どのような仕組みで売却価格が決まるのでしょうか?
査定額を左右するポイントや注意点は?
土地の売却を検討するうえで重要なのが、売り出す価格を決めることです。どのような仕組みで売却価格が決まるのか、専門の不動産会社に依頼し査定してもらいますが、査定価格が決まる方法を知っておくことは大切です。
そして自分で売却額を簡易計算する方法も解説していきます。
土地売却全般についてはこちらの記事も併せてご参照ください。
土地の査定額の主に基準は「接近条件」「環境条件」「街路画地条件」の3つ
1、土地売却の査定方法は2つ
土地査定には査定方法が2つあり、それぞれの特徴を説明します。
(1)簡易査定
1つ目の方法は「簡易査定(机上査定)」です。登記簿謄本や地積測量図などの資料をもとに、書面でわかる情報からプロに査定してもらう方法です。
間口の広さ、部屋や土地の面積、法的な権利状況などをもとに、取引事例比較法という手法を用いて査定します。
現地へ行って調査するわけではないので、細かな設備状況や劣化具合などはわかりません。そのため、後述する「訪問査定」と比べると査定の精度は劣ります。しかし、1~2日で査定結果が出るため、とりあえず自分の売りたい物件の相場を知りたい場合には、まずこちらの方法から選択するとよいでしょう。
(2)訪問査定
「訪問査定」とは、不動産会社の専門スタッフが実際に現地を訪れて行う査定です。実際の建物や土地の状況を確認するため、精度の高い査定額が出てきます。そのかわり、結果が出るまで少し時間がかかり、依頼を出してから1週間ほどかかることも。
基本的に査定方法は簡易(机上)査定と同じ方法ですが、接道状況や土地の形状、日当たりや景観、周辺地域の状況など、細かい状況が調査されます。
2、土地売却価格を査定で知っておきたい用語
土地の価格を決める際に「評価額」というものがあります。これらは国や地方自治体などが決めている指標価格で、不動産査定を行う上で基準となるものです。ここでは、重要な指標3つを覚えておきましょう。
(1)路線価
路線価は、路線(道路)に面した土地について、その路線に応じて決まる価格のことです。毎年7月1日に国税局から発表されます。
基本的に「相続」や「贈与」などの法的手続きの際の財産評価は、この「路線価」を軸に決めていきます。それぞれの不動産の資産評価額のもととなる価格指標です。
(2)公示価格
全国の土地取引の目安として、国土交通省によって毎年発表されている価格のことです。適正な土地取引を進めるために、毎年1月1日時点での全国約3万地点ある標準地について、土地鑑定委員会の審査により決定されます。
(3)固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、固定資産税の税額を決める際の基準となる価格のことです。路線価などを参考に各市町村が決定します。
毎年1月1日の不動産所有者に対して送られてくる「納税通知書」に添付されている「課税資産明細」で、具体的な固定資産税評価額を知ることができます。
3年に1度「評価替え」が行われて、物件の評価額が更新されます。具体的に一件ごとの状況にあった公的な査定評価が出るため、土地の評価額としては固定資産税評価額を軸にすることが多いです。
3、自分で土地売却価格を計算する方法
実際には専門の不動産会社が査定し見積もりを出してもらうことになりますが、その前に、ある程度相場観を養うために自分で計算してみることもおすすめです。
そこで、ここでは公表されている評価額(先ほどあげた「路線価」「公示地価」「固定資産税評価額」)から簡単に土地価格を査定する方法を説明していきます。
(1)路線価から計算する方法
「路線価」は国税庁が発表していますので、国税庁のホームページにある「路線価図・評価倍率表」にアクセスして、最寄りのエリアの路線価を確認します。
ここでエリアを選択すると、土地が面している道路のところに数字があります。この数字(英語部分は無視します)に1000(路線価は1000円単位であるため)をかけわせた数字が「路線価」です。
路線価がわかったら、次の式に当てはめて査定額を出します。
土地査定額(路線価基準)=「路線価」×「土地の面積(㎡)」÷0.8×1.1
0.8を割るのは、路線価は一般的に公示価格の8割となっているためです。この知識は公示価格を確認するときにも大事な知識なので、押さえておいてください。
また、なぜ1.1をかけるかというと、公示価格の1.1倍が取引価格になるケースが多いという一般論としての基準がベースとなっていますので、あくまでも参考値として考えておきましょう。
(2)公示地価から計算する方法
公示地価から算出するのは路線価よりも簡単です。先ほどの数式を取り単純化したもので算定できます。
土地査定額(公示地価基準)=「公示地価」×「土地の面積(㎡)」×1.1
