• アパート経営, 相続税対策
  • 2023/9/21 (更新日:)

贈与税を有効活用!生前贈与の控除と特例を使って節税対策10選

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贈与税を節税する方法をお探しですか?相続が発生する前に出来ることをやっておきたいと思うものの贈与税は相続税よりも税率が高く、どうすれば節税になるのかお悩みではありませんか?

贈与税はそのままの税率を適用すると相続税よりも税率が高いため、生前贈与をしただけでは節税メリットはありませんが、各種の控除や特例を活用することによって様々な節税効果を発揮します。

この記事では、節税ノウハウと、贈与税に設けられている各種特例の中で節税に役立つものをご紹介します。

贈与税、相続税はいずれも税額が大きくなりがちなだけに、ぜひこれらの節税ノウハウをしっかりと押さえた上でしっかりと節約していきましょう。

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1、贈与税の基礎知識

贈与税の基礎知識についてまとめました。まずは贈与税とは何か?という概念や存在理由から押さえておきましょう。 

(1)贈与税の定義と課税制度

国税庁の定義によると、贈与税とは「個人から財産をもらったときにかかる税金」です。個人からもらった財産であることがポイントで、会社など法人からもらった場合は贈与ではなく所得なので、贈与税ではなく所得税がかかるという仕組みになっています。

贈与税には2種類の課税制度があります。

暦年贈与(基礎控除)年間110万円の基礎控除があるので、それを超える贈与があった場合には贈与税の課税対象となり、贈与を受けた人に納税の義務が発生します。この基礎控除というのは、この金額までは課税対象にならないという範囲のことなので、年間で贈与をした金額が「110万円以下」であれば贈与税の申告や納税は必要ありません。ただし、生前贈与をして3年以内に亡くなった場合は課税されます。

相続時精算課税制度:期間を定めなく贈与額が2500万円以下なら贈与税が非課税になり、2500万円を超超えた金額に対して一律20%の課税となります。

相続時精算課税制度で贈与した場合は、相続時に課税の対象になります。税金の支払いを先送りする制度のため節税効果はありませんのでご注意ください。

(2)贈与税の課税範囲と税率

贈与税の税率は、贈与の金額によって異なります。また、平成27年以降は税制改正によって贈与税には「一般贈与財産」と「特例贈与財産」という2つのカテゴリーに分けられ、それぞれ該当する税率が適用されます。

①一般贈与財産の税率

下記の特例贈与財産の税率が適用されない場合の贈与税率です。

 出典:国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」

②特例贈与財産の税率

父母や祖父母といった直系尊属から20歳以上の人への贈与は特例贈与財産に該当し、以下の特例税率が適用されます。

  出典:国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」

この両者を比べると、特例税率の方が税率が高くなり

にくく、控除額も大きくなっていることが分かります。これは平成27年から始まった制度なので、贈与税の節税をお考えの方は、まずこの特例税率が適用されないかをチェックしてください。

(3)贈与税と相続税の関係

贈与税と相続税の関係性を見ると、贈与税は相続税を補完するための制度であることが分かります。その根拠は税率の違いで、相続税よりも贈与税の方が税率が高くなるように設定されているからです。

この理由は、相続税逃れを防ぐためです。もし贈与税がなければ相続が発生する前に全ての資産を贈与してしまうようになるでしょう。そして、もし贈与税の方が低ければ、やはり相続が発生する前に生前贈与で資産を移してしまうようになるでしょう。

贈与税の方が高くなるように設定することで、「生前贈与をするのは構わないが、相続よりも不利になる」という構図を作っているわけです。

相続税よりも贈与税の方が高く設定されているのであれば、贈与税は節税には役立たないと思われるでしょう。しかし、実際には相続税をできるだけ節税するために生前贈与を活用する事例は多く、贈与税の仕組みをうまく活用すれば節税の余地があるということが分かります。

贈与税には各種の控除や特例措置があるので、それをうまく活用すると相続税よりも高い贈与税の仕組みの中にあっても結果として節税効果を生むことができるのです。

(4)必要なお金と贈与の違い

贈与税の節税について考える前に、そもそも「贈与」とは何かという定義も押さえておく必要があります。冒頭で解説した国税庁の定義では「個人から財産をもらった」ことが贈与となります。これだと親が子のために使った生活費や教育費、扶養費など全てが贈与ということになってしまいますが、実際にはこうした費用には課税されません。

しかし、親が所有している現金や不動産などを年間110万円を超えて子がもらうと、それは贈与です。この違いは、もらった財産を使い切るか、財産として残るかという点にあります。現金や不動産などをもらうということは、親の財産を子に移転する目的があります。そして、子は親からもらった財産を守ることになるので使い切らずに残ります。

