• 相続税対策
  • 2018/12/21

あえて指摘してみる家族信託のデメリット5つとデメリット解決法

近年増えている認知症や病気などに起因する相続問題の解決策として、家族信託を検討する方は多くなっています。

書籍やネットの記事などを見ていると家族信託はとてもメリットが多く、良いことづくめであるような印象を受ける方も多いのではないでしょうか

しかし、いくらメリットの多い家族信託といえども何かデメリットやリスク、限界などがあるはずと思われている方も同じように多いことと思います。

メリットとデメリットは表裏一体であり、それは家族信託も例外ではありません。

そこで、相続対策として家族信託を真剣にお考えの方のために、家族信託のデメリットにスポットを当てて解説をしていきたいと思います。もちろんデメリットを解説するだけでなく、そのデメリットを踏まえて「それでも家族信託を利用するべき人」の解説や、対策なども網羅していきますので、どうぞ最後までお付き合いください。






目次

1、良いことづくめと言われる家族信託のメリットをおさらい

なぜ家族信託が相続対策に良いことづくめと言われるのか、まずはそのメリットをおさらいしておきましょう。

(1)認知症対策に有効

認知症対策は、家族信託の本質的な部分です。元気な時に家族信託によって「自分が判断能力を失った時に財産をこうしてほしい」という委託をしておけば、受託者はその信託契約に基づいて財産の管理をするため、元気な時に託しておいた意向がそのまま反映されます。

認知症を発症する人の比率が年々高まっていることを考えると多くの方にとって切実な問題ですが、家族信託はそれを解決できる選択肢として現実味があります。

(2)二次相続まで道筋を決めることができる

法律にのっとった相続や遺言は、いずれも一次相続までにのみ適用される仕組みです。二次相続といって、1回目の相続で遺産を受け取った人が亡くなった後の2回目の相続までの道筋をつけておきたいという人は多いと思いますが、既存の仕組みではそこまで効力が及びません。

相続の発生が見込まれる人の配偶者がすでに高齢で認知症になっているという場合など、その次のことまで考えておかなければならない場合にも、家族信託が有効です。

(3)遺産相続トラブルを回避できる

家族信託は「信託」という名前になっている通り、財産を持っている人が委託者となり、信頼できる家族や親戚を受託者として財産の管理を任せます。その財産から得られる経済的なメリットは、法的に定められた相続人を受益者として行き渡らせることができます。

このように財産の管理をする受託者と受益者というように権利関係を整理することにより、遺産相続のトラブルを回避できるようになります。

(4)分割できない相続財産の意思決定がスムーズになる

相続財産の多くが不動産であるという現実を踏まえると、不動産を相続した場合の名義を誰にするかという問題が多く発生していることが考えられます。特定の誰かの単一名義にすると他の相続人が権利を侵害されたと感じるでしょうから、それを防ぐために相続人同士の共有名義にするケースがあります。

しかし、共有名義はそれぞれの名義人が権利を持っているため、いざ不動産を売却したりする場合には名義人全員の同意が必要になります。

相続人同士でうまくコミュニケーションが取れていなかったり揉めている場合は同意を取り付けるのが難しく、不動産を動かせなくなってしまいます。

意思決定ができない不動産はむしろお荷物になってしまう可能性が高いですが、家族信託で受託者を指定しておけば意思決定がスムーズになり、売却のタイミングを逃すことなく有利に売り抜けることもできるようになります。

2、敢えて指摘する家族信託のデメリット5つ

良いことづくめでデメリットが少ないと言われる家族信託ですが、ここでは敢えて5つのデメリットを指摘してみたいと思います。

(1)受託者に権限が集中するためトラブル要因となる

相続トラブルが起きる最大の原因は、不公平感です。それが法律にのっとったものであったり、故人の遺言通りの相続であったとしても、思い通りの相続財産を受け取れなかった人の不満は不公平感となり、不協和音を生み出します。

家族信託では相続人もしくはそれ以外の人を受託者として財産の管理を任せることになるため、権限が集中することに不公平感を持つ人がいても不思議ではありません。

ただし、家族信託の場合は受託者と受益者というように当事者が分かれているため、自分が受託者になれなかったとしても相続財産からの金銭的なメリットを得る権利は守られています。そのことで納得できれば良いですが、財産の移動や処分に関する権限は受託者にあるため、それがトラブル要因となる可能性は否定できません。