公示地価は国土交通省の「標準地・基準地検索システム」にアクセスし、該当エリアを選択します。検索条件指定のところで「地価公示・都道府県地価調査の両方」を選んで検索すると価格が出てくるはずです。
(3)固定資産税評価額から計算する方法
「固定資産税評価額」とは毎年4月頃に市町村から送られてくる納税通知書で確認できます。納税通知書の「課税明細書」というぺ―ジに「評価額欄」という項目がありますので、ここに載っている数字を確認してください。
固定資産税評価額を元にした計算方法は次のようになります。
土地の査定価格(固定資産税評価額基準)=「固定資産税評価額」÷0.7×1.1
路線価のケースとよく似ていますが、こちらで0.7を割っている理由は、固定資産税評価額は公示価格の7割程度に設定されていることがほとんどのためです。要するに、公示価格の1.1倍が相場、という点を押さえておけば、簡単に土地の査定額を予想することができます。
(4)一括査定サービスを利用する方法
自分でもある程度査定できたうえで、より本格的に売却を検討する場合はやはりプロに査定してもらうことになるでしょう。その際に、いきなり訪問査定を依頼する、というのはハードルが高いので、最初の段階ではネット上で簡単にできる、一括査定サービスなどを利用するのもひとつです。
例えば一括査定サービスでは、厳しい審査や評価をクリアした不動産会社だけが査定依頼の対象となっており、手軽に得ることができるので、ぜひこちらの記事もご覧ください。
4、土地の査定額を決めるポイント
3つの評価額をもとに、エリアごとの相場をある程度把握した段階で、いよいよ物件ごとの査定額を決めていくこととなります。
(1)3つの立地条件
不動産会社が土地の査定額を決めていく条件にはさまざまな基準がありますが、主に基準となるのは「接近条件」「環境条件」「街路画地条件」の3つです。
①接近条件
1つめは「接近条件」です。主に「最寄り駅」「公共施設」「商業施設」の3つとの距離で評価していきます。最寄り駅からの接近性は「徒歩圏」と「バス圏」の2つから査定されます。徒歩圏の計算は80mで1分と考えるのが基本で、駅から10分圏内、20分圏内、それ以上という段階で、評価額が変化します。
公共施設は具体的には「病院」「役所」「学校」など、商業施設は商店街やスーパー、薬局など。同じく10分圏内、20分圏内、それ以上というカテゴリーで評価していきます。不動産会社によってはこれらの距離に加えて、アクセスまでの利便性に応じて細かく評価をする場合もあります。
②環境条件
環境条件とは住環境の周りにどんな建物が建っているか、を総合的に評価する基準です。住宅地であればどの世帯層が多いか、騒音が気になる場所かどうか、などを細かく評価していきます。騒音や振動は周辺エリアの交通量にも大いに関係します。幹線道路や鉄道や高速道路から近い距離にあると、それだけ評価は下がる傾向にあるのです。
また、墓地や浄水施設、工場や倉庫といった施設が近くにあると、これも評価を下げる要因となります。このように、住居エリアにどんな施設があるのかは、土地の評価額に影響を与えるということを理解しておきましょう。
③街路画地条件
街路画地条件とは、土地に接する道路の形状や方向、幅などを総合的に判断する条件です。簡単に3つほどのポイントに分けて説明します。
接面する道路の幅
土地に接面している道路が2本以上ある場合、2本のうち広い方でかつ出入り口として利用できる道路が評価対象となります。評点の付け方は基本的に、「車侵入不可」「幅員4m未満」「幅員4m以上」「幅員5m以上」「幅員6m以上」の順に評価が上がっていく仕組みです。
公道か私道か
接面道路が公道か私道かも大きく評価を分けるポイントです。公道の方が評価は上がり、私道だと所有者に対して利用負担をするため評価は下がるでしょう。
接面道路の形状、方位
接面道路の形状が、整形か不整形かも評価を分けるポイントです。少し複雑なのが方角です。接面道路と接している面がどの方角化で風通しや日照状態が変わるため、評価に影響を与えます。
一般的には北側に設置していると評価は下がる傾向で、南側に設置面がある、あるいは南側に空き地や緑地などがある場合は高評価となる傾向です。
(2)知っておきたい用途地域と査定の関係
それぞれの土地のエリアには、こうした用途地域の指定があります。
地域によっては建てられる建物に制限があるため、指定エリアごとに査定価格が異なることを理解しておきましょう。なお、自分の土地がどういった指定エリアになっているかは、用途地域マップなどのサイトで確認できます。
都市計画区域
都市計画区域とは、主に都市部のまちづくりを計画的に行う目的で指定される区域のことです。「市街化区域」と「市街化調整区域」に分かれます。
