• 不動産売却
  • 2019/9/3

【税理士監修】不動産売却でかかる「3つの税金」と節税方法

不動産を売却する時にも税金がかかるのはみなさんご存知でしょうか?

「不動産を購入する際に税金を支払ったはずなのに売却する時も税金がかかるの?」なんて思われている方も少なくないのではないでしょうか。購入する時の税金とは内容が異なりますが、売却する時にも課税されます。

ただ、要件を満たせば、特例を利用するなどにより、税金を低くおさえることもできます。

そこで今回は、

  • 不動産売却時にかかる税金の種類
  • 税金を安くおさえる方法
  • 売却の税金に関する注意点

などについてご説明しますので、不動産の売却を検討されている方のご参考になれば幸いです。(監修:税理士・鈴木まゆ子)

1.不動産売却時にかかる税金

不動産を売却する時にかかる税金の種類には、大きく以下のようなものがあります。

  • 売買契約書に貼付する印紙税
  • (抵当権設定された場合)抵当権抹消登記の登録免許税
  •  (売却益が出た場合)不動産の譲渡所得に課される所得税・住民税

では、順番に詳しくみていきましょう。

2.売買契約書に貼付する印紙税

不動産を売却する時に、売買契約書の記載金額に応じて印紙税が課せられます。

(1)印紙税額とは

印紙税額は、売買契約書に記載された金額によって変わります。不動産の売買価格が高ければ高いほど、印紙税額も高くなります。

なお、平成26年4月1日から平成30年3月31日までの間に作成された不動産売買契約書の場合、軽減措置の対象となり、印紙税額は下記の表のように軽減されます。

売買金額の変更により作成される変更契約書や補充契約書なども軽減措置の対象となります。

1

出典:国税庁

節税できる?

節税できます。

(2)節税する方法は?

一般的には、買主と売主は1通ずつ売買契約書を所有し、それぞれの売買契約書の印紙を貼らなくてはなりません。つまり、2通分の印紙税を負担することになります。

しかし、売主の場合、売買契約書を原本で所有する必要がないため、売買契約書をコピーにすることによって、本来負担すべき印紙税を節約することができます。ただしこの場合、契約書の文言に、一方が原本を持ち、もう一方が写しを所持する旨を記載しなくてはなりません。

3.(抵当権設定された場合)抵当権抹消登記の免許税

不動産購入する際、購入資金を銀行などの金融機関から融資を受けることがあります。この融資に関し、万が一返済ができなくなった時に備えて通常はその対象不動産に抵当権が設定されます。

抵当権付き不動産を売買すること自体は可能ですが、所有者にとっては、ある日突然抵当権が実行された場合に不動産の所有権を失うリスクを抱えることになります。

そのため不動産売買においては、抵当権付き不動産は購入対象としてあまり歓迎されません。

したがって不動産を売却する場合には、買主が抵当権のない物件を取得できるようその抵当権の登記を抹消する手続きが必要となります。

(1)抵当権抹消登記の登録免許税の額

抵当権抹消登記をするには、「登録免許税」という税金を納めなければなりません。

登録免許税は、不動産1個につき1,000円かかります。

土地と建物をそれぞれについてカウントすることになりますので、一戸建ての場合、土地と建物合わせて「2,000円」になります。

注意しなければならない場合が敷地をまたいで建設されているマンションの場合です。マンションが敷地をまたいでいる場合、建物1つに土地2件としてカウントされることになり、結果「3,000円」となります。なお、敷地権が何個あるかは売買契約書の「敷地権の表示」にて確認することができます。

(2)司法書士に依頼した場合は司法書士に支払う報酬

抵当権抹消登記の手続きは、売主ご自身で対応できます。

しかし、申請書の作成や法務局への提出など不慣れな作業で手間がかかることが往々にしてあります。やり方が分からない方や時間に余裕がない方は、専門家である司法書士に依頼した方がいいでしょう。

司法書士の報酬相場は1万円前後です。

4.(売却益が出た場合)不動産の譲渡所得の税金

(1)そもそも譲渡所得の税金とは何か?

譲渡所得の税金とは、不動産の売却により生じた所得に対してかかる所得税・住民税のことを言います。

所得税については、不動産を売却した年の翌年315日までに確定申告をし・同日までに納付しなければなりません。住民税は、売却した年の翌年6月以降、お住まいの自治体から送付される納付書に従って納付することになります。

(2)支払わなければならない税金なの?

