• 不動産売却
  • 2021/10/15 (更新日:)

マンション売却にかかる費用と節約方法

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マンションを購入するときに、物件の購入価格のほかに諸費用がかかったのと同じく、売却にもある程度の費用が必要です。どのような費用があるのか、いくらぐらい用意すればいいのかなど、不安に感じる人もいるのではないでしょうか。

この記事では、マンション売却にかかる費用と相場について説明します。売却を検討するときの参考にしてください。

今回の記事をご覧の方は以下の記事も併せて読んでみてください。
マンション売却のやり方|高く売るコツを解説

なお、より手間なく高く売却したいのであれば不動産売却査定サイトの活用がオススメです。

様々な売却査定サイトがありますが、その中でも不動産投資の教科書がオススメするのは、以下の大手6社が参画している「すまいValue」です。

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1、マンション売却の流れ

マンション売却の大まかな流れは次のとおりです。

  1. マンション売却の準備:住宅ローンの残債確認、転居先の検討、必要書類の準備
  2. 価格査定:不動産会社に査定依頼、一括査定サイトで査定
  3. 媒介契約:3タイプから選択して契約(一般媒介、専任媒介、専属専任媒介)
  4. 販売活動:付帯設備表と物件商況報告書の作成、内覧の実施など
  5. 売買契約
  6. 決済・引渡
  7. 確定申告:売却益や譲渡損失の申告

詳細は下記を参考にしてください。

関連記事:「マンション売却の注意点|査定・契約時に失敗しないためには?

2、マンション売却でかかる費用

マンション売却でかかる費用には、次のようなものがあげられます。それぞれ何に使う費用なのか、どのくらいかかるのかなど、説明していきます。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 抵当権抹消登記費用
  • 一括繰上返済の手数料
  • 引っ越し費用

(1)仲介手数料

仲介手数料は、仲介業務を行った不動産会社に支払う報酬です。査定にかかる費用や、購入希望者を見つけるための宣伝広告費なども含まれます。ただし、成功報酬型なので売買契約が成立しなければ支払う必要はありません。

仲介手数料の相場

仲介手数料は宅地建物取引業法にて次のように上限が定められています。

  • 200万円以下の部分:取引額の5%以内
  • 200万円を超える400万円以下の部分:取引額の4%以内
  • 400万円を超える部分:取引額の3%以内

物件価格をそれぞれの金額部分に分けて計算し、合計した金額が仲介手数料の上限で、範囲内であれば不動産会社が自由に設定できるとされています。ちなみに、取引額が400万円を超える場合は、「売買価格×3%+6万円」で速算できます。

例として、5,000万円のマンションを売却したケースで計算してみましょう。

  • 5,000万円  3% + 6万円 = 156万円

上記の金額に消費税(10%)を足すと、171.6万円(156万円+15.6円)になります。よって、5,000万円のマンションを売却する場合の仲介手数料の上限金額は171.6万円になります。

仲介手数料の注意点

マンション売却準備にあたり、仲介手数料については次の点に注意してください。

【消費税】
課税対象であるため、前述の仲介手数料に消費税が加算されます。

【支払い時期】
契約成立時に不動産会社の請求権が発生しますが、契約成立時と引渡し完了時の2回に分けて支払うのが一般的です。事前に不動産会社に確認してください。

【仲介手数料以外の費用】
通常の仲介業務の範囲内では、追加請求される費用はありません。ただし、特別に依頼したものに関しては実費を請求されることがあります。マンションを売却するために何か依頼したいことがあれば、業務の範囲を超えるものかどうかを確認しましょう。

(2)印紙税

印紙税とは、不動産売買契約書などの「課税文書」が、その効力を得るために義務付けられた税金です。

納税方法は収入印紙の貼付で、取引の種類や金額に応じて納税額が異なります。

例えば、マンションを3,000万円で売却した場合、2万円の収入印紙が必要です。

売買契約書は、基本的には売主買主双方が原本を保管し、それぞれに印紙税を負担します。

参考:印紙税額一覧表|国税庁

また、2022年3月31日までに作成された不動産の譲渡に関連する契約書で、記載金額が10万円を超えるものは印紙税軽減処置が適用されます。

おもな印紙税および、軽減後の印紙税は以下の通りです。

契約書の記載金額印紙税軽減後の印紙税
100万円を超え500万円以下2千円千円
500万円を超え1千万円以下1万円5千円
1千万円を超え5千万円以下2万円1万円
5千万円を超え1億円以下6万円3万円
1億円を超え5億円以下10万円6万円