「市街化区域」とはすでに開発が進み、多数の建物が建っているエリアです。建物建築に対する制限がゆるく、人口の多いエリアでもあることから、市場価値は高いです。
一方「市街化調整区域」は、たとえば工場地域や商業地域などのような一定の目的を持ったエリアに対し、市街地化を一部抑制している地域です。建物の用途や高さなど、指定内容によって建築制限がかかっています。
準都市計画区域
都道府県や国などの政策的な意図によって、都市化を制限しているエリアです。
都市計画区域外
特に用途がなく、人口も少ないために指定されていないエリアです。土地利用には向かないエリアです。
5、土地の査定で準備しておくことと注意点
(1)土地の査定前に準備しておくべきこと
土地の査定前に、あらかじめ準備しておくべきことが主に2点あります。
①査定に必要な書類を用意しておく
具体的に不動産会社に査定依頼を出す際に必要となる書類があるので、挙げておきます。
不動産会社に査定依頼を出す際に必要となる書類
- 身分証明書(免許証など)
- 登記済権利書または登記識別情報(いわゆる権利証。登記識別情報は12桁の英数字)
- 固定資産税納付書・固定資産税納税通知書(毎年4月ごろ送られてくる)
- 土地測量図面・境界確認書
- 売買契約書
- 建築確認済証・検査済証(一戸建ての場合には必要)
- 物件購入時の重要事項説明書
基本的に土地や家の購入時に交付されるものが中心です。このうち、査定依頼で特に重要なのは「土地測量図面」、いわゆる「測量図」です。
土地に関する正確なデータがないと、査定自体があいまいになって査定額が下がる傾向にあるので注意です。法務局で発行してもらえるので、査定前には必ず準備しておきましょう。
②「訪問査定」か「簡易査定」かを決めておく
2つのうちどちらにするかは、先ほど説明したメリット面、デメリット面を考慮して決めましょう。一般的に、もう売却する方向は決めていて、速やかに売却交渉を進めたい人は「訪問査定」を。
まだ具体的な段階ではなく検討段階である、あるいは自分の土地や建物に訪問されることに抵抗感がある、何らかの事情で訪問査定が難しい、といったケースであれば「簡易査定」でよいでしょう。いずれにせよ、必要書類を整えたうえで日時などのスケジューリングを決めておくことが重要です。
(2)土地査定で注意すること
土地査定を依頼して出てくる金額は、絶対的な金額でも何でもなく、あくまでも売却予想価格にすぎません。そのため、可能であれば複数の不動産会社に依頼して、査定価格同士を比較しておきたいところです。ネット上で完結する簡易査定で複数の査定を出してもらったうえで、訪問査定へ進む、というのが王道パターンでしょう。
また、不動産売買の繁忙期には、なかなか査定が進まないケースもあります。不動産売買は2~3月に集中する傾向があるので、日程的に余裕があればこの時期を避けて査定を依頼するのがおすすめです。
もう1点注意すべきことは、査定と売却の期間が空いた場合です。まれなケースではありますが、周囲の状況や路線価などが変わってしまい、土地の査定評価自体も変化することがあります。売却のタイミングから逆算して、できるだけ正確な査定結果が出るように計画的に売却を進めましょう。
(3)土地の売却 査定後の流れ
最後に、簡単に土地売却の流れを確認しましょう。
対象土地の相場を知る |
土地の相場価格は、比較的簡単に知ることができます。不動産大手の検索サービスでも知ることができますし、不動産取引価格情報検索(国土交通省)なども便利です。地域だけでなく自分が所有している土地の条件に近い不動産の相場も調べておきましょう。 |
対象土地の査定を依頼する |
物件に関する資料(物件状況報告書や付帯設備表など)を準備し、何件かの査定依頼を依頼していきます。インターネット上に査定サービスはたくさんあるので、まずは効率よく査定相場を比較検討するのをおすすめします。 |
不動産仲介会社を選定し媒介契約を締結する |
査定見積りを比較したうえで、信頼できる不動産仲介会社を選定し、媒介契約を結びます。媒介契約には3つのタイプがあります。 |
売却価格を決め売却活動を開始する |
ここで希望価格と相場価格、不動産仲介会社からの提示額を参考に売却価格を決めます。 |
購入希望者と売買価格などの売買条件を交渉する |
購入希望者が見つかると、不動産仲介会社から「購入申込書」「買付依頼書」が送られてきます。ここで担当者と相談しながら、売却価格や引き渡し日、支払い方法などの詳細をつめていきます。 |
売買契約書を締結する |
購入者と契約内容が決定したら、いよいよ契約締結です。手付金の受領もこの段階で行います。 |
決済・土地を引き渡す |
登記申請に合わせて決済と引き渡しを行います。 |
土地の査定方法についてのQ&A
簡易査定と訪問査定の違いは?
