持ち家があるのに転勤の辞令が出た。
長く住み続けるつもりで購入したマイホームをどうするかがまず気になるのではないでしょうか。
手放したくないので誰かに貸すか、空き家のままにしておくか、それともいっそのこと売却してしまうか…
選択肢はいくつかあるものの、どれを選ぶべきかが悩ましいところです。
この記事では
- 転勤の辞令が出たら持ち家についてまず確認すべき事項
- 持ち家をどうするべきかの選択肢
- それぞれのメリットとデメリット
- 状況別・最適な選択肢はどれか?
などについて、判断材料をご提供します。
急な転勤の4つの選択肢:①賃貸②売却③単身赴任④空き家
1、持ち家なのに転勤!まず確認すべき項目
ほとんどの方にとって、持ち家があるのに転勤の辞令が出たというのは予想外の出来事でしょう。
まずは、現時点の状況を整理しておきましょう。
(1)家賃補助制度を確認する
まずは転勤先の住まいについての家賃補助制度の有無と金額などの条件を確認しましょう。
持ち家があるかないかで金額が異なることもあるため、そもそも自分の転勤でも適用されるのかも含め詳しく確認しましょう。
会社によっては持ち家を借り上げたり、リロケーション業者を紹介する制度もあります。
リロケーションとは…
転勤などで移住する際に、手続きや生活環境の整備をサポートする業務のこと。
日本では主に、転勤による留守宅の管理や、短期間の賃貸管理業務のことを指します。
(2)住宅ローンを確認する
持ち家にお住まいであれば、住宅ローンを利用していることが多いでしょう。
住宅ローンについては、下記の項目を確認してください。
毎月の返済額
ボーナス時返済額
ローン残債
住宅ローン控除の残り適用期間
毎月の返済額やボーナス返済額を確認することで、持ち家のローン返済と転勤先の家賃支払いという二重の出費になった場合のシミュレーションが可能です。
また、返済予定表などでローンの残債を改めてチェックし、持ち家を売却することになったときの想定を立ててみることも大切です。
その際にあわせて、住宅ローン控除が受けられる残りの年数や大まかな控除金額も確認することをおすすめします。
住宅ローン控除は原則「自己の居住の用に供した場合」に適用されるため、空き家にしておく場合は控除を受けられなくなります。
(3)持っているだけで発生するコストとリスクを確認する
不動産は持っているだけで発生するコストとリスクがあります。
コスト
- 固定資産税・都市計画税などの税金
- マンションであれば管理費や修繕積立金などのランニングコスト
リスク
- 管理が行き届かないことによって起こる不法投棄被害や火災など
(4)ご家族の意向を確認する
言うまでもないことですが、ご家族の意向を確認することが最も大切です。
転勤先の住環境やお子様の教育環境なども踏まえ、持ち家をどうするべきか、考え方をすり合わせしてください。
2、持ち家なのに転勤!考えられる4つの選択肢
転勤が決まった時に持ち家をどうするか。まずは取りうる4つの選択肢を整理しておきましょう。
(1)賃貸する
持ち家を手放したくないという気持ちを優先するものの、住宅ローンや維持コストをそのまま支払い続けるのは苦しいという方が取りうるのは、持ち家を誰かに貸すという選択肢です。
マンションならまだしも、戸建て住宅だと借り手を見つけづらいことや、自分たちが住むつもりで買った家に他人が住むことへの抵抗など障害はあると思いますが、うまく借主が見つかれば現金の持ち出し負担を軽くすることができます。
(2)売却する
もう転勤先から戻ってくる可能性がない、もしくは戻ってきたとしてもまた新たに家を買えばいいとお考えの方は、売却してしまうのが最善でしょう。売却してしまえばコストやリスクといった負担もありませんし、転勤先で心機一転を期する契機にもなります。
(3)単身赴任する
子供の学校の問題などで簡単に転居ができないという場合も含めて、単身赴任するという選択肢があります。この場合は家族が持ち家に住み続けるため、不動産的な問題は起きません。
もっとも、家族が離れて暮らすことになるため、コストもかかりますし、それ以外の問題が起きる可能性は十分にあります。
(4)空き家にしておく
転勤先からまた戻ってくる可能性が高く、その期間があまり長くない場合や他人が自分たちの家に住むことへの抵抗があるのであれば、誰にも貸すことなく空き家にしておく選択肢があります。
ただしこの選択肢は最もコストとリスクが高くつくことを忘れないでください。
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3、持ち家を賃貸するときのメリット・デメリット
持ち家を賃貸にする選択肢をお考えの方のために、メリットやデメリット、具体的な手順を解説します。
(1)転勤に伴って持ち家を貸す場合のメリット
転勤になって住まなくなった持ち家を賃貸にすることで得られるメリットは、主に3つあります。
- 持ち家を手放さずにすむ(再び住む可能性を残せる)
- 家賃収入があれば維持コストの負担軽減になる
- 人が住んでいるため廃墟化、劣化を防げる
3つ目について補足すると、家というのは使わなければ傷みが激しくなりますし、管理が行き届いていないと廃墟化や治安の悪化、火災発生などのリスクが高くなります。誰かが住んでいることでこうしたリスクから解放されるのは、意外に大きな意味を持ちます。
(2)持ち家を貸す場合のデメリット、リスク
メリットの次に、持ち家を賃貸にする場合のデメリットとリスクを挙げてみましょう。
- 基本的には儲からない
- 借主がつかなければ空き家状態になる
- 住宅ローンの契約違反になる可能性がある
最初から不動産投資をするために購入した不動産であれば利益が出るようにビジネスモデルが組み立てられていますが、転勤に伴って賃貸にするというのは想定外の展開なので、賃貸にしても儲けが出ることはないとお考えください。さらに、うまく借主が見つかれば良いですが、見つからなければ空き家状態になりコストとリスクが発生します。
