• 不動産投資
  • 2017/8/9

民泊と旅館業法の関係とビジネスを拡大させるための7つの知識

訪日外国人向けビジネス、いわゆるインバウンドビジネスが成長分野として成長を続ける民泊に対して、ビジネスとしての魅力をお感じですか?「民泊は儲かるらしい」という話はあちこちで聞かれますので、「不動産投資の教科書」読者の方々にとっても気になる存在だと思います。

しかし民泊には常に違法性や法的にグレーであるという指摘が付きまとっています。その根拠になっているのが宿泊施設の定義や規制をするための法律、旅館業法です。民泊も旅館業法との関わりを避けて通ることはできませんが、これから民泊ビジネスへの参入をお考えの方々にとっても、旅館業法との関りは気になるところです。

最近では旅館業法の改正で規制が緩和されたり、民泊新法と呼ばれる住宅宿泊事業法の施行によって民泊の合法化に向けた法整備が進められています。そんな過渡期にある今、民泊ビジネスに関心をお持ちの方にしっておいていただきたい旅館業法の仕組みや民泊との関わりについて「不動産投資の教科書」らしく投資家目線で徹底的に解説したいと思います。


1、旅館業法とは、どんな法律か

旅館業法とは、最初の制定が昭和23年という、比較的古い法律です。旅館業法の目的は宿泊サービスを提供する側(旅館業といいます)の施設やサービスの品質をある程度以上に維持するため、ホテルや旅館など宿泊施設に対する許可制を取っています。基準を満たしていないところには許可を発行しないので、そういった施設は無許可営業ということになります。後述しますが、無許可営業をすると罰則もあります。

宿泊サービスを事業として提供する場合は必ず関わりが生じる法律が旅館業法であり、民泊もその例外ではないということです。

【参考】
旅館業法の条文

2、旅館業法と民泊の関係

(1)旅館業法と民泊の関係

旅館業法では宿泊施設や宿泊サービスについて細かい規定をしていますが、そもそも旅館業法では民泊サービスを想定していないので、条文を見ても民泊に関連するような規定はありません。

旅館業法が定義している宿泊サービスは4つあり、それぞれ以下のように定義されています。

  • ホテル営業:洋式の宿泊施設
  • 旅館営業:和式の宿泊施設
  • 簡易宿所営業:多数人で宿泊スペースを共用する宿泊施設
  • 下宿営業:1ヶ月以上の期間にわたって人を宿泊させるサービス

ご覧のように、民泊はどのカテゴリーにも属しません。その中でも一番近いのが簡易宿所営業なので、実際に旅館業許可を取得して民泊営業をしているところは簡易宿所としての許可を有しています。

ちなみにこの簡易宿所としてよく見られるのは、カプセルホテルやゲストハウス(ホステル)などです。

(2)民泊と民宿の違い

名前が似ているので混同されがちなのですが、「民泊」と「民宿」は似て非なるものです。前項の分類を踏まえていただくとお分かりだと思いますが、民宿は簡易宿所の許可を得ているれっきとした宿泊業です。

その根拠は、「対価として宿泊料を受けている」「旅館業法が求めている宿泊施設の要件を満たしている」「反復的に人を宿泊させている」などといった旅館業法による定義に沿ったものだからです。

それに対して民泊はこうした定義に当てはまるものの、「対価が発生しない」「反復的ではない」といった場合も考えられるため、民宿とは異なります。

しかし、最近になって民泊と呼ばれているものは限りなく民宿が提供しているサービスに近いもので、法的な扱いが難しいことから「グレーである」とみなされているのです。

(3)民泊には旅館業法が適用される根拠

どのカテゴリーも属していないからといって、民泊はどの法律からも規制されないということはありません。旅館業法が制定された当初は想定されていなかった宿泊営業のスタイルではありますが、すべての民泊は旅館業法の適用を受けています。

旅館業法第2条にある「設備を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」という文言が旅館業を定義しているので、この文言にある言葉を1つずつ解釈していくと、民泊が旅館業法の適用を受ける根拠が分かります。

①「設備を設け」

最初の「設備を設け」というのは、宿泊・滞在できるだけの設備を設けていることが旅館業のハードウェア的な定義です。民泊にもこうした設備が備わっているので(法律の基準を満たしているかどうかは別として)、旅館業法第2条の定義に該当します。

②「宿泊料を受けて」

これが最も直接的な部分で、宿泊料を受けるということは事業としてやっていると解釈されます。今どきの民泊は宿泊料を受けることが前提になっている宿泊ビジネスなので、やはり旅館業法第2条の定義に該当します。

③「人を宿泊させる営業」

旅館業法第2条の「人を宿泊させる営業」は、この一言で旅館業を表現していると言えます。住宅として用意されたスペースであっても、「人を宿泊」させて、「営業」をしていると民泊も旅館業法が求めている許可が必要と解釈されます。

④旅館業法が適用されないケース

では、「人を宿泊させる」という部分が該当すると何でも旅館業法の適用を受けるのかというと、そんなことはありません。例えば友人や知人を自宅に泊めて、その謝礼として金銭を受け取ったとしても、それは「宿泊料を受けて」という部分には該当しますが、「営業」ではありません。

よって、こうした個人間の付き合いによって宿泊料のやり取りがあったとしても、旅館業法による無許可営業にはならないと解釈されています。

3、全国各地にある民泊は大半が違法状態?