簡易査定(机上査定)は、登記簿謄本や地積測量図などの資料をもとに、書面でわかる情報からプロに査定してもらう方法です。間口の広さ、部屋や土地の面積、法的な権利状況などをもとに、取引事例比較法という手法を用いて査定します。
現地へ行って調査するわけではないので、査定の精度は劣ります。しかし、1~2日で査定結果が出るため、とりあえず自分の売りたい物件の相場を知りたい場合には、まずこちらの方法から選択するとよいでしょう。
訪問査定は、動産会社の専門スタッフが実際に現地を訪れて行う査定です。現地の状況を確認するため、接道状況や土地の形状、日当たりや景観、周辺地域の状況など、細かい状況が調査され精度の高い査定額が出てきます。結果が出るまで1週間ほどかかることも。
土地の価格を自分で計算する方法は?
大まかな相場価格は、自分で計算することができます。
- 路線価から計算する方法:土地査定額(路線価基準)=「路線価」×「土地の面積(㎡)」÷0.8×1.1
- 公示地価から計算する方法:土地査定額(公示地価基準)=「公示地価」×「土地の面積(㎡)」×1.1
- 固定資産税評価額から計算する方法:土地の査定価格(固定資産税評価額基準)=「固定資産税評価額」÷0.7×1.1
土地の査定で必要になる書類は?
基本的に土地や家の購入時に交付されるものが中心です。
- 身分証明書(免許証など)
- 登記済権利書または登記識別情報(いわゆる権利証。登記識別情報は12桁の英数字)
- 固定資産税納付書・固定資産税納税通知書(毎年4月ごろ送られてくる)
- 土地測量図面・境界確認書
- 売買契約書
- 建築確認済証・検査済証(一戸建ての場合には必要)
- 物件購入時の重要事項説明書
このうち、査定依頼で特に重要なのは「土地測量図面」、いわゆる「測量図」です。土地に関する正確なデータがないと、査定自体があいまいになって査定額が下がる傾向にあるので注意です。法務局で発行してもらえるので、査定前には必ず準備しておきましょう。
まとめ
土地売却の前段階として、土地査定は重要な手続きです。自分でもある程度相場価格を計算することができますので、それを元に不動産会社に査定を依頼してみましょう。その際に準備すべき書類など(特に測量図)を必ずそろえておいてください。
そのうえで、まずは「簡易査定」、より具体的に売却交渉を進めたいのであれば「訪問査定」を不動産会社に依頼します。スムーズに売却までつなげるために、売却時期から逆算したスケジューリングが大切です。
土地をより手間なく高く売却したいのであれば不動産売却査定サイトの活用がオススメです。
様々な売却査定サイトがありますが、その中でも、不動産仲介大手6社が参画している「すまいValue」を詳しくご紹介します。
不動産売却一括査定サイトのなかで、絶対に外したくないのが「すまいValue」。
不動産大手6社が共同で立ち上げた一括査定サイトです。6社というと少ないように感じるかもしれませんが、このうちの3社は以下のとおり。
- 三井不動産リアリティネットワーク
- 住友不動産
- 東急リバブル
この3社だけで、業界における仲介件数がトップ3を占めているため、査定サイトの中では流通件数自体は最も多いとも言えます。
また、上記3社は「すまいValue」でしか査定依頼ができません。これだけでもかなりのメリットといえるのではないでしょうか。
大手不動産会社は広告料が安く、有名ポータルサイトに物件を掲載してくれる可能性もあるため、早く売れる可能性が高くなるでしょう。
「すまいValue」に参加している6社は、すべて全国的なネームバリューを誇る大手不動産業者なので、不安や心配を感じることは少ないでしょう。
「すまいValue」を利用した人の96.3% が安心感があると回答しています。安心感を最優先させたい人におすすめの一括査定サービスです。
ただ、大手不動産会社のため、売却時の仲介手数料は比較的高額になる可能性が高く、地方や郊外の物件の場合は査定のエリア外となってしまう場合もありますので、注意が必要です。