3つ目の契約違反については、そもそも住宅ローンは自己居住用の不動産購入向けであり、事業用不動産購入ためのものではありません。賃貸にすることが事業と見なされると、住宅ローンの契約違反になるというわけです。ただし、最初から事業性を目的としていたわけではなくほとんどのケースで儲けが出るわけではないので、返済が滞ることがなければそこまで問題が大きくなることはあまりありません。
(3)持ち家を賃貸にする手順
メリットとデメリットを理解した上で、持ち家を賃貸にすることを決めた方は、以下の手順を踏んでください。
1:不動産会社に相談する
持ち家を賃貸にするには、入居者を募集する必要があります。この業務は不動産会社に依頼する必要があるので、近隣の不動産会社や、ネット上で依頼する不動産会社を探すことから始まります。
近隣の不動産会社が最も親身になってくれると考えられますが、見つからない場合や対応に不満があるという場合は、以下のサイトからでも検索可能です。
2:賃料を設定する
不動産会社に客付けを依頼する際に、家賃を設定します。不動産会社は相場観を持っているので、家賃の価格帯を提案してくれます。家賃の金額を譲りたくないのであれば強気の設定にしても構いませんが、早く入居者を決めたい場合は低めに設定する、といったように戦略に応じて賃料を設定してください。
3:入居者の募集活動をする
家賃を設定したら、不動産会社が入居者を募集する活動を開始します。不動産会社同士の情報ネットワークに賃貸情報を掲載したり、ネット上のポータルサイトなどへの掲載を行ったりします。入居希望者から問い合わせがあったら、不動産会社の担当者が現地案内などの対応をしてくれます。
4:入居者と賃貸契約を結ぶ
入居希望者が物件を気に入ったら、入居の申し込みが入ります。家賃や保証金などの条件が折り合えば、賃貸契約の成立となります。
(4)持ち家を賃貸するべき人
ところで、持ち家を賃貸にするべき人というのは、どういう状況にある人でしょうか。考えられるのは、また戻ってくる可能性が大いにある人、それと持ち家に対する強い思い入れがある人です。
ただし、戻ってくる可能性が高い人でその期間があまり長くない場合は、普通の賃貸借契約にすると賃借人の退去が思い通りにならない可能性があります。一度賃貸にしたら貸している間は借主のほうが強い立場にあるためです。
そこで、転勤期間が2~3年など短期間であることが分かっている場合は「定期借家契約」(定借)を利用するのが一般的です。
定期借家契約は契約の更新を一切しない賃貸借契約であるため、普通賃貸借契約よりも家賃を割安に設定することになりますが、退去について交渉する必要もありません。
転勤で一時的に持ち家を賃貸したい場合は定期借家契約を利用してください。
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4、持ち家を売却するときのメリット・デメリット
転勤を機に持ち家を売却する場合のメリットやデメリットについて解説します。
(1)転勤に伴って持ち家を売却する場合のメリット
転勤を機に持ち家を売却することには、以下のようなメリットがあります。
- 持ち家を現金化できる
- コストやリスクなどの負担がなく後腐れがない
- 売却額によっては利益が出る
- 火災保険などの保険料が戻ってくる
4つ目を除き、どれも想像の範囲を出ないものだと思います。
しかし、このメリットはサラッと述べていますがどれも非常に大きな意味を持ちます。持ち家を現金化した上で、持ち続けることによるさまざまなリスクから解放されることは、思っている以上にメリットが大きく、またリスク削減になります。
利用する予定のない不動産を持ち続けることによって起きるリスクが顕在化した人からは、「こんなことなら売っておけば良かった」という声を耳にします。
4つ目の保険料については、火災保険や地震保険の保険期間が残っている場合は保険料が戻ってくるという意味です。メリットではありますがそれほど大きな金額ではなく、やはり1つ目と2つ目のメリットがとても大きいと思います。
(2)持ち家を売却する場合のデメリット、リスク
メリットの一方で持ち家を売却するデメリットについても挙げてみましょう。
- 持ち家を手放すことになる
- 売却額によっては損失が出る可能性がある
- 思い通りのタイミングで売れるとは限らない
こちらの場合、最大のデメリットは「せっかく買った持ち家を手放す」というものでしょう。また、仮に売却を決断したとしても思い通りに売れるとは限らず、価格が低くなってしまったり、売るのに予想以上の時間がかかってしまうことなどのリスクが存在します。
(3)持ち家を売却する方法と留意点
持ち家の売却にあたっては、正しい手順や戦略、留意点などがあります。
- 不動産売却に際して揃える必要書類
- より有利に持ち家を売るために知っておきたいタイミング戦略
- 急いでいて後腐れを好まないのであれば買取という選択肢もあります
- 売却を依頼する不動産会社で大手と地元密着のどちらか迷ったら
(4)持ち家を売却するべき人
どのような人が売却を選択するべきなのでしょうか。
- もう住む可能性がない(戻るかどうか不透明な場合も含む)
- 維持管理コストやリスクを回避したい
- 転勤という機会に心機一転を図りたい
- 持ち家が戸建てではなくマンション
4つ目について補足すると、土地のない戸建て住宅と比べてマンションのほうが売り時が重要だからです。
できるだけ早く売却したほうが良いので、少しでも売却をお考えなのであれば早めに行動することをおすすめします。
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6社というと少ないように感じるかもしれませんが、このうちの3社は以下のとおり。
- 三井不動産リアリティネットワーク
- 住友不動産
- 東急リバブル
この3社だけで、業界における仲介件数がトップ3を占めているため、査定サイトの中では流通件数自体は最多です。
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5、持ち家を空き家にしてもいい場合もある?
