いほど、印紙税額も高くなります。

なお、平成26年4月1日から令和2年3月31日までの間に作成された不動産売買契約書の場合、軽減措置の対象となり、印紙税額は下記の表のように軽減されます。

売買金額の変更により作成される変更契約書や補充契約書なども軽減措置の対象となります。

1

出典:国税庁

3.(抵当権設定された場合)抵当権抹消登記の免許税

不動産購入する際、購入資金を銀行などの金融機関から融資を受けることがあります。この融資に関し、万が一返済ができなくなった時に備えて通常はその対象不動産に抵当権が設定されます。

抵当権付き不動産を売買すること自体は可能ですが、所有者にとっては、ある日突然抵当権が実行された場合に不動産の所有権を失うリスクを抱えることになります。

そのため不動産売買においては、抵当権付き不動産は購入対象としてあまり歓迎されません。

したがって不動産を売却する場合には、買主が抵当権のない物件を取得できるようその抵当権の登記を抹消する手続きが必要となります。

(1)抵当権抹消登記の登録免許税の額

抵当権抹消登記をするには、「登録免許税」という税金を納めなければなりません。

登録免許税は、不動産1個につき1,000かかります。

土地と建物をそれぞれについてカウントすることになりますので、一戸建ての場合、土地と建物合わせて「2,000円」になります。

注意しなければならない場合が敷地をまたいで建設されているマンションの場合です。マンションが敷地をまたいでいる場合、建物1つに土地2件としてカウントされることになり、結果「3,000円」となります。なお、敷地権が何個あるかは売買契約書の「敷地権の表示」にて確認することができます。

(2)司法書士に依頼した場合は司法書士に支払う報酬

抵当権抹消登記の手続きは、売主ご自身で対応できます。

しかし、申請書の作成や法務局への提出など不慣れな作業で手間がかかることが往々にしてあります。やり方が分からない方や時間に余裕がない方は、専門家である司法書士に依頼した方がいいでしょう。

司法書士の報酬相場は1万円前後です。

4.(売却益が出た場合)不動産の譲渡所得の税金

(1)そもそも譲渡所得の税金とは何か?

譲渡所得の税金とは、不動産の売却により生じた所得に対してかかる所得税・住民税のことを言います。

所得税については、不動産を売却した年の翌年の2月16日~315までに確定申告をし、期限までに納付しなければなりません。住民税は、売却した年の翌年6月以降、お住まいの自治体から送付される納付書に従って納付することになります。

(2)支払わなければならない税金なの?

不動産を購入した時より高く売却ができた場合、その売却益(基本的には売った金額から、買った金額と諸経費を差し引いた利益)に対して税金が発生します。先述の通り、所得税も住民税も納期限までに納付しなくてはなりません。納付しない場合には、延滞税や無申告加算税などのペナルティも併せて納めることになります。

(3)譲渡所得の税金の計算方法

譲渡所得税は、以下の計算式にて算出します。

「譲渡所得の税金=譲渡所得①☓税率②」

では、それぞれの項目についてみていきましょう。

①譲渡所得

譲渡所得は、以下の計算式にて算出することができます。

譲渡所得=売却価格(購入価格+購入時にかかった諸経費+売却時にかかった諸経費)

つまり、譲渡所得は、ただ単純に売却価格から購入価格のみ差し引いて計算するではなく、購入時や売却時の諸経費も含め差し引いた金額になります。

購入時にかかった諸経費

不動産購入時は、主に以下のような諸経費が挙げられます。

  • 仲介手数料
  • 売買契約書に貼付する印紙
  • 登録免許税
  • 登記手数料
  • 不動産取得税

なお、不動産を売却する際、不動産を購入したのがかなり昔であるため、「購入代金及び取得するためにかかった費用」が分からなくなってしまった場合もあるかと思われます。

その場合の購入代金については、

  • 売却価格5%

として計算することができます。

売却時にかかった諸経費

一方不動産を売却する際に以下のような諸経費が挙げられます。

  • 仲介手数料
  • 売買契約書に貼付する印紙
  • 売却に伴う広告費

などです。

不動産の購入時及び売却時にかかる諸経費については、詳しく「不動産投資で失敗しないために知っておくべき14個のリスクまとめ」を参考にしてみてください。

譲渡所得に課される所得税・住民税税率

譲渡所得に課される税金税率は、不動産の所有期間によって異なります。

判断基準としては、不動産を売却した年の1月1日現在で、その不動産の所有期間が「5年」を超えているかどうかです。

5年を超えている場合「長期譲渡所得」といい、超えていない場合「短期譲渡所得」と言い、税率は下記の表になっています。

短期譲渡所得の税率は、長期譲渡所得のほぼ倍になることが分かります。

区分 所得税 住民税
長期譲渡所得 15% 5%
短期譲渡所得 30% 9%

※所得税に対しては長期譲渡所得0.315%、短期譲渡所得0.63%の復興特別所得税が別途かかります。

(4)売却損が発生した場合は?