不動産を購入した時より高く売却ができた場合、その売却益(基本的には売った金額から、買った金額と諸経費を差し引いた利益)に対して税金が発生します。先述の通り、所得税も住民税も納期限までに納付しなくてはなりません。納付しない場合には、延滞税や無申告加算税などのペナルティも併せて納めることになります。

(3)譲渡所得の税金の計算方法

譲渡所得税は、以下の計算式にて算出します。

「譲渡所得の税金=譲渡所得①☓税率②」

では、それぞれの項目についてみていきましょう。

①譲渡所得

譲渡所得は、以下の計算式にて算出することができます。

譲渡所得=売却価格(購入価格+購入時にかかった諸経費+売却時にかかった諸経費)

つまり、譲渡所得は、ただ単純に売却価格から購入価格のみ差し引いて計算するではなく、購入時や売却時の諸経費も含め差し引いた金額になります。

購入時にかかった諸経費

不動産購入時は、主に以下のような諸経費が挙げられます。

  • 仲介手数料
  • 売買契約書に貼付する印紙
  • 登録免許税
  • 登記手数料
  • 不動産取得税

なお、不動産を売却する際、不動産を購入したのがかなり昔であるため、「購入代金及び取得するためにかかった費用」が分からなくなってしまった場合もあるかと思われます。

その場合の購入代金については、

  • 売却価格5%

として計算することができます。

売却時にかかった諸経費

一方不動産を売却する際に以下のような諸経費が挙げられます。

  • 仲介手数料
  • 売買契約書に貼付する印紙
  • 売却に伴う広告費

などです。

不動産の購入時及び売却時にかかる諸経費については、詳しく「不動産投資で失敗しないために知っておくべき14個のリスクまとめ」を参考にしてみてください。

譲渡所得に課される所得税・住民税税率

譲渡所得に課される税金税率は、不動産の所有期間によって異なります。

判断基準としては、不動産を売却した年の1月1日現在で、その不動産の所有期間が「5年」を超えているかどうかです。

5年を超えている場合「長期譲渡所得」といい、超えていない場合「短期譲渡所得」と言い、税率は下記の表になっています。

短期譲渡所得の税率は、長期譲渡所得のほぼ倍になることが分かります。

区分 所得税 住民税
長期譲渡所得 15% 5%
短期譲渡所得 30% 9%

※復興特別所得税を加味しています。

節税できる税金なの?

この税金は「譲渡する物件が居住用である」など一定の要件を満たせば節税できます。

(4)節税する方法は?

譲渡所得の税金を節税する方法としては、購入時と売却時の諸経費を漏れなくきちんと適切に計上することで、譲渡所得の金額を低くすることができます。

また、マイホームの場合、一定の要件を満たせば下記のような特例を利用して節税することができます。

マイホームの場合の3,000万円の特別控除の特例

マイホームを売却した場合、一定の条件を満たせば物件の所有期間に関係なく、譲渡所得の金額から「最高3,000万円の特別控除の特例」を受けることができます。

つまり、譲渡所得が3,000万円より低い場合、この特例を利用することによって譲渡所得の税金は支払わなくて済むのです。

所有期間が10年以上の場合の軽減税率の特例

マイホーム、つまり居住用不動産の所有期間が「10年以上」の場合のみ利用できる特例です。上記の税率よりも更に低い税率を適用することができます。3,000万円の特別控除の特例と併用することもできます。

買い替えの特例

居住用不動産を売却して、その代わりに新たな居住用の不動産を購入した場合買い替え特例を利用し、売却益に課される税金を将来に繰り延べることができます。

なお、利用できる条件や詳しい計算方法などについて詳しくは「譲渡所得税とは?不動産売却後の譲渡所得税を安くおさえるために知っておきたい5つのこと」を参考にしてみてください。

(5)売却損が発生した場合は?

不動産を売却することによって損をしてしまう方もいらっしゃるでしょう。

売却で損失した場合、確定申告する必要はありません。ただ、一定の要件を満たせば、特例を利用して損益通算することができ、結果として節税になるケースがあります。

売却で損をした時に利用できる特例は下記の2つがあります。

  • 居住用不動産に買い替え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

なお、特例の利用条件や計算方法などについて詳しくは「不動産売却したら確定申告が必要?確定申告で損しないために知っておきたい9つのこと」を参考してみてください。

5.特別控除を利用した場合のシミュレーション

では、以下の条件で実際に住宅用のマンションを売却して売却益が出て、特別控除を利用した場合のシミュレーションをみてみましょう。

(1)不動産を売却した条件

  • マンションの購入価格:6,000万円
  • マンションの売却価格:7,000万円
  • 所有期間:6年間
  • マンション売却時の諸経費:350万円
  • マンション購入時の諸経費:350万円(売却価格5%)