生活費や教育費は子の成長に必要なお金で、それぞれの用途で使い切るため財産の移転には当たらないという考え方です。

この「使い切ること」は贈与税の大きなポイントです。「3、知っておきたい贈与税節税に役立つ5つの特例」で紹介する各種の特例においても、特例を適用して贈与した財産が使い切られずに残っていると特例が適用されなくなるものがあります。

参考:法律情報サイト|リーガルモール

2、贈与税による節税方法5選

贈与税の仕組みを活用した節税ノウハウを5つご紹介します。5つ目の特例についてはそれぞれ適用される条件などが細かく定められているため、次章の「3、知っておきたい贈与税節税に役立つ5つの特例」で詳しく解説します。

(1)基礎控除を活用した分割贈与

贈与税には110万の基礎控除があります。年間110万円以下の贈与であれば非課税なので申告の必要もありません。年間で110万円なので、それを10年間続ければ合計で1,100万円の非課税贈与が可能になります。

なお、贈与税はもらった人に納税義務があるので、父母の両方から年間に110万円ずつもらったとするとその場合は合計220万円となり、控除を受けられるのは110万円だけです。

その一方で3人きょうだいがいる家庭で父が3人の子にそれぞれ年間110万円ずつ渡したとするとその場合は合計330万円ですが、もらった人それぞれには110万円ずつの贈与となるので非課税です。

基礎控除を活用した分割贈与は、期間が長ければ長いほど生前に贈与できる金額が大きくなりますが、最初からまとまった金額を贈与する目的で課税逃れをしていると税務署に判断されてしまうとその合計額に対する贈与税が発生してしまいます。

そこで、あくまでも毎年行われている贈与は単発のものであるという形を取る必要があるため、以下のポイントに留意しましょう。

  • 毎年、贈与のたびに贈与契約書を作成する
  • 110万円を超える金額を敢えて贈与して超過分を申告する(毎年単発の贈与が行われている記録を残すため)
  • 贈与の時期や金額、内訳を変えるなどの工夫をする(単発贈与を強調するため)

実際に基礎控除を活用して少しずつ資産の移転を行っている人の多くは、この3点に留意して生前贈与を行うことで贈与税の節税を実現しています。

(2)不動産による贈与

将来相続が発生する見込みの財産が貸家やアパートなどの不動産であるケースは多いと思います。その場合は貸家やアパートのまま贈与をすることで評価額が7割程度になるため、現金で贈与するよりも節税効果があります。

これを利用すれば現金で不動産を購入して貸家にすれば贈与税を節税することも理論的に可能ですが、購入直後に贈与をするなど目的が節税だと判断されると評価額が100%(つまり現金と同じと見なされる)となるため、あからさまな節税行為はかえってコスト増となるので注意しましょう。

また、貸家やアパートではなく土地の場合であっても、その土地に賃貸に供する建物があって他人に貸している場合も評価額が2割程度低くなります。

このように、相続を予定している資産が賃貸に供する不動産である場合は、不動産のまま生前贈与をすることで大きな節税効果があります。

*不動産取得税、登録免許税が別途かかります。

不動産投資で得られる節税効果とは?節税の仕組みや注意点なども解説

(3)株式による贈与

株は価格が変動する資産です。そのため株価が低いタイミングで贈与をすれば、現金よりも評価額を低くすることができるので、タイミングが良ければ節税効果が得られます。

株の贈与における評価額は、以下のうちから最も低いものが適用されます。 

  • 贈与をした日の株価
  • 贈与をした月の平均株価
  • 贈与をした前月の平均株価
  • 贈与2ヶ月前の平均株価

数ヶ月間にわたって株価が低い時期に贈与をすれば、上記のいずれかで最も低い価格が適用され、その分節税効果が高くなります。

またもうひとつ、株による贈与はその会社の成長による「将来の値上がり分」を節税することもできます。相続が発生した時に株価が今よりも高くなっていればその分相続財産の評価も高くなり、相続税に反映します。まだ株価が高くなっていない今のうちに贈与をしておけば、その値上がり分は相続税の節税になるというわけです。

(4)生命保険を活用した実質的な節税

生命保険は贈与税や相続税以外にも様々な税金に対する節税効果を持つ商品として知られています。ここでは生命保険による贈与税の節税、そしてその延長線上にある相続税の節税について解説しましょう。

大まかな流れは、以下の通りです。

  • 財産を持つ親を被保険者に子が生命保険に加入
  • 親から子に現金を贈与、それを原資に保険料を支払う
  • 親が亡くなった時に子が保険金を受け取る

実質的に保険料を支払っていたのは親ですが、贈与によって子の財産となったお金で保険料を支払っていたため、生命保険金は子が自分の財産として受け取ることができます。

つまり、親が実質的に負担していた保険料から支払われた保険金を受け取ることで、相続税の課税対象になることなく財産の移転ができるということです。

その他にも生命保険を利用した節税には、以下のようなメリットもあります。

  • 不動産など現金以外の相続財産が多い場合に相続税を納税するための現金を確保できる
  • 保険金の受取人という形で財産を移転する相手を決めることができる(意に反する遺産分割を防止)
  • 親が亡くなるまで保険金という形で資産が残る(現金の贈与だと子が使ってしまう可能性がある)