不動産を売却することによって損をしてしまう方もいらっしゃるでしょう。

売却で損失した場合、確定申告する必要はありません。ただ、一定の要件を満たせば、特例を利用して損益通算することができ、結果として節税になるケースがあります。

売却で損をした時に利用できる特例は下記の2つがあります。

  • 居住用不動産に買い替え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

なお、特例の利用条件や計算方法などについて詳しくは「不動産売却したら確定申告が必要?確定申告で損しないために知っておきたい9つのこと」を参考してみてください。

5、節税対策をする方法は?

不動産の売却には、先述のように3つの税金がかかる可能性があります。しかし、一定の条件に当てはまった場合には、税金の控除が受けられるケースがあり、大きく節税をすることも可能です。

不動産売却で節税する方法は主に4つで、それぞれについて説明していきます。

(1)マイホームの場合の3,000万円の特別控除の特例

物件を売却して利益が出た場合には譲渡所得に該当し、所得税が課されます。

しかし、同様のケースでもマイホーム(居住用財産)を売却した場合では、「譲渡所得から最高3,000万円の控除ができる特例」が適用されるケースがあります。

つまり、売却で得た利益が3,000万円未満であれば、譲渡所得による所得税や住民税の課税を免れる特例です。

特例の適用を受ける要件には、「家屋とともに敷地や借地権も同時に売却する」「売り手と買い手が親子や夫婦など、特別な関係ではない」といったものがあります。

詳しい要件は国税庁のホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)で確認できるので、マイホームを売却する場合には、事前に確認しておくとよいでしょう。

なお、現在は住んでいなくても、「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る」という要件を満たしていれば、特例の対象になるケースもあります。

(2)所有期間が10年以上の場合の軽減税率の特例

売却したマイホームの所有期間が10年以上だった場合、軽減税率の特例を受けることも可能です。

不動産売却における譲渡所得は、先述したように長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれていました。

この場合、税率の低い長期譲渡所得であっても所得税率は15%となっていましたが、この特例を適用することで、「6,000万円以下の譲渡所得に対しては10%の税率が適用」されます。つまり、5%程度の譲渡所得の節税につながる特例です。

この特例の適用要件には、「マイホームの場合の3,000万円の特別控除の特例」と重複している部分が多く、両方の適用を受けることも可能である点は覚えておくとよいでしょう。

なお、譲渡所得の総額が6,000万円を超えている場合であっても、「6,000万円までの譲渡所得に対しては10%の税率が適用」される点が特徴です。この場合、6,000万円を超えた部分に対してのみ、通常の長期譲渡所得税率(15%)が課されます。

(3)買い替えの特例

特定の要件を満たした居住用財産を令和元年12月31日までに売却した場合、「買い替えの特例」の対象になることがあります。

譲渡所得は、1回の売買で得られた利益をもとに税額を計算するのが一般的です。しかし、この特例の適用を受けると、「新たに得た居住用財産を売却するときまで譲渡所得の計算を繰り延べることが可能」になります。

たとえば、3,000万円で購入したマイホームを5,000万円で売却した場合、通常は2,000万円を譲渡所得として計算しなければいけません。

しかし、この特例を適用すると、5,000万円で購入したマイホームを売却するときの譲渡損益も含めて計算することができます。

仮に5,000万円で購入したマイホームを売却したときに1,000万円の売却益があれば、前回の2,000万円と合わせて3,000万円の譲渡所得として計算するということです。

買換えの特例は所得の控除や軽減税率のように、直接的な節税に役立つものではありません。あくまでも、納税を先延ばしにする制度であるという点を踏まえて活用を検討するとよいでしょう。

(4)印紙税を節約する方法

印紙税は契約書や領収書を作成するときに納めなくてはいけない税金ですが、製本した原本に対して課税されるのが特徴です。

売買契約においては、一般的に契約書を売主と買主の双方で原本を作成し、それぞれに収入印紙の添付が必要になります。とはいうものの、売主は不動産を売却した側ですので、後日トラブルさえ発生しなければ必ずしも原本を所有しておく必要性はありません。

そこで、「コピーした契約書を保管する」「電子データで契約書を送付してもらう」といった方法を利用すれば、収入印紙を添付しなくてもすむケースがあります。

注意点としては、「相手方が原本を紛失してしまった場合、正規の契約書が存在しなくなってしまう」「契約書の文言に、一方が写しを所持する旨を記載する必要がある」点が挙げられます。

また、売却にあたってトラブルが発生した場合に、コピーを所持しているとその文書の信頼性が疑われる可能性も考慮しなければいけません。印紙税は軽減税率を適用すればそれほど高額な税金ではないので、心配な人はあえて節約しないという選択肢もあります。

6.特別控除を利用した場合のシミュレーション

では、以下の条件で実際に住宅用のマンションを売却して売却益が出て、特別控除を利用した場合のシミュレーションをみてみましょう。

(1)不動産を売却した条件

  • マンションの購入価格:6,000万円
  • マンションの売却価格:7,000万円
  • 所有期間:6年間
  • マンション売却時の諸経費:350万円
  • マンション購入時の諸経費:350万円(売却価格5%)