参考:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

(3)抵当権抹消登記費用

住宅ローンを利用した場合、物件を担保とした抵当権が登記簿謄本に記載されています。抵当権とは、ローンの返済が滞ったときに融資をした金融機関が物件を差し押さえられる権利です。本来、抵当権がついている物件を他人に売却譲渡することはできません。

そこで住宅ローンが残っている物件を売却するときは、売却代金でローンを完済し、登記簿から抵当権を抹消して買主に所有権を移すということが同時に行われます。抵当権抹消登記にかかる費用は次のとおりです。

登録免許税

登録免許税とは、登記の際に納める税金です。抵当権抹消にかかる登録免許税は、不動産の個数あたり1,000円で、土地と建物それぞれにかかりますマンションは複数の土地にまたがっていることが多く、その分の費用が必要です。

すでに転居を済ませて空室になっていた自宅マンションを売却する際には、住所変更登記が必要となるケースもあります。所有権移転登記をするとき、売主は印鑑登録証明書を提出しなくてはなりません。

住民票の移動は転居から14日以内と定められているため、印鑑登録証明書に記載されている住所も新住所になっています。印鑑登録証明書と登記簿の住所が異なると抵当権抹消登記を受け付けてもらえないため、住所変更登記が必要になります。

住所移転登記の登録免許税は、抵当権抹消登記と同じく土地と建物1個につき1,000円です。印鑑登録証明書は発行から3ヶ月以内のものが有効とされます。転居時に売却の話が進んでいるようなら、住民票を異動する前に準備しておくと良いでしょう。

ちなみに、所有権移転登記には固定資産税評価額から割り出した登録免許税がかかりますが、買主が負担するのが一般的です。

司法書士報酬

抵当権抹消や住所変更などの登記を代行した司法書士に支払う報酬です。司法書士事務所によって異なりますが、1~3万円が相場とされています。報酬は1件につき発生するので、抵当権抹消と住所変更を行う場合は2~6万円を予定しておきましょう。

(4)一括繰上返済の手数料

住宅ローンの一括繰上げ返済にかかる手数料で、金融機関や手続き方法などで異なります。事前に金融機関に確認しましょう。例として、大手銀行の2020年4月時点での一括繰上げ返済手数料を紹介します。

三菱UFJ銀行

インターネット:16,500円
窓口(テレビ電話):22,000円
窓口(書面):33,000円
参考:期限前完済手数料(消費税込)|三菱UFJ銀行

三井住友銀行

インターネット:5,500円
窓口(専用パソコン):11,000円
窓口(書面):22,000円
参考:全額繰上返済手数料(消費税込)|三井住友銀行

りそな銀行

インターネット:取扱いなし
変動金利型:11,000円
固定金利選択型:33,000円
参考:全額繰上返済手数料(消費税込)|りそな銀行

(5)引越し費用

引越し費用も忘れずに予定しておきましょう。就職や入学・卒業などで引越しが増える2~4月は、引越し費用が高くなるだけでなく、希望日に予約できないおそれがあります。

リクルート住まいカンパニーが2013年に行った「引越しに関する実態把握調査」によると、4人家族の引越し費用の平均額は2~4月の繁忙期は約15.5万円、そのほかの時期は約11.6万円と、約4万円もの差が生じます。

マンション売却にかかる費用を少しでも節約するなら、引越し希望時期から逆算して売却活動を開始するというのもひとつの方法です。

(6)その他かかる費用

必要に応じて、リフォーム費用やハウスクリーニング費用なども用意すると良いかもしれません。きれいな部屋は内覧時に良い印象を与え、スムーズに契約につながる可能性があります。キッチンや浴室などがリフォームされた部屋は、購入してすぐに生活が始められるとして人気です。

しかしながら、費用をかけたからといって高く売れるとは限りません中古マンションを探す人のなかには、「自分好みの部屋にリノベーションしたい」と考えている人もいます。その場合は、部分的に新品の部屋は敬遠されがちです。リフォームによってメリットがあるか、しっかり検討しましょう。

3、マンション売却時に戻ってくる費用

マンションを売却することで戻ってくる費用もあります。申請が必要なものもあるので、モレのないよう、しっかりチェックしておきましょう。

(1)住宅ローン保証料

住宅ローンを申し込む際、返済が滞ったときに備えて住宅ローン保証料を支払うことがあります。売却するために一括繰上げ返済を行うと、ローン滞納に備える必要はなくなるので、残りの期間に応じた保証料が返金されます(保証料一括払いの場合のみ)。