(2)信託された資産で赤字が出ても損益通算から除外される

受託者がすでに他の事業をやっていたり、不動産を所有していてその収益で税金が発生しているとします。家族信託で管理を受託する財産で赤字が出ていたら、それを他の事業で出ている黒字と通算して税金対策にできるのではないかと考える人が出てきても不思議ではありませんが、残念ながらそれは不可です。

信託財産は赤字が出ていても他の損益と通算することができないので、受託したからといって節税になるというわけではありません。

赤字不動産の信託を税金対策という目的で受託しようとお考えの方は、注意してください。

(3)成年後見制度よりも管理能力が弱い

認知症になった人の保護という目的で成年後見制度があることを多くの方がご存知だと思いますが、この成年後見制度と家族信託は「何を守るか」という意味において本質的に目的が異なります。

家族信託は財産を守ることに主眼が置かれているのに対し、成年後見制度は本人を守ることが目的です。家族信託によって財産の管理を任されるほどの人は、おそらく委託者本人からの信頼が厚い人であると予想できます。その立場でありながら家族信託だけでは本人の医療や介護の意思決定まではできないというのが、何らかの足かせになる可能性があります。

しかし、家族信託をされるほどの人なのですから、周囲の家族からも信頼されている人である可能性が高く、事実上の成年後見人のように本人の保護にも関与できるケースは多いと思います。

(4)二世代前の意向に拘束されることが足かせになる場合も

一次相続(1回目の相続)だけでなく、二次相続(1回目の相続で財産を受け取った人が亡くなった時の2回目の相続)まで意向を反映することができるのは、家族信託の大きなメリットです。

しかしながら、故人のその意向が信託された時と時間が経つと状況が変わってしまっていることも十分考えられます。その時になっても家族信託によって財産の管理方針が拘束されるのは、逆に足かせになる時が来るかも知れません。

ただし、家族信託には30年ルールと呼ばれる、効力の上限があります。家族信託が発効してから30年後に受益者となっている人が亡くなると、その次の相続にまでは家族信託の効力が及びません。

このように永遠に家族信託の拘束を受けるわけではありませんので、ご安心ください。

(5)自分が元気なうちに相続予定の財産を任せる抵抗感

実際に家族信託をする場面を思い起こしてほしいのですが、まだ元気な人が将来の認知症リスクに備えて自分が所有している財産を誰か他の人に任せるというのは、抵抗を感じませんでしょうか?

いくら信頼している家族だからといっても、自分ではない人に財産を渡してしまうような感覚になる人もいると思います。受託者が裏切ったらどうしよう?とネガティブなことを考え出したらキリがありません。

実は、この抵抗感によって家族信託の利用をためらっている人は相当数います。制度的には良くできているとはいえ、こうした人情に関わるような抵抗感を払拭できないのは、家族信託という制度が持つ限界なのかも知れません。

3、デメリットを踏まえた上で家族信託を利用するべき人とは?

前章では家族信託のデメリットを敢えて5つ指摘しましたが、そのデメリットを踏まえても家族信託を利用するべき人というのは、どんな人でしょうか。この中にご自身が該当するものがあるかどうか、一度チェックしてみてください。

(1)他人に財産を取られてしまうリスクを解消したい人

今は元気だから自分で判断できるが、もし認知症や病気などで判断能力を失ってしまって、その時に悪い人間に騙されて財産を取られてしまうようなことになったらどうしよう・・・?という不安は誰もが一度は感じたことのあるものではないかと思います。

特に取られてしまうと致命的な事態になるような財産をお持ちの方であれば、なおさらでしょう。そんな方は、認知症対策や詐欺被害防止という観点で家族信託を利用する価値があります。

(2)相続人にも判断能力がない人がいる

現在お持ちの財産を相続する予定の配偶者や子などに、認知症や知的障害などによってすでに判断能力がない人がいることもあります。そんな場合は、相続した財産の管理をすることができないので、その時に備えて家族信託で信頼できる人に財産の管理を任せ、判断能力のない相続人を受益者として金銭的な援助をしてもらう方法が有効です。

(3)直接の相続人が信用できない人

配偶者と子がいる場合は、それぞれが最も優先順位の高い遺産の相続人になります。しかし、家庭の事情によっては子が就職や結婚、または他の理由で親元から離れて暮らしており、親子関係も疎遠になっているという状況も珍しくないでしょう。

