「再建築不可物件という格安の不動産物件があるって聞いたんだけど詳しく知りたい……」
もしくは、すでに再建築不可物件をお持ちで、
「何とか活用する方法はないか」「はたまた売却できないか」とお悩みの方もおられると思います。
- 再建築不可物件とは、どういう物件のことなのか?
- なぜ再建築不可なのか?
- 再建築不可物件は不動産として使い物にならない?
- 不動産投資の対象としては不向き?
といったように、まず「再建築不可物件とはどういう物件のことなのか」というところから疑問が始まるという方も少なくないのではないでしょうか?
今回は、
- 再建築不可物件についての基本から購入するメリットとデメリット
- さ格安物件として購入した場合の活用方法
- すでに再建築不可物件をお持ちの方のための売却ノウハウ
を毎月不動産に興味ある方が数万人訪問する『不動産投資の教科書』が伝授していきたいと思います。
収益物件の選び方について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
不動産投資のバイブル
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- 今は不動産投資の始めどきなのか?
- 安定収益を得るための不動産投資物件の選び方
- 不動産投資の失敗例から学ぼう
目次
1、再建築不可物件なら激安物件がお宝物件になる?
売りに出されている不動産情報の中に、「再建築不可」という文言を見たことがある方は多いと思います。
これっていったい何?と思った方にまず知っていただきたい前提となるお話から始めたいと思います。
(1)格安、激安物件で時折見かける「再建築不可物件」
売りに出されている不動産の中に時折見かける、「再建築不可」の文言。
不動産情報にこのような表示があるということは、それを伝えずに売ってはならないというルールがあるからです。
しかも、この「再建築不可」という文言がある物件は総じて価格が安く、中には激安物件と呼べるようなものもあります。
そういった安い物件でよく見かけるだけに、気になる方は多いと思います。
この「再建築不可」という表示がある物件が、この記事のテーマである再建築不可物件です。
そういった物件のほとんどは、土地付きの戸建て住宅物件です。
すでに戸建て住宅が建っているものの、それを取り壊して新たに次の住宅を建てることができないという制約がつけられているのが、再建築不可物件です。
(2)訳アリ物件は安いという常識
不動産業界には、「不動産に掘り出し物なし」という格言があります。
厳然とした価格相場があるので、その相場を大きく逸脱するような物件には何らかの理由があるというわけです。
再建築不可物件も、そんな訳アリ物件の一種です。
先ほどの解説にもあったように、今建っている家が古くなったとしても次の家を新築できないのですから、かなりの「訳アリ」です。
しかし、このように安さの理由が明らかになっているため、買ってから問題に気づくというわけではなく、健全な訳アリ物件だと言えます。
(3)再建築不可物件を安く買ってお宝物件に変身させられる可能性
再建築不可という理由で安く売られている物件は、言うまでもなく仕入れ価格を安く抑えることができます。
そうして安い費用で仕入れた物件なので、何らかの知恵や工夫でお宝物件に変身させられるのではないかという可能性を感じている方は多いのではないでしょうか。
普通に物件を購入して不動産投資をしてもなかなか儲からないとお感じの方ほど、このような訳アリ物件に興味を持たれるのではないかと思います。
2、再建築不可物件の基本を理解しよう
何となく訳アリだから安いというイメージの再建築不可物件について、どういう不動産物件なのかという基本を解説します。
(1)再建築不可物件とは?
再建築不可物件とは、その時点では家など建物が入っているものの、その建物を取り壊して再度建築することができない土地のことです。再度建築ができないことの根拠は、法規制です。
法規制の内容についての詳細は後述しますが、土壌汚染や土地が著しく凸凹になっているといったような事情で再建築不可になっているというわけではなく、法律で再建築が許されていない土地のことであるという点を押さえておいてください。
(2)なぜ、再建築不可の土地があるのか
土地そのものに物理的な問題があるわけではないのは、再建築不可であってもすでに建物が建っていることからもお分かりかと思います。
その建物が建てられた時には現在のような法規制がなく、後から建築基準法が改正されたことによって一定の要件に該当する土地が再建築不可となったのです。
すでに建っているものまで取り壊せというわけにはいかないので、それは既得権として認められています。
しかし、再建築不可となった土地だとその建物が老朽化や災害のダメージなどで使用不能になったとしても、そこに建物を新築することはできません。
(3)再建築不可になる土地の要件
それでは、どんな土地が再建築不可になるのでしょうか。
以下の3つが、再建築不可になる主な要件です。
①前面道路が建築基準法上の道路として認められていない
その土地が面している道路が、建築基準法で定めている道路の要件を満たしておらず、法的には「道路に面していない土地」となっている場合は、再建築不可となります。
ちなみに建築基準法で定めている道路であるには、幅員が4メートル以上ある必要があります。