返金率は金融機関によって異なるため、どのくらい返金されるか金融機関に確認しましょう。

(2)火災保険料と地震保険

火災保険や地震保険の保険料を長期一括払いしている場合、残りの期間に応じた保険料は解約返戻金として戻ります。

具体的にいくら返金されるかは、保険会社への確認が必要です。火災保険や地震保険は、マンション売却で自動解約になるものではありません。自分で解約手続きをする必要があり、手続きしなければ返金されないので、忘れずに手続きを行いましょう。

(3)税金やマンションの管理費など

固定資産税などの税金やマンションの管理費は、精算金として戻ってきます。固定資産税および都市計画税の納税義務者は、毎年1月1日時点の所有者です。そこで、固定資産税などを日割り計算し、精算金として買主が売主に必要分を支払うのが一般的です。

月々のマンション管理費も同様です。月の途中で引渡しがあった場合は、日割り計算のうえ、精算金として買主から売主に返金されます。

4、マンション売却で利益が出た時にかかる税金

マンションを売却して利益が出た場合、「譲渡所得税」「住民税」「復興特別所得税」が課税されることがあります。計算方法など詳細はこちらの記事を参考にしてください。

関連記事:「マンション売却の5つの税金についてわかりやすく解説

(1)譲渡所得税

マンションなどの建物は経年とともに資産価値が減り、価格も下がっていくのが一般的です。しかし、景気の変動などで購入時よりも高い価格で売却できる可能性もあります。

この場合、マンション売却で得た利益(購入価格と売却価格の差額)に対して譲渡所得税が課税されます。税率は所有期間によって異なり、5年以上は30%、5年未満は15%です。納付は確定申告で行います。

(2)住民税

譲渡所得税と同じく売却益に対して課税されます。こちらも所有期間によって税率が異なり、5年以上は9%、5年未満は5%です。

(3)復興特別所得税

復興特別所得税は東日本大震災復興の財源に充てられる税金で、2037(令和19)年まで課税されることになっています。税率は2.1%で、売却益ではなく譲渡所得税が対象となることに注意しましょう。

(4)譲渡所得税・住民税・復興特別所得税の計算まとめ

前述のように譲渡所得税、住民税の税率は、マンションを所有していた期間が「5年以上」か「5年未満」によって違います。

5年以上所有した際は「長期譲渡所得」、5年未満の所得なら「短期譲渡所得」となります。

税の種類長期譲渡所得短期譲渡所得
譲渡所得税15%30%
住民税5%9%
復興特別所得税0.315%0.63%
合計20.315%39.63%

復興特別所得税は、2037年12月31日まで課税予定

ここからは、具体的な例として、「6年以上所有」「4年所有」のマンションを5,000万円で売却した、それぞれのケースを紹介しましょう。

【条件】

  • 建物構造:鉄筋コンクリート造の新築マンション
  • 売却価格:5,000万円
  • 売却時諸費用:250万円
  • 購入価格:4,500万円(建物3,000万円)
  • 購入時諸費用:225万円(建物150万円)

上記に減価償却費を含め、譲渡所得を求めて税額を計算します。

【計算式】

マンションの減価償却費、譲渡所得、売却時の税額は以下の式です。

項目計算式
減価償却費・建物購入費用 ✕ 0.9 ✕ 償却率 ✕ 経過年数
※建物購入費用とは、購入価格、購入時諸費用の建物分の合計費用
譲渡所得・売却価格 - (取得費用 - 減価償却費) - 売却時諸費用
※取得費用とは、購入価格と購入時諸経費の合計費用
売却時税額・譲渡所得 ✕ 合計税率
※合計税率とは、譲渡所得税、住民税、復興特別所得税の合計

減価償却費の償却率は、居住用マンションを想定し「0.015」で計算します。詳しくは国税庁の「減価償却費の計算について」でご確認ください。

それでは、上記を踏まえて計算しましょう。

6年以上所有したマンションの場合

減価償却費の計算>

3,150万円  0.9  0.015  6年

減価償却費 = 「255.15万円」

<譲渡所得の計算>

5,000万円 - (4,725万円 - 255.15万円) - 250万円

譲渡所得 = 「280.15万円」

<売却時税額>

280.15万円  20.315%

税額 = 「56.9万円」

千円未満切り捨て

4年所有したマンションの場合

<減価償却費の計算>

3,150万円  0.9  0.015  4年

減価償却費 = 「170.1万円」

<譲渡所得の計算>

5,000万円 - (4,725万円 - 170.1万円) - 250万円

譲渡所得 = 「195.1万円」

<売却時税額>

195.1万円  39.63%

税額 = 「77.3万円」

千円未満切り捨て

上記の計算のように、長期譲渡所得短期譲渡所得では同じ売却金額の場合だと、かかる税金の差は約20万円もあります。できるだけ5年過ぎてから売却するのが良いと言えるでしょう。