(5)特例を活用した贈与税の節税

贈与税や相続税には、様々な特例があります。これらの特例には「親から子の世代への資産移転を促して経済を活性化する」という意図があるので、それぞれの特例が意図している用途と合致する場合は利用しない手はありません。

次章で5つの特例をご紹介しますので、それぞれに該当する場合は特例を活用して節税に役立ててください。 

3、贈与税節税に役立つ5つの特例

贈与税に設けられている様々な制度の中から、節税に役立つものを5つご紹介します。

(1)贈与税の配偶者控除

居住のための不動産に関する夫婦間の贈与に設けられた特例です。基礎控除である110万円に加えて2,000万円までの控除が受けられるので、最大控除額は「2,110万円」となります。

配偶者控除の適用を受けるには、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 婚姻期間が20年以上の夫婦であること
  • 贈与の対象が自己居住用の不動産、またはその不動産を購入するための費用であること
  • 贈与の対象である不動産に今後も住み続ける見込みであること

これに加えて、贈与税の配偶者控除は同じ配偶者からは一生に一度しか適用されないことも注意点です。

配偶者控除の詳細は、国税庁の「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」に公式情報があります。 

(2)相続時精算課税制度

贈与税の基礎控除は年間110万円までと決まっていますが、これにはもうひとつの選択肢があります。一度きりですが2,500万円という多額の控除が得られる「相続時精算課税制度」があります。原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

110万円の基礎控除は暦年課税といって毎年110万円までという枠が定められています。それに対して相続時資産課税制度を選択すると「相続時までの2,500万円控除」に切り替わります。親が亡くなる頃には子も高齢になっている可能性が高いなど、早期に財産の移転をして有効に活用したいという場合などに適した制度です。

ただし、この制度にはいくつかの注意点があります。

  • 一度選択すると、暦年課税に戻せない
  • 贈与時には非課税でも相続時には相続財産として算入されるため、相続税が発生する可能性がある

1つ目については、年間110万円という基礎控除でコツコツと財産の移転を考えていた人にとっては、一度きりの2,500万円に走ったばかりにその後の基礎控除が適用されない(つまり1円でも贈与をすると税金がかかる)ことになるので、選択は慎重に行ってください。

(3)住宅取得資金贈与

平成27年の税制改正によって始まった「住宅取得資金の贈与税の非課税措置」により、直系尊属である父母・祖父母から自己居住用の住宅を購入する用途に限定した贈与に対する贈与税の控除枠が最大で「1,200万円」まで拡大されるという制度があります。

平成331231日までの時限的措置なので、子のために家を建ててやりたいというお考えがある方、もしくは結果として子が家を建てるために必要な資金を贈与したいとお考えの方は、この特例措置を活用すると基礎控除との合計で1,310万円までが非課税になるので、大きな節税効果を得ることができます。

住宅取得資金の贈与税の非課税措置については、国税庁の「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」に公式情報があります。

贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること、贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であることなどの適用要件がありますので是非ご確認ください。

(4)祖父母などからの教育資金贈与

父母や祖父母といった直系尊属から30歳未満の人への教育資金を贈与する場合は、「1,500万円」までが非課税になるという制度があります。平成31331日までの時限制度ですが、この制度を活用すると子供の教育資金を祖父母からの援助でまかなうことができるようになり、実質的な相続の前渡しとしての節税効果があります。

教育資金専用の口座を開設してそこに贈与によるお金を預け入れ、そこから教育資金として必要な支払いに充てることにより、そのお金は教育資金のための贈与であったことが認められる仕組みになっています。

教育資金贈与の詳細については、国税庁の資料「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」に公式情報があります。

(5)結婚・子育て資金の贈与

上記と似た制度で、父母や祖父母といった直系尊属から20歳以上50歳未満の子に対して結婚や子育てに必要な資金に限って「1,000万円」までが非課税になるという制度です。上記の教育資金贈与と同じく、この制度で贈与された1,000万円までの分については非課税なので相続の前渡しとして援助を受ければ、贈与税・相続税それぞれの節税効果があります。

この制度についても、国税庁の「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」に公式の詳細情報があります。

まとめ

来るべき相続に備えて、まだ時間がある今のうちに何か節税になるような手を打っておきたいとお考えの方にとって、生前贈与は非常に関わりが深いものです。そのまま闇雲に贈与をしただけだとむしろ高い税率で節税とは逆効果になりますが、様々な節税テクニックや特例措置などを活用すると相続に要する税金全体を節税することができます。

相続への備えは早ければ早いほど、その効果が大きくなります。この記事でご紹介している節税ノウハウはすでに多くの人が実践をして節税効果を実感できているものなので、ぜひご活用ください。

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