(2)計算方法

譲渡所得

7,000万円6,000万円+350万円+350万円)−3,000万円

−2,700万円<0円              ∴譲渡所得額 0

3,000万円の特別控除の特例を利用することによって、譲渡所得がマイナスになりましたので、譲渡所得税は「ゼロ円」になります。

6.不動産を売却する時にかかる諸経費

不動産を売却する際、売却に必要な費用として、次のようなものが発生します。

  • 不動産仲介会社に支払う「仲介手数料」
  • (融資を受けていた場合)金融機関に支払う「一括繰り上げ返済手数料」

計算方法や節約する方法について詳しくは「事前に知っておきたい!不動産売却時にかかる3つの諸費用」を参考にしてみてください。

7.不動産売却時の税金に関する注意点3

不動産売却時の税金について、最後に注意しておきたいこと、知っておきたいことを3つの項目にまとめました。

(1)譲渡所得への課税は分離課税であること

所得税・住民税には、総合課税と分離課税という分類があります。給料や事業による所得、不動産の賃料収入などは総合課税に属します。また、投資の利子や株の配当なども選択によっては総合課税になることがあります。

総合課税という同じカテゴリーに属していることからある事業や経済活動で赤字が出ている場合、その他の所得と通算することによってトータルの所得額を減らすことができます。

これを損益通算といい、所得税・住民税の節税策としてよく知られています。

しかし、不動産の売却益にはこの損益通算による節税策は使えません。不動産売却によって発生した譲渡益に対する税金、いわゆる譲渡所得税は総合課税ではなく分離課税だからです。

(2)サラリーマンなど給与所得だと確定申告を忘れがち

サラリーマンやOL、バイト・パート、派遣社員など給与所得者の方々は注意が必要です。

なぜかというと、基本的に給与所得者は確定申告の必要がないからです。

通常の税務処理は会社による所得税等の源泉徴収と年末調整で完結しますが、これはあくまでも給与所得のみです。他の所得が発生した場合は、自分で所得税の確定申告を行わなくてはなりません。

譲渡益が発生した年の翌年315日が所得税の確定申告の申告及び納税の期限です。うっかり忘れると後日税務署から指摘され、別途延滞税や無申告加算税を納付することになりますのでうっかり忘れないよう、注意しましょう。

3)平成21年、22年に取得した土地ではありませんか?

売却する不動産が「平成21年または22年に取得した土地」ではないでしょうか?

かなりピンポイントなので該当する方がそれほど多いわけではないと思いますが、この条件に合致する土地を売却して譲渡益が発生した場合は、最大で1,000万円までの特別控除があります。

この当時はリーマンショックなど構造的不況が続いており、国として不動産市場を活性化するために設けた特例制度です。

購入時よりも1,000万円土地が高く売れたとしても特別控除によって無税になる可能性があります。ぜひ一度チェックしてみてください。

【参考】平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除(国税庁)

(3)消費税の増税が与える影響

5%から8%、そして次は10%といったように消費税の段階的な増税が続いています。消費税の増税が不動産売却にどのような影響を与えるか、ここで確認しておきたいと思います。

まず、消費税の増税が関係してくるのは主に法人との不動産取引です。

個人間で不動産取引をした場合、不動産売買を継続かつ反復的に事業として行っているのでなければ、消費税は課されません。

関わりが出てくるのは、売主が法人である場合です。土地取引は非課税ですが、建物の売買は原則として消費税の課税対象であるため、増税の影響を受けることとなります。

ただし旧宅の売却で不動産会社の仲介を利用すると仲介手数料が発生し、この仲介手数料には消費税が課税されるため、増税されるとその分消費税が高くなります。

個人が事業として不動産売買を行っている場合、要件を満たせば消費税の申告・納付の義務が発生します。

また消費税の増税は、不動産売却の総費用に一定の影響を与えますので、たった2%の違いですが元々の不動産の売買は高額なため手元に現金がいくらあるかなどを気にしておいた方がよいでしょう。

8.まとめ

今回は不動産売却時にかかる税金について書きました。いかがでしたでしょうか。

不動産取引にかかわる税金の納付は避けられません。ただ、特例の活用や工夫次第で税金を低く抑えることはできます。節税を検討する際は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

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