ただし、マンションの場合は、立地や価値などによって短期で売却してしまった方が、査定が高くつく可能性もあります

売却査定金額と税金を計算して、どちらがより高く売れるかシュミレーションしてみることをおすすめします。

5、マンション売却にかかる費用を節約する方法

マンション売却にかかる費用を節約する方法を紹介します。

(1)仲介手数料の値引き交渉

マンションの売却を不動産会社へ依頼した場合、必ず仲介手数料が発生します。仲介手数料には宅地建物取引業法で上限金額が設定されており、不動産会社では上限金額を請求するのが一般的な費用です。

先ほど計算したように、5,000万円のマンションを売却した場合には、171.6万円の仲介手数料がかかります。

決して、安い金額とはいえない手数料です。しかし、不動産会社は自由に金額を設定できるので不動産会社と値引き交渉することもできるのです。

値引きのタイミングは、媒介契約を結ぶ前が効果的でしょう。不動産会社の仲介業務においては、仲介手数料以外の報酬を受け取ることができないので、媒介契約を結ぶため交渉に応じるケースもあります。

しかし、仲介手数料の値引きは慎重に考えるべきです。詳しくは後述しますが、値引きよりも効率的な方法もあります。

(2)特別控除を利用して節税対策

マンション売却時は、さまざまな特別控除が受けられます。

①3,000万円の特別控除

譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。

この特例をうけるには「自分が住んでいたマンションであること」「売手と買手の関係が親子や夫婦など特別な関係でないこと」などが条件になります。

②長期譲渡所得の軽減税率

前章でも触れたように、税率が20.315%と軽減されますが、所有期間が10年を超えると、さらに以下のように軽減されます。

  • 課税譲渡所得6,000万円以下の部分は14.21%
  • 6,000万円超えの部分は20.315%

6、000万円以下なら、単純に14.21%になります。また、この軽減は「3,000万円の特別控除」との併用も可能です。

③特定居住用財産の買換え等の特例

買い替えの際、マンションの売却金額より新居の購入金額の方が高ければ課税されないという特例です。

しかし、ほかの特例との併用はできません。また、特例の対象となった新居を将来譲渡したときは、譲渡益に対する課税が持ち越されます。そのため、ほかの特例を検討した方が良いケースもあるので注意しましょう。

6、費用の節約だけでなく高く売る方法も考える

費用の節約も大切ですが、マンションを高く売る方法を考えることがもっとも重要です。前章で、仲介手数料の値引きについて紹介しましたが、値引きをすることで大きな損失を出してしまうケースもあります。

値引きを要求することで、不動産会社の販売活動の優先順位が下がり、なかなか売れないことや、売れないため値下げする必要が出るなどの問題も考えられるのです。

例えば、5,000万円で売れるはずだったマンションが、積極的に販売活動されないため売れなかったとします。そのため、価格を下げて4,500万円にしたとしましょう。結局手元に残る金額は減ってしまうのです。

  • 5,000万円の仲介手数料「171.6万円」手元に残る金額「4,828.4万円」
  • 4,500万円の仲介手数料「155.1万円」手元に残る金額「4,344.9万円」

ほかの経費は考慮していません

となり、値引きせずに5,000万円で売れた方が良いケースもあるのです。また、不動産会社にとっても、高く売れば仲介手数料も高くなるので双方にとってのメリットにもなります。

仲介手数料の値引きは、マンション売却のスピードや価格に影響を及ぼす可能性があるものです。経費を節約するよりも、高く売る方が手元に残るお金を増やせる可能性もあるので注意しましょう。

また、マンションを高く売るためにはパートナーとなる不動産会社をしっかりと選ぶ必要があります。そのためには複数の不動産会社に査定を依頼し、より有利に高く売る方法も考えましょう。

マンションを効率的に売却する方法や流れは「マンション売却のやり方|高く売るコツを解説」をご覧ください。

まとめ

マンション売却にはさまざまな費用がかかり、支払うタイミングも異なります。売却手順や費用などを事前に確認しておくことで、スムーズかつ納得できる取引ができるのではないでしょうか。

「不動産投資の教科書」では不動産投資を中心に、不動産に関するお役立ち情報を日々発信しています。ぜひ参考にしてください。

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