転勤になっても持ち家を売却せず、かといって賃貸にもせずに持っておくという選択肢について解説します。
(1)転勤になっても持ち家を持ったままにしておくメリット
転勤になって当面住むことがなくなった持ち家を、そのまま空き家の状態で持っておくことをメリットは、以下の通りです。
- 戻ってきたらすぐに住める
- 入居者とトラブルが起きる可能性がない
- 自分たちの家に他人が住むことへの抵抗を感じずにすむ
3つ目については好みの問題ですが、1つ目と2つ目については入居者という当事者がいないことによる自由度の高さが大きなメリットです。入居者がいることで起きる可能性のある問題を何も起こさずに済みます。
(2)持ち家を持ったままにしておくデメリット、リスク
それではメリットのもう一方で、持ち家を空き家の状態で持っておくことのデメリットとリスクについても挙げてみましょう。
- 税金など維持コストがかかる
- 定期的に風を通したりとメンテナンスが必要
- 管理が不十分だと廃墟化、治安悪化のリスクがある
お金の持ち出しと不動産を所有していることに伴う管理責任がリスクとなるというイメージです。しかし、転勤先から早く戻ってくる可能性があることや、家族の誰かがすぐにすぐに住む予定があるのであれば、空き家にしている期間が短いのでこの選択肢が有効になるでしょう。
(3)持ち家を空き家にしておくべき人
メリットとデメリットを総合して、転勤になっても持ち家を持ったままにしておくべき人とは、以下のような人です。
- 転勤期間が短いことが分かっている
- 誰か他人が住むことに抵抗がある
- 維持コストを支払ってでも家を持っておきたい
- 定期的に管理、メンテナンスをすることができる
端的にまとめると、転勤から戻る可能性が高く、しかもその期間が短い人というのが、持っておくことで最もメリットが大きくなる人だということです。
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転勤が決まったとき持ち家についてのQ&A
Q:1持ち家があるのに転勤が決まったときにまず確認すべきことは?
ご家族の意向を確認することが最も大切ですが、他に必ず確認すべき項目は下記の通りです。
- ご勤務先の家賃補助制度の条件や金額等の詳細
- 住宅ローンの返済額や残債と住宅ローン控除適用の残り期間
- 固定資産税などの金額とマンションであれば管理費などのランニングコスト
Q:2転勤が決まったときの持ち家をどうするか 4つの選択肢
- 賃貸する
- 売却する
- 空き家のままにする
- 単身赴任し家族は引き続き居住する
Q:3持ち家を賃貸するときの注意事項は?
まず賃貸にしても儲けが出ることはないと考えるようにしましょう。
また、住宅ローンは自己居住用の不動産購入向けであるため低金利が適用されています。事業用不動産購入ためのものではなく、賃貸にすることが事業と見なされると、住宅ローンの契約違反になるというわけです。
ただし、最初から事業性を目的としていたわけではなくほとんどのケースで儲けが出るわけではないので、返済が滞ることがなければそこまで問題が大きくなることはあまりありません。
賃貸借契約については、契約の更新がない定期借家契約を利用するようにしましょう。退去時期のトラブルを避けることができます。
まとめ
長く住むつもりで買った持ち家があるのに転勤が決まってしまったら、どうするべきか?
そこから考えられる4つの選択肢をもとに、それぞれのメリットとデメリット、そしてどの選択肢をとるべきかを解説してきました。
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注目すべき特徴として、売り手と買い手の双方の担当者となることを原則禁止し、売却専門・購買専門に組織を分けた「エージェント制度」が挙げられます。
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