(2)計算方法

譲渡所得

7,000万円6,000万円+350万円+350万円)−3,000万円

−2,700万円<0円              ∴譲渡所得額 0

3,000万円の特別控除の特例を利用することによって、譲渡所得がマイナスになりましたので、譲渡所得税は「ゼロ円」になります。

7.不動産を売却する時にかかる諸経費

不動産を売却する際、売却に必要な費用として、次のようなものが発生します。

  • 不動産仲介会社に支払う「仲介手数料」
  • (融資を受けていた場合)金融機関に支払う「一括繰り上げ返済手数料」

計算方法や節約する方法について詳しくは「事前に知っておきたい!不動産売却時にかかる3つの諸費用」を参考にしてみてください。

8.不動産売却時の税金に関する注意点4つ

不動産売却時の税金について、最後に注意しておきたいこと、知っておきたいことを3つの項目にまとめました。

(1)譲渡所得への課税は分離課税であること

所得税・住民税には、総合課税と分離課税という分類があります。給料や事業による所得、不動産の賃料収入などは総合課税に属します。また、投資の利子や株の配当なども選択によっては総合課税になることがあります。

総合課税という同じカテゴリーに属していることからある事業や経済活動で赤字が出ている場合、その他の所得と通算することによってトータルの所得額を減らすことができます。

これを損益通算といい、所得税・住民税の節税策としてよく知られています。

しかし、不動産の売却益にはこの損益通算による節税策は使えません。不動産売却によって発生した譲渡益に対する税金、いわゆる譲渡所得税は総合課税ではなく分離課税だからです。

(2)サラリーマンなど給与所得だと確定申告を忘れがち

サラリーマンやOL、バイト・パート、派遣社員など給与所得者の方々は注意が必要です。

なぜかというと、基本的に給与所得者は確定申告の必要がないからです。

通常の税務処理は会社による所得税等の源泉徴収と年末調整で完結しますが、これはあくまでも給与所得のみです。毎年1月1日~12月31日までの間に給与所得と退職所得以外の所得で20万円を超えた場合は、自分で所得税の確定申告を行わなくてはなりません。

譲渡益が発生した年の翌年315日が所得税の確定申告の申告及び納税の期限です。うっかり忘れると後日税務署から指摘され、別途延滞税や無申告加算税を納付することになりますのでうっかり忘れないよう、注意しましょう。

(3)平成21年、22年に取得した土地ではありませんか?

売却する不動産が「平成21年または22年に取得した土地」ではないでしょうか?

かなりピンポイントなので該当する方がそれほど多いわけではないと思いますが、この条件に合致する土地を売却して譲渡益が発生した場合は、最大で1,000万円までの特別控除があります。

この当時はリーマンショックなど構造的不況が続いており、国として不動産市場を活性化するために設けた特例制度です。

購入時よりも1,000万円土地が高く売れたとしても特別控除によって無税になる可能性があります。ぜひ一度チェックしてみてください。

【参考】平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除(国税庁)

(4)消費税の増税が与える影響

5%から8%、そして次は10%といったように消費税の段階的な増税が続いています。消費税の増税が不動産売却にどのような影響を与えるか、ここで確認しておきたいと思います。

まず、大前提として消費税は主に「営利目的で行っている取引」について課税されます。つまり、個人間で行われる不動産取引については、基本的に消費税の課税対象外であり、売却金額における増税の影響は受けません。

また、土地取引についても個人・法人を問わず原則非課税なので、増税の影響はないと考えて大丈夫です。

ただし、個人の建物を売却するケースで、継続的かつ反復的に売却している場合には「営利目的である」とみなされて、売却金額が消費税の課税対象になるケースもあるので注意しましょう。

上記のことから、個人がマイホームを売却する場合で増税の影響があるのは、主に不動産会社へ依頼する仲介手数料だといえます。不動産仲介手数料は法律で上限が決まっており、契約が成立した売却金額に応じて上限額が変動する点が特徴です。

たとえば、取引額が400万円を超える場合では、「売却価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額となります。

仮に1,000万円で売却が成立した場合は、「1,000万円×3%+6万円=36万円」に消費税である3万6,000円が加算された39万6,000円が上限です。

2019年10月から実施された増税による影響は2%ですが、売却金額が高くなるほど仲介手数料の上限も高くなり、影響が大きくなる可能性も考えられるので気をつけましょう。

なお、売却における仲介手数料は売却時の経費算入が可能です。忘れずに経費として計上することで増税による影響を少しは和らげることができます。

9.まとめ

今回は不動産売却時にかかる税金について書きました。いかがでしたでしょうか。

不動産取引にかかわる税金の納付は避けられません。ただ、特例の活用や工夫次第で税金を低く抑えることはできます。節税を検討する際は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

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