(1)そもそも旅館業法に違反するとどうなる?

旅館業法には罰則規定があります。第10条には無許可で旅館業を経営した者に対して「6ヶ月以下の懲役又は3万円以下の罰金に処する」と記されており、違反すると刑事事件になる可能性があります。しかも2017年の旅館業法改正では罰則強化も盛り込まれており、罰金の最高額が3万円から100万円と大幅に引き上げられます

現実に、無許可の民泊営業で摘発された事案も発生しています。

(2)全国各地にある民泊は大半が違法?

旅館業法に違反すると刑事罰があるとなると気になるのは、現在Airbnbなどで宿泊者を募っている多くのホストは旅館業の許可を取得しているのかどうか、という点です。

これについては国も全容を把握できていないので正確な数値はないのですが、大半が無許可であると言われています。つまり、違法民泊です。

それではなぜ摘発されずに営業を続けているのかというと、そこには国の観光事業に対する思惑があると思われます。

4、民泊に対する国の見解と思惑

(1)民泊は合法になる?

国はインバウンドビジネスに対してとても積極的で、訪日外国人を2020年までに年間4,000万人にしたいという目標を掲げています。これが達成されるかどうかは別として、訪日外国人数は年々「過去最高」を更新し続けており、今後もその傾向は続くと見られています。

そうなるとホテル不足が深刻化するため、せっかく日本に訪問したいと思っていても受け入れることができなければ消費マインドに水を差してしまうでしょう。そこで国は民泊にも注目しており、ホテル不足の解消だけでなく空き家など不動産の有効活用という観点からも民泊を推進しようとしています。

旅館業法の改正によって規制緩和を進めたり、戦略特区を指定して自治体の条例によって民泊を合法化したり、さらに国の法律として民泊新法(住宅宿泊事業法)を制定して民泊を正式なインバウンドビジネスに育てたいと考えています。

(2)旅館業法と特区民泊

インバウンドビジネスは成長分野であると国も認識しているので、現行法の範囲で民泊営業ができるようにする動きがあります。国家戦略特区として民泊営業が可能になる地域を指定、それぞれの自治体が条例を制定することによって旅館業法の規制を受けることなく民泊営業ができるようになります。

すでに東京都大田区大阪府大阪市では条例が制定されており、ややハードルが高いという指摘はあるものの特区民泊という形で合法的に営業をしている事業者がすでにあります。

国家戦略特区に指定されているのは東京都、神奈川県、千葉県成田市、大阪府、京都府、兵庫県等です。

5、旅館業法の許可を得た合法民泊とは

(1)旅館業法が求めている基準

旅館業法の許可を得て合法的に民泊営業をする場合、許可取得に最も現実味があるのは簡易宿所です。それでは、旅館業法が簡易宿所と見なすにはどんな要件があるのでしょうか。

  • 客室の床面積が33平方メートル以上
  • 2段ベッドを置く場合は上下の間隔が1メートル以上
  • 換気、採光、照明、防湿、排水の設備
  • 近所に公衆浴場がない場合は入浴設備
  • 適当な数の便所(人数によって細かく規定)

上記の基準は旅館業法によるものです。実際に営業許可を出すのは地方自治体なので、各自治体が許可を出すにあたって細かい規定を設けています。民泊営業をお考えの物件がある場合は、その物件が所在する自治体の基準を調べてみることをオススメします。

(2)旅館業法の改正で規制緩和されたポイント

前項で解説した旅館業法による簡易宿所の要件ですが、法改正によって一部の要件が緩和されています。その主な改正のポイントのうち、民泊に関係がありそうなのは以下の通りです。

  • 同時に宿泊できる人数が10人未満の場合、「3.3平方メートル×宿泊人数」の床面積があればOK
  • 同時に宿泊できる人数が10人未満の場合、フロントの設置義務がなくなった

同時に宿泊できる人数が10人未満の小規模簡易宿所であれば規制を緩和しましょう、というわけです。この小規模簡易宿所が民泊を想定しているのは明らかなので、旅館業法が初めて民泊の存在を認識したという意味で画期的な法改正です。

(3)規制緩和で合法民泊への参入は増えるか

国が一連の規制緩和や民泊特区指定、民泊新法などを進めている大きな目的は、民泊ビジネスの健全化と透明性の確保です。現状では「どこで誰が泊っているか分からない」状態のまま民泊ビジネスが拡大しており、法整備が追い付いていません。

そこで法改正や特区指定、新法などを通じて「現状把握」→「基準の明確化」→「民泊ビジネスの健全化」→「インバウンドビジネスの成長、拡大」というストーリーを描いています。