つまり、前面道路が狭い場合はこれに該当する可能性が高くなります。
②接道が2メートル以下
2つ目は、接道といって土地が道路にどれだけ面しているかという規定です。
接道が2メートル以下だと、これも再建築不可になります。奥行きが広くても接道が狭く、間口が著しく狭いような土地が該当します。
③袋地
他人の土地に囲まれていて道路に全く面していない土地のことを、袋地と言います。
接道が2メートル以下だと再建築不可になるのですから、当然ながら接道が全くない袋地も再建築不可となります。
この3つの要件を図にすると、以下のようになります。
https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/homes-cont/uploads/cont/37104/img/img02-1-640×500.jpg
(4)再建築不可の規制から除外されるケース
前項に該当する土地はすべて再建築不可となるのかというと、その規制から除外されるケースもあります。
主に以下の2つが再建築不可の規制から除外されるケースです。
①但し書き道路
再建築不可物件となっている土地の建物の周囲に公園や広場など広いスペースがある場合は、災害時に緊急車両が通行できる可能性があるため、接道義務が緩和されます。
この場合は4メートル以上の幅員がなくても、また接道が2メートル以下であっても緊急避難に支障がでないと認められれば再建築が可能になります。
このような道路は建築基準法の但し書きで規定されているため、通称「但し書き道路」と呼ばれています。
②セットバック
その土地が接している道路の中心から2メートル下がったところより奥であれば建物を建てても良いという建築基準法の規定があります。
道路の中心から2メートル下がったところまで建物を建てないということは、それで前面道路の幅員4メートルということに見なすというもので、このように建物を建てる位置を下げることをセットバックと言います。
セットバックをすることによって道路と見なすことを、「みなし道路」と言います。この要件を満たせば条件つきではあるものの、再建築が可能になります。
(5)不動産投資家にとっての再建築不可物件
再建築不可になる要件と、その規制から除外される要件を知っていただいた上で、不動産投資家にとって気になるのは「投資家にとって再建築不可物件はアリなのか」という点だと思います。
確かに再建築不可物件を安く仕入れて付加価値をつければ高いキャッシュフローを稼ぐことができるわけですが、実際のところはどうなのでしょうか。
次章からメリットとデメリットを順に解説して、投資家にとって大きな関心事である「お宝物件に変身させる方法」について解説していきます。
3、不動産投資家にとって再建築不可物件はアリ?6つのメリット
不動産投資家にとって再建築不可物件には、どんなメリットがあるのでしょうか。6つの項目にメリットをまとめました。
(1)何といっても物件価格が安い
再建築不可という大きな制約があるため、物件価格はかなり安くなります。
一般的な目安として、同じ広さや立地条件で再建築が可能な土地と比べて実勢価格が半分程度になります。
老後の住まいを考えている人、一時的な転勤などで仮住まい程度の家でいいという人であれば住む期間がある程度限られているため、安い再建築不可物件を検討するのもアリだと思います。
(2)不動産投資で高いキャッシュフローが期待できる
物件価格が安いということは、不動産投資での利回りは高くなり、キャッシュフローもその分多くなります。
再建築不可なので出口戦略に不透明感はありますが、少なくともその建物が十分使用できるうちは健全な不動産経営が可能になります。
(3)税金が安い
再建築不可物件は実勢価格だけでなく、税金上の評価もその分低くなります。
固定資産税評価が低くなるため、固定資産税だけでなくそこから算出される相続税での評価も低くなるため、総じて税金が安くなります。
(4)購入すれば相続税対策になる
固定資産税評価が低いということは、現金で資産を持っている人が再建築不可物件を購入すれば大幅な評価減が期待できます。
つまり、その評価減の分だけ節税が可能になるということです。
(5)周辺も再建築不可の場合、景観や環境が保持される
当該の土地が再建築不可になっている場合、周辺の土地も同条件になっていて同じく再建築不可になっていることがよくあります。
この状態が今後も続くのであれば、隣地にマンションなど大きな建物が建つ可能性が低く、景観が保持されます。
(6)古い建物の風合いを好む人に最適
周辺も含めて一帯が再建築不可になっている場合、新築ができないので古い建物が並ぶ風景がそのまま続くことになります。
古い建物、古い町並みなどの風合いを好む人にとっては、とても魅力的な住環境になるでしょう。
4、不動産投資家にとって再建築不可物件はアリ?3つのデメリット
6つあったメリットの一方で、再建築不可物件のデメリットも見てみましょう。主なデメリットは、3つです。
(1)いかなる理由であっても再建築ができない
前面道路の幅員や接道などの環境が変わらない限り、再建築不可物件はいつまでも再建築不可のままです。
建物が老朽化しても新築はできませんし、災害などで甚大なダメージを受けてもそれは同じです。
いかなる理由があっても再建築ができないのは、大きな制約です。
(2)融資がつきにくい
再建築不可だと担保評価も低くなるため、金融機関の融資はほぼ期待できないと考えておいたほうが良いでしょう。