そんな状況で相続が発生したとすると、疎遠になっている子が相続した不動産などの財産を勝手に処分して現金化してしまう可能性も十分考えられます。しかし、本人の意向はそうではなく孫やその次の世代にも財産を今の形で引き継いでいってほしいと考えているかも知れません。

そんな時に家族信託を利用すると、子に代わって受託者となった人が財産の処分をする権限を持っているため、子が勝手に処分してしまうことを防げます。

それだと子が権利を侵害されているように見えるかも知れませんが、本来の相続人である子も受益者にすることで財産の管理で生じた収益を得ることはできるため、相続人としての権利は守られるというわけです。

(4)相続財産が不動産など分割しにくいものが多く意思決定者を決めておきたい人

遺産分割協議の結果、相続した不動産が相続人同士の共有名義になっていると、相続人同士の人間関係の影響をもろに受けます。不動産には適切な活用法や売却のタイミングがありますが、共有名義になっているためにチャンスを逸してしまうという事例は枚挙にいとまがありません。

家族信託であれば受託者が意思決定できるため、いわゆる不動産の塩漬けを防ぐことができます。相続予定財産の大半が不動産で、相続人同士で揉めそうだと見込まれる場合や、揉めなかったとしても共有名義で相続することになりそうだという場合は、家族信託でスムーズな意思決定の形を作っておくのが有効です。

(5)事業が破綻しても自分や家族の生活を守りたい自営業者

ここまで触れてこなかったメリットですが、信託財産は他の財産と別で取り扱われるため、もし事業が破綻して財産を差し出さなければならないような状況になったとしても、信託財産はその対象に含まれません。

特に浮き沈みの大きい事業をしている方にとっては、家族信託によって最低限の財産を事業の影響を受けることなく承継することができます。

もっとも、委託者と受託者を同一人物にすることもできるのですが、これがもし資産隠しだと見なされた場合は、他の財産と同様に返済に回されることになります。

4、家族信託のデメリット対策

最後に、家族信託のデメリットを克服するための対策を3つのポイントで解説します。

(1)当事者間でしっかり話し合って未来のイメージを共有する

家族信託だけに限ったことではありませんが、財産や相続については当事者間の理解が欠かせません。遺産分割協議という名前のついている話し合いはもちろんのこと、普段から財産の承継や相続について、当事者間で十分話し合って納得のいく結論を出しておくのが最も有効です。

家族信託は相続問題を解決するために有効な制度ですが、信託の内容が現実に即していなかったりトラブルの火種になるようなものだと、意味がありません。

今の状況だけでなく、未来のイメージをしっかりと描きながら当事者間でそれを共有し、その時にどういう形になっていることが望ましいかを模索していきましょう。

(2)委託者と受託者の信頼関係を日常から構築しておく

信じて託すと書くのが信託です。まして家族信託は家族間で信託をするのですから、赤の他人同士よりも深い信頼関係が必要になります。家族間なので信頼関係があって当たり前だと感じる方もおられると思いますが、こと財産の話になると欲望をむき出しにしがちなのが人間です。

委託者と受託者の信頼関係があってはじめて成立するのが家族信託なので、普段から当事者間の信頼関係を作っておくことはとても重要です。委託者と受託者の信頼関係がなければ、受託者に財産の管理を任せることになる受益者も枕を高くして眠ることはできないでしょう。

(3)税金対策、節税に用いている資産を信託しない

赤字が出ている不動産などを、税金対策の目的で所有している方は多いと思います。他の収入と通算をすれば課税所得を減ずることができるので節税に有効ですが、この財産を信託財産にしてしまうと通算ができなくなるため、節税効果がなくなってしまいます。

受託をした人も赤字を垂れ流している不動産を任されただけで他の収入と通算ができないため、赤字+税金という持ち出しになります。

税金対策として機能している財産を家族信託に含めるかどうかは、節税メリットとの損得を入念にお考えください。

まとめ

メリットがとても多く死角なしとも言われる家族信託ですが、この記事ではあえてデメリットやリスクとなりうる部分を指摘、解説してきました。やはりメリットがあるものには必ずその裏にデメリットもあるということをお伝えできたのではないかと思います。

しかし、これらのデメリットは正しい知識があれば克服することができるものばかりです。デメリットをしっかり理解した上で、後悔しない家族信託にお役立ていただければと思います。

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