この最終目標を達成するためには民泊にも一役買ってもらいたいという上での旅館業法改正なので、合法民泊の参入は拡大すると見られています。一部の有識者は「民泊新法よりも効果が高い」とも指摘しており、旅館業法の簡易宿所というカテゴリーで許可を取った上での民泊が増えるでしょう。

6、旅館業法の許可を取得する方法

(1)民泊の営業許可を申請する窓口

旅館業法は国の法律ですが、簡易宿所などの許可を出すのは地方自治体です。許可を申請するのも地方自治体なので、民泊営業を予定している物件が所在する自治体が窓口となります。申請者の住民票が所在している自治体ではなく、物件の所在地である点に注意してください。

(2)旅館業法担当窓口で事前相談

多くの自治体では事前相談をプロセスに組み込んでいるので、まずは民泊開業を希望する所在地を管轄している自治体の旅館業法窓口に相談に行きます。窓口の名称は自治体によって異なる場合があるので、それぞれの役所に尋ねてみてください。

この事前相談時に以下の情報が分かるものを持っていくと話が早いので、可能な限り持参されることをオススメします。

  • 物件の所在地情報、図面
  • 建築基準法や消防法への適合状況
  • マンションの場合は管理規約

消防法への適合状況については民泊許可の可否に大きく影響するので、どんな基準を満たしている必要があるかを消防庁が「民泊における防火安全対策」という資料に分かりやすくまとめています。

マンションの管理規約は、そこに民泊禁止であることが明記されていないかをチェックするためのものです。

(3)許可申請

事前相談を行った自治体に対して、正式に許可申請を行います。その際に必要な書類は、おおむね以下の通りです。

  • 許可申請書
  • 個人の場合は住民票の写し、法人の場合は定款
  • 民泊の約款
  • 施設の構造が分かる図面

これらの他に必要な書類が自治体によって発生することがありますが、それらについては事前相談時に説明があります。

(4)立ち入り検査

申請の内容に基づいて、役所の係員が現地に訪問をして施設検査を行います。この際に旅館業法や自治体の条例が定めている基準を満たしているか、設備が整っているかが確認されます。

(5)営業許可取得

申請内容に問題がない場合、数週間程度で保健所から許可が出ます。これで正式に民泊営業を開始可能となります。

7、民泊新法施行後の民泊はどうなる?

(1)民泊新法と旅館業法の比較

旅館業法の改正によって民泊参入のハードルが下がる中、その後を追うように民泊新法と呼ばれる住宅宿泊事業法も施行されます。今後、合法的に民泊を開業するには特区指定された地域限定ですが特区民泊と、3つの法的根拠での民泊開業を検討することになります。

特区民泊については一部の地域だけに適用されるので、ここでは民泊新法と旅館業法、それぞれの民泊を簡単に比較してみましょう。

  民泊新法 旅館業法
新規開業 届出制 許可制
年間営業日数上限 180日 上限なし
施設の管理 登録業者への委託義務 規定なし
仲介業者の規制 観光庁への登録義務 規定なし

この比較を見る限り、最初の許可を得るためのハードルが高いものの旅館業法の許可を得て民泊営業をするほうが自由度が高いように感じます。

この点について、次項から解説していきましょう。

(2)年間180日以上営業する場合は旅館業法に軍配

民泊新法で最もネックになるのではないかと言われているのが、年間営業日数の上限設定です。1年は365日ありますから、上限の180日はそのちょうど半分程度です。せっかく合法的に民泊をしたとしても残りの180日は宿泊客を泊めることができないとなると、この上限は経営上の足かせとなるでしょう。

そうなると旅館業法の許可を取ってフル稼働させたほうが有利だと考えるのは自然なことで、民泊新法施行後の大きな分かれ目になりそうです。

(3)家主不在型の民泊では登録業者にしか管理を委託できない

民泊にはホストが同じ家に住んでいる家主同居型と、ホストの自宅とは別のところにある家や部屋などを貸し出す家主不在型があります。ほとんどの場合、民泊営業をしているのは後者の家主不在型です。

民泊新法で家主不在型の民泊営業をする場合、その物件管理にあたるのは民泊新法で創設される登録制によって登録された管理業者でなければなりません。選択肢が狭くなることから費用が増大する可能性もあり、民泊ビジネスの利益に影響を及ぼします。

旅館業法許可で民泊営業をしている場合は、管理を自分でやることもどの業者に任せることも自由です。

まとめ

有望なインバウンドビジネスとして不動産投資家の間でも注目が集まっている民泊について、その規制法である旅館業法との関係について詳しく解説してきました。「思ったより参入のハードルは高い」もしくは「低い」など、さまざまなご感想をお持ちだと思います。

代行業者も多くなっているので民泊そのものを始めるのは簡単ですが、違法状態で営業をすることには多大なリスクを伴います。旅館業法だけでなく特区条例、そして民泊新法を十分に理解した上で民泊を安全な投資先として検討してみてはいかがでしょうか。

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