自己居住用に購入する際に住宅ローンを利用したいと思っても、同様の理由で難しくなります。
そのため安いとは言え、再建築不可物件を購入するには多額のキャッシュが必要になる可能性があります。
(3)融資がつきにくいため売却しにくい
融資がつきにくいということは、次に購入したいと思っている人がいたとしてもハードルが高くなるということでもあります。
そのため売却が困難になりがちなのは、再建築不可物件のデメリットと言えます。
5、再建築不可物件をお宝物件にする方法
メリットとデメリットを踏まえて、「再建築不可物件をお宝物件に変身させる」という目的を達成する方法を考察してみたいと思います。
(1)再建築不可だからといって住めないわけではない
再建築不可という響きからは土地そのものが使用不可という印象を持つ人がいるのですが、再建築不可物件であってもそこに建物があって人が住んでいることは全くもって珍しくありません。
単に前面道路が狭かったり、接道が短いなどの理由で災害時の緊急対応が難しいために再建築不可になっているだけです。
その物件に住めないわけではなく、建物がまだまだ使えるということであれば、その先数十年間にわたって住み続けることも十分現実味があります。
自分で住むために再建築不可物件を購入する人も少なくないので、呼称のニュアンスから荒廃した物件を連想する必要はなく、有効利用する道はたくさんあります。
(2)リノベーションによって付加価値を高める
真っ先に考えられる再生方法は、リノベーションです。建物の躯体・構造部分を取り壊してしまうと新築になってしまいますが、こうした構造部分を残しておけば全面的なリノベーションをしても法的に問題はありません。
リノベーションによって魅力的な家に再生すれば、不動産物件として新たな価値を吹き込むことができます。
(3)周辺の土地を購入して接道要件を満たす
近隣の土地も同じく再建築不可のままだと新築ができないため、売却を考えている所有者もいると思います。
特に隣地の所有者など接道要件に関わりの深い土地を売りたいという意向があるのであれば、それを購入すれば接道要件を満たすことができます。
土地の購入というコストを伴いますが、それによって再建築が可能になれば土地の価値も大化けするので、十分メリットがあると思います。
(4)43条但し書き許可を取得する
すでに解説した「但し書き道路」として認めるかどうかは、その土地を管轄する自治体の判断です。
周辺に広いスペースがあるような土地であれば、自治体に相談をした但し書き道路として認められないかどうかを相談してみる価値はあると思います。
これによって但し書き道路と認められれば(43条但し書き許可と呼ばれています)、晴れて再建築不可物件が再建築可能物件になります。
(5)駐車場にする
建物を新築できない土地であっても、駐車場など建物を必要としない活用法があります。周辺に住宅が建て込んでいて駐車場需要が高いような条件が整っているのであれば、駐車場経営に活路を見出せるかも知れません。
6、再建築不可物件を売却する際に知っておくべきポイント3つ
すでに再建築不可物件をお持ちの方で、売却をお考えの方に役立つ情報として、押さえておきたい3つのポイントを解説します。
(1)再建築不可物件は売却できないって本当?
新築ができないということで訳アリ物件となっている再建築不可物件だけに、売却も極めて難しいと考えている方は多いと思います。実際のところどうなのかというと、必ずしも売却が困難であるということはありません。
そのことは当記事のメリット部分をお読みいただいてイメージできたのではないかと思います。再建築不可物件にはそれなりの需要があり、買いたいと思っているひとは少なからずいるのです。
(2)まずは隣家に売却を持ちかけてみる
再建築不可物件を売却したいと思ったら、真っ先に有望な買主となるのは隣地や周辺の土地を所有している人です。理由は先ほどの解説の逆です。隣地を購入して再建築不可の規制を外したいと考えている人にとって、その鍵を握る土地の売却話はとても魅力的であるはずです。
その土地を最も欲しい人、買うことで最も利益が得られる人という意味では、まず隣家に売却を持ちかけてみるのが常道です。
(3)不動産会社に買取を依頼する
融資がつきにくいことなど、仲介で一般の人に再建築不可物件を売却するのは難しいかも知れません。その場合は不動産会社による買取を利用するのが最も確実です。
しかし、不動産会社の買取だと売却価格が低くなってしまうのは避けられないので、少しでも有利に売却を進めるために複数の業者を天秤にかけて有利な条件を引き出すという立ち回りをオススメします。
ネット上には不動産買取を専門的に手がけている不動産会社が無数にあります。その中には再建築不可物件の買取に強みを持っているところもあるので、ネット検索でお住まいの地域で買取を行っている不動産会社を複数見つけて、それぞれに見積もり依頼を出してみてください。
まとめ
訳アリだからこそ価格の安さが気になる、再建築不可物件。
しかし価格が安いからといって購入してから後悔することのないよう、メリットだけでなくデメリット、さらにそれをお宝物件に変身させる方法について解説してきました。
再建築不可物件という名前だけが気になっていた方で、この記事を読んでますます面白いと感じた方は、デメリットもしっかりと踏まえた上で購入の検討を進めてみてください。